親から相続した大切なマンション、長年住んでいた大切なマンション。
誰もができるだけ高い値段で売却したいと思っているはずです。
しかし逆の立場である買主は、「できるだけ安く買いたい」と考えていることもまた事実でしょう。
そのため、マンションの売却では値引きが求められることが少なくありません。
できるだけ早くマンションを手放したいものの、どこまでならば値引きに応じられるのか。
今回は、できるだけ高い値段を維持したままでマンションを売却するために、上手な値下げのタイミングや交渉テクニックについて解説します。
- 値下げのタイミングは一回目の契約更新までは待つべき
- あまりに思い切った値下げは、かえってマイナスイメージになるので注意
値引き交渉をされる前に、絶対に押さえておきたいこと
マンションの買主からの値引き交渉や不動産仲介会社の価格査定の説明を受ける前に、自分のマンションの適正価格や相場をしっかり調査しておくことが大切です。調査することでマンションの相場が理解できるだけでなく、セールスポイントなども見えてきます。
買主から値引き交渉を持ちかけられた時に、セールスポイントをしっかりと伝えられることが重要です。
マンションの相場を把握していなかったばかりに、法外な値下げを受け入れてしまったというケースがよくあります。
値引き交渉は必ずある!?
値引き交渉に備えてマンションのセールスポイントを見つけておこう
マンションを売却する際には、買主とのマンションの値引き交渉が必ずあるものと考えてください。「少しでも安く買いたい」と思っている買主の値引き交渉に備えるためにも、マンションの魅力やセールスポイントをしっかり把握しておくことが重要です。
例えば「土地総合情報システム」の「地価公示 都道府県地価調査」というボタンをクリックしてみると、日本の全国マップが表示されます。
ここで、あなたが売却したい地域の詳細を見てみましょう。
例えば、「東京都中央区明石町」詳細欄には「価格形成要因の変動状況」という項目があり、次のように記載されているはずです。
- 高度成長期の「いざなぎ景気」超の景気拡大が続いており、2020年の東京オリンピックへの期待感等を背景に、景気は引続き回復基調にある。
- 地区計画を活用した建替えにより、共同住宅地域としての熟成が進んでいる地域であり、景気拡大等により、地価の上昇傾向が継続している。
- 地区計画の見直しが検討されており、市場参加者が地区計画に対して認める効用が希薄化した。
わかりやすくすると、高度成長期の「いざなぎ景気」超えの景気拡大が続いていることや、2020年の東京オリンピックに対する期待感を背景にして、共同住宅地域としての熟成が進んでいる地域であること。
また、景気拡大等により、地価地区計画の見直しが検討されていると評価しています。
さらに続けて「市場参加者が区計画に対して認める効用が希薄化した」とあり、これは要するに「市場参加者の判断によって区計画が見直され今後地価が高まるかもしれない」ということです。
これから土地の価格が上昇する可能性があるということは、マンションを売却するうえで大きなセールスポイントです。
公示地価都道府県地価調査で詳しく調べることで、さまざまなアピールポイントを見つけ出すことができます。
適正価格よりも少し上の価格設定をしよう!
マンションは適正価格で売却できるとは限りません。適正価格を大きく下回るケースもあれば、大きく上回るケースもあるでしょう。
大切なことは適正価格、つまりその地域の相場にほぼ合った価格設定にすること。
そのうえで、価格交渉を前提にした売り出し価格に設定することが大切です。
あまりにも相場よりも高いのでは、だれも興味を示しません。
とはいえ、逆に安すぎる場合もマイナスイメージにつながります。
相場より少し高い価格設定にして、あとは価格交渉に臨むようにしましょう。
そこからさらに値下げしなくてはならない場合、そのタイミングについては次項で解説していきます。
マンションの売却を少しでも検討しているのであれば、「自分のマンションがいくらで売却出来そうか」を把握しておきましょう。
そのためには、不動産会社から査定を受ける必要があります。「イエウール」なら不動産会社に行かずとも自宅で24時間申し込みが可能です。自分のマンションに適した不動産会社を紹介してくれるので、膨大な不動産会社の中から選ぶ手間も省くことができます。
まずは、自分の物件種別を選択してから査定依頼をスタートしてみましょう!査定依頼に必要な情報入力はわずか60秒で完了します。
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マンション売却の決定打「値下げ」はタイミングがポイント!
