実家の土地は活用すれば、不動産収入を得ることができます。では、具体的にはどのような活用方法があるのでしょうか。
本記事では、「実家の土地を活用したいけどどうすれば良いか分からない」とお悩みの方に向け、実家の土地を活用する方法10選やその選び方、活用を考えるならやっておきたいことなどについて詳しく解説しています。
- 「トラブルの元になる」「支払う税金が高くなる」「維持管理にコストがかかる」といった理由から、実家の土地を放置することはおすすめできない
- 実家の土地を活用することには、「継続的に収益を得られる」「節税になる」というメリットがある
- 一方で、「まとまった資金が必要」「空き家がある場合は解体費用がかかる」「売却するよりもリスクが高い」というデメリットもある
- 実家の土地を活用する方法は多くあるが、「放置せず、活用もしない」という選択肢も存在する
実家の土地の放置はしない方が良い理由
これまで実家の土地を活用させる方法や、それ以外の方法についてご紹介していきましたが、他にも放置しておくという選択肢もあります。「いつか自分や親族が住むかも」といったケースでは、放置を検討することがあるかと思います。
しかし、実家の土地や空き家を放置しておくことはリスクが高く決しておすうすめできる方法ではありません。ここでは、その理由について解説します。
トラブルのもとになるため
実家の土地や空き家を放置しておくことで、様々なトラブルが発生します。以下のようなトラブルです。
- 倒壊による近隣への被害
- 管理不足による治安の悪化
- 土地や空き家の劣化による衛生環境の悪化
土地や家は、人の手入れがないと劣化が急速に進行します。劣化した空き家が倒壊することで、近隣に被害が出ると損害賠償責任を負う可能性もあるため注意しましょう。
また、人の目や管理が行き届かない土地や空き家は、治安や衛生環境が悪化してしまいます。特に、実家が遠方にある方などは注意してください。
固定資産税と都市計画税が高くなるため
実家の家を放置すると固定資産税・都市計画税が余計にかかる可能性があります。というのも、家屋が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用されることにより固定資産税は更地の1/6、都市計画税は更地の1/3となりますが、家屋が空き家の場合はこの対象外となるケースがあるためです。
つまり、家屋が建っているにもかかわらず更地と同じ額の固定資産税・都市計画税がかかってしまいます。
住宅用地の特例の適用外となるケースは、空き家が「特定空き家等」に指定されたときです。老朽化度合や周囲に及ぼす安全上の影響など、様々な条件のもと特定空き家に該当するかどうかを行政が判断します。現在は世帯数に比べて住宅数が多く空き家問題が深刻となっています。そのため、今後は特定空き家の条件が緩和されることも考えられます。
維持管理にコストがかかるため
土地や空き家について、その環境を保ちづけるためには頻繁な手入れが必要になります。空気の入れ替えや雑草除去、修繕などは、放置期間が長引くほどそのコストも重くなってしまいます。
実家の土地や空き家を放置するなら半年や1年といった短期間にとどめ、なるべく早い段階で活用や売却の方向で結論を出した方が良いでしょう。
実家の土地を活用したほうが良いのかお悩みの方は、実際に土地活用プランを確認してみることもおすすめです。イエウール土地活用なら、複数のプランを比較してお持ちの実家の土地に最適な活用方法を見つけることができます。
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実家の土地を活用するメリット
ここでは、実家の土地を活用させるメリットについて詳しくご紹介します。
継続的な収益を得られる
実家の土地を活用させることで、継続的な収入源作り出すことができます。例えば、賃貸物件を建てて賃貸経営したり、駐車場として整備することで月に数十万円~数百万円ほどの利益を得ることもできます。
空き家を有効活用させることもできるでしょう。
土地には様々な活用方法があるので、この他にも立地にあった土地活用を始めることによって継続的に収益を生み出すことができます。
空き家を有効活用できる可能性もある
空き家となった実家がある場合、そのままのかたちで有効活用できる可能性があります。例えば、戸建て賃貸や宿泊施設としての活用が考えられるでしょう。
空き家の活用にあたりリフォームやリノベーションが必要ない場合、活用するための費用はそれほどかかりませんのでこれらの活用方法はより始めやすいといえます。
何よりも、思い出の詰まった空き家を解体せずに有効活用できる点は大きなメリットです。
固定資産税・都市計画税を節税できる
空き家のまま放置したり、更地のまま土地を管理していると固定資産税や都市計画税がかかってきますが、土地活用を行うことでこれらの税金を大幅に抑えることが可能です。
土地に家屋を建てると「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税であれば更地の1/6、都市計画税であれば更地の1/3の負担ですみます。
