一級建築士、インテリアプランナー、住宅性能評価員講習修了。
大学卒業後、総合建設会社の設計部で主にマンションの設計・工事監理、性能評価などを担当。独立後は生活者の視点から「安心・安全・快適な住まい」「間取り研究」をテーマに、webサイトや新聞・雑誌へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活動。
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マンション購入といえば、人生の中で1番大きな買い物といっても過言ではないでしょう。
マンション購入に失敗すると、最悪の場合住みにくい上に住宅ローンだけが残る”負”動産となってしまうことも…。
後悔しない物件選びを行うためにも、なるべく早い段階でマンション購入の全体像と注意点を網羅的に知っておくことが何よりも重要です。
そこでこの記事では、マンション購入の注意点のチェックリスト37項目を設け、ポイントを押さえて詳しく解説します。
「これだけ読めば大丈夫!」と胸を張って言える内容となっていますので、マンション購入の羅針盤として、ぜひご活用ください。
- 1. 中古マンション購入の注意点一覧|37のチェックリスト
- 2. 中古マンション購入の資金計画における注意点
- 3. 中古マンション購入の物件選びにおける注意点
- 3.1. 購入の流れを把握して先立って準備をすすめる
- 3.2. 市場価格・相場を自分で理解する
- 3.3. 中古マンションか新築マンションか早い段階に決める
- 3.4. 築年数はお得に買うために要チェック
- 3.5. 修繕計画やリノベーション可否を確認
- 3.6. 住環境や管理状況は売却価格に関わる
- 3.7. 耐震診断結果や改修・修繕履歴を確認
- 3.8. 地震・洪水など災害リスクを考慮
- 3.9. 不動産会社によっても購入価格が変わる
- 3.10. 中古マンション購入の内見における注意点
- 3.11. 周辺の生活環境は必ず実際に歩いて確認
- 3.12. 管理が行き届いているかは内覧でチェック
- 3.13. 内覧では毎日の生活をシミュレーション
- 3.14. 内覧でも最低限守るべきマナーがある
- 3.15. 居心地の悪さや違和感などの直感に正直に
- 4. 中古マンション購入の契約・引き渡しにおける注意点
- 5. 資産価値が高い中古マンションを購入するための10個のチェックポイント
- 6. マンション購入の注意点を理解して物件選びを進めよう!
中古マンション購入の注意点一覧|37のチェックリスト
今回紹介する中古マンション購入時の注意点を37のチェックリストとしてまとめました。検討する際にぜひご活用ください。
中古マンション購入の資金計画における注意点 | |
---|---|
中古マンション購入の物件選びにおける注意点 | |
中古マンション購入の契約・引き渡しにおける注意点 | |
資産価値の下がりにくい中古マンション選びのための注意点 |
中古マンション購入の資金計画における注意点
マンション購入をする上では、お金の問題について考えることは避けられません。この章ではマンション購入時の年収や費用についての7つの注意点を解説していきます。
年収倍率から購入の適正費用を考える
マンション購入を考えるとき、まず決めるべきことは予算です。自分の世帯年収ではいくらまでのマンションであれば無理なく購入することができるのか、考えていきましょう。
世帯年収からマンション購入価格を決めるためには、「年収倍率」という指標が参考になります。年収倍率とは、購入価格が年収の何倍であるかを示す数字のこと。
一般的に、無理なく住宅ローンを返済していくためには、年収倍率は6倍以内に収めるのが望ましいとされています。例えば、年収500万円の人であればマンション購入価格は3,000万円以内に収めれば、リスクを最小限にすることができるということです。
参考までに、年収倍率6倍としたときの、年収ごとの購入価格の目安を以下にまとめておきます。
世帯年収 | マンション購入価格の目安 |
---|---|
300万 | 1,800万 |
400万 | 2,400万 |
500万 | 3,000万 |
600万 | 3,600万 |
700万 | 4,200万 |
800万 | 4,800万 |
もちろん、貯金や親族からの援助があり、ある程度の頭金を用意することができる場合には、上記の限りではありません。
支出予定に基づいたキャッシュフロー計画を立てる
購入予算が決まったら、将来の支出予定に基づいてキャッシュフローの計画を立てましょう。毎月の支出はローン返済の他にも生活費があるので、無理のない計画を立てることが大切です。
また、結婚や出産、育児のライフイベントなどにかかる支出を考慮せずに予定を立ててしまうと、途中で支払いが難しくなってしまうこともあります。急に現金が必要になっても困らないよう、ある程度余裕のあるキャッシュフロー計画を立てておくことをおすすめします。
自分の負債を差し引いた純資産額を算出しておく
預金額=使える資産ではなく、奨学金やショッピングローンなどの負債を差し引いて考えましょう。
