初めての住宅購入や住み替えなどで考える際に「戸建てにするかマンションにするか」という問いで迷う方も少なくないと思います。それぞれ物件価格からメンテナンス費用まであらゆる点で異なっていますが、固定資産税もその一つです。
物件によっても変わってくる固定資産税ですが、実は購入価格が同じ一戸建てとマンションではマンションの方が固定資産税は高くなりがちなのです。
そこで今回は、固定資産税の計算方法から軽減措置、また戸建てよりも何ションの方が固定資産税が高くなる理由について解説していきます。これから戸建てにしようかマンションにしようか決めるという方は是非ご覧ください。
固定資産税とは
まず最初に、固定資産税の概要や計算方法について確認していきます。固定資産税についてはもう知っていて、一戸建てとマンションの比較がしたいという方は2章の「一戸建てよりマンションの固定資産税高い理由」をご覧ください。
マイホームの購入時に同じくかかる都市計画税も伏せて解説していきます。
固定資産税は何にかかる税金?
固定資産税とは、固定資産に対して課せられる税金のことです。
固定資産とは住宅をはじめとした家屋や田畑などの土地、船や航空機などの償却資産のことを指します。マンションの場合「土地を所有している」という感覚は少ないと思いますが、住民全員で区分所有している形になります。
また、固定資産税は地方税に分類されるので、納税先は市町村になります。
固定資産税の支払い義務があるのは、1月1日の時点で土地や家屋、償却資産を所有しており、固定資産課税台帳に登録されている人です。その年の初めに戸建てやマンションなどの居住財産を所有している場合には、4~6月頃に支払通知書が送付されます。
多くの場合、土地や建物の購入は年の途中で行われるため、最初の年の固定資産税は支払いの必要がなく、翌年以降に課税されます。したがって、前の買主に日割りの固定資産税を支払うことがほとんどです。
固定資産税の計算方法は?
固定資産税は所有している土地と建物それぞれに対して課税されますが、それぞれ計算方法が異なります。土地・建物それぞれの計算方法は以下の通りです。
土地の固定資産税評価額は、国税庁が定めた固定資産税路線価を基準にして算出されます。固定資産税路線価は購入価格の7割程度です。固定資産税路線価に対して、個々の土地の形状や道路と面しているかなどの細かい補正を加えて土地の課税評価額は決定されます。
例えば、土地の購入価格が2,000万円だとしたら課税評価額はおおよそ1,400万円程度です。したがって、1,400万×1.4%の19万6千円が土地分の固定資産税額となります。
対して、建物の場合には再建築価格×経年減点補正率の計算式で固定資産税路線価を求めます。
再建築価格とは、同じ建物を再び建てたときに想定される建築費のことです。再建築価格は、建物の構造などによって異なりますが、大体新築時の請負工事金額の50%~60%と言われます。また経年原点補正率とは、建物の建築後の築年数によって減価する割合のことです。新築時からだんだんと下がっていき、20年を過ぎると2割程度となることがほとんどです。
例えば、新築一戸建ての場合2,000万円で建物を新築した場合は、2,000万×0.5~0.6×1.4%の14万円~16.8万円が建物の固定資産税額となります。
土地にせよ建物にせよ、評価額は築年数や土地近辺の状況によっても変化していくので3年に1度評価替えを実施します。最近では、令和3年度が固定資産税の評価替えの年にあたりました。
固定資産税には軽減措置がある
上の章では固定資産税額を例として計算しましたが、「意外と高い」と感じた方も少なくないと思います。しかし、固定資産税には土地・建物両方に対して軽減措置があります。
土地の場合は特に期限等はありませんが、建物の場合は2022年3月31日までに新築した物件に限られることに注意しましょう。それぞれの軽減税率の一覧表はこちらです。
建物種別 | 固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|---|
税率 | 1.40% | 0.30% | |
建物 | 一戸建て | 3年間(長期優良住宅の場合は5年間) 固定資産税額(※1)の1/2を減額 | 減額無し |
マンション | 5年間(長期優良住宅の場合は7年間) 固定資産税額(※1)の1/2を減額 | 減額無し | |
土地 | 小規模住宅用地(※2) | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
一般住宅用地(※3) | 評価額×1/3 | 評価額×2/3 |
※1 一戸当たり、120㎡相当分までが限度
※2 住宅用地で一戸につき200㎡までの部分
※3 小規模住宅用地以外の住宅用地
なお、固定資産税の減税措置の適用には申請が必要なため忘れずに申請するようにしましょう。
家の売却を少しでも検討しているのであれば、「自分の家がいくらで売却出来そうか」を把握しておきましょう。
そのためには、不動産会社から査定を受ける必要があります。「イエウール」なら不動産会社に行かずとも自宅で24時間申し込みが可能です。自分の家に適した不動産会社を紹介してくれるので、膨大な不動産会社の中から選ぶ手間も省くことができます。
まずは、自分の物件種別を選択してから査定依頼をスタートしてみましょう!査定依頼に必要な情報入力はわずか60秒で完了します。
あなたの不動産、
売ったらいくら?