マンションの売却における決定打は、値下げのタイミングにあります。では、どのようにしてタイミングをはかれば良いのでしょうか。
よほど売却を急ぐ場合は別ですが、余裕があるのであれば少し様子を見るようにしてください。
不動産仲介会社は不動産流通機構(レインズ)にマンションの情報を掲載することで、全国の不動産仲介会社へ情報を公開しています。
不動産流通機構(レインズ)へのアクセス数を精査して注目度を把握することで、値下げのタイミングをはかっているので。
つまり値下げのタイミングは、媒介契約している不動産仲介会社が一番わかっているということ。
不動産仲介会社と相談しながら値下げのタイミングを決めるようにしましょう。
「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」で不動産仲介会社と媒介契約をしている場合は、3カ月に1度の契約更新となります。
そのため、最低でも1回目の契約更新までは値下げを待つべきです。
値下げせずに待てるようなら、不動産売買が活発化する年度替わり(1~4月)や9月まで待ってみるというのも一つの方法。
マンション売却まで少し長めのスケジュールを組んで、計画的に戦略を練るようにしましょう。
効果的な値引きテクニック
買主が価格交渉を持ちかけてきたら?
ほとんどの場合、値下げ交渉は不動産仲介会社を通して行います。しかし、中には買主が売主へ直接交渉を持ちかけてくるケースもあるでしょう。
その場合は、前項でも解説した通りマンションのセールスポイントをしっかり買主に伝えることが大切です。
ただし、値下げ交渉に応じないという頑なな姿勢を示すのではなく、柔軟な姿勢を示すことも求められます。
値引きは「このラインがギリギリだ」と、値下げ余地を残して伝えましょう。
そこで買主が承知してくれたら、その価格で売買契約が成立ということになります。
買主が食い下がって値下げを要請してきた場合は、これ以上は無理だということをはっきり伝えてから、当初予定していた値下げの最低価格を伝えます。
それでもまだくいさがってくるようなら、これ以上は無理だということをキッパリ伝えてください。
商談が成立しない場合は仕方ありません。
キッパリと断ることで、買主が納得して売買契約が成立することがよくあります。
マンションの価格は一度下げたらもう値上げはできませんので、値下げ交渉は慎重に行うようにしましょう。
マンションをどこまで値下げできるのか、あらかじめ設定しておくことも重要です。
価格の最低ラインを設定しておけば、慌てて安く売却してしまったという失敗は起きないはずです。
少しずつ下げる?一気に下げる?
マンションの価格交渉では、少しずつ下げる方が良いのでしょうか。それとも、タイミングをはかって一気に下げる方が効果的なのでしょうか。
さまざまなパターンがあるので、一概にどの方法が正しいとは明言できません。
しかし、少しずつ値下げすると、いつまでも延々と値下げ要求をされかねないでしょう。
ギリギリのラインを設定して、そこよりも少し上の価格まで一気に値下げするというのも方法です。
ただし、あまりに思い切った値下げは、かえってマイナスイメージとなる恐れがあるので慎重に行うようにしてください。
「端数をとってくれ」という値下げ要求がよくあります。
そういった要求を想定し、あえて端数を足した価格にしておくという方法も考えられるでしょう。
例えば1,000万円の場合は1,120万円にする、または1,088万円にするといった形です。
買主の値下げ額は半分を想定していることがよくあります。
例えば買主が「200万円値引きしてください」と要求してきたとしましょう。
このとき買主は、本当に200万円も値引きしてくれるとは思っていないはず。
「中間をとって100万円値引きしてくれれば儲けもんだ」と思って値下げを要求しているのかもしれません。
売主は値下げの余地を残して、「ギリギリ50万円が限度です」と買主に伝えます。
その価格で買主が納得してくれたら商談は成立です。
しかしさらに食い下がるようなら、100万円まで値下げすることも想定しておきましょう。
ケースバイケースでタイミングをはかる
値下げ交渉はマンションの条件によってケースバイケースです。そのため、必ずこうすれば売却できるということは明言できません。
しかし、値下げすれば売却の可能性が高くなることだけは確か。
値下げのことばかり気にしている不動産仲介会社は要注意です。
不動産仲介会社がキチンと営業活動をしてくれているのかどうかも、チェックする必要があるでしょう。
以下のチェックポイントで確認してみてください。
不動産仲介会社のチェックポイント
- 不動産仲介会社がキチンと不動産流通機構(レインズ)にマンションの情報を登録しているか