なかには、「お金が十分にあるにも関わらず、思ったより住宅ローンの借入可能額が少ない」と感じる方がいますが、預金額のみで計算してしまっているケースが多いです。
特に、借りた奨学金の残額を考慮していないパターンはよくあるので、自分が今後返さなくてはいけないお金はいくらなのか改めて洗い出し、住宅ローンを考える資産額から差し引きましょう。
諸費用・初期費用に漏れがないか確認
マンション購入をするときには、物件購入費用や住宅ローンの返済にも、諸費用と呼ばれる初期費用が現金で必要な点にも注意です。
中古マンションの場合、諸費用は物件購入費用の5~10%必要だとされています。例えば、3000万円のマンションを購入する場合、別途初期費用として150万円から300万円程度を現金で用意する必要があるということです。
一般的な諸費用の内訳は以下の通りです。
- 印紙税
- 登記費用
- 司法書士依頼費用
- 管理費・修繕積立金
- 申込証拠金
- 仲介手数料
- 引っ越し・家具購入費用
内訳
詳細
金額の目安
印紙税
不動産譲渡契約書に係る国税
1,000万円超え〜:2万円
5,000万円超え〜:6万円
1億円超え〜:20万円
登記費用
購入した物件の所有権を移転する際にかかる費用。
土地の価格×1.5%
建物の価格×2.0%
(住宅ローンの場合は融資額×0.4%)
司法書士依頼費用
委託先の司法書士に支払う報酬。
5〜10万円程度が相場
管理費・修繕積立金
物件を管理・維持していくために必要な管理費・修繕積立金
2~3万円程度が相場
申込証拠金
購入意思を示すために支払う費用。
0〜10万円程度が相場
仲介手数料
不動産仲介業者に支払う手数料。
200万円以下:物件価格×5.5%
200万円超~400万円以下:物件価格×4.4%(+2万2,000円)
400万円超:物件価格×3.3%(+6万6,000円)
引っ越し・家具購入費用
引っ越しや家具購入にかかる費用
10万円〜が相場
新築マンションの場合、仲介手数料は必要ありませんが、管理費・修繕積立金はまとまった額の前納を求められることも多いため注意が必要です。
中古マンション購入時にかかる初期費用(諸費用)についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
固定資産税などマンション維持費も忘れずに
マンション購入をする際に、お金周りで気を付けておくべきことは住宅ローンや初期費用だけではありません。住み続ける以上かかり続ける毎月の維持費についてもしっかりと資金計画に組み込んでおきましょう。
マンションにかかる維持費は以下の3つです。
- 管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税
人によっては上記の他に、都市計画税や火災保険料、駐輪・駐車場代もかかってきます。
管理費とはマンション共用部分の維持管理に使われる費用です。代表的な使い道には、管理人さんの人件費や共用廊下の電球代、防犯カメラのレンタル費などが挙げられます。管理費は月々15,000~20,000円が相場です。
修繕積立金とは、長期修繕計画に従って12~15年に1度行われる「大規模修繕」のためにあてられる費用です。外壁塗装や屋上の雨漏り補修を行う際などに使われます。修繕積立金は月々10,000~15,000円が相場です。
固定資産税とは、家屋や土地などの不動産を所有している人が毎年払う税金です。マンションを所有しているとかかる固定資産税は年間10~30万円程度が目安となります。
不動産価格指数でマンションの買い時を見極める
マンションの購入価格の推移を考えて購入するタイミングを見極めることも重要です。マンション価格については、国土交通省が公表している「不動産価格指数」の推移が参考になります。
以下のグラフは2008年のリーマンショック後の不動産価格指数となっていますが、マンションの価格のみが顕著に上昇していることがわかります。背景には、東日本大震災後の人材不足による建設コストの増加、また東京オリンピックの開催決定による建設資材の価格高騰があげられます。
長期間に渡る超低金利などの影響もあり、購買需要が減ることは考えづらく,
2022年はマンションを買うタイミングとしては悪くないと言えそうです。
ただし、家を買うタイミングは不動産価格だけではなく、ライフイベントからも判断しないといけません。戸建てを購入した人1,000人以上に向けて行われたアンケートによると、戸建住宅を買ったきっかけで最も多いのは「結婚」のタイミングで23.7%、続いて「昇給・昇格」のタイミングで23.3%、「出産」のタイミングで17.3%となっています。
単にマンションの価格推移だけではなく、自分のライフプランや資金状況からも家を買うタイミングを判断しましょう。下記の記事では、近年マンションの価格が高いのはなぜなのか?マンション高騰はいつまで続くのかについて、最新データを用いて解説しています。今後のマンション価格の動向について詳しく知っておきたい方はぜひ参考にしてください。
マンション価格が高いのはなぜ?今後の動向についても解説!
