相続した土地を売却したい方が抑えるべき費用や税金、節税情報を紹介

相続した土地を売却したい方が抑えるべき費用や税金、節税情報を紹介

親から相続した土地を売却することはできるのか?という疑問を持っている方も多いと思います。

結論からいうと、相続した土地の条件によって売却が難しいことはありますが、基本的には売却することができます。実際に相続した土地の売却を行う際は、多くの感情と複雑な手続きが絡み合うため、予想以上に時間と手間がかかります。余裕を持って売却手順を踏みましょう。

この記事では、相続した土地を今後売却しようと考えている方に向けて、費用や税金の種類と計算方法売却時の価格基準の決め方などを紹介しています。

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「まずは土地売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。

土地売却の流れから税金や費用、節税対策、高く売るコツまで解説

相続した土地の評価額を初めてでも分かりやすく紹介

相続した土地の売却にかかる費用

第1章では、相続した土地を売却した場合にかかる費用にはどんなものがあるか見ていきましょう。
相続した土地を売却した際には税金以外の費用もかかります。費用を把握して予想外の出費で売却益が減らないように気を付けましょう。

仲介手数料

仲介手数料とは、土地売却の仲介を不動産会社に依頼する場合にかかる費用のことで、「宅地建物取引業法」にとって定められています。

この仲介手数料は土地の売買契約を結んだ際に仲介手数料の半分を支払い、残り半分は不動産を引き渡して土地売却が完了した際に支払います。

仲介手数料の上限は法律で定められています。

売却価格仲介手数料の上限
200万円以下の場合売却価格×5%+消費税10%
200万円を超えて400万円以下の場合(売却価格×4%+2万円)+消費税10%
400万円を超える場合(売却価格×3%+6万円)+消費税10%

仲介手数料の費用の相場としては、上限ギリギリの金額を適用している不動産会社が多くなっています。
不動産会社に対して仲介手数料の値引きを交渉することもできますが、不動産会社が得られる報酬が減ることでちゃんとした仲介活動をしてもらえない可能性があるので注意しましょう。

抵当権抹消費用

抵当権の抹消費用はローンを完済した際に抵当権を抹消するためにかかる費用のことを言います。相続した土地にローンが残っていた場合、ローンを完済して売却する必要があるのです。個人で抵当権の抹消を行う場合は1不動産あたり1000円で済ませることもできます。しかし抵当権抹消は難しくて、かつ、重要な手続きのため基本的には司法書士の方に依頼して抵当権の抹消手続きをします。
金額の目安は依頼する司法書士の方への手数料も含めて5千円~2万円となっています。

測量費用

測量費用とは、土地の面積や高低差を図るための測量を行う時にかかる費用のことを言います。
相続した土地を売却する際には、隣地との境界が確定しており測量図も作成されているのが一般的です。

昔は境界を確定しないまま売買することも少なくありませんでしたが、今は境界が確定していることを望む買主の方が多くなっています。
基本的に境界確定や測量にかかる費用は売主が負担するのが一般的です。境界確定と測量費用は市や国の立ち合いが必要かどうかでも変わりますが、30~80万円程度が相場となっています。

解体費用

相続したものが土地だけでなく古い一戸建て付きだった場合、解体してから売却しようと考えている方もいるのではないでしょうか。

解体費用の相場は一戸建ての構造によって違い、木造住宅であれば坪3~4万円、鉄骨住宅であれば坪4~5万円、RC住宅であれば坪5~6万円程度かかります。

解体する家が大きければ大きいほど解体費用は高くなり、RC住宅のように丈夫な造りになっている住宅ほど解体費用は高額になります。

相続した土地の売却にかかる税金と計算方法

次に、相続した土地を売却した場合の税金について紹介します。
相続した土地は、元々の土地の購入価格がわからないことで、売却時に売買価格の2割ほども税金として引かれてしまう可能性があるので、必ず確認しましょう。

