活用しきれない土地でも、所有しているだけで毎年固定資産税の支払いや、草刈りなどの管理の手間がかかります。そこで、何らかの形で収益を得られるようにできないかと、土地活用法をいろいろと考える方が増えています。土地の活用方法にはいろいろな方法がありますが、特に狭くて使い道を見つけられない土地というものもあります。
狭くて使い道が見つからない土地でも、立地によっては看板を設定して広告の賃料を得るという選択肢があります。実際のところ、土地の活用方法として看板を設置した場合には、どのくらいの看板の賃料を得られるのでしょうか。
この記事では、土地活用法の一つである看板設置に向いている土地とはどのような場所なのか、賃料はどのくらい得られるのか、メリットやデメリットはどのようなものがあるのか、看板設置を検討中の方に向けて詳しく解説します。
その他、土地活用方法について詳しくは以下の記事もご覧ください。
土地活用で看板を設置する基礎知識
土地活用法としての看板設置ではどのくらいの賃料が期待できるのでしょうか。また、看板設置に向いている土地とはどのような土地なのでしょうか。看板設置についての基礎知識を解説します。
看板の設置で期待できる賃料の相場
看板の設置でどのくらいの賃料を得ることができるのか、相場を見ておきましょう。看板設置で得られる賃料の相場は、縦2メートル、横2メートルの大きさの看板の場合、年間で1万円から5万円程度が相場となります。
金額に大きな幅があるのは、立地によって広告価値が大きく変わるためです。渋滞するような交通量の多いロードサイドであれば賃料が高くなりますが、人通りがあまり期待できない場所では看板を設置しても、賃料はあまり期待できません。
自分で看板を設置して、広告主を探すという方法もあります。野立て広告を設置する場合のコストは、材質と大きさにもよりますが、材料費で3万円から8万円、取付費用で3万円から5万円程度、設置の際の道路使用許可を看板設置会社に代行してもらう費用が3万円程度、警備員への日当が2万円程度かかります。
看板の設置に向いている土地の条件
看板を設置するのに向いている土地とはどのような土地なのでしょうか。看板を設置する場合には、人の目に付きやすい立地であることが前提です。ロードサイドであれば、渋滞しやすいポイントや混雑する市街地などの交通量の多い場所が向いています。
徒歩で移動する人が多い都市部では、歩いている人の目に付きやすい小さめの看板でもいいでしょう。看板は土地だけではなく、建物の屋上や外壁に取り付ける方法もあります。人通りの多い通り沿いに何らかの不動産を所有している場合には、看板の設置も検討してみてもいいでしょう。
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活用事例:北新宿の活用事例
エリア | 東京都 |
土地面積(㎡) | 168.95 |
延べ床面積(㎡) | 271.25 |
工法 | 木造2×4工法 |
建築費用(円) | 8,000万 |
住友不動産株式会社の土地活用事例
土地活用で看板を設置する4つのメリット
土地活用で看板設置を選択すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。収益を得られるさまざまな土地活用法がある中で、看板設置を選択するメリットについて解説します。
土地を貸すだけなら初期費用がかからない
看板設置に限らず、土地活用法の多くは多額の初期費用が必要になるものが多いのが現状です。アパート経営やトランクルームを経営する場合には、数百万円から数千万円のアパートローンや投資用ローンを組んで始める方も少なくありません。一見すると初期費用がそれほどかからないように思える駐車場経営でも、土地を整地して砂利やアスファルトを敷いて、区画の線を引くのにそこそこの金額がかかります。また、コインパーキングにする場合には、コインパーキング専用の設備の設置に200万円程度かかるのが通常です。
しかし、看板設置であれば初期費用をほとんどかけずに土地活用を始めることができます。
もしも自分で看板を設置してから広告主を探すのなら、15万円前後の看板設置の初期費用がかかります。しかし、他の土地活用法と比較すると格安の初期費用で始めることができます。
さらに、看板設置では土地を貸すだけで看板設置の初期費用を利用者に負担してもらうこともできます。自分で設置すれば15万円ほどの費用がかかる看板設置を利用者にすべて行ってもらうのです。
その代わり賃料は自分で看板を設置した場合よりも安くなりますが、土地を貸すだけで看板設置の初期費用の負担がないであれば、看板設置に関してコストはほとんどかかりません。