あなたの不動産、
売ったらいくら?
一戸建てよりマンションの固定資産税が高い理由
冒頭でも紹介したように、戸建てとマンションではマンションの方が固定資産税は高くなりがちです。一体どのような理由でマンションの固定資産税が高くなっているのでしょうか。以下に検討していきます。
マンションの方が減価償却期間が長い
まず第一の理由は、マンションと戸建ての減価償却期間の違いです。
建物の固定資産税額を計算する際に、再建築費用×経年減点補正率で固定資産税評価額を計算しますが、経年原点補正率はそれぞれの物件の耐用年数をベースとして計算していきます。耐用年数とは、建物の価値が0年になる年数を便宜的に定めたもので、マンションなどの鉄筋コンクリート造の建物の場合は47年、一戸建てなどの木造建築物の場合は22年と定められています。
したがって、経年劣化のスピードが一戸建てよりもマンションの方が遅いため建物の固定資産税評価額が高くなってしまい、結果的にマンションの固定資産税が高くなるのです。
マンションは土地の割合が少なく軽減措置の恩恵を受けづらい
第二の理由は、戸建てと比べてマンションは物件価格に占める土地の割合が少なく軽減措置の恩恵を受けづらいことがあります。
というのも、物件の価値全体を10とすると、一戸建ては土地:建物が7:3のような割合になりますがマンションの場合7:3と建物の価値が大きくなりがちです。したがって、上で紹介した土地の軽減措置(評価額×1/6など)の恩恵を受けづらく、総額も高くなってしまうのです。
特に中古マンションなどであれば、新築時の軽減措置も適用されないため固定資産税評価額そのままの額で計算されることとなりますので注意しましょう。
タワーマンションの高階層はより差額が開くことに注意
おおむね20階以上のタワーマンションでは高階層になればなるほど成約価格も高くなっていくものですが、以前は階層に関わらず固定資産税額は同額となっていました。
しかし、富裕層の相続時節税対策として取引されることが多くなり不公平感が増した結果、平成29年の税法改正以後、高さ60メートル以上のタワーマンションにおいては階層別の補正率を設定することによって高階層になればなるほど固定資産税額が高くなるようになりました。
具体的には、「1階を100として、階を増すごとに39分の10(0.2564)を加算」することとしています。一戸建てのほかにもタワーマンションを検討している人は特に新築では想像以上に固定資産税が高くなってしまう可能性もあるため注意しましょう。
一戸建てとマンションの固定資産税にはいくら差がある?
