「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
不動産売却での仲介手数料とは?
不動産会社に仲介を依頼して家を売却する際には、売買価格に応じた仲介手数料が発生します。
不動産業者が売り手と買い手の間で交渉や契約締結を行い、取引を成立させるためのサポートを提供する際に、そのサービスに対して支払われます。
仲介手数料の金額は、不動産価格によって異なりますが、一般に「売買価格 × 3% 」に消費税を足した金額となるため、規模の大きな取引になるほど仲介手数料の負担は大きくなります。
不動産を売却するときに、不動産会社に支払う仲介手数料は、法律で上限金額が定められていますが、下限金額は定められていません。
そのため、仲介手数料は不動産会社との交渉で値切ることが可能です。しかし、交渉の仕方やタイミングが悪いと悪影響がある可能性があります。仲介手数料が果たす役割や支払いのタイミングをしっかり理解しておきましょう。
ここでは不動産会社に支払う仲介手数料の役割と、法律で定められる上限金額について解説します。
仲介手数料は売却活動の経費を含めた成果報酬
不動産売却での仲介手数料には、広告宣伝費や契約書類の作成費用など、物件の売却活動に必要な経費が含まれています。
購入希望者を探して売買契約の手続きを代行してもらう対価として、不動産会社に成果報酬で支払うこととなります。成果報酬という性質上、仲介手数料を支払うのは売買契約の成立時です。
そのため物件の査定や媒介契約の締結など、売却活動を始めた時点では仲介手数料は発生しないことが特徴です。
なお、一般的には買主との売買契約を締結した時に仲介手数料の5割、物件の引き渡し時に残りの5割を支払うことが多くなっています。
法律により上限が規定されるが下限は自由
不動産売却の仲介を依頼する際、不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限は、宅建業法第46条という法律で定められています。
仲介手数料の上限は、下記の表の通り、売買価格を3段階に分割してそれぞれの合計を計算して求めることができます。物件の売買価格 | 仲介手数料の上限金額(税込) |
---|---|
売買価格のうち200万円以下の部分 | 売買価格×5.5% |
売買価格のうち200万円〜400万円以下の部分 | 売買価格×4.4% |
売買価格のうち400万円以上の部分 | 売買価格×3.3% |
なお、不動産売却において不動産会社に支払う仲介手数料には、消費税が課される点にご注意ください。
仮に3,000万円の売買価格で家を売った場合の仲介手数料の上限金額の計算方法は、下記の表の通りです。
売買価格 | 計算式 | 仲介手数料の上限金額(税込) |
---|---|---|
3,000万円のうち200万円以下の部分 | 200万円×5.5% | 11万円 |
3,000万円のうち200万円〜400万円以下の部分 | 200万円×4.4% | 8.8万円 |
3,000万円のうち400万円以上の部分 | 2,600万円×3.3% | 85.8万円 |
合計 | 105.6万円 |
すなわち、3,000万円の物件を売却する際の仲介手数料の上限は、税込105.6万円です。
また、売買価格が400万円以上の場合には、下記の速算式で簡単に仲介手数料を求めることもできます。
- 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税 = 仲介手数料の上限
前述の通り、これらは法律で定められた仲介手数料の上限金額であり、この金額を必ず支払わなければならないわけではありません。
不動産会社との交渉次第では、仲介手数料を半額に値切ることも可能なため、次項で紹介する交渉のコツを押さえておくことをおすすめします。
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費用・税金名 | 金額 | 内容 |
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控除名 | 内容 |
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不動産売却で仲介手数料を値切る5つのコツ
家を売る際に必要な仲介手数料を値切る際には、以下の5つのポイントが重要となります。
- 専任媒介契約・専属専任媒介契約を結ぶ
- 中小規模の不動産会社を選ぶ
- 住み替えの仲介を併せて依頼する
- 他社の査定額・手数料を交渉材料にする
- 成約特典・紹介特典を利用する
それぞれ詳しく解説します。
専任媒介契約・専属専任媒介契約を結ぶ
不動産会社に売却活動を依頼する際には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類から選び、媒介契約を結びます。
このうち仲介手数料が値切りやすくなるのは、専任媒介契約・専属専任媒介契約の2つです。
専任媒介契約・専属専任媒介契約は、3ヶ月以内の契約期間内は1つの不動産会社のみに仲介を依頼し、他社には依頼しない契約です。
広告宣伝費などを投じても他社で売買契約が成立してしまう可能性のある一般媒介契約と比較して、不動産会社にとって仲介手数料が得やすくなるメリットがあります。
そのため専任媒介契約・専属専任媒介契約を結ぶことを条件に、仲介手数料の値切り交渉を行うと、値引きに応じてもらえる可能性が高まるでしょう。
中小規模の不動産会社を選ぶ
仲介手数料の値引き交渉に応じる可能性が高いのは、大手の不動産会社よりも中小規模の不動産会社です。
高い集客力のある大手の不動産会社では、値引きしてまで売主・物件を獲得する必要がなく、手厚い仲介サービスの対価として仲介手数料を多く受け取るケースが多いです。
一方で中小規模の不動産会社では、仲介手数料の値下げに応じてでも売主・物件を確保したいと考える可能性が高く、交渉の余地があると言えます。
