新築一棟アパートの購入を考えているけれど、数あるアパートの中からどのような物件を選んだらいいのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
本記事では新築一棟アパートの選び方を詳しく説明します。また、アパート経営のリスクやその対策、実際に購入する際の流れについても解説します。
アパート経営の利回りについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
新築一棟アパートの選び方
新築一棟アパートを購入しようにも、数あるアパートの中からどのような物件を選んだらよいのか悩ましいものです。
ここではアパート経営を考えるうえで、失敗しない物件の選び方を詳しく説明します。
- 賃貸需要のある土地の物件を選ぶ
災害のリスクの低い土地の物件を選ぶ
利回り5%以上の物件を選ぶ
鉄骨造のアパートを選ぶ
入居者ニーズを満たした設備や間取りの物件を選ぶ
相続税対策なら相続税路線価有り物件を選ぶ
賃貸需要のある土地の物件を選ぶ
新築の一棟アパートを選ぶときには、賃貸需要が高く、立地の良いアパートを選ぶようにしましょう。
ポータルサイトに掲載されているアパートの住所や交通アクセス、周辺情報などをしっかりと確認することが大切です。
具体的には、最寄り駅から徒歩で何分くらいか、その駅は急行の停車駅か、物件の近くにコンビニやスーパーがあるかなど交通や生活の利便性をチェックします。
また、近くに大学や工場などそこに通勤・通学する入居者層を取り込めそうかも確認します。ただ、これらの施設は、年数の経過によって移転・閉鎖の可能性もあるため注意が必要です。
災害のリスクの低い土地の物件を選ぶ
新築の一棟アパートを選ぶときには、地震や洪水のリスクの少ない土地の物件を選ぶようにしましょう。
地震大国の日本において常に意識しないといけないのが、地震や洪水などが発生したときの災害リスクです。
もちろん地震保険などには加入しますが、全額分の修繕費用の支援金や損害賠償を受けることはほとんど不可能です。建物が被害を受けた場合には、修繕費用がかかるだけではなく入居者も退去せざるを得ないため、その期間の家賃収入がゼロになります。
そのため、災害のリスクの低い土地の物件を選ぶことが大切です。
そして、全国の災害リスクは、各自治体が公開しているハザードマップで確認しましょう。
また、物件の売買契約前の重要事項説明において、不動産会社から渡される書類に地域のハザードマップなどがあるので、そちらで災害リスクを確認することも可能です。
利回り5%以上の物件を選ぶ
新築の一棟アパートを選ぶときには、利回り5%以上の物件を選ぶようにしましょう。
ポータルサイトに掲載されている利回りは、新築の場合、全室が満室の状態を想定した想定利回りであることが多いです。想定利回りは、理論的に一番利回りが良くなることから、この数字が5%を切るようであれば、その物件はやめた方がよいでしょう。
また、築浅の中古物件だと物件の購入価格に対して、年間家賃収入の割合はいくらかを表した表面利回りが記載されています。表面利回りであったとしても、5%以上であることに越したことはありません。
実際は、ローンの返済や修繕費、税金の支払いなどアパート経営はさまざまな支出があります。そのため、できるだけ利回りの高い物件を選ぶことをおすすめします。
鉄骨造のアパートを選ぶ
アパートの構造には木造、鉄骨造、鉄筋コンクリートの3種類があります。
アパートでは木造か鉄骨造が多く用いられます。鉄筋コンクリートはマンションなど高層建築物を建てる時に用いられます。
木造、鉄骨造共にメリットデメリットがありますが、アパート経営を長い目で考える場合は鉄骨造がおすすめです。
理由としては、木造と鉄骨造を比べた時に鉄骨造のほうが劣化がしにくい事が挙げられます。木造は素材が木材であるためシロアリなどの害虫被害を受けやすく、修繕費のコストが多くかかります。
また、木造は防音性が低く隣人トラブルなどの報告も多いです。そのため、木造は入居希望者が物件を選ぶ際の候補から外れてしまう可能性もあります。
修繕リスクや空室リスクを考えるのであれば鉄骨造アパートの購入がおすすめです。
入居者ニーズを満たした設備や間取りの物件を選ぶ
新築の一棟アパートを選ぶときには、入居者ニーズを満たした設備や間取りのアパートを選ぶようにましょう。
ポータルサイトに掲載されている間取り図や備考欄をよく確認して、どんな間取りの物件なのか、どんな設備があるのかなど入居者目線で見ることが大切です。