市場価値・販売コスト・収益性から市場価格を考えよう
マンション購入を考える時は、検討している物件が市場価格と照らし合わせて高くないかどうかも重要な点となります。
具体的には、リノベーション済みの中古マンションによくある、売主が不動産会社のパターンであれば仲介ではかからない消費税がかかる他、自分でリノベーション会社に依頼するよりも高い価格が利益として上乗せされていることがほとんどです。
また、新築マンションと中古マンションを比較した時も、新築マンションの場合は仲介と違ってモデルルームの建設コストなどの販売促進費や営業活動のための人件費が販売価格に上乗せられているため中古マンションよりも割高になることがほとんどです。
マンションの市場価格は、
- 市場価値
└駅からの距離や過去の取引実績が価格を決める要素の一つになります。 - 販売コスト
└営業のための人件費やモデルルームの建設費などの販売促進費が積み上がります - 収益性
└投資用としてマンションを購入する場合は、その物件の周辺の家賃相場などを参考にして価格が決まっています。
で決まります。
予算から少しオーバーしている場合などでも市場価値から考えると安いというケースも十分にありますので、他の物件と比較して高いか安いかに注意しなくてはなりません。
下記の記事では、中古マンションの値引きで失敗しない方法や交渉の流れ、実際の体験談についてご紹介しています。少しでもお得にマンション購入を成功させたい方は、ぜひ参考にしてください。
中古マンションの値引き交渉で失敗しない方法を紹介!金額の相場も解説!
将来の資産価値・リセールバリューを想定する
初めてマンションを購入するという人の中には、「このマンションは終の棲家として考えているから資産価値が下落してもそこまで問題じゃない」と考えている方もいるかもしれませんが、予想外のライフプランの変化でマンションを手放す可能性や、資産価値が下がるとそもそも住み続けることができなくなる可能性すらあるのです。
具体的には、下記のようなケースが考えられます。
- 転勤などでマンションを手放す際に「売るのも貸すのもできない”負”動産」となってしまった
- 資産価値が下落して買い手がつかなくなった結果、大規模修繕が実施できずにマンションの耐震性に欠陥が出始めてしまった
このような事態にならないためにまずは、そもそもマンションの資産価値がどのように下落していくのかを把握しましょう。以下のグラフはレインズ・マーケット・インフォメーションの「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」から独自に作成した首都圏のマンションの成約価格の下落幅です。
グラフからもわかるようにマンションの資産価値は築10年までで新築時の約80%に資産価値が下落、その後緩やかに下落していき築25年前後で新築時の30%前後で下げ止まります。
その中でも資産価値が下がりづらいと言えるマンションの特徴は以下の通りです。
- 最寄り駅・バスなどの交通インフラが整っていて、駅からも近いこと
- スーパーやコンビニなどの生活の利便性に優れている
- マンションの清掃など、管理状況が良好なマンション
- 再開発のエリアで街自体が発展していること
- マンションの共用施設が充実していること
中でも最も重要な要素は立地です。マンションを購入する時は将来を見据えてある種”投資”の考え方をもって物件選びをしていきましょう。
下記の記事では、資産価値の落ちないマンションの特徴はどのようなものか、また10年後20年後に価格はどのように推移していくのかについて詳しく解説しています。マンションの資産価値についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
資産価値の落ちにくいマンションの特徴ベスト3!10年後どうなる?
