「空き家を差し上げます」というのを見たことある方もいるかも知れません。
近年では、空き家の多さや処理をどうするかが日本全体での社会問題となっており、困っている方も多いかと思います。空き家を持っているけど住む予定もないし、活用するのも難しい。それなのに固定資産税等の税金がかかるから、売れるなら安くてもいいから売りたい!という方も多い中で、「空き家を無償で差し上げます」という方がいるのです。
この記事では、空き家を手放す方法の1つである「無償譲渡」のメリットや、とにかく手放したい方へ空き家を売る方法を紹介します。
「まずは家を売る基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
【無償譲渡】空き家を売るための基礎知識!
「家を差し上げます」と言っても、本当に無償で空き家をもらうことができるのか?
無償だとどうしても、裏があるかも知れない、怪しくないのかなど不安に思うかもしれませんが、この章では、まず空き家を無料で譲渡する「無償譲渡」について紹介します。
無料でもいいから手っ取り早く売りたい!という方は次の2章で詳しく解説しますのでそちらをご覧ください。
無償譲渡とは?
無償譲渡とは、譲渡代金なしで、目的物を譲り渡すことを言います。
つまり通常、物を譲渡する場合は、対価として一定の代金を支払うのが一般的ですが、その対価を0円とするのです。
法律的には「贈与」となります。
少し難しい言い方をしましたが、簡単に言うと、モノを無料で誰かにあげるということです。
空き家を無償譲渡でも処分したい理由とは?
無料でもいいから売りたいという方には心当たりがあるかとは思いますが、これから無償譲渡をしたい理由を説明していきます。
空き家とはいえ、財産的な価値がある「不動産」をなぜ無償の0円で譲渡するのでしょうか?
それには以下の理由が考えられます。
持費や税金を払いたくない
空き家とはいえ、不動産を所有している以上、固定資産税や修繕費用などの維持費がかかります。使いもしない空き家にこれらの費用をかけるくらいなら、空き家を処分してしまったほうが経済的負担は少ない方が良いというのが理由となります。
立地が悪く別の活用法がない
土地がある場合、立地が良ければ駐車場にする、マンションを建てる、誰かに貸すといったことができますが、立地条件が悪いとそのようなこともできないため、所有していても仕方がないのであれば、処分してしまったほうがいいという考え方があります。
近隣トラブル
この点は意外と忘れがちなのですが、空き家を放置した場合、周辺住民に様々な迷惑を及ぼす可能性があります。近隣住民から、景観が悪い、悪臭がする、犯罪の温床となるといったクレームを言われることがよくあります。
その結果、近隣トラブルを避けるためには、いっそ、処分してしまったほうがいいという考えに至る場合があります。
建物の老朽化
建物の老朽化等が進んでしまうと、空き家をなにかに利用しようとしても、多額の修繕費用が必要となります。それであれば、処分してしまったほうがいいという考え方があります。
遠隔地にある
都会で生活していて、遠隔地にある実家が空き家となっている場合などは、実際上、その実家を適切に管理することは困難が伴います。全国各地の空き家バンク情報
ここまで、どうして空き家の無償譲渡が行われているのかを見てきました。
空き家の無償譲渡を実際に行う場合には、各自治体が運営している空き家バンクに登録して、個人売買しているケースが多いです。
実際に、主要都道府県で自治体が運営している空き家情報サイトには次のようなサイトがあります。
自治体 | サイト |
東京都 | 東京都 空き家情報サイト |
埼玉県 | 市町村空き家バンク-埼玉県 |
千葉県 | ちばらしい暮らし |
北海道 | 北海道 空き家情報バンク |
愛知県 | 愛知県空き家・空き地バンクポータルサイト |
大阪府 | 大阪府・空家バンク |
京都府 | 京都移住コンシェルジュ |
福岡県 | 福岡県空き家バンク |
これらのサイトはいずれも都道府県が運営しているので、安心して利用することができます。
無償譲渡のメリット
では、実際に、空き家を無償譲渡した場合、どのようなメリットがあるでしょうか。
- 固定資産税などの多くの税金がかからなくなる
当該不動産の所有者ではなくなるため、固定資産税等の多くの税金をを納める必要がなくなります。 - 空き家の維持管理経費が不要になる
所有者でなくなるわけですから、水道光熱費、庭の草刈りなどといった、維持管理費の支出もなくなります。 - 地域に貢献できる
無償譲渡の相手方がNPO法人や自治体の場合には、当該土地の有効活用が期待でき、地方の活性化に貢献できる可能性があります。
- 無償譲渡でもいいくらい困っているなら、売るのが一番!