相続した土地の売却にかかる税金は、主に印紙税、登録免許税、譲渡所得税の3つあります。印紙税と登録免許税は売却した際に必ずかかる税金であるのに対し、譲渡所得税は売却して出た利益に対して課税される税金となっています。

それぞれどのような税金なのか詳しく解説していきます。

印紙税

仕事で契約書を交わしている人なら馴染みのある印紙税。土地に限らず全ての売買契約にかかり、納税の印として契約書に印紙を貼り付けます

1万円以下の取引であれば印紙税はかかりません。しかし、土地の売買が1万円以下である場合は少ないですから、必ずかかるものだと覚えておきましょう。相続した土地の売却価格が大きくなれば、印紙税の金額も高額になります。

土地売却に必要な印紙税は以下の通りです。2024年4月より軽減措置が適用外となるため、納税額は本則税率に戻ります。事前に自身の納税額を確認するようにしましょう。

売却価格本則税率
1万円超~10万円以下200円
10万円超~50万円以下400円
50万円超~100万円以下1千円
100万円超~500万円以下2千円
500万円超~1千万円以下1万円
1千万円超~5千万円以下2万円
5千万円超~1億円以下6万円
1億円超~5億円以下10万円
5億円超~10億円以下20万円
10億円超~50億円以下40万円
50億円超60万円

たとえば、不動産を2,500万円で売却する場合は契約金額「1千万円超 5千万円以下」になるので、2万円の収入印紙を用意する必要があります。ただし、売主は売買契約書の原本ではなく、コピーを控えにして印紙税を節約することも可能です。

登録免許税

登録免許税は、買主が自らの土地として所有権移転登記をする際に支払うものなので、売主が負担することはありません。発生するとすれば、登記上の住所と売主の現住所に違いがある場合の住所変更登記と、売却する土地に抵当権がついている場合の抵当権抹消登記です。

相続を原因とする名義変更の登録免許税は以下の計算式で算出できます。

登録免許税 = 固定資産税評価額 ✕ 0.4%

登録内容を変更する際に、法務局に支払う税金です。

重要な「抵当権の抹消」についても、詳しく説明しておきましょう。抵当権というのは、金融機関が担保にしている物に設定されているもので、「返済が滞ったら債務の返済を確保できる」という権利のことです。
抵当権つきのまま不動産を売買することもできますが、担保に入ったまま買う人はなく、債権者も了解はしません。

売却するのであれば、代金によって返済を完了し、抵当権を抹消しないと売却はできないということです。抵当権がついているなら、返済すべき金額も見込んで売却価格を設定しましょう。

譲渡所得税

相続した土地を売却した際に発生した利益(売却益)を譲渡所得といい、この譲渡所得には所得税と住民税がかかるので「譲渡所得税」ともいうが税金の正式な名称はあくまでも「所得税」と「住民税」となります。

通常の給与所得とは違ってほかの所得と合算することができない分離課税の方式を取ります。

譲渡所得と譲渡所得税の計算式と計算例

この譲渡所得税は売却した土地に譲渡所得プラスになった場合のみかかる税金となっています。そのため、マイナスになった場合には税金は発生しないのが基本ルールになります。

譲渡所得税は所有期間5年を境に税率が変わり、5年以下は「短期譲渡所得」、5年超だと「長期譲渡所得」の適応となります。

不動産の売却では、譲渡所得がで利益を得た場合に税金が発生し、

譲渡所得は以下のような計算式になります。

譲渡所得 = 譲渡価格[*1] ー 取得費[*2 ] ー譲渡費用[*3]

