アパート経営のなかでも、メゾネットは一風変わったアパートとして注目されています。
しかし、メゾネットならではのデメリットや注意点があることも事実です。
本記事では、アパート経営におけるメゾネットの特徴やメリットとデメリットなどについて解説します。
- メゾネットとは2階層以上あるアパート
- メゾネットは普通のアパートに比べ建築費が安い
- メゾネットならではの経営ポイントがある
アパート経営におけるメゾネットの特徴
メゾネットは、簡単に言えば2階以上の階層があるアパートのことです。
では、具体的には普通のアパートや建築費の違いにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、メゾネットアパートの特徴について詳しく解説します。
普通のアパートとは何が違う?
メゾネットとは、各戸に内階段がある2階層以上のアパートです。
名前の由来はフランス語の「maisonnette(小さな家)」を意味する言葉からきています。
高級マンションなどでもメゾネットタイプは人気の間取りにもなっており、集合住宅にも関わらず一戸建てのような居住環境を作ることができます。
メゾネットは、ロフトやテラスハウスとよく比較されます。これら3つのタイプについては、以下のような違いがあります。
- メゾネット・・・2階層以上であり、各階層が内階段で繋がっている
- ロフト・・・部屋の一部の天井下に作られたスペースで、はしごや階段などで繋がっている
- テラスハウス・・・いくつかの低層階の家が連なっている長屋タイプの建物
ロフトは部屋の1部分に作られるものであり、居住空間ではないため床面積にカウントされない点が特徴です。
テラスハウスは、低階層のアパートが連なっており、隣の家と壁を共有している点が特徴で、メゾネットと同義で使われることもあります。
メゾネットとテラスハウスについては建築基準法などで規定がある訳でもありませんので、意識して使い分ける必要はありません。
建築費用が普通のアパートに比べ安くなる理由
メゾネットの建築費用は、普通のアパートと比べて費用を抑えやすいです。
メゾネットを建築する際の坪単価については以下の通りです。
- 木造ツーバイフォー・・・70万円
- 壁式鉄筋コンクリート・・・85万円
ツーバイフォーや壁式鉄筋コンクリートは、共にプレハブ工法とよばれるもので、工場で部材を大量生産することで建築コストを抑えることが可能です。
さらに、同じ土地面積にアパートを建てるのであれば、一戸当たりの面積が大きくなるメゾネットの方が戸数が限られます。そのため、普通のアパートと比べ設備にかかる費用も抑えることができます。
また、メゾネットでは各家ごとに玄関があるので、エントランスなどの共用部を設ける必要がないことも建築費用が普通のアパートと比べて安くなる理由となります。
メゾネットアパートに向いている人
アパート経営において、メゾネットタイプで始めるのは以下のような人です。
- 周辺に戸建てが少ない土地を持っている人
- ファミリー層が多く住んでいる土地を持っている人
- 建築費をなるべく抑えてアパート経営したい人
特に、メゾネットはアパートのなかでも珍しい形態であることから、それだけで競争力はある程度期待できます。
ただし、競合となる物件などは普通のアパートとは異なるため、周辺の物件情報やニーズ調査を行うことをおススメします。
周辺に戸建てが少ない土地を持っている人
メゾネットの主な競合は、戸建て住宅です。そのため、周辺に戸建て住宅が少なくアパートなどの集合住宅が多ければメゾネットでの収益性に期待が持てます。
ただし、次にご紹介するようにターゲットやニーズは戸建て住宅と同じため、単身者が多く住んでいるエリアでのメゾネットアパート経営はおススメできません。
周辺にファミリー層が多く住んでいる土地を持っている人
メゾネットアパートは、床面積が広いためターゲットはファミリー層となります。
例えば、周りにファミリー向けの間取りであるマンションや、学校などの施設があるエリアではメゾネットアパート経営に適している土地であるといえます。
建築費をなるべく抑えてアパート経営したい人
メゾネットアパートのメリットの1つとして、普通のアパートに比べ建築費を抑えやすい点が上げられます。そのため、「アパート経営をしたいが資金面で不安がある」という方に適したアパート形態であるといえます。
建築費だけでなく、共用部が必要ないことから維持管理費も抑えられるところも嬉しいポイントです。
ただし、戸数が少なくなる分普通のアパートに比べ収益性の点では劣ることに注意が必要です。
アパートを建築する可能性が出てきたら、複数の企業の建築費用の見積もりを比較しましょう。