また、中小規模の不動産会社の場合、スタッフ個人に任されている裁量が大きく、営業マンが自身の判断で値引きに応じてくれるケースもあります。
住み替えの仲介を併せて依頼する
家を売却後、新居への住み替えを検討している場合には、売却と併せて新居購入の仲介を同時に依頼することで、仲介手数料を値切れる可能性が高まります。
不動産会社の立場からすると、売却と購入の2回分の仲介手数料を受け取れる状態となるため、値引きに応じて自社で契約してもらおうとモチベーションが高まります。
また、高額で売却できれば住み替え先の物件価格も高額となり、仲介手数料も上昇することが予想されるため、不動産会社も優先順位を高めて売却活動に取り組んでくれるでしょう。
他社の査定額・手数料を交渉材料にする
不動産会社と媒介契約を結ぶ際に、他社の査定額や仲介手数料がわかる資料を持参しておくと、値引き交渉で有利になる可能性があります。
他社の資料を用意しておくことは、他の不動産会社と迷っていることを伝える意思表示となるためです。
特に好条件の人気物件であれば、不動産会社も他社に顧客を奪われたくないと考えるため、仲介手数料の値引きに応じてもらいやすくなります。
そのため仲介手数料の値引き交渉を見据えて、事前に複数の不動産会社に物件査定を依頼し、仲介手数料がわかる資料を取り寄せておくと良いでしょう。
成約特典・紹介特典を利用する
物件の成約特典・紹介特典を用意している不動産会社を利用して、実質的に仲介手数料の値引きを受けることも選択肢です。
売買契約の成立時にギフト券や景品のプレゼントを実施している不動産会社は多く、期間限定で仲介手数料を値下げするキャンペーンを行っているところもあります。
また、物件の建物診断・インスペクションなどを無料で実施するキャンペーンを行っているケースもあります。
これらの特典・キャンペーンをうまく利用することで、金銭的なメリットに加えて好条件での売却につながる可能性も高まるでしょう。
仲介手数料を値切る交渉タイミングとは?
仲介手数料の値引き交渉を成功させるためには、交渉するタイミングも重要となります。
ここでは望ましい交渉のタイミングとして、以下の2つを解説しましょう。
- 媒介契約の締結前
- 売買契約の締結前
一つずつご紹介します。
媒介契約の締結前
仲介手数料を値切る最適なタイミングは、不動産会社との媒介契約を結ぶ際です。
前述した通り、専任媒介契約・専属専任媒介契約を結ぶことを条件としたり、他社の査定額・仲介手数料がわかる資料を用意したりと、媒介契約を締結する決め手として値引きを打診してみましょう。
不動産会社の立場からすると、多少の値引きに応じても契約件数を増やしたいと考えるため、値引き交渉が成功しやすいタイミングとなります。売買契約の締結前
買主が見つかり売買契約を締結する際にも、場合によっては値引き交渉が可能となることがあります。
たとえば、買主からの物件価格の値下げ交渉があった場合に、買主の要求に応じる代わりに仲介手数料の値引きを打診することにより、値切れる可能性が高まります。
早期に買主が決まり、不動産会社にとっても広告宣伝費を削減できたケースでは、仲介手数料の値引き交渉を有利に進められるでしょう。不動産売却で仲介手数料を値切るデメリット
不動産売却で支払う仲介手数料は、不動産会社にとっての主な収益源の一つです。
そのため安易に値引き交渉を行うと、売却活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
仲介手数料を値切ることのデメリットは、主に以下の3つです。
- 売却活動の優先度を下げられやすい
- 広告宣伝費が削減されることも
- 買主からの値引き交渉が増える傾向
それぞれ詳しく解説します。
売却活動の優先度を下げられやすい
売主に仲介手数料を値切られたことにより、不動産会社が売却活動を行う優先順位を下げてしまう可能性があります。
査定額が同水準であれば、満額の仲介手数料を支払ってくれる売主がいる場合、仲介手数料を値切った売主は後回しにされやすくなると考えられます。
そうすると、不利な条件での売却となり、予定よりも低い売却代金になってしまえば、売主の手元に残る金額も減ってしまうことに注意しましょう。
広告宣伝費が削減されることも
不動産会社に支払う仲介手数料には、物件の広告宣伝費も含まれています。
そのため値引き交渉を行った結果、広告宣伝費がカットされ、物件の認知が広がりにくくなる可能性があります。
購入希望者の集まりが悪くなれば、売却時期が延びて売り出し価格の値下げを検討する必要性も出てくるでしょう。
買主からの値引き交渉が増える傾向
一つの不動産会社が売主・買主の両方から仲介手数料を受け取る「両手仲介」では、売主が仲介手数料を値切ることによって、買主の意向が反映が反映されやすくなる可能性があります。
たとえば、売主から仲介手数料を半額受け取り、買主からは仲介手数料を満額受け取るケースなどは、買主からの物件価格の値下げ交渉が増えるケースが多くなります。
これも仲介手数料を満額支払ってくれる取引相手の方を、より優先する心理が働くためです。
仲介手数料を値切った結果、このように売買価格が想定よりも低くなる可能性もあることに注意しましょう。
不動産売却では仲介手数料の値切りよりも高額売却を目指す
不動産を売る際には、不動産会社に支払う仲介手数料を値切ることが可能です。
専任媒介契約・専属専任媒介契約を結んだり、住み替えに伴う物件購入も併せて依頼したりすることで、値引き交渉に応じてもらえる可能性が高まるでしょう。
値引き交渉の最適なタイミングは媒介契約の締結時ですが、買主からの値下げ要求に応じる場合などは、売買契約の成立時にも仲介手数料の値引き要求の余地があります。
ただし仲介手数料を値切ることにより、好条件で物件が売れにくくなる可能性もあることに注意しましょう。
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