では具体的に一戸建てとタワーマンションでは固定資産税額にどのくらいの差額が出るのでしょうか。ここでは、新築一戸建てと新築マンションの固定資産税額が具体的にどのくらい開くかをシミュレーションしてみようと思います。
条件設定は以下の通りです。
【設定条件-一戸建ての場合】
- 土地面積:120㎡、建物面積:100㎡
- 物件価格:6,000万円(土地:4,000万円、建物:2,000万円)
- 土地の評価額は物件価格の70%、建物は50%として計算
- 長期優良住宅の認定は無し
【設定条件-マンションの場合】
- 土地面積:80㎡
- 物件価格:6,000万円(土地:2,000万円、建物:4,000万円)
- 土地の評価額は物件価格の70%、建物は50%として計算
- 長期優良住宅の認定は無し
※建物の減価償却率は「東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表」を適用して計算しています。
上の条件でシミュレーションした結果が以下の通りとなります。
【一戸建ての固定資産税の総支払額】
固定資産税(土地) | 固定資産税(建物) | 都市計画税(土地) | 都市計画税(建物) | 総支払額 | |
---|---|---|---|---|---|
1年目 | 6.5 | 5.6 | 2.8 | 2.4 | 17.3 |
2年目 | 6.5 | 5.3 | 2.8 | 2.3 | 34.2 |
3年目 | 6.5 | 4.9 | 2.8 | 2.1 | 50.5 |
4年目 | 6.5 | 9.4 | 2.8 | 2.0 | 71.2 |
5年目 | 6.5 | 9.0 | 2.8 | 1.9 | 91.4 |
30年目 | 6.5 | 2.8 | 2.8 | 0.6 | 470.5 |
【マンションの固定資産税の総支払額】
固定資産税(土地) | 固定資産税(建物) | 都市計画税(土地) | 都市計画税(建物) | 総支払額 | |
---|---|---|---|---|---|
1年目 | 3.3 | 13.4 | 1.4 | 5.7 | 23.8 |
2年目 | 3.3 | 13.0 | 1.4 | 5.6 | 47.1 |
3年目 | 3.3 | 12.7 | 1.4 | 5.4 | 69.9 |
4年目 | 3.3 | 24.6 | 1.4 | 5.3 | 104.4 |
5年目 | 3.3 | 24.0 | 1.4 | 5.1 | 138.3 |
30年目 | 3.3 | 8.6 | 1.4 | 1.8 | 729.1 |
以上が新築一戸建てと新築マンションの固定資産税の総支払額の比較となりますが、戸建ての30年間の固定資産税総支払額は470.5万円、マンションの総支払額は729.1万円となります。どの程度の差額が開くかはマンションにもよりますが、やはり建物部分の固定資産税額が高いことによって一戸建てとの差も相当な開きを見せています。
また、中古一戸建て・中古マンションであれば、新築に対する軽減税率の特例が適用されない額となるため、それぞれ1~3年目以降の建物に課税されている固定資産税・都市計画税は倍の金額となります。
したがって、築年数による減価償却が進んでいない築浅の中古マンションが最も固定資産税を課税される物件種別と考えることができます。新築との物件価格の大きな開きがなく、築浅を何となく購入しようと考えている方は新築物件の購入を検討してみても良いでしょう。
資金計画に悩んだときはプロに相談
住宅購入をした後、ランニングコストとしてかかり続ける固定資産税。戸建てとマンションとで課税額や軽減措置が変わってくるため、じっくりと検討する必要があります。
ただし、住宅購入時に考えるべき費用は固定資産税だけではありません。住宅購入のためには登記費用や司法書士費用、また手付金などの購入にかかる諸費用が別途現金でかかってくるほか、住宅ローン控除などの専門的な知識をベースに資金計画を立てないと損をする可能性があります。
そのため、住宅ローンを組む際は住宅購入のプロに相談しながら資金計画を立てることが必要不可欠です。
そこで、Housii(ハウシー)なら無料で不動産のプロにチャットで資金計画についての相談ができるだけでなく、あなたにピッタリの物件提案を受けることができます。
匿名で使えるから、電話営業をされるという心配もありません。
自分の年収や貯金額に見合った物件の購入を検討しているなら、ぜひHousiiで理想の住まい探しを始めてみてはいかがでしょうか。
記事のおさらい