転職は住宅ローン契約後にするのがおすすめ
住宅ローンを借り入れる金融期間にもよりますが、基本的には勤続年数が長いほど住宅ローンの金利は低くなり、審査も通りやすくなる傾向にあります。さらに、6ヶ月以上同じ会社に勤続していないと申し込みを受け付けてもらえない場合が多いため、転職をするなら住宅ローンの契約後がおすすめです。
ちなみに、現行の住宅ローン減税制度は、本来2021年12月31日をもって終了となる予定でしたが、2022年の税制改正により入居に係る適用期限が4年間延長され、令和7年12月31日(2025年末)までの適用となりました。中古(既存)住宅の購入についても同条件が当てはまります。
中古マンション購入の物件選びにおける注意点
この章ではマンション購入全体の流れや物件選びについての12の注意点を解説していきます。
購入の流れを把握して先立って準備をすすめる
失敗しないマンション購入を実現するには、なるべく早い段階で全体の流れを把握しておくことが重要です。全体感がわからないままでの見切り発車には注意が必要です。
マンション購入の基本的な流れは以下の8ステップです。
- 資金計画
- 物件選び
- 物件の内覧
- 購入申し込み
- 住宅ローンの事前審査
- 売買契約
- 住宅ローンの本申し込み
- 決済・引き渡し
全体にかかる期間は早くて2~3か月、長いと1年近くかかることもあります。
また、基本的にこれらの流れでやり取りをする窓口となるのは不動産会社ですが、ステップ5,7の住宅ローン関連については金融機関など別の窓口で行う必要があることには注意です。同時並行で進めなくてはならないことを把握しておきましょう。
新築・中古マンションそれぞれの購入の流れについて、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
市場価格・相場を自分で理解する
また、後悔しない中古マンションを購入するためには、市場価格や相場について自分で理解してから物件選びを行うことも大切です。何も知らないまま不動産会社や仲介業者に言われるがままに手続きを進めてしまうと、高値で購入することになってしまうリスクがあります。
不動産に関する知識がない場合でも、わからないことはインターネットで調べるなどの工夫をしてみましょう。
市場価格を知るためには、「REINS Marketinformation(不動産取引情報サイト)」で直近の成約済み取引を調べてみるのがおすすめです。検索画面から購入を検討しているエリアの情報を入力して、どのくらいの相場で取引が行われているのかチェックしてみてください。
中古マンションか新築マンションか早い段階に決める
マンション購入の流れやかかる費用、窓口は新築マンションを買うか中古マンションを買うかによって変わります。よって新築or中古はなるべく早い段階で決めるべき点です。
新築マンションは自分が最初の所有者になれることはもちろん、税制面で優遇を受けられること、最新セキュリティ・室内設備を利用できることがメリットです。
一方で中古マンションは購入価格が安く抑えられることはもちろん、流通量が多く選択肢が豊富なことや資産価値が落ちにくいことがメリットとなります。
購入価格の点では、やはり中古マンションが有利です。調査によると中古マンションの価格は平均3,668万円、新築マンションは平均5,994万円であることがわかっています。
もちろん、いわゆるヴィンテージマンションのように中古マンションに付加価値が付くこともありますが、基本的には中古マンションの方が購入価格を抑えらえるでしょう。間取りや設備に不満があったとしても、購入価格で浮いた分の金額をリフォーム・リノベーション費用にあてるということも可能になります。
上記で示した新築・中古それぞれの特徴と価格差を踏まえつつ自分に合った方を選択しましょう。
築年数はお得に買うために要チェック
主に中古マンションを検討している場合は購入するマンションの築年数も重要なポイントです。
中古マンションの販売価格は築年数が経つごとに自ずと下がっていきますが、築25年以降が価格が下げ止まるタイミングといわれています。逆に言えば、築25年を超えるとほぼ価格は横ばいになるため、価格が底値に近づく築25年付近のマンションを購入しておけばこれ以上価格が下落しにくいと言えます。
また、マンションの寿命という観点で築年数を見てみると、国土交通省の調査によると鉄筋コンクリート造のマンションであれば構造体の耐用年数は120年、外壁塗装のメンテンナンスを適切に行った場合は150年間持つと言われています。
一方で、東京カンテイの調査によると、これまでに建て替えられたマンションの築年数の平均は全国平均で33.4年、東京都は40.0年となっており、管理状況次第でマンションの寿命は大きく変わってくることがわかります。
マンションの購入を検討している方は第2章で解説する内覧時の注意点を見逃さずにマンションを見極めていきましょう。
修繕計画やリノベーション可否を確認
マンションには修繕計画があるので、修繕計画を確認しましょう。通常12年ごとなどで、修繕する計画が組まれていますが、修繕計画が正しく設定されていなかったり、行われていなかったりする場合は、注意が必要です。