ただし、家屋が建っている必要がありますので、駐車場経営や太陽光発電など家屋を建てない土地活用はこの特例の対象外となるので注意が必要です。
「空き家は家屋なのに住宅用地の特例は受けられないの?」と思われた方もいらっしゃるかと思います。実は、空き家は「特定空き家等」に指定されるとこの特例の対象外となってしまうのです。「特定空き家等」は老朽化に伴い倒壊などの恐れがある空き家が対象となり、行政による実地調査が行われた上で対象かどうか判断されます。
参考:国道交通省「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針」
相続税を節税できる
土地活用を行うことで相続税の節税にもなります。相続税にも減税措置となる「小規模宅地の特例」があり、固定資産税などと同様に家屋が建っている土地は相続税評価額を80%軽減できるものです。
ただし、こちらも固定資産税などと同様に家屋が建っていないと対象外となりますので、賃貸経営など家屋となる建物を建てる土地活用方法を選択する必要があります。
また、「小規模宅地の特例」も「住宅用地の特例」と同様に「特定空き家等」に指定されると空き家が建っていても特例の対象外となります。実家の土地を相続する前の段階で「特定空き家」に指定される可能性もゼロではありません。この場合は多額の相続税の支払いが必要となりますので、親族や自分が住んだり家屋を伴う活用を行っておくことをおすすめします。
参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
実家の土地を活用するデメリット
ここでは、実家の土地を活用するデメリットについて詳しくご紹介します。
まとまった資金が必要
土地活用を始めるとなると、多額の初期費用が必要となる場合が多いです。
初期費用は活用方法によって変わりますが、例えばアパート経営では数千万円~数億、トランクルーム経営や太陽光発電では数百万円の初期費用が必要です。
ただし、土地を事業者に貸す借地は初期費用がかからないことがほとんどです。借地は自分で土地活用を行うよりも収益性は低くなりますが、リスクを抑えることができるため安定した収入を得ることができます。
解体費用がかかる場合もある
土地活用を始めるためには空き家を解体する必要があるケースも多いです。解体するにはもちろん解体費用がかかってしまうことがデメリットでしょう。
解体費用は空き家の規模によって異なりますが、多くは数百万円ほどかかります。土地活用を行う場合は、初期費用のなかに空き家の解体費用も加わりますのでより負担が増してしまいます。
土地活用については初期費用によって収益性(利回り)が異なりますので、資金的に厳しいのであれば売却などを検討下ほうが良い場合もあるでしょう。
リスクが売却よりも大きい
土地活用は継続的に収益を得られることが魅力です。
しかし、土地活用を始めるためにはかなりの初期費用が必要になり、成功が保証されているわけでもありません。
「活用したいけどリスクを冒したくない」、「活用で少しでも収益が出ればいい」とお考えの方は、初期費用があまりかからない活用や売却などを検討する方がよいでしょう。リスクの高さは、収益性の裏替えしともいえます。
実家の土地を活用する方法10選
実家の土地を活用するには、以下のような活用方法があります。
- アパート・マンション経営
- 戸建て賃貸経営
- 賃貸併用住宅経営
- 駐車場経営
- トランクルーム経営
- 太陽光発電
- 資材置き場
- 高齢者向け施設
- 貸し店舗
- 売却
土地活用方法でお悩みの際は土地活用ランキングの記事もご覧ください。
アパート・マンション経営
アパートやマンション経営は、実家の土地を活用する上で選択肢に入りやすい活用方法といえるでしょう。
アパートやマンションは建物規模が大きく戸数が多いため、大きな収益を確保しやすいです。経営も管理会社やハウスメーカーなどに管理を委託したり、サブリースするなどの方法で手間をかけることなく収益をあげることができます。そのため、「実家の土地に頻繁に足を運べない」という方でも安心して始めやすいといえるでしょう。
しかし、初期費用には数千万~数億円ほどかかります。また、例えば田舎にある土地などは賃貸需要が少ないため建築したとしても空室が目立ち収益にならない可能性も高く、検討には資金と立地をもとに慎重な判断が必要です。
アパート・マンション経営では、実家を解体してから始める必要があります。というのも、実家が戸建てなど集合住宅ではない場合、実家をそのままアパート・マンション経営に活用させることはできないからです。
そのため、空き家が建っている土地の活用としてアパート・マンション経営をお考えの場合は、上記の初期費用に加え家の解体費用も追加発生することに注意が必要です。
戸建て賃貸経営
実家の土地は、戸建て賃貸として活用させることもできます。
戸建て賃貸経営は、アパートやマンションなどの集合住宅に比べ賃貸物件数が少ないため、エリアによっては高い賃料で貸し出すこともできるでしょう。もし、実家の周りに集合住宅などが多い場合は検討してみる価値があります。