アパートの建築費用は設計や工法によって大きく異なり、建築のプランによって将来の利回りも変わります。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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活用事例:子育てファミリーの心を掴む、明るいメゾネット
エリア | 福岡県 |
土地面積(㎡) | 332 |
延べ床面積(㎡) | 243 |
工法 | 木質パネル接着 |
オーナー様は数多くの賃貸住宅の管理を手がける不動産会社の社長様。差別化のポイントをミサワホームと共に徹底的に検討。
周辺はワンルームアパートが過剰気味なので、あえて子育てファミリーをターゲットに。周辺では珍しいメゾネットタイプの間取りや、小屋裏収納、広いバスルームなど、ファミリーが喜ぶ仕様に特化しました。(ミサワホーム株式会社の土地活用事例)
アパート経営をメゾネットで始めるメリット
メゾネットタイプのアパートを経営する際、どのようなメリットがあるのかを知っておくことは重要です。ここではメゾネットタイプのアパートを経営するメリットについて解説します。
建築費が普通のアパートより安い
メゾネットタイプのアパートを経営する際にメリットとしてよくあげられるのは建築費用が一般的なアパートよりも安いという点です。アパートの建築費用はエリアや構造によって変動します。
構造によってはメゾネットタイプのほうが坪単価が高くなるケースもあります。ただ、メゾネットタイプの場合は外階段の建築が必要なかったり、戸数が少ないため設備費が一般のアパートよりも少なくてすむという点で費用が少なくてすむというメリットがあります。
1部屋当たりの賃料を高く設定できる
メゾネットタイプのアパートは比較的人気が高く需要がある一方で戸数がまだ少ないという点がメリットでもあります。入居希望者が多いのに戸数が少ないということはそれだけ希少性が高いということになるため、通常のアパートよりも高めの家賃設定でも入居者を集めることが可能です。
戸数が少ない分設備投資に費用がかからないためトータルの初期費用を抑えることができる点もメリットといえるでしょう。
長期で入居してもらいやすい
メゾネットタイプはターゲットをカップルやファミリー層に絞ることができます。単身者であれば生活スタイルの変化や職場の事情などで短期間で引っ越してしまう可能性が高いですが、カップルやファミリー層は比較的長く入居してもらいやすい点がメリットとなります。
長期的に入居してもらうことができれば空室リスクを回避することもでき、安定した収入を得ることにもつながるでしょう。
ランニングコストを節約できる
一般的なアパートの場合は外階段など野ざらしになる共有部分がどうしても発生します。そのため修繕費用がかさむという問題が起こります。これに対してメゾネットタイプは外階段をつける必要がなく、野ざらしになる部分が一般的なアパートよりも少なくなる点がメリットです。
共有部分が少ないため修繕にかかるコストが節約でき、管理の手間も省くことができるでしょう。さらに長期で入居してもらえる可能性が高いため、新規入居者の募集のための広告費用や室内の修繕費用の節約にもつなげることができます。
このようにランニングコストを節約できるという点もメゾネットタイプの大きなメリットといえるでしょう。
騒音のトラブルは限定的になる
アパートで起こりやすいトラブルのひとつが騒音問題です。隣家や上下階での騒音トラブルはアパート経営ではよくあるトラブルになります。
この点、メゾネットタイプは上下階を1戸として居住するため上下階での騒音トラブルが起こらないという点でメリットがあるといえるでしょう。隣家に関しては多少の生活音は聞こえる可能性はありますが、一般のアパートと比較して騒音トラブルが限定的になるということだけでもリスク回避になります。
さらに建て方によっては楽器の演奏を可能にすることも可能です。ピアノやリコーダーなどを演奏する子どもがいる世代が居住しそうな近隣に学校があるエリアなどは、メゾネットタイプで防音設備が整っているアパートにすれば子育て世代の入居者を獲得することもねらえるでしょう。
アパート経営をメゾネットで始めるデメリット
メゾネットタイプのアパートを経営する場合、多くのメリットがあることを解説してきました。ここからはメゾネットタイプのアパートを経営する際のデメリットについてもみていきましょう。両方を理解したうえで建築計画を立てることが重要です。
普通のアパート経営より収益は低い
メゾネットタイプのアパートは建築費用が安く、1戸あたりの家賃を高めに設定できる点がメリットでした。ただ、家賃が高くできても面積あたりで考えると1Rのアパートのほうが戸数が多い分、収益が高くなる点は検討する必要があるデメリットです。
