アパートの相続税はいくら?計算をシミュレーションしてみました。

平成27年に相続税が改定され、相続税率が最大55%になりました。また、対象者も地域によっては、改定前の2倍に増加しています。相続税の負担は大きく、対策は早めに立てる必要があります。課税対象になる財産の約半分が、土地や建物などの不動産といわれています。
相続税対策のために、アパート経営を始める人も増えていますが、実際に相続税がどれくらいかかるのかを把握していなければ、今後の対策を立てることはできません。アパートを経営して副収入を得ながら、相続税を抑えることができれば、それが一番です。
不動産にかかる税金の仕組みを理解し、おおよその相続税額を知ることは、相続税対策の第一歩といえるでしょう。

先読み!この記事の結論
  • アパートの相続税は土地と建物で別々に計算される。
  • 建物の評価額は築年数などを加味した時価の70~80%ほど。

「まずはアパート経営の基礎知識を知りたい」方は下記の記事がオススメです。

アパートの相続税

アパートの相続税の計算方法

アパートなどの賃貸物件を相続する際、物件の価値に評価額が付けられて相続税額が決まります。その計算方法をわかりやすく解説しましょう。

土地と建物は別々に評価する

不動産は、更地の場合と建物付きの土地があるため、土地と建物それぞれ別々に評価額が決められます。土地については、国税庁が決める路線価を元に算出され、建物については、市町村が決定する固定資産税評価額をもとに算出されます。

アパートに使用している土地の評価は減額措置がある

アパートなどの賃貸物件に使用されている土地は「貸家建付地」と呼ばれています。地域によって定められた「借地権割合」、賃貸物件に適応される「借家権割合」、実際に貸し出し中の部屋に応じた「賃貸割合」を用いて、減額措置を受けることができます。

建物にも借家権割合が適用される

賃貸物件の建物の相続税課税評価額は、固定資産税評価額を元に算出されます。土地の場合と同じく「借家権割合」と「賃貸割合」を用いて、減額措置を受けられます。固定資産税評価額は地域によって異なりますが、時価の60%~70%程度の額となっています。

相続税は5つのステップで計算する

アパートを相続する際の課税評価額は、上記の3つの要素から算出できます。相続税の計算には、5つの段階を経て最終的な納税額が導き出されます。

1.遺産総額を導き出す
2.基礎控除額を差し引いて課税対象額を導き出す
3.相続人の法定相続通りの相続税額を算出する
4.相続税額を実際に相続した割合で振り分ける
5.控除額を算出し相続納税額を確定する
  • 土地と建物を分けて評価
  • 賃貸物件には減額措置あり
  • 相続税は5つのステップ
アパートにかかる相続税の計算方法

アパートの価値の算出方法

相続税を算出する際、不動産は評価額を元に計算します。土地に関しては「時価」「公示価格」「基準地価」「路線価」「固定資産税評価額」など、価格の評価基準がいくつかあります。相続税の算定には「「路線価」と「固定資産税評価額」が用いられます

土地の評価の仕方

算出方法は2パターン

土地の評価額は「路線価方式」と「倍率方式」の2つの方法があります。路線価は所有している土地が面している道路に1m2当たりの価格が決められていて、相続税計算の基準にします。国税庁のホームページで確認することができ、国土交通省から公表される「公示価格」の7割~8割に設定されています。
路線価方式の評価額計算式
  • 土地評価額=路線価×補正値(※)×土地面積
(※)補正値:土地の形や接している道路によって加減される値

倍率方式について

「倍率方式」は、路線価が決められていない土地に用いられます。市町村で決められた固定資産税評価額に、地域ごとの倍率をかけて数値を出します。
倍率方式の評価額計算式
  • 土地評価額=固定資産税評価額×評価倍率(※)
(※)評価倍率:路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる値

参考:国税庁路線価図・評価倍率表(平成30年度)

