アパートとマンションは、似たような建物なのであまり違いがないように思いますが、経営するとなるとの大きく異なる部分がたくさんあります。
賃貸経営についてお考えの方は、アパート経営とマンション経営の違いについて理解しておくとどのように賃貸経営を始めればよいか考えやすくなるでしょう。
本記事では、そもそもアパート経営やマンション経営に向いているのはどういった人なのかというところから、アパート経営とマンション経営の違いについて解説します。
- アパート経営は一棟経営が基本
- マンション経営は1室経営と一棟経営の2種類がある
- 収益性はマンション1室経営<アパート経営<マンション1棟経営
- かかる初期費用も上記と同じ順番
【一覧表】アパート経営とマンション経営の違い
アパートとマンションは似たような建物のため、経営上どのような違いがあるのかイメージしにくいです。
そこで、アパート経営とマンション経営(一棟経営と1室経営を分けた)の違いが分かるように、以下の一覧表を作成しました。
始め方 | メリット | リスク | 利回り | |
---|---|---|---|---|
アパート経営 | 1棟経営が基本 | ・空室リスクが低い ・収益性が高い ・土地も資産になる | 高い | 高い |
マンション経営 | ・1棟経営 | ・空室リスクが低い ・収益性がアパート経営よりも高い ・資産価値が高い | 高い | 高い |
・1室経営 | ・初期費用、維持管理費用が安い ・管理の手間がかからない ・新築は融資が受けやすい | 高い | 低い |
特に、マンション経営では1棟経営か1室を購入して経営するという2つの始め方があります。アパート経営は1棟経営が基本ですので、1室のマンション経営を検討している方は注意が必要です。
本章では、それぞれの項目ごとにアパート経営とマンション経営の違いを詳しく解説します。
アパート経営とマンション経営の始め方の違い
アパート経営は1棟経営が基本ですが、マンション経営では1棟で始める方法と1室で始める方法があります。
1室でマンション経営を始める方法では、不動産投資の方法としても人気です。
1棟か1室かでは、これから詳しく紹介するように特徴が大きく違います。そのため、目的やご自身の状況などから、アパート経営かマンション経営か、またその始め方について考える必要があるでしょう。
1室を賃貸するマンション経営は、1棟アパート経営よりも費用を抑えやすく始めやすいように思われます。
しかし、1室のマンション経営ならではのリスクもあるため、安易に手を出すことはおすすめできません。
アパート経営とマンション経営のメリットの違い
マンション経営と比較したアパート経営のメリットは、以下の通りです。
- 空室リスクが低い
- 収益性が高い
- 土地も資産になる
アパート経営は1棟経営が基本です。そのため、1室が主流のマンション経営に比べると、戸数が多いので空室リスクと収益性が高いというメリットがあります。
また、アパート1棟を購入すると土地も一緒に買うことになる場合がほとんどです。土地の所有権も手に入るので、新たな資産として活用することができるようになります。
一方、アパート経営と比較したマンション経営のメリットは、以下の通りです。
- 資産価値が下がりづらい
- 初期費用、管理費用が安い
- 耐用年数が長い
マンション経営は、建物の立地や設備が整っていることが多く、アパートに比べて資産価値が下がりづらいというメリットがあります。大手マンションデベロッパーのブランドマンションであれば、築年数が経っていても相場よりも高い価格で取引されることが多いです。
また、1室から始めれば初期費用と維持管理費用もアパート経営と比較して抑えられます。ただし、物件価格はマンションの立地や間取り、ブランドなどによってアパート1棟よりも高い場合があるので注意が必要です。
耐用年数については、長ければ長いほどローンの借入期間を伸ばせるというメリットがあります。
耐用年数は材料によって異なり、短い順から木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造となっています。鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建てられるマンションは、木造で建てられることが多いアパートに比べて耐用年数が長くなるのです。
アパート経営とマンション経営のリスクの違い
アパート経営は、マンション経営に比べて初期費用や維持管理費用が高く戸数が多いので、様々なリスクが発生しやすいです。