- 売れば、税金等の負担が大きくなくなり、生活が今より楽になる!
無償譲渡のデメリット
無償譲渡のデメリットには以下のような点があります。
- 贈与税の発生の恐れがある
無償譲渡は贈与とみなされ、一定額以上の贈与には贈与税が課税されます。贈与税の免除枠を超える譲渡は、受け取る側に税金の負担をもたらします。 - 相続問題の複雑化
無償譲渡が相続人間で行われた場合、相続時に不公平感や紛争の原因となることがあります。特に、譲渡された資産が大きい場合、相続人間での不均衡が生じやすくなります。 - 譲渡者の経済的リスク
譲渡後に譲渡者自身が経済的困難に直面した場合、手放した資産を活用できないため、リスクに対処する手段が限られます。
無償譲渡は、受け手にとってはメリットが大きいように思えますが、譲渡者にとっては上記のようなデメリットが伴います。したがって、無償譲渡を検討する際には、これらの点を十分に考慮する必要があります。
あなたの一戸建て、
売ったら
家の売却を少しでも検討しているのであれば、「自分の家がいくらで売却出来そうか」を把握しておきましょう。
そのためには、不動産会社から査定を受ける必要があります。「イエウール」なら不動産会社に行かずとも自宅で24時間申し込みが可能です。自分の家に適した不動産会社を紹介してくれるので、膨大な不動産会社の中から選ぶ手間も省くことができます。
まずは、自分の物件種別を選択してから査定依頼をスタートしてみましょう!査定依頼に必要な情報入力はわずか60秒で完了します。空き家を持っているけど住む予定もないし、活用するのも難しい。それなのに固定資産税等の税金がかかるから、売れるなら安くてもいいから売りたい!という方も多い中で、「空き家を無償で差し上げます」という方がいるのです。
空き家を0円でもいいから売るための方法とは
この章では、実際に無償譲渡を考えるとして、どうやれば売却できるのか?一番良い売却方法は何か?を説明していきます。0円ではなく、売ることで収益が上がる可能性もある?
一見、無償譲渡の場合には、不動産屋は譲渡代金がつかない以上、メリットはなく、関係ないと思われるかもしれません。実際、
しかし、無料でもいいから売りたいと思っている空き家が実は価値があって、売却することで収益が発生する可能性もあるのです!
- 0円じゃなくて、有料で売れる可能性があるの?
- そなたの空き家が0円の価値だと決めたのは誰じゃ?ちゃんと専門家に見てもらって、それでも0円だったのかの?
- いや、もう管理に困ってて、0円でもいいから早く手放したいと思ってて、、、
- そうじゃろ?だから、きちんと専門家にみてもらって、そして売却までのサポートをしてもらうことが重要なのじゃ!
空き家を売却したいなら、不動産会社に査定をしてもらおう!
不動産価値を見抜くことのできるプロの、不動産会社に、不動産(空き家)の価値を判定してもらうことを査定と言います。その査定をしてもらうことで、きちんと空き家の価値を把握することができ、全く価値がないと思っていても実は有料で売ることができる可能性もあるのです。
- なるほど!その査定をすることで0円じゃなくなる場合もあるのか!
- そうじゃ!査定だけでなく、その後の売却にも全てサポートしてくれるから、まずは不動産会社に査定を依頼することが大事じゃ!
- せっかく査定してもらうなら、ちゃんと査定してもらいたいんだけど、どうやって査定をしてもらえばいいのかな?
- それは今から説明していくぞ
査定する際は、無料の一括査定サービスを利用しよう!
きちんとした査定をしてもらうには、より多くの不動産会社に査定をしてもらってその査定額を比較することが重要です。- なるほど!でも、いくつもの不動産会社に連絡するのは忙しいし、めんどうくさいなぁ、、、
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空き家を放置し続けると「特定空き家」に認定される可能性がある
空き家問題に対応するために、国は平成26年に空き家対策特別措置法を制定しました。
ここではこの法律の概要を確認すると共に、具体的にどのような措置がなされる可能性があるのかについてみて行きましょう。
結論から言うと、特定空き家に指定されると今より最大で6倍の固定資産税を払う必要が出てきて、金銭的負担が大きくなります。そのため、特定空き家になる恐れがあったり、なってしまった場合は、なるべく早く売却することをオススメします。
特定空き家とは?
