将来のライフプランを考える上で誰もが一度は考える問題に「賃貸か購入か」という問いがあります。
巷では「賃貸と購入どっちが得か損か」という観点で書かれた記事や特集が多くありますが、現実には
- 「気楽だから賃貸がいい」
- 「マイホームを持つのが夢だった」
- 「何となく購入したほうが安心」
のように、あくまでお金の問題は一つの観点で、本来はいろんな観点で考えるべき問題です。
実際に、公益財団法人全国宅地建物取引業協会連合会の調査では、「あなたは『持ち家派』『賃貸派』どちらですか?」という質問に対して以下のような答えが出ています。
持ち家派の理由 | 賃貸派の理由 | |
---|---|---|
1位 | 家賃を払い続けることが無駄に思えるから'(50.2%) | 税金が大変だから(37.1%) |
2位 | 落ち着きたいから(31.7%) | 住宅ローンに縛られたくないから(36.6%) |
3位 | 持家を資産と考えているから(28.0%) | 天災が起こった時に家を所有していることがリスクになると思うから(30.2%) |
4位 | 老後の住まいが心配だから(24.4%) | 仕事等(転勤・転職・退職など)の都合で引っ越しする可能性があるから(28.6%) |
5位 | 賃貸は何かと(近隣や使い方)気を遣うことが多いから(15.0%) | 家族構成の変化で引っ越しする可能性があるから(23.9%) |
6位 | マイホームをもつことが夢だから(9.1%) | 相続する予定の家がある為(18.5%) |
7位 | その他(7.9%) | その他(12.2%) |
※公益財団法人全国宅地建物取引業協会連合会実施、2020年「不動産の日」アンケート調査結果より抜粋
やはり賃貸か購入かというテーマにおいては実に様々な観点があり、具体的にまとめると以下の5つの観点で考えることができます。
- お金
- 住み心地
- 老後
- 資産性
- ライフステージ
そこで本記事では、上の5つの観点から見た賃貸と購入の特徴を紹介していきます。自分のライフプランを決めるのはお金の損得だけではありません。これからどんな人生を歩んでいきたいかという観点でぜひご覧ください。
40代の方の「賃貸」「購入」の考え方についてはこちらの記事もご覧ください。
40代は「賃貸」「購入」のどちらがおすすめ?考え方のヒント
持ち家と賃貸どっちがお得か徹底比較!メリットやデメリットを知って老後に備えよう!
賃貸と購入のメリット・デメリット
第一章では賃貸と購入それぞれのメリットデメリットについて紹介していきます。まずは以下の一覧表からどのような違いがあるのかについて理解しましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
賃貸 | ・いつでも住み替えできる ・住宅設備のメンテナンス費用がかからない ・住居費を調整できる | ・間取りや内装を変更できない ・一生家賃の支払いが続く ・高齢者は更新や契約が難しい |
購入 | ・自由にリフォーム・リノベーションできる ・ローン完済後は費用を抑えられる ・家や土地が資産になる | ・住み替えがしにくくなる ・税金や維持費がかかる ・売買の諸費用がかかる |
では、以下の章で具体的にどのようなメリット・デメリットがあるかについて紹介していきます。
賃貸のメリット・デメリットは?