また、購入時に想定していなくても後からリノベーションしたくなるケースもあります。しかし、リノベーション不可の物件もあるため、必ず事前に確認してください。
住環境や管理状況は売却価格に関わる
資産価値を保つには、今現在だけでなく、今後も世帯数が下がりにくいエリアを選ぶことが重要です。特に、住環境や管理状況はよく確認しましょう。
条件がいいように思える場合でも、騒音がひどかったり、マンションの管理状況が悪かったりして、資産価値が下がってしまうケースがあります。
資産価値が減少傾向にある物件は、売却時にも価値がつきづらいです。希望の金額で思うように売却できず、住み替えができなかったという事例もよくありますので、注意が必要です。
耐震診断結果や改修・修繕履歴を確認
マンションをエリアから選ぶ場合、多くの方は最寄り駅や自身の職場、子どもが通学する学校、買い物やグルメを楽しめる商業施設などをメインに物件を絞り込みます。
ここで意外と忘れがちなのが、災害リスクの高さです。地震や台風などの自然災害が発生しやすい日本では、大規模な災害が起こったとき、物件が被災する確率がどのくらい高いのか知っておく必要があります。
災害リスクは、自然災害による被害を予測し、地図化した「ハザードマップ」で確認できますので、物件のあるエリアと照らし合わせて災害リスクをチェックしておきましょう。ハザードマップは各自治体で交付・公開されているほか、不動産仲介業者から渡される書類の中にも含まれています。
また、マンションそのものの耐震性にも留意する必要があります。新築マンションの場合は基本的に現行の新耐震基準に基づいた耐震性があると考えてよいですが、1981年以前に建てられた中古マンションは、旧耐震基準に基づいて設計されているため、耐震性が劣る物件もあります。
そもそも、旧耐震基準は震度6以上の大地震を想定していないうえ、震度5程度の地震でも「倒壊しない」ことを基準としているため、大規模地震が発生した場合、継続して住めないような甚大な被害を受けるおそれがあります。1981年6月以降に竣工したマンションでも、それ以前に建築確認が完了している場合は、旧耐震基準で建てられている可能性もありますので注意が必要です。
なお、旧耐震基準で建てられた中古マンションでも、必要な耐震補強工事を行い、新耐震基準と同等の耐震性を期待できるマンションもあります。購入を検討している中古マンションの築年数が古い場合は、過去に耐震診断を受けて、必要な耐震補強工事を行っているかどうかもチェックしてみましょう。
地震・洪水など災害リスクを考慮
購入を検討しているマンションが位置するエリアの災害リスクも要チェックです。地震や洪水などが起こった際にどのくらいのリスクがあるのか、必ず把握しておくようにしましょう。
具体的には、以下6つの災害リスクに注意する必要があります。
- 洪水(想定最大規模)
- 土砂災害
- 高潮(想定最大規模)
- 津波(想定最大規模)
- 道路防災情報
- 地形分類
これらの情報を知るためには、「ハザードマップポータルサイト」で該当エリアの災害リスクを調べてみるのがおすすめです。
「重ねるハザードマップ」の箇所に該当エリア名を入力して検索すると、マップ上に各災害リスクを重ねて表示させることが可能なので試してみてください。
不動産会社によっても購入価格が変わる
初めてのマンション購入で頼りにしたいのが不動産業者ですが、業界についての知識がない段階では信頼できる不動産会社とそうでない不動産会社を選ぶのはなかなか難しかったりします。
そこで、まずは信頼できない不動産会社の特徴をいくつか紹介したうえで、いったいどのように不動産会社を選べばいいかについて紹介していきます。信頼できない不動産会社の特徴は以下の通りです。
- 「掘り出し物だから早く買わないと売り切れる」と言って、購入を急かしてくる
- 「すべて私にお任せください」などど詳しい説明をしてくれない
- 何を聞いても満足する答えが出てこない
- 都合が悪い質問をすると「わからない」と言って質問をはぐらかしてくる
また、不動産会社を選ぶ時は質問に対して真摯に対応できるかどうかだけではなく、これまでの仲介実績を比較して選ぶことが重要です。
というのも、仲介実績が多く経験豊富な不動産会社だからこそ、場合によっては中古マンションの値引き交渉なども積極的に行っているケースが多く、選んだ不動産会社によっていくらで購入するかどうか変わる可能性もあるからです。
仲介実績や物件提案の質で不動産会社を選ぶなら、Housii(ハウシー)がおすすめです。Housiiなら仲介実績と未公開を含む物件提案の質で複数の不動産会社を比較して選べます。匿名で登録できるので、電話営業される心配もありません。
経験豊富な不動産会社を味方につけて、物件購入を有利に進めませんか。
下記の記事では、マンション購入の相談をする不動産会社の選び方について解説しています。不動産会社選びに失敗して、後悔の残る住み替えとならないよう、ぜひ参考にしてみてください。
マンション購入はどこの不動産会社がいい?選び方のポイントや注意点を徹底解説!