空き家対策特別措置法第2条第2項は、「特定空き家」を「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態又は著しく衛生上有害となる恐れのある状態、適切な管理が行われていない事により著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家」と定義しています。特定空き家の判断基準
これらの要件の具体的な内容を見ていきましょう。【倒壊等の保安上の危険となる恐れ】
・建築物が倒壊する恐れがある(著しい傾斜、建築物の構造耐力上主要な部分の損傷)
・屋根、外壁等が脱落・飛散する恐れがある(屋根の変形、屋外階段、バルコニーの腐食・破損・脱落など)
・擁壁が老朽化し危険となる恐れがある(擁壁表面に水が染み出し流出している)
【衛生上有害となる恐れ】
・建築物又は設備等の破損等が原因で、石綿等が露出していて飛散する可能性がある状態、浄化槽等の放置
・破損により汚物の流出・臭気の発生がある状態、排水等の流出による終期の発生がある状態
・ごみ等の放置・不法投棄が原因で、臭気の発生、多数のネズミ、ハエ、蚊などが発せいている状態
【景観を損なっている状態】
・景観法に基づき策定された既存の景観ルールに著しく適合しない状態となっている場合
・屋根、外壁等が汚物や落書き等で外見上大きく傷んだり汚れたままになっている状態
・多数の窓ガラスが割れたまま放置されている状態
・立木等が建物の全面を覆うほど繁茂している状態
【周辺の生活環境の保全の観点から放置することが不適切な状態】
・立木の枝等が近隣の道路等にはみだし、歩行者の通行を妨げている状態
・空き家に住み着いた動物等が原因で、その糞尿、汚物等により臭気が発生したり、シロアリが大量に発生している状態
・建築物の不適切な管理が原因で、門扉が施錠されておらず、窓ガラスが割れる等不特定の者が容易に侵入できる状態で放置されている状態
空き家等対策措置法と強制執行
空き家も所有者の財産ですので、所有者が自由に管理できるのが原則です。しかし、空き家がもたらす社会問題に鑑み、空き家等対策特別措置法は、地方自治体に、管理適切に行われていない空き家への対応として様々な権限を認めています。
具体的には、敷地に立入り調査を行ったり、所有者を確認するために住民票・戸籍謄本・固定資産税台帳・水道・電気の使用状況などの個人情報を利用したり、所有者に対して適切な管理の指導、助言、勧告、命令を行うことができるのです。
特定空き家に該当するとされた場合
空き家が特定空き家に該当すると判断された場合には、固定資産税の優遇措置が受けられなくなります。具体的には、土地上に建物がある場合には、土地の固定資産税が軽減されていますが、特定空き家に該当するとされ場合には、当該空き家がある土地についても更地と同じ評価額とされます。
空き家措置法の行政執行
空き家等特別措置法の最も重要なものは、行政代執行制度です。これは、所有者に対する助言・指導、勧告、命令を行ったにもかかわらず、所有者が従わない場合に、地方自治体が強制的に所有者に代わって危険な状態を除去する措置(敷地を越境している立木の枝を剪除したり、放置されているごみを撤去したり、建物自体を解体等する事)を行うことができるという制度です。その意味では、個人の財産権に対する大きな制限となります。
竹が他の家の敷地に入り込んでいるものの、他人は勝手に剪定できない為、住人同士のトラブルになっている事例もあります。
勿論これに要した費用は所有者が負担することとされ、地方自治体はこれを所有者から税金等と同様に強制的に徴収することになります。
更に、行政代執行がなされるというのは、命令にも従わなかった事が前提ですので、所有者は命令違反として罰金を課されることもあります。
空き家が問題になっている?