例えば、空室リスクや家賃滞納リスクによってアパート経営が赤字となってしまう例は珍しくありません。日本の法律上では借主の力が強く、「家賃滞納しているから退去してくれ」と言っても、簡単に退去させることは難しいです。
そのため、家賃滞納が発生したら泣き寝入りせざるを得ないことが多いというのが現状です。入居者や管理会社との関係構築や、規約などで滞納リスクを下げるような工夫が必要になります。
一方のマンション経営は、1室の経営であれば家賃滞納が起こるリスクも低いでしょう。価格の高いマンションであれば、お金に余裕がある方も多くなり家賃を滞納される可能性も少なくなることも考えられます。
ただし、1室のマンション経営は入居者がいなくなると収益はゼロになってしまいます。そのため物件選びでは、他の部屋や立地なども見ながら慎重に検討する必要があるでしょう。
アパート経営とマンション経営の利回りの違い
利回りには、自己資金割合や始め方によって異なりますが、アパートの1棟経営とマンションの1室経営であればアパート経営の方が利回りが大きくなる傾向にあります。
6部屋あるアパート経営と、1室のみのマンション経営で一部屋7万円とすると、その年収の差は420万円です。維持管理費などを考慮しても、
また、利回りには空室率や諸経費を含めない表面利回りと、含める実質利回りがあります。現実に近い法は実質利回りなので、収益性を確認する際はこちらに注目するようにします。
例えば、1棟アパート経営で以下の条件とするときの利回りをシミュレーションしてみます。
項目 | 条件 |
---|---|
土地購入費 | 5000万円 |
アパート建築費 | 5000万円 |
戸数・家賃(満室時の年収) | 8戸・7万円(672万円) |
空室率 | 10% |
諸経費率 | 15% |
また、自己資金は建築費の2割、借入期間は25年、金利は3%とします。
この場合、実質利回りは5.1%となります。
続いて、1室マンション経営で以下の条件とするときの利回りをシミュレーションしてみましょう。
項目 | 条件 |
---|---|
物件購入費 | 3000万円 |
家賃(満室時の年収) | 12万円(144万円) |
空室率 | 0% |
諸経費率 | 10% |
また、自己資金は建築費の2割、借入期間は30年、金利は3%とします。
この場合、実質利回りは4.4%となります。
アパート経営とマンション経営の資金の違い
賃貸経営では初期費用がどの程度必要になるのかも気になるところです。すでに土地を所有していて土地活用を検討している場合には建物の建築費用が主なコストになりますし、購入する場合でも購入費用がかかります。
建築物を購入・建築するための費用は、建物大きさによって変わります。つまり、マンションの方が大きい分、建築するための費用が多くかかります。
その点、アパート経営はマンション経営よりも規模が小さいため、入居者が安定して入居してくれる限り、早い投資回収が可能になります。
アパート経営とマンション経営の耐久性・耐震性の違い
建物を建築する場合、耐久性や耐震性は重要なポイントになります。
アパートの場合は木造や軽量鉄骨造が多いため、耐震性に不安があるイメージが強い人もいるでしょう。ただ、建築基準法で耐震性の基準が定められているため、建築資材でコストを抑えても耐震性は基準を下回ることはありません。
しかしそうはいっても、マンションの場合は鉄筋コンクリート造を採用するケースが多く、建築資材や工法から考えてもアパートよりも耐震性や耐久性が高くなります。
アパート経営とマンション経営の流動性の違い
流動性という点でみると、アパートよりマンションの方に分があります。
アパートは1棟経営になるため規模や金額が大きくなりやすく、購入希望者が市場に少なくなってしまい、流動性が低くなってしまいます。
一方で、一室マンションを経営する場合は売却しやすくなるため、流動性は高くなります。なお、マンションを一棟所有している場合は、アパートと同じく流動性が低いこともあるので注意してください。
アパート経営とマンション経営のセキュリティの違い
入居者にとって安心して生活できる環境というものは、居住先を決めるうえで大切な要素です。セキュリティ面ではアパートよりマンションのほうが高いと言えます。
マンションの場合は基本的にはオートロックが採用されていたり、エレベーターにも防犯カメラが設置されていたりと、セキュリティ体制が標準で整備されていることが多いです。
これに対してアパートは、外から見えやすい作りになっていることも多く、オートロックなどの設備がない物件もあります。防犯カメラを設置したりすることでセキュリティ強化を図ることは可能ですが、それでもマンションと比較するとセキュリティ体制に劣る場合もあります。
アパート経営とマンション経営の建てやすさの違い