また、建築費はアパートやマンション経営に比べ安いので、資金に余裕がない方も始めやすい活用方法です。加えて、実家が空き家であればそのまま戸建て賃貸として有効活用でき、コスト削減にもなります。建物規模も大きくないことから狭小地であっても建てることができる点もメリットです。
一方で、利用者は1世帯のみのため、アパート経営などよりも収益性は低いです。
賃貸併用住宅経営
賃貸併用住宅は、1つの建物内に自宅部分と賃貸部分がある住宅のことです。自分たちが住むスペースを確保しながら家賃収入を得ることができます。
間取りについてはいくつか種類があります。
実家の状態によっては、リフォームやリノベーションを行って賃貸併用住宅とすることもできますので、費用対効果に期待できるでしょう。また、2世帯で住むといった活用方法もあります。
賃貸併用住宅最大のメリットは、資金調達に土地活用のローンではなく住宅ローンを充てられることです。住宅ローンは土地活用を行うためのローンよりも金利が低いため、資金面で不安な方でも検討しやすいです。
ただし、賃貸併用住宅で住宅ローンを適用させるためには自宅部分の床面積が建物全体の50%以上である必要があるので注意しましょう。
駐車場経営
駐車場経営は初期費用額が少なく、スムーズに始めやすい土地の活用方法です。月極の場合は簡単な線引きさえすれば済むため、数十万円程度で始めることができます。
コインパーキング経営では、観光地や商業地など車の回転率が多く見込まれる土地に最適です。
また、建物を立てないという特徴から仮に上手くいかなかったとしても、すぐに経営を中止できるのもメリットとしてあげられます。月極駐車場なら、撤収費用も多くかかりません。
空き家が残っている場合ですが、月極・コインパーキング問わず駐車場経営を検討されるのであれば空き家となってる実家は解体することを念頭に置くべきです。解体することによってより多くの駐車台数を確保でき、解体費用を考えても長期的にみると解体し月々の収入を増やしていく方が得策です。
ただし、駐車場の利用料は立地にもよりますが月極で数千円~数万円、コインパーキングであれば1時間600円~ほどですので単価は高くありません。例えば、田舎の土地で駐車場需要がないケースだとそもそも利用者がいないことも考えられます。
駐車場経営に適した土地は駅前や商業施設近くですので、投資回収が見込める立地であるのかは経営前に確認しておくと安心です。
トランクルーム経営
トランクルーム経営は、物品の保管スペースとしてコンテナタイプの建物を土地に設置し、その利用料で収益を上げる土地活用です。コンテナを土地に設置するだけですので、初期費用も比較的かけることなく始められます。また、駐車場経営同様に辞めやすく撤退によるダメージが少ない点もメリットです。現在市場規模が拡大中であることも魅力的です。
一方、トランクルームの賃料は月に1万円前後であることが多く、賃料単価は高くありません。そのため、利用者が安定しないと投資回収期間が長引き失敗してしまう可能性もあります。
実際に田舎でトランクルーム経営を始めた方の声をご紹介した記事がありますので、興味のある方はぜひご覧ください。
保管スペースへの需要が強い都市部や、企業のオフィスなどが近くにある土地ではトランクルーム経営によって安定した収益が保ちやすいので、人やモノの動きが少ない地域にはおすすめできる活用方法ではありません。
太陽光発電
実家の土地は、太陽光発電用地として活用させることもできます。太陽光発電によって得た電力を、近くの送電線を通し電力会社へ売電することで収入を得ます。
必要設備を設置した後は、太陽光さえあれば収入が生まれますので集客が必要ないという点が大きなメリットです。そのため、人口の少ない田舎での土地活用では有力な選択肢の一つとなります。
また、固定価格買取制度というものがあり、20年間は収入が保障されます。
太陽光発電には自分で行う自営方式(野立て)と、事業者に土地を貸して活用する土地貸し方式がありますので、「遠方に
住んでいて実家の土地になかなか足を運べない」という方でも安心して活用できます。
太陽光発電で実家の土地を検討する場合、空き家は解体する必要があります。これは、太陽光パネルを敷き詰められるだけの十分な広さを確保するためです。発電容量が多くなるほど収入も増えますので、土地全体を太陽光発電設備
として整備できるようにしましょう。
資材置き場
建築資材や作業者などを停めておくスペースを提供するのが、資材置き場としての活用です。
基本的には資材を置いておくだけですので、特別な設備や整備など必要なく初期費用をかけずにで始めることもできます。
ただし、近くに地元の建築会社がある場合や付近で工事が行われているタイミング以外ではなかなか活用機会がありません。資材置き場を検討する際には、周りに借りてくれる業者がいないかをあらかじめ調べておくと安心です。
高齢者向け施設
老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの高齢者向け施設を経営することも実家の土地を活用させる方法の一つです。
