持て余している遊休地をお持ちの方であれば、その土地を有効活用することを検討することもあるのではないでしょうか。土地を更地のまま所有していても、固定資産税や都市計画税がかかるだけの負の資産になってしまいます。
アパートやマンションの経営を始めたり、駐車場として貸し出すなど活用して利益を生む土地になってほしいと考えるのはもっともでしょう。しかし土地活用は不動産投資の一種であり、成功もあれば失敗もあります。投資した費用がそのまま返ってくるとも限りません。土地活用で生じるリスクを最小限に抑えることができる土地活用方法を選びましょう。
この記事では、土地活用のリスクとその回避方法、リスクを最小限にする活用方法の選び方について解説します。
- 空室のリスク
- 入居者トラブルのリスク
- 売却ができないリスク
- 災害のリスク
- 金利上昇のリスク
土地活用の相談先についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
土地活用のリスクとは
土地は活用せずに放置し続けることでリスクが発生するだけではなく、活用した場合にもリスクが生じることがあります。
殆どの土地活用には初期費用や維持費用がかかり、方法によって異なりますが、中には億単位の初期費用がかかるものもあります。そういった場合はローンを組んで始めますが、リスクを考慮せずに土地活用を始めるとローンの返済ができずに破産したり、維持費用に充てる資金がなくなったりします。
そのようなことを事態に陥らないために、事前に土地活用にはどのようなリスクがあるのかを理解しておく必要があります。以下は土地活用におけるリスクです。
空室の発生により支出が増える
入居者がトラブルを起こす
売却したいときに売却できない
災害の発生による建物の喪失
金利上昇による返済の滞納
土地活用をした場合のリスクとはどのようなものがあるのかを把握して、活用時に役立てましょう。
空室の発生により支出が増えるリスク
賃貸経営で土地活用をした場合は、空室が発生すると得られる家賃収入が少なくなります。空室が増えると収入が減るだけではなく、支出も増えるため金銭的なリスクは高くなります。
賃貸物件をローンを借りて建築した場合は、空室が増えた場合でも変わらずローンの返済をしなければなりません。収入が減り、支出が増えることで、金銭的な負担が大きくなってしまうリスクがあることは理解しておきましょう。
入居者がトラブルを起こすリスク
空室が少なく、入居者がいて満室状態の場合でも、入居者がトラブルを起こすというリスクは考えられます。入居者同士がもめてトラブルが起きるだけではなく、家賃の滞納などの問題も発生する場合があります。
入居者トラブルを起こさないためには、入居時の審査を念入りに行ったり、入居者の質を低下させないために、家賃を下げすぎないようにしたりすることが大切です。
売却したいときに売却できないリスク
土地活用を行うことで、売却したいときに自由に売れない場合があります。例えば定期借地権で契約期間を定めて貸し出した場合は、契約満了まで売却はできません。
また、土地活用をして時間が経過し、不動産の価値が低下してしまうと売却しても利益が出なかったり、売却自体ができなかったりすることもリスクとして覚えておきましょう。
売却が難しくなると、相続税の支払いが発生した際に現金化できず、出費が増えてしまうなどの問題もあるため、土地活用におけるリスクが大きいことは理解しておかなければなりません。
災害の発生による建物の喪失リスク
土地活用で建物を建築した場合は、災害の発生によって建物が喪失するリスクがあります。火災や地震、台風などによる被害や水害など、建物の損傷や倒壊、焼失などのリスクは少なからずあります。
建物が喪失すると、資産を大幅に失ってしまうことになり、資産消失のリスクが大きいことは土地活用をした場合の危険性として覚えておくことが大切です。
金利上昇による返済の滞納リスク
土地活用でローンを借りた場合は、月々返済をしなければなりません。ローン契約で変動金利制を選んだ場合は、市場金利が上昇することで返済額が増え、場合によってはローンを滞納してしまうリスクがあります。
変動金利では市場金利が下がると返済額も少なくなるメリットはあるものの、金利の上昇によって支払い額が増えるリスクもあるため注意が必要です。
- なるほど、土地活用をするにしてもしないにしてもリスクがあるんだね!