立地に関して見ると、マンションは駅から近い(具体的には徒歩5分ほど)土地であること、人口の多い都市にある土地であることなど、制約が多くなってしまいます。部屋数が多く規模が大きいため、ある程度入居者が見込める土地でないとオーナーが利益を出せないためです。
その点、アパートはマンションほど立地制限が厳しくありません。駅から遠すぎると入居者は見込めませんが、ある程度の距離であれば、家賃を相場より低くするといった対処法で入居者は見込めます。
また、建築期間に関して、アパート経営は、おおよそ4か月~半年ほどで建築するすることが多く、マンション経営よりも短いことが多いです。一般的に、建物規模が大きいほど建築期間は長くなるため、マンションの方が建築期間は長くなります。
アパート経営やマンション経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうのがおすすめです。
なぜなら、アパート経営は建築費の見積もりや賃料設定など経営プランによって収益が1,000万円以上変わることもあるからです。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、利回りはどのくらいが適切なのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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活用事例:樹流 1棟4戸
(株式会社ブルーボックスの土地活用事例)
アパート経営やマンション経営に向いているのはどんな人?
アパート経営やマンション経営に向いているのは、「節税効果を期待している人」「土地を所有している人」「自己資金に余裕のある人」「適度に手間をかける余裕のある人」です。
そして、アパート経営よりもマンション経営に向いている人というのは、「特に自己資金に余裕のある人」です。
本章ではアパート経営やマンション経営に向いている人について解説します。
節税効果を期待している人
アパート経営やマンション経営に、「土地にかかる固定資産税を安くしたい」「相続税をできるだけ抑えたい」といったような節税効果を期待している人は向いていると言えます。
アパート経営・マンション経営をすることによって固定資産税評価額を最大6分の1に、相続税評価額を最大半分に軽減することができ、これは数ある土地活用方法の中でもトップクラスの節税効果があります。
アパート経営とマンション経営の節税は同じ仕組みなので効果も同じです。そのためマンションほど多くの資金を必要とする投資に抵抗がある場合は、アパート経営の方をおすすめします。
土地を所有している人
所有する土地にアパートやマンションを建築することで、継続的に家賃収入を得ることができます。土地の購入代金がかからず、かつ土地を所有しているだけでかかる固定資産税や都市計画税を節税することにも繋がります。
むしろ更地のまま所有し続けることは、収益を生まずに税金だけがむしり取られていくということになるため、あまり賢い選択とは言えないのです。
自己資金に余裕のある人
アパート経営やマンション経営は多額の初期費用がかかる投資であるため、基本的にローンを借り入れてスタートすることになります。
ただし、自己資金割合が低すぎると月々の返済額が多くなる上に、返済期間も長くなるため資金繰りがかなり難しくなります。そのため、アパート・マンションの建築費の3割は自己資金として用意しておくことが大切です。
アパートとマンションでは建築費に大きな差があるため、マンション経営を行なう場合はアパート経営より必要な自己資金が多くなるため、さらに余裕が求められます。
適度に手間をかける余裕のある人
アパート経営やマンション経営を行なうとなると、管理会社に諸々の管理業務を任せる人が多いでしょう。管理業務には資金や収益の確認、入居者への対応などがあり、これらは管理会社に委託することができます。
ただし、適度に自分でもアパートやマンション、入居者の状況を確認しておかなければいざというときに対応することができません。そのため、最低週に1回はアパートやマンションの見回りをしたり、収益の計算をしたりなど適度に手間をかけられる人でなければ厳しいものがあります。
アパート経営とマンション経営の違いまとめ
アパート経営とマンション経営の違いについて詳しくご紹介しました。
どちらも建物の外観や間取りは似ているようですが、経営となると異なる部分がたくさんあります。
賃貸経営をお考えの方は、アパート経営とマンション経営の違いについて把握し、ご自身に合う方で始めることができるようにしましょう。
記事のおさらい