中古マンション購入の内見における注意点
物件を絞り込んだら、内見に行ってみましょう。ただし、ここでもチェックしておきたいポイントがいくつかあるため注意が必要です。ここでは、中古マンション購入の内見における注意点を解説していきます。
マンション購入の内見時に気をつけたいポイントは以下の通りです。
- 周辺の生活環境は必ず実際に歩いて確認
- 管理が行き届いているかは内覧でチェック
- 内覧では毎日の生活をシミュレーション
- 内覧でも最低限守るべきマナーがある
- 居心地の悪さや違和感などの直感に正直に
それぞれみていきましょう。
周辺の生活環境は必ず実際に歩いて確認
不動産仲介業者のホームページや資料には、物件の周辺にどんな施設があるか、最寄り駅まで何分かかるかなどの情報が記載されていますが、騒音やにおい、雰囲気といった主観的な情報は不足しています。
静止画像では閑静な住宅街に思えたけれど、現地に行ってみたら近場に工場があり、日中は絶えず機械音が聞こえてくる…などというリスクもゼロではありません。できれば日中・夜と時間帯を変えて訪問し、周辺環境に気になる点はないかどうか確認しておくと安心です。
また、マンションの口コミサイトなどで実際にマンションに住んでいる人の意見を聞いてみることも重要です。
例えば、下記に挙げたようなことは実際に住んでいる人でなければ把握は難しいでしょう。
- 近くの病院からのサイレンが聞こえて夜眠れないことが多い
- 飲み屋が多く夜は酔っ払いが多い
- 家の前の道路が国道の抜け道になっていて、夜うるさい
マンションの物件情報だけではなく、周囲の環境も確認しながら物件を選んでいきましょう。
下記の記事では、マンション購入時に治安を軽視するリスクや治安が良い街の特徴、見分け方について解説しています。治安が悪い街に引っ越して後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。
マンション購入前に確認すべき治安など周辺環境の調べ方
管理が行き届いているかは内覧でチェック
エントランスやエレベーター、廊下、駐車場など、マンションの住民全員が利用する共用部分が適切に管理されているかどうか確認しましょう。
ほとんどのマンションでは、物件の管理をマンション管理会社に委託していますが、管理の質は業者によっても異なりますので、中には清掃が行き届いていなかったり、廊下の電球が切れていたりする場合もあります。
管理状況が悪いとマンションそのものの資産価値が落ちてしまいますので、共用部分が適切に管理されているかどうか、入念にチェックすることが大切です。内覧では毎日の生活をシミュレーション
室内の内覧では、実際に住んでみたときの様子をイメージしながら、すべての部屋を回ってみましょう。
特に注意したいのは家事動線です。キッチンは使いやすい場所にあるか、洗濯機置き場から物干し場までスムーズに動けるかなどを確認しましょう。家事は基本的に毎日行うものですので、少しでも家事動線に違和感や不便さを感じたら、物件の再検討が必要です。
内覧でも最低限守るべきマナーがある
中古マンションの場合、売却が決まるギリギリまで前オーナーがそのまま居住しているケースもあります。
その場合、居住中のお宅を訪問して内覧させてもらうことになりますが、相手はトラブルやもめ事を起こさず、スムーズに売却することを願っていますので、内覧中は買い手候補者の人間性もチェックされます。
マナーの悪い人と判断されると、物件を気に入っても先方から売却を断られてしまう可能性がありますので、内覧に行ったらきちんと挨拶する・ドアや収納を勝手に開けない・案内される前にあちこち動き回らないなど、最低限のマナーをわきまえて行動しましょう。
下記の記事では、中古住宅購入を成功させるための内覧やリフォーム時の注意点について解説しています。中古住宅購入で失敗しないためにも、ぜひご一読ください。
中古住宅購入の注意点と3つのポイントを徹底解説
居心地の悪さや違和感などの直感に正直に
マンションの室内では主に日当たりや風通し、眺望、設備の充実さなどをチェックし、総合的に物件を評価しますが、時には直感を当てにするのも大切です。
間取りや設備、日当たりなども申し分ないのに、なぜか居心地の悪さや違和感を覚えるときは要注意。「住んだら慣れるだろう」と妥協して物件を購入し、住み始めても、最初に抱いた違和感は残り続けてしまう可能性があります。
「自分の家なのに落ち着かない」と後悔することになりかねませんので、居心地の悪さや違和感が払拭されないうちは、物件の購入を見合わせた方が無難です。
マンションの部屋の選び方について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