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土地活用のリスクを最小限にする活用方法の選び方
土地活用のリスクを最小限にするためには、どのように活用方法を選ぶと良いのでしょうか。
市場調査の結果に忠実に選ぶ
土地活用で失敗しないためには、事前に市場調査を行うことが大切です。土地の状態や広さ、周辺でのニーズなどを確認し、どのような活用方法が適しているかを確認しておきましょう。
また、近隣に競合となる店舗や賃貸物件などがある場合は、そこが成功しているかも調べておくことが大切です。競合が失敗していると、その土地で同じ活用方法を試しても経営が成功する確率は低くなります。
土地によってどのような活用方法が向いているかは異なるため、事前の調査を念入りした上で結果に基づいた判断をおこないましょう。
初期投資の少ない土地活用方法を選ぶ
ローンの支払いによるリスクを軽減したいなら、初期投資の少ない土地活用方法を選ぶことがおすすめです。
初期投資が少なければローンの支払い負担は少なくなり、滞納するリスクも軽減できます。ローン支払いが少なくなることで、収入が低くても安定した経営を目指しやすいです。
ハイリターンを狙うとリスクも高まるため、リスクヘッジをしたいならリターンが少なく初期投資額が小さい活用方法を選びましょう。例えば、駐車場経営、トランクルーム経営、等価交換などが挙げられます。
土地活用のプランを比較して選ぶ
土地活用を行う際には、プロに相談して複数の土地活用プランを比較することが大切です。土地によってどのような活用方法が向いているかは異なるため、提案されたプランは収益性やリスクなど、複数の観点から比較して選ぶようにしましょう。
最初に提案された1つですぐに決めてしまうと、土地に合わない活用方法になってしまい、失敗するリスクが高まります。土地活用のプロにアドバイスをもらうだけではなく、プランは複数で比較することが重要です。
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土地活用種類別のリスクとその回避策
土地活用にはリスクがあります。とはいえ、土地活用の種類によってリスクの実情は異なります。ここでは、土地活用種類別にリスクとその回避策を解説していきます。
アパートマンション経営
アパートマンション経営は、うまくいけば毎月賃料収入が発生するポピュラーな土地活用方法です。
アパートマンション経営のリスク
アパートマンション経営における最大のリスクは空室や家賃滞納による収入低下リスクです。
賃貸経営において収益源は賃料収入です。賃貸需要のない立地で賃貸経営を初めても、入居者が集まらず収入が発生しないなんてことが起こり得ます。
家賃収入がなくてもローンの返済は続き、税金の支払いも発生し、赤字経営に陥ってしまうことがあります。
アパートマンション経営のリスク対策
そのため、土地活用の方法としてアパートマンション経営を選ぶ場合は短期的な投資回収計画だけでなく、安定経営をおこなうための中長期的な収支計画を立てる必要があります。
アパートマンション経営に限った話ではありませんが、土地活用を行うにあたっては初期費用だけでなくその後のコストに対する見通しが甘いことで失敗することが多いです。
失敗しないためには初期費用だけでなく修繕費や運転資金も含めてコストの全容を事前に把握しておくことが大切です。
初期費用としてあげられるのは、次の通りです。
印紙税
登録免許税
ローン手数料
司法書士への報酬
仲介手数料
また、どのような土地活用をするかによってかかる費用は異なりますが、代表的なランニングコストとしては次のものがあげられます。
火災・地震などの保険料
管理委託料
ローンの利息
建物の修繕費用
建物の保守や清掃業務にかかる実費
自身が行いたい土地活用ではどのようなコストがかかるのかを把握し、総額いくらになるのかは事前にチェックしておきましょう。
駐車場経営
駐車場経営は建物の建築が不要であるため、素早く経営を開始できるだけではなく、コストもそれほどかかりません。収益性は低いものの、出費が少ないためリスクは低く、他の土地活用への転用がしやすいことも特徴です。
駐車場経営のリスク
駐車場経営では、月極駐車場にするかコインパーキングにするかの選択を間違ってしまうことで利用率が下がってしまうリスクがあります。
より多くの収入を得ようとすると、利用時間ごとに利用料を請求できるコインパーキングの方が月間の総利用者数が多くなるため魅力的に感じますが、そもそも車を一時的に停める必要性がない立地でコインパーキングを始めてしまうと、利用してくれる人がいません。
駐車場経営のリスク対策
駐車場の種類も、立地の特性を考慮した上でリスクヘッジができるものを選びましょう。
周辺に商業施設があるエリアの場合はコインパーキングが向いているかもしれません。契約者のみ利用できる月極駐車場を経営するなら、初期投資を抑えることができます。