間取りについては、想定している入居者に狭すぎない間取りにすることが重要です。たとえば、想定している入居者が単身者なら1Rや1K、2人暮らしなら1LDKや2DKがよいでしょう。
また、設備については、宅配ボックスや高速インターネット、オートロック、バス・トイレ別など想定している入居者が必要そうな設備があるかを確認します。
このように、想定している入居者に合った間取りや設備があるかどうかをチェックして物件を選びましょう。
相続税対策なら相続税路線価有り物件を選ぶ
相続税対策としてアパートの購入を考えている場合は相続税路線価有り物件を選びましょう。
相続税路線価とは、相続税を計算する時に使用される道路の金額を指します。相続路線価がある場合、相続税の評価を公示価格の約8割で評価することができ、相続税を節税することができます。
そのため、相続税路線価有りの物件は、相続税対策にアパート経営を検討している人に向けた物件だと言えます。
ちなみにこの相続路線価は、全ての道路に設定されているわけではなく、主要都市の道路でのみ設定されています。
新築一棟アパートを経営するリスク
この章では、新築アパートに発生する可能性のあるリスクについて解説していきます。
新築のプレミア賃料がなくなると家賃は下落していく
アパートを新築で建築したとき、初めての入居者にのみ、家賃を一番高く設定することができます。これは新築のプレミア家賃価格と呼ばれ、日本人は新しいものを好む傾向があるため、こういった家賃設定が可能になります。
一度、入居者が退去してしまうと、家賃を元の値段に戻さないといけないため、収入は徐々に減少していきます。
仮に、新築のプレミア賃料のまま、利回りなどを想定してしまうと、家賃が下落したときにキャッシュフローが回らず、ローンの返済に苦しむことになります。最悪の場合、所有していたアパートを売却しなければならなくなります。
そのため新築アパートの投資では、プレミア賃料が終わった後のキャッシュフローに注目して、投資を始めるか判断することが大切になります。
空室が増加してしまう可能性がある
アパート経営やマンション経営など不動産投資には必ず伴う問題である、空室のリスクが存在します。
新築アパートは比較的、入居者が集まりやすいため、空室に悩まされることは少ないです。しかし、時間が経つことで入居者が入れ替わり、管理や修繕がおろそかになってしまったときに空室のリスクが発生します。
空室が増えてしまうと、見込んでいた家賃収入よりも少ない金額しか手元に残らず、ローンの返済が苦しくなってしまいます。そのため新築のアパートであっても、空室を増やさないアパート経営を進めていく必要があります。
新築一棟アパート経営でのリスク対策
アパート経営で発生するリスクに対する対策方法を解説します。具体的な対策方法を以下の通りとなっています。
- 出口対策を考えておく
- コストをしっかり回収する
- 空室対策として賃料は柔軟に変更する
出口対策を考えておく
出口対策とは所有しているアパートをいかに高く売却できるかどうかということです。
具体的な出口対策は以下の3パターンとなります。
- 収益物件のまま売却
- 更地にして売却
- 自己居住用として売却
実際に自身が所有しているアパートがどのような状態かによって、取るべき対策は異なります。
仮に所有しているアパートが、収益性の高いアパートであれば収益物件として売却を検討するべきです。また、建物に問題がありそのままの売却が難しい場合は、更地にして、土地の売却を検討するべきです。
出口対策は、新築アパートに投資を始める前に、ある程度検討しておくことが大切になります。なぜなら、「保有している物件を高く売る」ためのノウハウを実行することはいつでもできますが、「価格が下がりにくく、高く売れやすい物件を買う」ことは購入後にはできないからです。
そのため、不動産投資を始める前には、物件の売却も視野に入れつつ投資を始める必要があるでしょう。
コストをしっかりと回収する
アパート経営には、イニシャルコストとランニングコストが発生します。
イニシャルコストは物件購入価格の1.2~1.3倍が目安となっています。ランニングコストは毎月かかるものや随時かかるものがあるため、具体的な金額は物件によりますが、多くの費用がかかります。
以下は国土交通省の修繕計画ガイドラインを参考にした、ランニングコストのシミュレーションとなっています。
木造10戸(1LDK~2DK)の修繕時期・費用のイメージ
経過年数 | 内訳 | 修繕費 |
---|---|---|
5~10年 | 塗装(ベランダ・階段・廊下)・室内整備・排水管 | 戸あたり約9万円 |