*1. 譲渡価格=売却価格

*2.土地については購入学、建物については降雨入学から減価償却費を控除した価格

*3.仲介手数料や印紙税、測量費など、売却時に発生した費用

譲渡所得にかかる税金は以下の表の通りです。

税金 = 譲渡所得 ✕ 税率

税率については、売却する年の1月1日において所有期間が5年超えているかいないかで「長期譲渡所得」または「短期譲渡所得」に割り振りされます。

短期譲渡所得(5年以下)長期譲渡所得(5年超)
所得税30.63%15.315%
住民税9%5%
合計39.63%20.315%

令和19年までは、所得税に対して上乗せして東日本大震災における被災者支援を目的とした「復興特別所得税」が徴収されます。

こちらの所有期間は被相続人(亡くなった人)が土地を取得した日からの期間です。相続した日から所有期間が計算されるわけではなく、被相続人の保有期間も引き継ぐので注意しましょう。

土地の売却を少しでも検討しているのであれば、「自分の土地がいくらで売却出来そうか」を把握しておきましょう。

そのためには、不動産会社から査定を受ける必要があります。

イエウール」なら不動産会社に行かずとも自宅で24時間申し込みが可能です。自分の土地に適した不動産会社を紹介してくれるので、膨大な不動産会社の中から選ぶ手間も省くことができます。

まずは、自分の物件種別を選択してから査定依頼をスタートしてみましょう!

査定依頼に必要な情報入力はわずか60秒で完了します。

相続した土地の売却価格を決める基準とは?

土地の売却価格は、立地条件や土地の広さになど様々な条件によって変わってきますので、一概に◯◯万円と紹介するのは難しいです。
しかし、土地の売却価格は、主に以下の3点によって決まります。

  1. 立地や周辺情報などの利便性
  2. 土地の形態や綺麗さ
  3. 土地の上に建物があるか

立地や周辺情報などの利便性

立地が土地のある場所の価値を大きく左右する要素のひとつです。

たとえば、交通アクセスが良い、公共施設や商業施設が近い、部屋が南西向きなど、利便性が高い土地だったりすると価格は高くなります

立地の良さは重要なポイントで、特に電車の駅から近ければ近いほど、バスや車などの交通アクセスが良いほど、土地の価格が高い傾向にあるようです。

土地の形態や綺麗さ

土地は広さはもちろん、その形状のきれいさも土地の価格を決める重要なポイントです。整形地と呼ばれる、正方形や長方形に整えられた土地ですと地価が高くなりますが、複雑な形だったり、変形地ですと、使用用途が限られ、活用しづらいことが理由で価格が下がる傾向になります。

土地の上に建物が建っているか

土地の価格は、その土地の上に建物が有る無しによって変化します。

基本的には建物付きの土地のほうが、価値は高い傾向にあります。それは、土地の上に建物がある場合、土地と建物の両方の価値から、不動産の価値を算出する形になっているからです。

一方、その建物があまりにも老朽化が進んでいたり、住める状態ではないものについいては、価値が下がってしまう可能性もあるため、注意が必要です。

土地の相続税評価額の算出方法が初めての方でも簡単わかる!

相続した土地の売却【体験談】を紹介

以下で相続した土地を売却した方の体験談を紹介します。
売却から引き渡しのフローや売り出し価格の決め方などをぜひ参考にしてください。

相続した土地を売却した事例 ①

 