アパートの土地の評価の仕方

貸家建付地とは

賃貸のアパートや、一戸建てのある土地を「貸家建付地」と呼びます。建物・土地の両方を所有し、正当な価格で貸し出している物件が対象になり、相続税の評価の際に軽減措置を受けることができます。 被相続人(亡くなった方)の所有物でありながら、他者に貸し出しているため、利用に制限がかかっているとみなされます。「借地権割合」と「借家権割合」の2つの減額措置があり、「借地権割合」は、土地それぞれに30~90%の割合が決められいます。路線価図に記載された記号で確認できます。「借家権割合」は30%と決まっています。

貸家建付地の評価額計算式

アパートに利用している土地の評価計算は、路線価や倍率方式から算出した評価額に「借地権割合」と「借家権割合」を乗じて計算します。さらに、実際に貸し出している部屋の割合「賃貸割合」を乗じます。
貸家建付地の評価額の計算式
  • ?評価額 ×(1-借地権割合(※)×借家権割合(0.3)×賃貸割合 )
(※)借地権割合 : 地域ごとに30%~90%に決まっていて、路線価図に記載

路線価が1m2当たり30万円で広さが200m2の場合、評価額は6,000万円です。借地権割合が60%、賃貸割合90%の場合は、6,000万円×(1-0.6(借地権割合)×0.3(借家権割合)×0.9(賃貸割合)=5,028万円となり、課税評価額は5,028万円と算出されました。同じ土地が更地の場合は、課税評価額は6,000万円です。
算出の基準となる路線価は、公示価格や実勢価格の7割~8割なので、同じ価値の現金よりも土地、さらに「貸家建付地」のほうが、相続税対策に有効といえます。

建物評価の計算方法

賃貸物件などアパートの建物の評価は、固定資産税の評価額を用いて計算します。土地の計算と同じく「借家権割合」と「賃貸割合」を乗じて算出します
路線価は用いないため、「借地権割合」は省かれます。「借家権割合」は、土地の場合と同じで30%です。導き出された数字が、相続税の建物の課税評価額です。
  • 賃貸物件建物の評価額=固定資産税評価額×( 1-借家権割合(0.3)×賃貸割合 )
  • <例:固定資産税評価額1億円の土地、借家権割合 30%、賃貸割合90%の場合>
  • 1億円×(1-借家権割合 0.3×賃貸割合 0.9)=7,300万円

自己使用の場合は、相続税課税評価額は1億円、賃貸物件の建物の場合は7,300万円です。
固定資産税評価額は実勢の取引金額のおおよそ60~70%なので、現金で所有しているよりも、2段階にわたって税対象額が軽減されます。賃貸割合が高いほうがより効果的で、空き室が多い状態では恩恵が少なくなってしまいます。
参考:国税庁(土地家屋の評価)

小規模宅地等の特例

相続税法に「小規模宅地等の特例」と呼ばれる措置があります。相続税の納付が残された遺族の暮らしを、圧迫することの無いように設けられた制度です。

広さに限度はありますが、同居の家族が相続する場合は、80%の軽減措置を受けることができます。アパートなどの「貸付事業用宅地」は、200m2までを限度に50%の減額措置を受けることができます。自宅と賃貸アパートが兼用の建物の場合は、条件がありますが330m2まで80%減額されます。
平成30年に税制の改正があり、相続をした時点でアパートの経営が3年以内の場合は、「小規模宅地等の特例」を受けることができなくなりました。以前からアパート経営をしていて、新たにアパートを建設した場合など、継続的な事業と認められた場合は、減額措置を受けることができます。
参考:国税庁(小規模宅地などの特例)

  • 土地評価は公示価格の7~8割
  • 貸家建付地はさらに減額
  • 小規模住宅は50%減額
相続税対策にアパート経営はおすすめ
相続税の対策としてアパート経営を考えたら、まずは土地活用のプロにアパート経営のプランを見積もってもらいましょう。実際にプランを見てみると、思ったような節税効果を見込めない可能性もあります。