11~15年 | 塗装(ベランダ・階段・廊下・屋根・外壁)・給湯器等・排水管 | 戸あたり約64万円 |
16~20年 | 塗装(ベランダ・階段・廊下)・室内整備・給排水管・外溝等 | 戸あたり約23万円 |
21~25年 | 塗装(ベランダ・階段・廊下・屋根・外壁)・浴室設備等・排水管 | 戸あたり約98万円 |
26~30年 | 塗装(ベランダ・階段・廊下)・室内設備・給排水管・外溝等 | 戸あたり約23万円 |
合計 | ‐ | 戸あたり約216万円 |
※30年目以降も修繕は必要になります。
※税制上の耐用年数は、木造の場合、22年とされています
参考:国土交通省 民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック
イニシャルコストやランニングコストが多くなりすぎてしまうと、コストを回収しきるまでに多くの時間がかかってしまいます。回収の目処が立たないコストというのは、そのままリスクとなってしまいます。
新築のアパート経営を始めるときには、できるだけコストのかからない物件を選ぶようにしましょう。
空室対策として賃料は柔軟に変更する
空室対策として家賃を柔軟に変更することは、とても有効です。
アパートを借りる側にとって、入居の決め手となる条件の1つが家賃です。アパートの設備に見合った家賃になっていなかったり、その周辺地域の家賃相場とかけ離れていると入居者が集まらないことが多いです。
また、新築のプレミア賃料のまま、新しく入居者を募集しても集まりが悪くなっていしまいます。
そのため、しっかりと周辺地域の家賃相場に合った家賃に変更でする必要があるでしょう。
アパート経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうことをおすすめします。なぜなら、アパート経営は建築費の見積もりや賃料設定など経営のプランによって将来の利回りも変わってくるからです。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、利回りはどのくらいが適切なのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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活用事例:レジーナ・メゾン
エリア | 滋賀県 |
土地面積(㎡) | 632.91 |
延べ床面積(㎡) | 590.16 |
工法 | HS構法(制震鉄骨軸組構造) |
新築一棟アパートに投資するメリット
新築一棟アパート投資は、融資を受けることができるのであれば、ローリスクで利益を得ることができる投資だと言えます。また、新築一棟アパートに投資するメリットも多くあります。
- 三大リスクが発生する可能性が低い
- 融資が簡単に受けられる
- 手間をかけずに運営できる
では、順番に解説していきます。
三大リスクが発生する可能性が低い
アパート経営における3大リスクとは、出口リスク・コストリスク・空室リスクと言われています。これらのリスクが発生しにくい理由を順番にみていきましょう。
出口リスク
新築のアパートは中古のアパートに比べて、売却しやすいというメリットを持っています。
これは、次に購入する人が長い期間ローンを組むことができるため、新築の方が売却しやすくなっています。
コストリスク
新築アパートは中古のアパートに比べてランニングコストが少なくなります。アパートは時間の経過によって修繕が必要になってきます。中古アパートの場合、購入後すぐに修繕が必要になる可能性があります。
しかし、新築のアパートでは、修繕が必要な回数が少なく、ランニングコストが少なくなるのです。
空室リスク
新築も中古もしっかりと家賃設定を行えば入居者は増えますが、日本人は新しいものを好む傾向があるため、新築の方が入居者は集まりやすいです。
また、新築であれば、設備や間取りに流行を取り入れることができるため、中古アパートよりは入居者が見つかりやすいです。そのため、新築アパートでは比較的、空室が少なくなります。
融資を簡単に受けられる
新築のアパートを購入するとき、中古のアパートの購入時に比べて、アパートローンを低金利で長期間のローンを組むことができます。具体的には、30~35年の長い間、融資を受けれたり、サラリーマンでも金利が2%でローンを組むことができる可能性があります。
このように、条件良くアパートローンを組むことができるのは、金融機関から見て回収できなくなる可能性が低いためです。
手間をかけずに運営できる