たとえば、一般的なメゾネットを2棟建築した場合4戸を確保できます。家賃を9万円にしたとして月の家賃収入は36万円です。年間の収入は432万円となります。
1Rの場合、上下で部屋を取ることができるため単純に計算しても8戸を確保できます。メゾネットタイプよりも家賃を3万円安くした6万円で募集しても月の家賃収入は48万円、年間の収入は576万円となります。
このように同じ土地面積でも建設するアパートの種類によって年間の家賃収入も大きく変動することは理解しておきましょう。
圧迫感のある間取りになってしまう
メゾネットタイプで部屋数を確保することも可能です。ただし、部屋数を確保しようとすると縦長の間取りになるため圧迫感のある空間になってしまう可能性が高くなります。メゾネットタイプでは内階段が特徴のアパートですが、この内階段がかえって狭さを感じさせる要因になることもあるでしょう。
内覧に訪れた入居希望者は生活しやすさを重視するため圧迫感を感じてしまうと入居をためらってしまうこともあるため、建築の段階で間取りはしっかり検討する必要があります。
新たな入居者は現れにくい
メゾネットタイプの場合、カップルやファミリー層がターゲットとなります。間取りは2DKから3DKが人気ですが、この場合戸建ての賃貸と比較される可能性が高くなる点がデメリットです。
メゾネットタイプは家賃が高めで戸建てよりも間取りに圧迫感を感じることが多いでしょう。こうなると同地殿家賃では戸建て賃貸のほうに入居希望者が流れてしまう可能性が高くなります。もしも空室が続くと収入の減少につながることになるため経営者としては大きなデメリットになるでしょう。
アパートを建てようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
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アパート経営をメゾネットで始める時のコツ
メゾネットアパーとは、間取りや建物構造が普通のアパートとは異なるため、独自のポイントを抑えることによって経営を成功させやすいです。
ここでは、アパート経営をメゾネットで始めるときのコツについて詳しくご紹介します。
防音対策行う
メゾネットアパートのデメリットとしては、「隣の家がうるさい」といったことがあり、その点は入居者が特に不安に思うことの1つです。
ファミリー層であれば、子供が走り回ったり大声を上げるなどを心配するといったことがあります。そのため、建物の壁面には十分な防音対策をし、騒音トラブルを未然に防ぐことが重要です。
防音を売りに出すことで、競合物件との差別化をすることもできます。
庭や駐車場を個別に設ける
メゾネットでは、戸建てのように暮らせることを期待する入居者が非常に多いです。
戸建てと同じように、庭や駐車場を各戸に設けることがポイントとなります。
特に、周囲に駐車場のないアパートがある場合は、有効な差別化になります。
内外装にこだわる
メゾネットは建物構造上、外観や内装を工夫しやすいです。そのため、普通のアパートと比べ建物のおしゃれさやユニークさを売りに出すことができます。
いわゆる、「デザイナーズアパート」のような内外装にするのもおススメです。
注意点としては、特異な内外装にしたことにより入居希望者とのニーズがずれ、空室が目立つ結果になる可能性もあります。
メゾネットの内外装に関しては、建築会社等と相談しながら進めていくと安心です。
周囲の物件を調査する
メゾネットタイプに限ったことではありませんが、アパート経営をする場合にはニーズの調査を行うことが重要なポイントとなります。
特に、メゾネットの競合となる戸建て住宅やファミリー向けマンションの有無や空室状況は重要な参考情報となります。
競合となる物件があれば、その間取りや家賃などについて調べておくことで、差別化をしやすくなるでしょう。
アパート経営をメゾネットでするときは事前調査が大切!
メゾネットタイプは、主にファミリー層をターゲットにするアパートです。そのため、ニーズがないエリアでは空室が目立ち経営に失敗してしまう可能性が高まります。
メゾネットアパート経営を検討するのであれば、まずは立地や資金、メリットやデメリットについてよく考え慎重に判断する必要があります。
また、アパートを建てるなら最初の情報収集が重要です。一括見積もり請求サービスイエウール土地活用なら、土地所在地の入力だけで建築費の見積もりを取り寄せることができます。
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