その土地を所有することで必要なコストは固定資産税程度です。ただし、看板は建物ではないので、固定資産税の住居部分の土地の軽減措置。
狭く形の悪い土地でも収益が見込める
土地活用をしたくても、活用しようがない土地というのがあります。狭すぎて使い道がまったくない土地であったり、形が悪くて建物が建てられない土地であったりしても、看板を設置するスペースさえ確保できれば看板を設置して収益が見込めます。
また、野立て看板であれば30センチメートルほどの幅があれば設置できます。他の用途で活用している土地に30センチメートルの幅で2メートルほどの長さが確保できれば、看板を設置して広告の賃料の副収入を得ることも可能です。
狭かったり形が悪かったりして他に使い道がない土地や、ちょっとした土地の空きスペースに看板なら設置できるというメリットがあります。
収益は長期で安定している
土地活用法として看板設置を選択するメリットとは、長期間の安定した収益が見込めるという点です。看板から得られる賃料は金額は少ないのですが、契約は必ず年単位で結ばれます。活用法が他にない土地であれば、固定資産税程度の収入は常に確保できることになるので、経済的な負担軽減に役立つでしょう。
他の土地活用法を選択した場合、アパート経営やトランクルーム経営では借主がいつ退去してしまうかわからない空室リスクが常にあります。しかし、看板は年単位での契約になるので、契約期間中は必ず賃料を得ることができます。
また、契約が終了しても、広告価値の高い立地であれば次の広告主もすぐに見つかるでしょう。交通量の多いロードサイドや、店鋪が多い都市部であれば、宣伝効果が高いので、多少賃料が高くても広告を出したいという広告主は多いものです。
広告を設置する立地にも大きく左右されますが、広告の需要の高い立地であれば、集客が比較的容易です。
別の土地活用への転用が容易
看板を設置した土地を他の用途で利用したいと思ったら、看板を撤去するだけで土地の転用が可能である点もメリットと言えます。もちろん、広告主との契約が終了するまでは広告を撤去できませんが、広告主との契約終了後には更新しなければ問題ありません。
看板以外の用途で土地活用をした場合、アパートやトランクルーム、コインパーキングの設備などを撤去して他の用途に転用するのはかなり難しいことです。設備を撤去して他の用途に転用するために数百万円の費用がかかることがあります。しかし、看板であれば更地に看板を設置しただけなので、撤去は簡単にできます。
ただし、撤去するにあたって野立て看板の基礎工事をしているのであれば、基礎から撤去するためには10万円以上の費用がかかってしまいます。広告主が設置した看板であれば、撤去費用の負担も求められるように、契約するときに契約書へ記載しておくことをおすすめします。
土地活用で看板を設置する3つのデメリット
メリットが多い土地活用法としての看板設置ですが、理解しておくべきデメリットもあります。看板設置を土地活用法として選ぶ場合の3つのデメリットについて解説します。
期待できる収益の低さ
土地活用法として看板設置を選択する場合には、得られる収益はとても低いことを理解しておきましょう。看板設置で得られる賃料は年間で1万円から5万円程度です。自分で看板を設置する場合には、15万円ほどの設置費用と10万円ほどの撤去費用がかかります。初期費用と撤去費用を捻出するためには、数年かかることを理解しておきましょう。
設置費用と初期費用、固定資産税を支払ったらほとんどプラスにならない場合も少なくありません。土地活用法の中でも看板設置は、看板を設置する土地の固定資産税の費用負担を軽減する程度と考えたほうがいいでしょう。
規制によって自由に看板を設置できない
広告を設置する場合には、法令や自治体の条例に従って設置しなければいけません。自治体によっては、景観を守るための景観条例によって広告の場所や色彩、デザイン、大きさに制限を設けている場合があります。
また看板は道路上に設置することはできませんが、道路沿いの建物の外壁に取り付けて道路の上空にはみ出して設置することは可能です。道路の上空に設置する場合には、道路の管理者に占有許可を得る必要があります。この場合には、道路への出幅、高さ制限があり道路の管理者との事前協議が必要です。
また、4メートルを超える高さの野立て看板を設置する場合には、建築基準法の適用を受ける建築物とみなされて、着工前の確認申請と確認後の完了検査が必要になります。
設置しようとしている看板がどのような法令や条例の制限を受けるのか、設置工事を行う業者や役所に事前によく確認するようにしましょう。
放置すると劣化でトラブル
看板は経年劣化します。経年劣化によって看板が落下したり、台風などの強風で飛ばされてしまい、人に怪我をさせたり建物や自動車を損傷させたりした場合には、損害賠償請求をされてしまう可能性があります。