まず、賃貸マンションのメリットとしては以下のようなものがあります。【賃貸のメリット】
- いつでも住み替えができる
- 住宅設備のメンテナンス費用がかからない
- 住居費を調整できる
やはり賃貸マンションのメリットとして真っ先に挙げられるのが、いつでも住み替えができることです。「仕事が転勤になった」「もう少し新しい家に住みたい」などのライフステージの変化があっても賃貸マンションであれば気軽に引っ越しができます。
また、賃貸マンションの設備や内装が劣化したときは、借り主が修繕費などを負担する必要がありません。万が一住んでいる部屋に問題が生じても、メンテナンス費や修繕費はすべて大家に負担してもらうことが可能です。
また、今回のコロナ禍のような未曽有の事態が襲ってきた時に家計が悪化してしまった場合でも家賃の安い住居への引っ越しをすれば家計の住居費を調整できるのもメリットでしょう。
次に賃貸のデメリットとしては以下のものががあげられます。
【賃貸のデメリット】
- 間取りや内装が決められない
- 一生家賃の支払いが続く
- 高齢者は更新や契約が難しい
まず最初に、間取りや内装を決められないことが挙げられます。賃貸物件では、借り主が自由にリフォームや設備の交換を行うことはできません。場合によっては大家に相談することで多少の変更が認められることもありますが、退去時に借りた状態に戻す「原状回復工事」が必要になる可能性が高いです。
また、賃貸マンションは一生家賃の支払いが続くのもデメリットです。購入した住宅であれば、ローンを完済したあとは住宅費の支払いが不要となりますが、賃貸マンションの場合は生涯家賃の負担が必要となります。
若い頃や仕事をしている期間中はとくに問題ありませんが、将来定年退職したとき、毎月年金から家賃を捻出するのは大変なことです。家賃を払い続けることについて、負担が大きいと感じるときが来るかもしれません。
購入のメリット・デメリットは?
次に、購入のメリットとしては、以下のものがあげられます。
【購入のメリット】
- 自由にリフォーム・リノベーション出来る
- ローン完済後の費用が抑えられる
- 家や土地が資産になる
まず住宅を購入すれば自分の持ち物となるため、設備や内装を自分好みにすることができます。内装の変更はもちろん、洗面台の増設やキッチンの移動など、間取りを大きく変更することも可能です。自分の理想とする家に住めるのは、購入にしかないメリットでしょう。
購入した住宅の場合、ローン完済後の出費を抑えられる点も大きなメリットです。30代に住宅を購入した場合、最長でも65歳で返済が終わるため、老後はメンテナンス費用だけで住宅に住み続けられるでしょう。年金生活になったとき、毎月7万円前後の家賃が浮くだけで非常に生活しやすくなります。
そして最後に、やはり購入のメリットとして購入した家や土地が資産になる点も、住宅を購入するメリットです。ローンの返済後は売却したり貸し出したりできるため、いざというときの備えとして土地や家を資産として保有する人もいます。いくら支払っても自分の資産にならない賃貸と比べると、「自分の資産を持てる」住宅の購入はお得感があるのではないでしょうか。
では逆に購入のデメリットとしては以下の点が挙げられます。
【購入のデメリット】
- 住み替えにくくなる
- 税金や維持費がかかる
- 初期費用がかかる
住宅を購入すると、簡単に住み替えをしにくくなるというデメリットがあります。持ち家なので、当然のことながら賃貸マンションのように何度も引っ越すことは難しいのです。周辺環境や益へのアクセスなどをよく考慮し、売却するにしても住宅ローン残債以上の査定額で売却できる持ち家を購入する必要があるのです。
また、住宅を購入した場合、メンテナンス費や税金がかかってしまいます。人によっては、一度に多額の費用がかかるメンテナンス費や税金を嫌い、賃貸マンションに住み続ける選択をすることもあるようです。
賃貸か購入かのポイント①お金
第2章からは、より具体的に賃貸か購入かを考える上で必要となる観点を軸に、賃貸と購入を比較していきます。
賃貸と購入を考える上でまず知っておきたいのはやはりお金の観点ですよね。お金以外の観点を重視したいという方でも特徴だけでも知っておくのが賃貸か購入かを選ぶうえで重要なポイントです。
今回は、
- 住居費
- 税金や維持費
- 生涯コスト
という3つの具体的な観点をもとに賃貸と購入にかかるお金について解説していきます。
住居費
まず初めに賃貸の場合にかかる住居費用は、
- 家賃
- 管理費・共益費
であるのに対して、購入の場合にかかる住居費は
- 住宅ローンの返済額
- 管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税・都市計画税
の4つの費用が掛かります。
こうしてみてみると購入の方が多く住居費がかかるように見えますが、ここで重要なポイントとして、賃貸の場合は借主である大家さんに100%「支出」としてお金を払う一方で、住宅ローンは金融機関に支払う金利を除いた分は自分の「資産」として積み立てているお金だというポイントがあります。
下の図で言えば、黄色く染まっている部分は自分の資産として毎月お金を積み上げていっているイメージですので、賃貸と購入では家主に住居費を支払うか自分の資産を積み立てるかというお金の中身が大きく違っていることがわかります。
もちろん、将来的に売却できるかどうかなどによっても資産となるかは異なりますし、賃貸にもメリットがあるため絶対購入したほうがいいとは言えません。
ただし、住居費という観点で見ると、賃貸と購入ではお金の中身が異なっているということは理解しておきましょう。
購入した場合にかかる維持費について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
マンション購入にかかる諸費用はいくら?目安まで徹底解説!