- 新聞の折り込みチラシや自社の掲示コーナーなどで宣伝してくれているか
- 不動産仲介会社が囲い込みなどを行っていないか(他社へも情報が伝わっているか)
以上のようなチェックポイントを見て、営業活動に問題がありそうな場合はほかの不動産仲介会社を検討するようにしましょう。
月(1月~4月)と9月にポイントをしぼる
どうして1月(1月~4月)と9月にポイントを絞るべきなのでしょうか。不動産の業界では年間に2度取引が活性化する時期があるといわれており、それが1月(1月~4月)と9月。
この時期にポイントをしぼって値下げを行うと効果的です。
では、なぜ1月(1月~4月)と9月の2回だけ不動産の売買か活性化するのでしょうか。
4月は新学期・新年度が始まる月。
多くの家庭で、新学期を目安に引越しや住宅購入などを計画しています。
「4月に備えるのならば、11月や12月頃から値下げして交渉した方が良いのでは?」と思う方がいるかもしれません。
しかし、年末は忙しいため物件の流通自体が減少します。
そのため年が明けた1月、新年を迎えるタイミングで値下げするとインパクトがあるでしょう。
商談に消極的だった買主が乗り気になるかもしれません。
これに対し、9月はなぜ不動産の売買が活発なのでしょうか。
秋は新築マンションがデビューするシーズン。
このタイミングに合わせて中古マンションの動きも活発化します。
不動産業界全体の動きが活発になるので、中古マンションにも注目が集まりやすい季節なのです。
どうしても早く売却したい場合
さまざまな事情があって、どうしても早く売却したいケースもあるでしょう。その場合は思い切った値下げを行い、早く売却するように仕向けます。
ただし思い切った値下げといっても、さまざまな諸費用を差し引いて赤字にならない最低ラインは維持しなくてはいけません。
どの程度の値下げが妥当か
どの程度の値下げが妥当なのでしょうか。一般的に3,000万円程度のマンションで、100~200万円というのが値下げの相場です。
マンションの価格が大きくなればなるほど値下げ幅も大きくなります。
例えば2億円の物件では、4千万円の値引きというケースもざらにあるのです。
あらかじめ最低ラインの価格を設定しておいて、それ以上の値下げを要求されたらキッパリと断る必要があります。
キッパリと断ることで、買主にこれ以上値下げ交渉には応じられないという意思を伝えることができるでしょう。
意外に、キッパリと断ったタイミングで売買契約が成立したというケースが少なくありません。
売却するマンションのことをしっかり調査してセールスポイントを見極め、買主へわかりやすく伝えることがマンションの売却を成功させるコツです。
値下げ交渉に応じることばかりでなく、「このマンションはこんなに素晴らしいメリットがあるのだ」ということを伝えることが大切になります。
自分の要望に寄り添ってくれる不動産会社を探すべき
良い不動産仲介会社を選ぶポイントは、地域に根差して活動しているかどうかだとよくいわれます。地域に根差した不動産仲介会社はマンションに詳しく、地元の信用を大切にするため仕事ぶりも丁寧なことが多いからです。
信頼できる不動産仲介会社を見つけることが、マンション売却を成功させる一番のポイントになるでしょう。
マンションの希望売却価格や値下げのタイミング、値下げ幅など親身になって相談に乗ってくれること。
そして、販売活動も熱心に行ってくれる不動産仲介会社が理想です。
しかし個人で不動産会社との付き合いがない場合は、信頼できる不動産仲介会社と言われても心当たりがないのが現実でしょう。
そんなときは、一括査定サイトを使うという方法があります。
一括査定サイトでしたら、複数の実績のある優秀な不動産仲介会社を探し出してくれるからです。
どうしても売却できないマンションの場合は、一括査定サイトで見つけた不動産仲介会社に買い取ってもらうという方法もあります。
まとめ
マンションの売却において、値引きは最終手段だと考えてください。安易にマンションの値引きに応じるのではなく、マンションのアピールポイントをたくさん見つけて、逆に値上げするくらいの勢いで売却に臨みましょう。
また、複数の不動産仲介会社に依頼することも、マンションを高い価格で売却するための大切なポイントです。
不動産仲介会社にも得意分野があり、1社や2社だけにマンションの売買を依頼した場合は査定価格が大幅に下落する恐れがあります。
個人の場合は、たくさんの不動産仲介会社に依頼するだけで一苦労。
そこで注目したいのが一括査定サイトです。
一括査定サイトでしたら、マンション売買の高い実績を持つ複数の不動産仲介会社が一括で査定してくれます。
時間と労力を節約するために、一括査定サイトを活用してみてください。