トランクルーム経営
土地にトランクルームを作り、貸倉庫として貸し出すことでも収益化は可能です。トランクルーム経営は初期投資が安く、管理の手間もそれほどかかりません。
トランクルーム経営のリスク
アパートマンション経営など居住用の賃貸住宅は、固定資産税や相続税などで大きな節税効果を期待できる活用方法です。
一方、トランクルームの場合は、それと比べると税効果では見劣りしてしまいます。
さらにトランクルーム自体の需要はそれほど多くはないため、アパートやマンションのように仲介業者(不動産会社)が客付けを行ってくれることも少なく、集客の難易度が高いです。
トランクルーム経営のリスク対策
トランクルーム経営を始める場合はその立地でトランクルームの需要があるかどうかがポイントになるので、借りてくれる事業者の当てをつけておくことが重要です。
田舎の土地でも行える活用方法であり、場所を選ばない点も魅力です。トランクルームの管理は業者に委託することも可能であり、管理の手間をさらに減らして経営することも可能です。
等価交換
所有する土地を不動産会社に提供し、建物を建築してもらいます。提供した土地の価値と等価交換して、建物の一部を所有することも土地活用方法のひとつです。
建築費用を負担せずに建物の一部を手に入れることができるため、土地活用の方法として覚えておくとよいでしょう。
等価交換のリスク
等価交換では、地主とデベロッパーの間で比率の配分についての話し合いが行われます。
この配分は、建築完了時の建物と土地の配分を決めるもので、配分が大きいほど自身の持ち分が増えその後の利益につながります。
その配分を決める際の根拠は、土地の評価額がベースになります。
そのため、地主側は土地の評価額が高くなるよう交渉し、一方デベロッパー側は土地の評価額が低くなるように交渉してくるため、お互いの意見がまとまらずに平行線となってしまうことが多くあります。
場合によっては配分の交渉が長引き、数か月~数年間決まらないこともあります。
等価交換のリスク対策
交換比率の交渉の際に主導権を握られる可能性があり、自分が知らないうちに損してしまうなんてことも起こりえます。
等価交換を進めるうえで、デベロッパー側との知識・経験の差はどうしても発生してしまうものなので、オーナーとして守るべきラインを決めた上で交渉をおこないましょう。
太陽光発電
広い土地を所有しているなら、太陽光発電システムを設置して売電収入で収益化を目指すこともおすすめです。システム導入に費用はかかりますが、コストは低くなっており、自治体によっては補助金制度を利用できる場合もあります。
発電した電気は電力会社に買い取ってもらうことができ、20年間は固定価格です。周囲に建物の少ない田舎の土地だと効率的に発電できるため、郊外に広い土地を持っている人におすすめの土地活用方法です。
太陽光発電のリスク
太陽光発電のリスクは、台風や積雪など自然災害の影響を直接受けること、メンテナンスの必要があることです。
日本は地震大国であることに加え、夏から秋にかけては台風が度々上陸します。太陽光発電は台風にも耐えられるように設計されていますが、強風で運ばれてきた小石や木片、木の枝がパネルを傷つける可能性を危惧すべきです。
また、雑草が太陽光パネルに覆いかぶさると影ができてしまい発電量の低下に直結します。
太陽光発電のリスク対策
太陽光発電では太陽光発電は、「メンテナンスフリー」などとうたわれることもありますが、充分な発電量を得て売電収入を確保するためにメンテナンスをおこないましょう。
草刈りを定期的におこなうだけでなく、除草剤を使って既に生えている雑草を枯らしたり、発生を一時的に抑制する対策が必要になってきます。
所有する土地でどのような土地活用種別が良いのか迷ったときは複数の土地活用プランを一括請求・比較できるサービスを使うことをお勧めします。イエウール土地活用なら、複数のプランを比較して収益性の高い土地活用方法を見つけることができます。
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土地活用にはリスクがあることを心得よう
土地は利用していなくても、所有しているだけで固定資産税や都市計画税などがかかります。
また、更地のまま所有している場合は、建物がある場合よりも税金の負担は大きくなります。土地にかかる固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍になるため、更地のまま所有すると税負担がより重たくなってしまうことは理解しておきましょう。
そのため、土地を無駄にしないためにも土地活用を考えることが大切ですが、土地活用にもリスクがあることは理解しておかなければなりません。
リスクを正しく理解し、土地活用に臨むことで、失敗なく収益化しやすくなります。土地活用で成功するためにも、リスクヘッジを行い、無理なく収益化を目指しましょう。