新築マンション購入の初期費用ってどれぐらい?
税金や維持費
税金や維持費という観点で見ると、購入した場合だと維持費として固定資産税や都市計画税が課せられるほか、購入時には不動産取得税という税金がかかります。
これらの税金は、「不動産を所有している人」にかかる費用なので賃貸などの「人から借りた不動産」に住んでいる場合は当然かからない費用です。
一方で、購入したからと言って税制面でのデメリットがあるだけではありません。例えば、購入した場合は住宅ローン減税という税金控除の制度や、住宅購入をした際のすまい給付金という給付金制度も現在は充実しています。
次に賃貸の場合は、建物や内装が劣化してきたケースにおいても家主が修繕費を支払う必要があるため、購入して自分で支払わないといけないケースに比べて費用が安くなります。ただし、購入とは違い、賃貸借契約の更新の際の更新料がかかるのは賃貸の特徴と言えるでしょう。
購入した場合にかかる住宅の維持費について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
戸建てとマンション、維持費が高いのはどっち?シミュレーションで比較!
マンションの固定資産税が一戸建てよりも高い3つの理由
生涯コスト
では、生涯コストの観点で見てみるどちらがどのくらい費用が掛かってくるのでしょうか。それぞれ賃貸と購入でシミュレーションしてみます。
賃貸の生涯コストをシミュレーション
まずは、賃貸マンションの場合における初期費用や維持費を試算してみます。今回は両親と子ども2人の4人家族で暮らすと想定し、家賃10万円で計算してみましょう。
同じ物件に50年住み続けることはほとんどないため、今回は10年おきに引っ越すことを想定します。
【賃貸の初期費用】
● 敷金:10万円(1か月分)
● 礼金:10万円(1か月分)
● 仲介手数料:10万円(1か月分)
● 引っ越し代:20万円
→50万円×引っ越し5回=250万円
【維持費】
● 家賃:10万円×12か月×50年=6,000万円
● 更新料(2年ごと1か月分):10万円×25回=250万円
● 修繕積立金:1万2,268円×12か月×50年=736万800円※
● 管理・共益費:1万円×12か月×50年=600万円
※家賃の10%の場合
→7,586万800円
収入の増減や家族構成の変化で家賃は多少増減するためあくまで目安となりますが、賃貸の場合は50年間で8,000万円弱の住宅費がかかることになります。
※国土交通省:マンションへの永住意識 過去最高(6割超)に~平成30年度マンション総合調査結果
購入の生涯コストをシミュレーション
次に、住宅を購入したときの初期費用や維持費を見てみましょう。2019年時点における建売物件の平均価格は3,494万円だったので、この価格をベースに試算してみます。
【初期費用】
● 諸費用(物件価格の8%):279万円
● 頭金(物件価格の20%):698万円
→977万円
【維持費】
● ローンの返済額:3,494万円-698万円=2,796万円
● 利息(1.5%の場合):800万円
● 10年ごとの外壁・屋根のメンテナンス費:100万円×5回=500万円
● 設備交換・リフォーム費:200万円×2回=400万円
● 固定資産税・都市計画税:12万円×50年=600万円
→5,096万円
今回の計算では、戸建てのほうが生涯コストは安くなりました。また購入の場合は、ローンを支払ったあと自分の資産となる点も考慮に入れることが大切です。
ただし地域や希望の条件、住宅の劣化状況によって生涯コストは大きく変わります。今回の試算は、あくまで費用感をイメージするためのひとつの参考情報にとどめておいてください。
賃貸と購入の生涯コストについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
持ち家か賃貸かで迷ったときのシミュレーションを詳しく紹介
賃貸か購入かのポイント②住み心地
賃貸か購入かを考える上での2つ目の観点として「住み心地」も重要な要素になってきます。具体的には、
- 引っ越しの気楽さ
- 内装や間取り