不動産種別土地
イニシャルT.E
年代70代
性別男性
世帯人数2人
エリア福岡県飯塚市

参考:みんなの不動産売却体験談

この方の売却価格実績
  • 土地を購入したときの価格:0万円
  • 査定に出した時の価格:600万円
  • 土地を売り出した時の価格:350万円
  • 土地が実際に売却出来た価格:280万円
STEP
  • 売却検討時期:2021年04月
  • 査定依頼時期:2021年06月
  • 会社決定時期:2021年08月
  • 売却活動開始時期:2021年08月
  • 売却完了時期:2022年01月
  • 決済(引き渡し)時期:2022年01月
売却理由
  • 父親から相続した不動産。思い出の詰まったこの物件を母親の他界後も維持管理していたものの、毎年の手入れが大変。そこで、母7周忌を機に手放すことを決意。しかし、売却の具体化策が判然とせず、ネットで暗中模索。方向性を見いだせるまでは、憂鬱な日々を過ごした。
会社の探し方・査定方法
  • 最初に頭に浮かんだのが、現住建物のメーカーに相談することだったが、満足いく対応が得られず、ネットで検索しまくった。この取り組みの中、少しずつ方向性が見え始め、一括査定会社の絞り込みができた。
会社決定理由
  • 一括査定の結果、依頼する不動産会社を絞り込む上で最も重視したのは、査定額に加えて、熱意というか販売に対する本気度の強弱など相手の対応如何である。ちなみに、本件のような小物件の場合、一応査定はするものの、明らかに腰が引けていると思われる会社もあったように思う。
売出価格決定理由
  • 当方は、固定資産評価証明や土地実勢価格などを基礎に、自分なりの売り出し価格を想定していた。これに対して契約会社は、売り手の意思を最大限に尊重し、有利な価格を提し、成約に至らないと見るや、小刻みに価格を減額していくという手法を講じてくれたこと。

相続した土地を売却した事例 ②

不動産種別土地
イニシャルH.W
年代30代
性別男性
世帯人数4人
エリア東京都板橋区

参考:みんなの不動産売却体験談

この方の売却価格実績
  • 土地を購入したときの価格:0万円
  • 査定に出した時の価格:3190万円
  • 土地を売り出した時の価格:3190万円
  • 土地が実際に売却出来た価格:2300万円
STEP
  • 売却検討時期:2020年10月
  • 査定依頼時期:2020年10月
  • 会社決定時期:2020年12月
  • 売却活動開始時期:2020年12月
  • 売却完了時期:2021年02月
  • 決済(引き渡し)時期:2021年05月
売却理由
  • 長期間空き家となっていて、税金だけ毎年払っていましたが、火事なども心配だし、そろそろ整理しようと思い、売却しました。広い土地でもなかったので、とても安く売却になるのかなと不安はありました。
会社の探し方・査定方法
  • ネットの一括査定を使って何社も連絡いただきました。その中で一番大手の会社の方が売却しやすいのかと思い契約しました。連絡がたくさん来ますが、それでも良ければ一括査定がいいと思いました。
会社決定理由
  • ネットの一括査定で連絡をいただいた中から、一番大手の会社を選びました。仲介手数料の割引もありました。最初に連絡がきた会社にしようかと思っていましたが、後から思うと売却金額見込みも低すぎたので契約しないで良かったです。
売出価格決定理由
  • 何パターンか提示いただき、売却までのスケジュールと金額を相談しながら、ある程度早く売却が見込めそうな金額で決めました。ある程度の期間で値下げも行いました。

相続した土地の売却に使える特例

譲渡所得税は土地の売却価格次第ではかなり高額になります。少しでも譲渡所得を少なくして譲渡所得税の負担を軽減していきましょう。

今回は譲渡所得税の節税に繋がる、相続した土地を売却したときに使える特例や控除を2つご紹介します。

取得費加算の特例

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例とは、相続もしくは遺贈によって取得した土地や建物といった不動産を相続を開始した翌日から3年10か月以内に売却した場合に、相続税のうち一定金額を取得費として計算できるという特例です。

取得費加算を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 相続もしくは遺贈によって不動産を取得していること
  • 相続税を支払っていること
  • 相続を開始した日の翌日から3年10か月以内に売却していること
  1. 取得費加算は、相続税をもとに計算するので、相続税を支払っていることが大前提です。

取得費に加算できる相続税額は、以下の計算式で決められます。

取得費加算額 = 相続税額 × 売却不動産の課税価格 ÷ 相続した財産の合計額

この特例の適用を受ければ取得費が増えることで譲渡所得税の計算上、課税譲渡所得を抑えることができ、譲渡所得税を節税することができます。

相続税を支払っていれば利用できる控除ですが、相続してから3年10か月以内に売却することが必須条件ですので注意が必要です。

取得費加算の特例の詳細が知りたい方は、国税庁のタックスアンサーNo.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」にてご確認ください。