アパート経営が妥当か確認するためには、複数の活用プランを取り寄せて比較してみると良いかもしれません。複数の活用プランを比較する際には、土地活用の無料検索サイト「イエカレ」の利用がおすすめです。企業によっては実地調査をした上で収益プランを試算し、他にも効率の良い活用があれば提案してくれるでしょう。まずは、イエカレで複数の活用プランを取り寄せることをおすすめします。

土地活用比較サイトの利用手順
土地活用比較サイトの利用手順

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相続税計算シミュレーション

実際に、相続人が3名、部屋数20室のアパートを相続する場合を例にして、以下のステップに沿って相続税の計算を行ってみましょう。

アパートの評価額計算

面積:300m2
部屋数:20部屋(すべて同じ大きさ)
使用状況:18室賃貸中(2室は空き)
路線価図:180Dの路線に接地
(補正値は0として省略します)
建物の固定資産税評価額:5,000万円
借入金残高:4,000万円

土地の評価額を計算

土地の評価額は、路線価図に記載された数字から算出します。路面価は「250C」や「180D」と、数字と記号で記載されています。所有している土地が接している路線価の数字は、1m2当たりの単価、アルファベットが借地権割合を指しています。
借地権割合は、A-90%、B-80%、C-70%、D-60%、E-50%、F-30%と7段階になっています。今回は「180D」と設定し、1m2当たりの価格は「180×1,000円」で計算、Dの借地権割合60%として計算します。
  • 300m2(土地面積)×180,000(路線価図記載値)=5,400万円(土地の評価額)
  • 5,400万円(土地の評価額)×( 1-0.6(借地権割合)×0.3(借家権割合)×0.9(賃貸割合))=45,252,000円(貸家建付地の評価額)

更地の場合は評価額は5,400万円ですが、約4,500万円の評価額になっています。

建物の評価額を計算

建物の固定資産税評価額は、5,000万円と想定して計算してみましょう。借家権割合と、賃貸割合を用いて計算します。
  • 5,000万円(固定資産税評価額)×( 1-0.3(借家権割合)×0.9(賃貸割合)=3,650万円(賃貸物件建物の評価額)

賃貸状況が、すべて空き室の場合の評価額は5,000万円になるので、満室の状態のほうが相続税は安くなります。

課税総額を算出する

相続人が配偶者と子供2名(どちらも成人)と仮定して、相続税を計算してみましょう。分割方法は、法定相続通りとします。まずは、相続税がかかる課税額を求めましょう。

相続財産の合計を算出

最初に、相続する財産の合計金額を算出します。自宅やアパートなどの不動産については、利用方法に応じた減額措置を適応した評価額で計算します。被相続人(亡くなった方)名義の預貯金などの現金資産を加え、借入金はマイナスします。

<表1>  相続人3名(配偶者、子供2名) 減額後の評価額
アパートの情報 土地の評価額5,400万円 45,252,000円
建物の評価額5,000万円 36,500,000円
その他の
財産
その他の相続財産自宅の土地の評価額3,000万円(小規模宅地等の特例を適用) 6,000,000円
自宅の建物1,000万円 10,000,000円
借入金5,000万円 -40,000,000円
預貯金1,000万円 10,000,000円
相続財産合計 67,752,000円
? 葬儀費用などの経費300万円(配偶者が負担) 3,000,000円
? 死亡保険金2,000万円(配偶者が受取人) 20,000,000円

葬儀費用や受け取り保険金については次の段階で用います。

相続人に分割

配偶者と子供2名の場合、法定相続分は配偶者が50%、子供はそれぞれ25%になります。死亡保険金2,000万円については、1,500万円が控除されるので、500万円を配偶者の分割分に加算し、葬儀費用など配偶者が立て替えた金額を差し引きます。

<表2>   相続財産合計 67,752,000円
配偶者(50%) 33,876,000円+500万円-300万円 35,876,000円
子どもA(25%) 16,938,000円 16,938,000円
子どもB(25%) 16,938,000円 16,938,000円
合計 69,752,000円