マンションの部屋の選び方を方角や階数などから詳しく解説
中古マンション購入の契約・引き渡しにおける注意点
マンション購入は物件を決めたら終わりではありません。契約や引き渡しなどの手続きを滞りなく完了させて後悔ゼロの住み替えを目指しましょう。この章では契約や引き渡しについての4つの注意点を解説していきます。
重要事項説明書は必ず全文理解する
不動産の売買契約を締結するにあたり、売り主は重要事項説明書を書面で交付し、説明することが法律で義務づけられています。
マンションの場合、重要事項説明書には物件や取引条件に関する事項のほか、マンションの専有部分や共有部分に関する定め、管理費用・共益費の額、マンション管理の委託先といった情報が記載されています。
売買契約を締結すると、重要事項説明書に記載されている項目をすべて確認し、了承したことになりますので、必ず契約前にすべての項目に目を通し、疑問点があったらどんどん質問しましょう。
契約締結時は手付金を支払う
マンションの売買契約を締結する際、買主は売主に対し、所定の手付け金を支払う必要があります。
手付け金は物件取得価格の5~10%が相場となっていますので、仮に1,000万円の中古マンションを購入したとしたら、50~100万円の手付け金を準備しなければなりません。
手付け金は物件価格の一部を先払いする形で納めるので、トータルの支払金額に変化はありませんが、住宅ローンに組み込むことはできないので、あらかじめ手元にまとまったお金を用意しておきましょう。
また、契約後にキャンセルする場合、違約金として手付金を放棄することになるケースが多いため注意が必要です。
マンション購入にかかる手付金について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
マンション購入の手付金とは?相場からキャンセル時の返金についても解説
残金決済の前に住宅ローンの手続きを完了する
物件価格から手付け金を差し引いた金額を一括で払うことを「残金決済」といいます。
一般的には所定の期日までに、不動産会社から指定された口座に残金を入金しなければなりませんので、それまでに住宅ローンの手続きをすべて済ませておきましょう。
不動産会社との提携ローンを利用する場合は、金融機関から不動産会社の口座へ直接振り込んでもらうことも可能です。大金の取り扱いに不安のある方は、不動産会社へ直接入金してくれる住宅ローンを選ぶとよいでしょう。
なお、住宅ローンの金利は、申込時ではなくローンが実行される日のものが適用されます。場合によってはローン金利の変動により、毎月の返済額が変わってしまうおそれがありますので、実際に適用されるローン金利をチェックしておきましょう。
物件の最終チェックまで手を抜かない
内覧の時に物件や設備の状態は一通り確認しますが、引き渡しまでの間に状態や状況が変化していないかどうか、今一度チェックしてみましょう。可能であれば、不動産仲介会社に立ち会ってもらい、不備や不具合がないかどうか一緒に確かめると安心です。
物件の状況や付帯設備は、売買契約時に渡される「付帯設備表」と「物件状況確認書」に記載されていますので、齟齬がないかどうか確認します。
資産価値が高い中古マンションを購入するための10個のチェックポイント
最後に、マンション購入前に必ず確認しておきたい、資産価値が下がりにくい中古マンションを購入するための10個のチェックポイントをご紹介します。ぜひお役立てください。
①立地は駅近・好アクセスか?
まず確認しておきたいのが、購入検討している物件の立地条件です。
どれだけ造りや内装が優れていても、アクセスの悪い位置にある物件は資産価値が変動してしまう可能性があるため注意が必要です。駅近の物件や好アクセスの物件は、資産価値が下がりづらくおすすめです。
内見時には一度駅から歩いてみるなど、実際に自分の目でみて確かめてみると間違いないでしょう。
②周辺にあってほしい施設はあるか?
- スーパー・コンビニ・ドラッグストア
- 病院・動物病院
- 市役所・区役所
- 銀行・郵便局
- 幼稚園・保育園・学校
- 図書館・公園・ジム
利便性は、資産価値に直結します。もちろんすべてが近隣にあるに越したことはありませんが、基本的には物件のあるエリアの需要を満たしていることが重要です。
スーパーやコンビニ、ドラッグストアのような日常の買い物に便利な施設は、エリアの居住者層に関わらず、ニーズがあります。
ファミリー層が多いエリアであれば、幼稚園や保育園、学校などの教育施設が充実していること、シニア層が多いエリアであれば、医療施設や文化施設が多いと利便性が高いと判断できます。
③周辺にあってほしくない施設はないか?