看板は屋外に設置するものなので、日頃から風雨にさらされて劣化しやすい環境にあります。看板の落下などによる被害を防ぐためには、定期的な保守点検とメンテナンスが必要です。また、万が一の場合に備えて看板の所有者が加入できる賠償責任保険もあります。看板を設置したのなら、年に1回程度の保守点検とメンテナンスは必ず行いましょう。また、万が一に備えた賠償責任保険への加入は必ずしておきましょう。
看板のメンテナンスについては、看板を設置した工事業者や看板の点検を専門に行なっている業者に相談してみるといいでしょう。
最適な土地活用方法は土地の立地や広さ、周辺の需要によって変わります。土地活用を検討しているなら日本最大級の比較サイトイエウール土地活用で複数企業から土地活用プランを取り寄せましょう。将来の収益性の高い土地活用方法を見つけることができます。
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土地活用で看板を設置する手順
土地活用法として看板設置を選択した場合、どのような手順で看板を設置したらいいのでしょうか。土地活用法として看板を設置する場合、自分で看板を設置してから広告主を探す方法もありますが、看板設置に必要な許可申請など、詳しい知識がないと抜け漏れが出てしまう可能性があり、全て自力で行うことはおすすめしません。
看板をはじめて設置する場合には、専門家にお願いしたほうがいいでしょう。今回は、専門家に依頼して看板設置を進める場合の流れについて解説します。
看板の設置に向いた土地なのか専門家に相談
まず、看板設置を検討している土地が本当に看板設置に向いている土地なのかどうかを、土地活用の専門家に相談してみるといいでしょう。インターネットで「土地活用 相談」などと検索すると、土地活用の相談に乗ってくれる専門業者がたくさん見つかります。
相談したり費用の見積もりを取ったりするだけなら無料でできるので、まずは無料相談や無料の見積もりを取ってみましょう。土地活用に関する一括比較サービスなどを使うと、複数の業者からプラン提示や見積もりを一度に取り寄せることができます。
土地の所有者としては看板設置に向いている土地だと思っても、他に収益性の高い使い道があるかもしれません。まずは、空いている土地の最もベストな活用法が看板設置なのかを相談することをおすすめします。
看板の広告主探し
看板設置に向いている土地だということがわかったら、看板の広告主を探します。看板の設置は広告主にすべておまかせする場合と、自分であらかじめ立ててから広告主を探す場合があります。
広告主の探し方は、看板設置がはじめての場合には広告代理店を通すのが最も簡単で確実に見つけられる方法です。自分で他に事業を展開していて、人脈がある場合には自力で見つけることができる場合もありますが、人脈がない場合には代理店を通すことをおすすめします。
また、自分で設置した看板のスペースを貸し出す場合には、看板のスペースに「広告募集」という言葉と連絡先を書いておくと、広告を出したい企業から連絡が入ることもあります。この場合には、広告代理店へ支払う代金を節約できます。自分でゼロから看板を設置する場合にはおすすめの方法です。
関係各所に看板設置の申請
屋外に看板を設置する場合には、役所などに申請を行わなければいけません。看板設置にあたって必要になる許可は次のとおりです。
- 屋外広告物許可申請
各地方自治体が独自で定める屋外広告物条例などに従って申請するものです。市区町村役場の土木課やまちづくり課などが担当窓口になります。
自治体によって広告の大きさや色彩、デザインなどに制限があるので、屋外に看板や広告を設置する場合に事前の申請が必要になります。申請が必要になる条件は自治体によって異なり、例えば10メートルを超える看板を設置するときに申請が必要になる場合や、歴史的建造物が多い観光地の京都府では赤ベースの看板は設置できないといった条件があります。
- 道路占用申請
看板が道路にはみ出す場合に必要になる申請です。道路管理者に申請します。国道なら国が、県道なら県が、市道なら市が管理者となり、申請先が違うので注意しましょう。袖看板や壁面看板、オーニング、スポットライトなどに幅や厚みがあり道路にはみ出す場合に申請します。また、道路にはみ出した部分は占用料を支払います。
- 工作物確認申請
4メートル以上の大きな看板を設置する場合に必要な申請です。市区町村役場の建築課などに申請します。
これらの申請は、詳しい知識がない人が自分で行うと抜け漏れが生じる可能性があります。万が一、申請や許可の抜け漏れがあると法律や条例に違反した看板となってしまいます。抜け漏れがないように、看板を設置する専門業者にすべてお任せしてしまうことをおすすめします。