基礎控除額を差し引く

基礎控除の計算式は、<3,000万円+600万円×法定相続人数>なので、シミュレーションのケースでは4,800万円になり、 控除額を上回る金額が課税額とされます。
  • 69,752,000円-48,000,000円(基礎控除額)=21,752,000円(課税総額)
相続税改正以前は、今回のようなケースでは、基礎控除額は8,000万円なので非課税となり、相続税はかかりませんでしたが、現在は支払い義務が生じます。

相続税総額を求める

相続税を決める課税総額が算出されたので、相続税を計算してみましょう。

相続税の計算方法

先ほど求めた課税総額を、配分通りに振り分けます。今回は、法定相続通りに配分します。21,752,000円(課税総額)を配偶者に50%、子供それぞれに25%ずつ配分します。
相続税の税率は1,000万円以下は10%、控除額は0円、3,000万円以下は15%控除額が50万円なので、配分額から相続税額を計算します。

<表3>  課税総額×配分率×相続税率-控除額=相続税額
? 課税総額の配分額 相続税率 控除額 相続税額
配偶者(50%) 10,876,000円 15% 50万円 1,131,400円
子どもA(25%) 5,438,000円 10% なし 543,800円
子どもB(25%) 5,438,000円 10% なし 543,800円
相続税額合計 2,211,900円

参考:国税庁(相続税の税率)

相続税の振り分け割合を計算

相続税額合計を振り分けるために、保険金などを加算した<表2>で算出した、実際の配分額の割合を計算します。

<表4>  相続割合の計算式:<表2>の受取額÷相続財産合計69,752,000円
? 受取額 ? 調整率
配偶者 35,876,000円 0.514336506 0.52
子どもA 16,938,000円 0.242831747 0.24
子どもB 16,938,000円 0.242831747 0.24
合計 69,752,000円 ? 1

割合結果の小数点3桁以降は、全員の協議の上、合計が1になるように調整します。この場合は、配偶者を繰り上げ、子供は切り捨てて調整し合計を1にしました。

相続税額を振り分ける

<表3>で算出した相続税額合計を<表4>で求めた割合調整率で配分します。

<表5>  相続税額計算式:<表3>相続税額合計2,211,900円×<表4>調整率
? 調整率 相続税額
配偶者 0.52 1,153,880円
子どもA 0.42 532,560円
子どもB 0.42 532,560円
合計 1 2,211,900円

控除額を差し引く

配偶者は法定相続分相当額、もしくは正味の遺産額が1億6,000万円まで控除を受けることができます。ただし相続税の申告期限までに、分割されていない財産については軽減の対象になりません。

ほかにも、「未成年者の税額控除」や「障碍者の税額控除」があります。<表5>で求められた相続税額から、各自の控除額を差し引いて、相続税納付額が算出されます。

配偶者の納税額:1,153,880円-1,137,600(2,211,900円× 0.514336506)=16,200円 子どもAの納税額532,500円(控除なし)
子どもBの納税額532,500円(控除なし)

納税額は、100円未満は切り捨てて計算されます。最終的に、100万円ほどの相続税となりました。不動産の評価額は、現金に比べて大きく圧縮できますが、更地の場合は減額措置の対象になりません。借入金も、相続税の軽減には有効といえます。
アパートの運営がうまくいかず、建設から5年以内に売却すると、売却益に対して30%の所得税、9%の住民税、2.1%の復興特別所得税を支払わなければなりません。事前に大まかな相続税を把握して、今後の対策を検討することをおすすめします。
参考:国税庁(相続税の計算と税額控除)

  • 時価でなく評価額で計算
  • 相続税改定で対象者が増加
  • 配偶者は法定相続分は控除
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相続税対策としてアパート経営が効果的という話を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、実際の節税額は土地の広さや建物の大きさ、入居者の人数などによって異なってきます。
もちろん、自分で計算して節税対策を進めることも可能ですが、アパート経営に関するノウハウと豊富なデータを持った不動産会社に相談することで、さらに節税対策につながるコツや方法を教えてもらえるかもしれません。

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