- 設備の充実度
の観点で賃貸と購入を見ていきます。お金以外にも毎日の生活の充実度が高いのは自分だったらどちらか考えてみましょう。
引っ越しの気楽さ
引っ越しの気楽さという観点で賃貸をみると、やはりおおよそ2年ごとの賃貸契約のたびに引っ越しができるのは賃貸の大きな特徴と言えるでしょう。
冒頭のアンケートにおいても、
- 「仕事等(転勤・転職・退職など)都合で引っ越しする可能性があるから」(4位)
- 「家族構成の変化で引っ越しする可能性があるから」(5位)
がランクインしており、家族構成や転勤などの都合で賃貸を選ぶという人も少なくないようです。
一方で引っ越しの気楽さという観点で購入を見ると、やはり現実的に購入した家を売却して住み替えるのには引っ越し費用がかかる他、売却活動をしなくてはならないため金銭的にも精神的にもコストがかかると言えそうです。
しかし、冒頭のアンケートにおいて
- 「落ち着きたいから」(2位)
という項目が購入した理由の2位に入っており、気楽さの裏返しとして定住することの安心感・落ち着きがあるのは購入の特徴と言えるでしょう。
それぞれ自分のライフプランや自分の住まいに対する価値観によって決める人が多いというのが正直なところでしょう。
また、一人暮らしで購入か賃貸か迷っている方はこちらの記事もご覧ください。
- 【独身マンション購入】メリットから買っていいマンションの条件を紹介
- 独身女性がマンションを購入するのに必要な年収や適正価格を解説!
- 一人暮らしのマンション購入のメリットって何?価格相場やおすすめの広さと間取りを紹介!
内装や間取り
内装や間取りという観点で賃貸を見てみると、やはり投資用の物件として建てられていることが多いためワンルームや1Kといった一人暮らし向けの物件が多く、ファミリー層向けの3LDKの賃貸マンションはなかなか多くないというのが特徴です。
一方で購入する場合を考えると、分譲マンションの場合はファミリー層向けの3LDKのマンションが多い他、新築マンションの場合はオプションを付けられるのが特徴となっています。
具体的には、
- キッチンをアイランドキッチンにできる
- 食洗器やエアコンをアップグレードできる
- 間取りを変更できる
- 床材や扉の素材を変更できる
- コンセントや照明などの移動ができる
- カーテンや家具、鏡などのインテリアを選べる
などのオプションを追加することができるマンションも少なく在りません。
そして最も大きな違いとしては、購入は賃貸に比べて所有者が自分であるためリフォームやリノベーションで自分好みの内装・間取りを実現できるという特徴があります。「リノベしておしゃれな家に住みたい」などという場合は購入する方が魅力的と言えるでしょう。
マンションの間取りや内装について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
マンションの間取りはどう選ぶ?理想の間取りを選ぶポイントを解説
防音設備などの充実度
防音設備やセキュリティという観点で賃貸を見ると、やはりほとんどのケースで投資用で作られているので、壁や床の厚さやキッチンやバスなどの水回り設備へのコストが極力下げられているのが特徴です。
一方で分譲マンションなどの場合は、個人の買い手に売ることが目的のため、以下のような
- 防音性
- セキュリティ
- 内装設備
- 共用施設
などの設備が充実しています。
したがって、賃貸マンションに比べて少し高めの管理費用を支払っている代わりに充実した設備を利用したりできるのが購入の特徴と言えるでしょう。
分譲マンションの防音性について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
賃貸か購入かのポイント③老後の暮らし
賃貸か購入かを考える3つ目の観点として、老後を考えて賃貸にするか購入にするかというポイントがあります。
3章では、
- 老後の暮らしやすさ
- 老後の資金計画
という観点で解説していきます。
老後の暮らしやすさ
老後の暮らしやすさという観点でまず賃貸を見てみると、特徴として老後に賃貸を借りるのが難しいという側面があります。