そもそも「空き家問題」というのは何なのでしょうか。空き家の所有者からは、「自分が所有する建物をどう管理しようと勝手だろ」という声が聞こえてきそうです。
しかし、空き家は社会全体の問題なのです。
「空き家」とは
空き家とは、「建物又はこれに付属する工作物であって、居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」をいいます(空き家対策特別措置法第2条第1項)。具体的には、1年間を通しての人の出入りの有無、水道・電気・ガスの使用状況などから、総合的に判断することとされています。
空き家問題とは
人が居住していない空き家でも、適切に管理されていれば問題はありません。しかし、往々にして空き家は管理が適切になされず、結局、放置されてしまうのが一般的です。
そうすると、家自体の価値が損なわれるのは勿論、空き家の周囲に住んでいる方々や地域全体にも悪影響を及ぼすことになってしまいます。これが空き家問題の本質です。
空き家が問題な理由
空き家問題の具体的な内容について見ていきましょう建物の理由
「人が住んでいないと家は痛みが激しい」とはよく言われることです。実際、長期間人が住んでいないと、その管理が疎かになるため、家の老朽化は驚くほどの速さで進みます。
その結果、ますます人が居住するのが困難な状態になり、遂には建物自体の倒壊の恐れすら生じさせ、それによって人の安全が脅かされる状態に至ることもあります。
防災上の理由
建物の老朽化が進むと、ちょっとした自然災害で倒壊したり、建物の一部が吹き飛ばされるなどして、周辺に被害を及ぼす可能性もあります。更には、老朽化等した空き家が存在する事により、当該地域全体での組織的な防災対策が取れない等の弊害を生じさせることもあります。
2018年の大型台風でも、空き家の倒壊で周囲の住宅に被害を及ぼしたという報道がありました。
防犯上の理由
空き家が放置されると、いわゆる割れ窓理論が言うように、そのうち、全ての窓が破壊され、不審者やホームレス、更には、不良のたまり場や住処となってしまう可能性があります。また、過去には、空き家を不法占拠して大麻を栽培していた事件、空き家で犯罪が行われた事例、空き家が放火の対象となるといった事例も報告されています。
つまり空き家の存在により、地域全体の治安の悪化をもたらす危険があります。
景観や衛生の理由
空き家は建物自体の老朽化と同時に、庭の雑草や樹木が生い茂り、ジャングル化、幽霊屋敷化していく危険があります。その結果、街全体の景観を損ね、地域発展の障害となる危険があります。
更には、ゴキブリ、ハエ等の害虫、ネズミなどの害獣の発生、ごみの不法投棄による悪臭や衛生上の問題を引き起こす事になりかねません。
テレビでも頻繁にゴミ屋敷問題の報道が行われています。
空き家の増加率と空き家になっている理由
空き家問題が重要な社会問題であることを理解した上で、実際に、現在の空き家の状況はどうなっているのかを見てみましょう。空き家の増加率
空き家については、総務省が5年毎に調査をしており、現時点での最新の調査結果は平成25年調査となります。それによると、空き家数は約820万戸で、空き家率は13.5%となっています。
前回の調査である平成20年調査のときに比べて、実に63万戸も増加しています。
参考URL
平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約
また、野村総合研究所が2017年に行った調査では、2033年には空き家が約2,116万戸、空き家率は30.4%に達すると予測しています。
空き家になっている理由
では、なぜ、こんなにも空き家が増加しているのでしょうか。- 思い出の家を手離したくない
自分は都会で居住しているが、誰も住まなくなった実家に思い出があるため、手放したくないという理由で保有を続けている場合が考えられます。 - いつか住むかもしれない
今は都会で会社勤めをしているが、将来、退職したら田舎で暮らしたいという理由で、実家を保有し続けている場合も考えられます。 - 物置として使っている
住んでいる家が手狭なため、空き家を物置として利用しているという場合も考えられます。 - お金がない
空き家を取り壊したり、空き家をリフォームするには費用がかかります。また、更地にすると、土地の評価額も空き家があった時よりも高くなるため、税金の負担も大きくなります。
従って、わざわざ費用を掛けて税金を増やすくらいなら、空き家のまま放置しておくほうが経済的なメリットが大きいということです。 - 関係者全員の賛同を得られない
親が亡くなり、実家が共同相続されると、実家は相続人の共有となります。
その場合、これを処分するには相続人全員の同意が必要となり、一人でも処分等に反対すると処分できない状態になってしまいます。
このように、共有名義の家は、処分が難しいという現実があります。 - そもそも所有者が分からない
家の所有者が亡くなったり、行方不明になった場合には、現在の所有者が誰なのか、所有者が生きていかも分からないという場合も考えられます。
空き家が増加しているという現状、今後も増え続けるであろうという予測、及び、その原因のいくつかを見てきました。
もちろん空き家増加の原因はこれだけではありません。
少子高齢化、核家族化、高齢者が施設に入ることによってそれまで住んでいた家が空き家になる場合、新築物件との需給バランスの崩れなど、様々な要因が、複雑に絡み合っていると考えられます。
いずれにしても、空き家問題は簡単には解決できる問題ではないということです。