- 交通量の多い道路
- 工場・ガスタンク・下水処理場
- 風俗店
周辺に嫌悪施設があると、資産価値が下がりやすくなります。重要事項説明での説明が義務付けられています。
道路や工場、下水処理場などが建設途中の場合、重要事項説明において事前に説明されないこともあります。建設予定の施設を事前に知るためにも、不動産会社に確認したり、周辺を自分で散策してみたりしましょう。
④マンションの耐震性能は十分か?
- 構造(ラーメン構造・壁式構造・SRC構造)
- 耐震等級(1・2・3)
- 耐震基準(新耐震基準・旧耐震基準)
- 建物の形(長方形・L字やコの字など変形・ピロティ)
耐震性能も資産価値の高いマンションを購入する際に1つの重要な観点です。特に、中古マンションの場合、旧耐震基準か新耐震基準かで大きく資産価値が変わります。
旧耐震基準で建てられている物件の場合、改修やリノベーションなど購入以外に費用がかかることもあります。
他にも、新耐震基準に合わせて改修したいと考えても、リノベーション不可の物件となっていて改修できなかった、という事例も多くありますので、購入前に必ず確認しましょう。
⑤内覧時に気になる点はないか?
- 日当たりは十分か(朝・昼)
- 騒音は許容範囲か(朝・昼・夜)
- ドア・引き戸・窓は開閉時にきしみはないか
- 床・壁・天井にへこみ、傷、汚れがないか
- 収納は十分か?
内覧時に自分が気になる点がある場合、今後売却したり、貸し出したりする際にも、懸念点として上がってきます。
チェックリストに記載したとおり、時間帯によっても異なる場合があります。もし、気になる場合は、時間を変えて複数回内覧することも検討しましょう。
⑥部屋の室内設備は十分か?
- キッチン(IH・食洗器・ディスポーザー)
- 浴室(追い炊き・浴室乾燥機)
- トイレ(ウォシュレット・便座暖房)
- その他(床暖房・バリアフリー・和室)
部屋の設備も資産価値を維持する上で重要な要素です。
リノベーション前提で物件を購入する場合も、既存の設備状況によってリノベーションの難易度や完成度が変わります。例えば、排水管の配管状況やパイプシャフトの位置、床材の制限などはリノベーションに大きく関わりますので、購入前に確認しておきましょう。
⑦マンションの共用設備は十分か?
- 鍵タイプ(ディンプルキー・ウェーブキー・カードキー)
- 24時間ゴミステーション
- 防犯カメラ
- 管理人の有無
- 宅配ボックス
マンションの共用設備の充実度合いも重視されるようになってきました。
特に、宅配ボックスはECの普及に伴って重要度が高まっています。他にも、エントランスロックはセキュリティを大事にしたい人は、物件を探す際に必須条件としていることも多いです。
入居希望者が多い条件が揃っている=資産価値が下がりづらくなります。
⑧設備はきちんと管理されているか?
駐輪場、エレベーターなど、共有部分の設備管理がきちんと整備されているかもチェックしましょうを。通常これらの管理は管理会社が行っているため、現地の状況をみることで、トラブル対応時などの質の見極めにもなります。どのような張り紙が貼られているかや、ゴミ捨て場などの手入れが行き届いているかなど、細かい部分もチェックしておくと良いでしょう。
⑨税金を含む維持費はいくらくらいか?
- 管理費(月〇万円)
- 修繕積立金(月〇万円)
- 駐車場代(月〇万円)
- 固定資産税・都市計画税(年〇万円)
税金を含む維持費がいくらかかるかも必ず確認しておきましょう。
物件価格が安く見えても、他の費用が想定以上にかかることがあります。後で、「もっといい条件の物件を購入できたのに…」と後悔することがないよう、維持費も含めた金額で比較検討することをおすすめします。
⑩リノベーションの回数や内容は適切か?
過去に行われたリノベーションの回数や内容もチェックしておきましょう。もしもリノベーションの数が異様に多い場合や、同じ工事が繰り返されている場合などは、何かしらの問題が隠れていて解消されていない可能性があります。
リノベーションの履歴がある場合は、その内容や施工方法を確認して問題なさそうか確認するようにしてみてください。
マンション購入の注意点を理解して物件選びを進めよう!
今回は、中古マンション購入における注意点を詳しく解説しました。
中古マンション購入時には、金額面や物件の状況等について、注意すべきポイントがたくさんあります。とはいえ、初めてのマンション購入でこれらをすべて把握しておくのは難しいことだと思います。
またマンションを購入しようと思っている方の中には、
- 物件が多すぎてどれを選んだらいいのかわからない
- 不動産会社に連絡したら電話営業されそうで嫌だ
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記事のおさらい