背景には二つの事情があります。一つは、賃貸入居の際に審査に通りづらいという現実です。具体的には、賃貸入居の際の家賃保証の際に、保証会社が「高齢者の主たる収入が年金で、現役世代に比べて年収が低い」という理由で審査を通さないという現状があるのです。(国土交通省「家賃債務保証の現状」より)
もう一つの事情としては保証会社だけではなく家主も高齢者をやはり嫌うという現実があるのです。というのも、高齢者は学生や現役社会人に比べて部屋で死亡するリスクが高く、孤独死した場合は遺品の処理なども必要だからです。以前部屋で人がなくなった物件は、結果的に資産価値が下がる可能性もあり積極的に受け入れられないのです。
次に購入を考えてみると、住宅ローンの支払いが終わっていれば、あとは管理費・修繕積立金を支払えば問題ないため、引っ越し先を探したりする必要がなく、老後の生活に対する安心感を持てるのが特徴と言えるでしょう。
老後の住み替えについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
老後の住み替えはマンションと戸建てどっちがいい?選ぶポイントを解説
老後資金
2019年に老後資金が2,000万円必要になるというレポートが金融庁から出たことで話題となりましたが、老後資金という観点で賃貸を見るとどの程度余裕をもって生活できるのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、高齢世帯の平均取得金額が年間312,6万円であり、そのうち63%の199万円が公的年金であることを考えると、仮に公的年金だけで生活することを考えると毎月家賃を支払って生活するのはなかなか厳しい生活になることが予想されます。(厚生労働省2019年「国民生活基礎調査」より)
一方で購入について考えると、住宅ローンを払い終わった後の老後は自宅を担保にしてリバースモーゲージなどを利用して資産運用が可能です。リバースモーゲージとは、自宅を担保にして生活資金を金融機関から借り入れながら自らの持家に継続して住むことができ、借入人が死亡したときに担保となっていた不動産を処分して借入金を返却する仕組みです。
他にも、老人ホームに入ることになれば少なくとも土地を売却して資金を得ることができますし、子供に土地のみを相続して子供が戸建てを立てたりすることも可能です。
結果として、総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」から独自に作成した年代別賃貸と購入の割合を表したグラフを見ると、年齢層が上がるごとに購入者層が増えていることがわかります。
賃貸か購入かのポイント④資産性
賃貸か購入かを決める4つ目の観点として不動産としての資産性で決めるという観点があります。
ここで言う資産性とは必ずしも売却や賃貸に出せると言ったことばかりではなく、災害リスクなど資産を持つことのリスクも観点として入ってきます。
冒頭のアンケートでは、賃貸派の理由として第3位にも入っている
- 天災が起こった時に家を所有していることがリスクになると思うから(30.2%)
というポイントも深ぼっていきます。
災害リスク
まず最初に、災害リスクという観点で賃貸を見た場合、仮に地震や台風などの自然災害によって住んでいるマンションに被害が出たとしても、借主が補修なども実施してくれます。また、当然火災保険などに入る必要もないため、購入と違って火災保険を支払う必要がないのも特徴でしょう。
一方で購入について考えてみると、自然災害などに被災した場合でも自分で修繕の手続きを行わないといけない他、東京都の新築マンションであれば10年間で4万~火災保険費用などが掛かってきます。
また、近年多い地震に対して地震保険に入る人も少なくなく、災害リスクに対処するための費用を自己責任で賄うのも購入の特徴と言えるでしょう。
また、災害リスクについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
マンション購入の注意点を解説!物件選びから内覧・契約時に注意するべきことは?