アパートの管理業務は入居者募集や家賃の回収、入居者トラブルの対応など多くの業務があります。しかし、アパート経営では管理会社を利用することで、オーナーにかかる管理の手間が少なくなります。
管理会社によって委託できる業務は異なりますが、自分にあった管理会社を選ぶことで、効率よくアパート経営を始めることができます。
新築一棟アパートを購入する流れ
ここでは、新築一棟アパートを購入する流れを解説します。
- 購入できるアパートを知る
- アパートを探す
- 買い付けを入れる
- 融資の審査を受ける
- 売買契約を結ぶ
- 管理会社の選定を行う
- ローン契約を結ぶ
- 決済・引き渡しを行う
STEP1:購入できるアパートを知る
まずは、自分の収入やライフプランを見直して、いくらの物件までなら購入できるかを確認します。
最初に自己資金を決めておくことで、その金額を軸に物件を探していくことができます。
また、新築のアパートを購入するときは、アパートローンを利用します。
アパートローンの借入限度額は多くの場合で年収の8倍~10倍であることが多いです。ただ、金融機関によって借入限度額が異なるため、まずは金融機関に相談してみましょう。
STEP2:アパートを探す
予算が決まり次第、物件選びのための情報収集を始めます。
物件探しはインターネット上の物件検索サイトや不動産会社の仲介サービスを通して行います。
特に不動産会社の仲介サービスの場合、物件選びや資金計画について専門的な立場から相談に乗ってもらうことができるのでおすすめです。
STEP3:買い付けを入れる
買いたいと思える物件が見つかったら「この物件を購入します」という意思表示として買い付けを入れます。
買い付けは購入申込書(買付証明書)の提出によって行いますが、もし値下げを求める場合には、この際に価格交渉を行いましょう。
また、良い物件を逃さないためにも検討する時点で購入申込書を売主さんへ提出することが大切です。
STEP4:融資の審査を受ける
購入申し込みと前後して住宅ローンの事前審査を始めます。
突然訪問しても断られてしまう可能性があるため、仲介会社や大家さんなどの知り合いから紹介してもらうとスムーズです。
また、融資の事前審査は一行に断られただけで諦めないようにしましょう。
同じ銀行でも支店によって判断が異なる場合があるので、複数の銀行に打診することが重要です。
STEP5:売買契約を結ぶ
売主との交渉が終わり、合意に至り次第、売買契約を結ぶことになります。
売買契約の際には、必ず融資特約をつけましょう。融資特約とは、融資が出なかった場合は白紙解約になるというものです。
また、売買契約当日には「物件の重要事項説明」「売買契約の締結」「手付金の支払い」の3つの手続きを行います。
契約手続きは通常不動産会社のオフィスで行われ、時間は2~3時間ほどが目安になります。
STEP6:管理会社を選ぶ
管理を委託する場合は、この段階で管理会社や仲介会社を選定します。
管理会社は、アパートの管理・維持を委託することが、仲介会社は入居者の募集を行ってくれます。
そのため、アパート経営に成功するかどうかは管理会社と仲介会社にかかっているといっても過言ではありません。
STEP7:ローン契約を結ぶ
ローンの契約を結ぶ前に、アパートローンの本審査に入ります。本審査でチェックされるポイントは以下の3点です。
- 物件はローンの担保として十分に価値があるか
- アパートの事業計画は問題ないか
- ローンを返済できる健康状態であるか
STEP8:決算・引き渡しを行う
融資の実行が可能になれば、いよいよ決済と引き落としを行います。
決済と引き落としは通常はアパートローンを組んだ融資先の金融機関で行われます。
この引き渡しには売主、買主、不動産会社、金融機関の担当者、司法書士などが出席します。
この時、登記手続きの委任も行われます。司法書士が決済・引き渡しの完了後に登記申請を行い、この手続きが完了すると物件が正式に自分のものとなります。
アパート経営を始めるなら最初の情報収集が重要です。日本最大級の土地活用プラン比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけでアパート経営のプランを取り寄せることができます。
\建築費は?初期費用は?/
新築一棟アパート投資は出口戦略まで考えて始める
新築一棟アパートへの投資には、家賃の下落や賃料設定の見直しなど新築アパート特有のリスクがあることを解説してきました。しかし、しっかりとリスクを対策すれば、安定したリターンを得ることができ、資産を増やすことが可能になります。