看板以外で狭い土地でも可能な活用法
看板を設置するのに向いている土地とは、ある程度の交通量が見込めて、近くを通る人からの視認性が良く、高い広告効果を見込める土地です。狭くて看板設置以外の活用法がないと思われる土地でも、広告効果が見込めない立地では、自分で看板を設置したとしても、広告主を探すのは難しいでしょう。
活用するのが難しい狭い土地でも、看板以外の活用法を見つけることができます。狭くて活用が難しい土地の看板以外の使い道について解説します。
電気が使えるなら自動販売機
狭くても電気を使える土地であれば自動販売機を設置するのがおすすめです。ある程度の交通量が見込める場所であれば、自動販売機を設置することで、完全に管理を委託したとしても、1台につき月に数千円の副収入が期待できます。飲料の自動販売機だけでなく、カップラーメンやお菓子、アイスクリームなど立地によって複数の自動販売機を組み合わせることで、収益拡大も期待できます。
自動販売機を設置する場合、完全に自分で管理する場合と専門業者に委託する場合があります。自分ですべて管理する場合には、自動販売機の購入と設置から全て自分で行うことになります。ジュースなどの仕入れと電気代を売上から差し引いた金額がすべて自分の利益になります。
自動販売機の設置と管理の専門業者に土地を貸し出す形にすると、売上の20%程度が収入となり、そこから電気代を差し引いた金額が利益になります。業者に委託すれば初期費用も管理の手間もかけずに済みます。
立地に合わせたサービス機
コインロッカーやカプセルトイ(ガチャガチャ)、証明写真などのサービス機を設置するのもおすすめです。近年では、オープン型の宅配ボックスの需要も高まっています。土地が人通りの多い道路に面している場合には、このようなサービスを検討するのもいいでしょう。
サービス機の中には、自動販売機のように電気が必要なものもありますが、電気がなくても設置できるものもあります。電気が必要ないものであれば、土地の固定資産税以外のランニングコストがかかりません。
専門業者に土地を貸し出して設置や管理運用を完全に委託する形にすれば、初期費用もかかりません。大きな金額を稼げるものではありませんが、立地がよく、その立地に合ったサービス機の設置ができれば、月に数万円稼げることもあります。
土地を売却して現金化
看板設置も自動販売機やサービス機の設置も難しく、固定資産税のコストばかりがかかる土地であれば、活用法を無理して探すよりも売却したほうがいいでしょう。売却して現金化すれば、現金を投資に回すなどして資産運用が可能になります。
活用できない土地を固定資産税のコストをかけ続けながら所有し続けるよりも、現金化したほうが選択肢が広がるでしょう。
狭くて活用法がない土地でも、工夫次第では売却できる可能性があります。売却先としておすすめなのは、狭小地住宅を専門に手掛けている工務店などです。狭小地住宅とは、狭い土地に木造3階建てを建てた住宅のことです。狭小地住宅はデザイン性に優れた面白い物件が多いことから、若い人たちに人気があります。
インターネットで検索してみると、狭小地住宅を専門に手掛けている企業が見つかるので、そのような企業に話を持ちかけてみるといいでしょう。
お持ちの土地に最適な土地活用方法を見つけるためには選択肢を広げて複数のプランを検討してみることをおすすめします。日本最大級の比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけで土地活用プランを取り寄せることができます。
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土地活用で看板を設置する際はメリット・デメリットを比較して検討
土地の活用法として、看板設置は一つの選択肢ですが、この記事の中でお伝えしたように、メリットもあればデメリットもあります。特に、高い収益性を求めるのであれば、看板設置はおすすめできません。自動販売機などのもっと高い収益を見込める選択肢があればそちらを選んだほうがいいでしょう。
その土地の活用法として、本当に看板設置しか選択肢がないのか、そもそも看板設置に向いている土地なのかどうかは、土地活用についての専門的な知識や経験がなければ判断できません。やはり、看板設置を自分の考えだけで決めてしまう前に、土地活用の専門家に相談してみることをおすすめします。
また、看板設置には法令や条例に従った申請や許可を得る必要があります。看板を設置するときには、役所への申請に漏れがないように、専門業者に相談しながらしっかりと確認しましょう。