高齢者向け施設による土地活用では、ほとんどの場合は事業者に実家の土地を貸すという方法をとります。いわゆる借地です。地主が経営に参加することはありません。収益となるのは、事業者より支払われる地代です。そのため、安定して収益化できる点がメリットといえます。
ただし、高齢者向け施設は需要の増加に伴って棟数が増えています。そのため事業者の倒産も相次いでいますので、貸し先きを選ぶ際は慎重に行う必要があります。
また、募集している土地条件として最低でも200坪以上など広い土地が好まれますので、条件によっては貸せないケースもあるでしょう。高齢者向け施設では、事業者が土地に建物を建てて経営するため、空き家がある場合は解体し更地にしてから貸す必要があります。
貸し店舗
高齢者向け施設と同じように、コンビニやドラッグストアなどを店舗用地として事業者に土地を使ってもらう方法もあります。
収益は地代となりますので、撤退されない限りは長期に渡って安定収入を得ることができる点がメリットです。
店舗経営には商圏人口は出店の判断目安となります。そのため、都市部や幹線道路沿い(ロードサイド)の土地など人の動きが多くある実家の土地に最適な活用方法といえます。立地によっては契約を断られてしまうこともあり注意が必要です。
なお、貸し店舗による活用も土地を貸すため、空き家がある場合は解体する必要があります。
売却
売却は、短い時間で土地を処分し現金化することができることが最大のメリットです。また、売却することで固定資産税や都市計画税などの税金の支払いに頭を悩ませる必要もなくなります。
加えて、草刈りや清掃なども含め、土地の管理に要していた時間や手間をなくすことができます。大きな土地であれば分割して売り出すことができますので、土地の立地や需要に合わせて売却の戦略を立てることが大切です。
一方、売却はすなわち土地を手放すことです。先祖代々引き継いできた土地であれば、この点がネックとなります。土地を買い戻すことはコストなどから考えても決しておすすめできるものではありません。そのため、土地をどうにか活用したい方は売却を最終手段として残しておく方が安心です。
売却の戦略に関しては、不動産業者などプロの力にも頼ることがおすすめです。なお、空き家付きよりも更地の方が売却価格が高いです。空き家がある場合は、特別な理由がない限り解体してから売却するようにしましょう。
これまでご紹介したように、実家の土地を活用する方法にはさまざまな方法があります。そのため、どの活用方法が良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
イエウール土地活用なら、複数の企業が作成した土地活用プランを取り寄せることができます。プランでは活用方法はもちろん、その費用や収支シミュレーションについても確認できますので、実家の土地を活用についてイメージを膨らませやすくなります。
\最適な土地活用プランって?/
実家の土地を活用させる以外の方法
実家の土地がいらない場合、相続放棄などによって土地を手放すこともできます。また、売るに売れない土地では譲渡や寄付といった方法もあります。
相続放棄
相続放棄とは親などが残した遺産を一切相続しないことです。土地のみを相続放棄することはできないことに注意してください。相続放棄するには、預貯金など他の遺産についても全て放棄しなければなりません。
相続する遺産は、預貯金や土地などお金になる財産のほか、借金など負の遺産も相続します。相続する遺産について負の遺産の割合の方が多い場合は、相続放棄を考えると良いでしょう。
相続放棄を行う場合、自分が相続人になった段階から3か月以内に裁判所に対して相続放棄の申請をする必要があります。
譲渡
譲渡とは、隣家などに無償で土地を渡すことをいいます。
ただし、譲渡には、渡された側に贈与税がかかるため注意が必要です。快く土地をもらってくれる方の候補がある場合は譲渡によって土地を手放すことができますが、そうでない場合は譲渡先を探すのに苦労する可能性が高いです。
土地の譲渡を検討する場合は、まず譲渡先の候補が考えられるかどうかがポイントです。
寄付
譲渡の他にも、土地を国や自治体に寄付することで土地を手放すことができます。
しかし、国や自治体がスムーズに土地の寄付を受け付けてくれることはまれ[です。公共事業などで利用できる土地でなければ、寄付できない可能性もあります。
寄付を検討する場合は、土地が寄付できそうかどうかを自治体などに相談してみると良いでしょう。
実家の土地は活用すれば大きな収益になる!
実家の土地や空き家の扱いについて考えるのであれば、まずは相続について親族と話し合っておくとよいでしょう。話し合いによって、おのずと実家の土地の活用方法が決まることもあります。
相続にあたっては、相続人が複数いるといった状況もあり決断しにくいこともあるかもしれません。トラブルを避けるためにも、親や兄弟と話し合える時間があれば、実家の土地の相続について一度話し合っておいた方が良いでしょう。
記事のおさらい