売却などの資産運用
資産運用という観点で賃貸を見てみると、不動産という資産に限ってみると数十年住んでも資産運用をすることはもちろんできません。
一方で購入した場合では、立地条件や物件の特性次第では住宅ローンの支払い完済後に売却をしたり賃貸に出すなどして資産運用ができるのが特徴と言えるでしょう。
その点で、賃貸か購入か迷っている場合は購入する候補の物件の資産性を吟味して決めるという場合もあります。
例えば、「土地は資産価値として残る」と考えて購入を検討している場合でも、地方都市で戸建てに住むことを検討している場合などでは将来的に資産価値はほぼ残らないと考えてよいでしょう。
仮にそうなった場合に購入した不動産を処分しようと思っても、売却も賃貸もできない「負債」となる可能性もあるのです。
逆に、少し物件価格が高くとも将来的な資産性を見越して購入するという場合もあるため、購入か賃貸かは住むエリアの将来的な資産性が最終的な決め手になって選ぶというケースもままあるのです。
マンションの資産価値について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
資産価値が高いマンションの重要性とは?新築と中古の価値の違いや計算方法を徹底解説!
賃貸か購入かのポイント⑤ライフステージ
冒頭のアンケートにもあったように、やはりライフステージで賃貸か購入か決めているという人も少なくないということがわかります。
具体的には、賃貸派の理由としては
- 仕事等(転勤・転職・退職など)の都合で引っ越しする可能性があるから(28.6%)
- 家族構成の変化で引っ越しする可能性があるから(23.9%)
- 相続する予定の家がある為(18.5%)
が上がってきており、どれだけ賃貸・購入に偏っていてもライフステージの観点で決めるということも当然あるのです。
また、結婚や出産などのライフイベントごとにかかる費用を逆算してみて、「今住宅購入に充てる費用があるかどうか」という観点で決めるのも王道の決め方でしょう。
例えば、ライフイベントごとにかかる費用としては以下のものがあります。
金額の目安 | 内訳 | |
---|---|---|
結婚費用 | 約467万円 | 結納・婚約~新婚旅行にかかった費用総額。 ※ゼクシィ 結婚トレンド調査2018調べ1万円未満四捨五入 |
出産費用 | 約51万円 | 出産にかかる費用総額(入院料・室料差額・分娩料・検査費用など) ※公益社団法人国民健康保険中央会「出産費用 平成28年度」より |
教育資金 | 約1.049万円 | 子供一人当たりの総額(幼稚園から高校までは公立、大学は私立の場合) ※文部科学省「子供の学習費調査(平成28年度)」、「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より |
老後の生活費 | 約26万円(/月) | 高齢夫婦で無職世帯の支出 ※総務省「家計調査年報(家計収支編)」平成30年家計の概要より |
介護費用 | 約17万円(/月) | 介護保険受給者一人当たりの使用額 ※厚生労働省「平成29年度介護給付費等実態調査の概況」より。上記は平成30年4月審査分 |
緊急資金 | 約60万円 | 生活費3~12カ月分の貯蓄 |
以上のようにライフイベントからの費用の逆算で賃貸と購入を決めるなど、一概に「賃貸がいい」「購入がいい」とは言えないのです。
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賃貸か購入か迷って決められない場合は?
本記事では賃貸と購入のどちらを選ぶべきか解説してきました。賃貸も購入それぞれメリットやデメリットがあり、自分がどこの優先順位を置くかによって住宅の選び方は変わってきます。
したがって、賃貸か購入かを考える時に最も意識しておきたいポイントとして、自分の年齢や年収、世帯人数や希望条件とマッチしている物件はどれかという視点を持つことです。
しかし、自分の目だけで自分にピッタリの物件を選ぶのはなかなか簡単ではありません。したがって、今後物件探しをするなら、自分の感覚で物件ポータルサイトを見るのではなく、プロからの提案をもらうことが重要です。
Housii(ハウシー)なら、匿名で利用出来て、複数の不動産会社からあなたにピッタリの物件提案が届きます。匿名だから、電話がくる心配もありません。また、自分がどっちに向いているかチャットで気軽に相談することもできるので、初めての家探しを安心して進められます。自分に合った物件を探すなら、まずはHousiiでどんな物件提案が届くのか確かめてみませんか。
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