取得費加算の特例を使用する際に必要な書類

  • 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書

相続税の計算証明書は国税庁のサイトからダウンロードができます。
相続税全額が加算されるわけではなく、「その人の相続税額×その人の相続税課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の課税価格÷(その人の相続税の課税価格+その者の債務控除額)」という計算で算出することが可能です。

相続した空き家を売ったときの特例

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例とは、相続か遺贈により取得した空き家を耐震基準を満たすものにリフォームして売却、もしくは空き家を取り壊して更地にして売却した場合、譲渡所得の金額から3000万円まで控除することができる特例のことです。

この特例を使用するためには、以下の5つ全ての要件を満たす必要があります。

  • 相続を開始した時に被相続人の居住用の家であったこと
  • 昭和56年3月31日より前に建てられた家であること
  • 相続の開始直前に被相続人(亡くなった方)以外に住んでいなかったこと
  • 相続を開始した日から3年を経過する日がある年の12月31日までに売却していること
  • 1億円以下で売却していること

要件のほかにも特例の対象となる条件や手続きは複雑となっています。相続した土地を売却する際に不動産会社に特例の適応となるか確認してみましょう。

相続した空き家を売ったときの特例の詳細が知りたい方は国税庁のタックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」にてご確認ください。

相続した空き家を売却するときに必要な書類

相続か遺贈により取得した空き家を売却、もしくは空き家と土地を両方売却した場合に必要な書類

  • 相続か遺贈によって空き家もしくは空き家のあった土地を被相続人から取得したことを証明する書類。
  • 昭和56年5月31日以前に空き家が建てられたことを証明する書類。
  • 空き家が区分所有建物登記がされている建物でないことを証明する書類。
  • 売却した空き家の所在地を管轄する市区町村長から交付された被相続人居住用家屋等確認書
  • 耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し
  • 売却価格が1億円以下であることを証明する書類

相続か遺贈により取得した空き家を全部取り壊した後にその更地を売った場合に必要な書類

  • 相続か遺贈で空き家もしくは空き家を解体した更地を取得したと証明できる書類
  • 空き家が昭和56年5月31日以前に建てられたことを証明できる書類。
  • 空き家が区分所有建物登記がされている建物でないことを証明できる書類。
  • 売却価格が1億円以下であることを証明できる書類
  • 売却した土地の所在地を管轄する市区町村長から交付された被相続人居住用家屋等確認書

参考:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

相続した土地を売却する際のその他節税方法

上記で紹介したものは、「3年」という期限付きの特例でしたが、以下では、期間に関係なくいつでも対応可能な節税方法を紹介していきます。

ふるさと納税を利用して節税を行う方法

所得税と住民税の含まれる、譲渡所得では、ふるさと納税を利用することで節税することが可能です。

ふるさと納税とは、生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度で、
手続きをすると、寄付金のうち2,000円を超える部分については所得税の還付、住民税の控除が受けることができます。

節税ができるだけでなく、あなた自身で寄付金の使い道を指定できて、地域の名産品などのお礼の品もいただける魅力的な仕組みです。

もちろん、ふるさと納税には「ふるさと納税控除上限額」がありますが、控除条件額は所得が高くなればなるほど増えるため、より返礼品の選択幅も広げることができます。

平成21年及び平成22年中に取得した土地に対する1,000万円の特別控除

平成21年・22年に取得した国内の土地または土地の上に存する権利を売却した際に1,000万円の特別控除が適用できる制度です。

所要期間が5年を超えるものになるので、平成21年に取得した土地等は平成27年以降、平成22年に取得した土地等は平成28年以降に売却することが前提条件です。

特例要件を満たせば譲渡所得の金額から最大1,000万円控除可能で、1,000万円に満たない場合は譲渡所得の金額が控除額となります。

参考:平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除│国税庁

相続した土地の売却にかかる税金の注意点

相続した土地を売却した際にかかる税金のうち、譲渡所得税は売却額が高額になればなるほど納税額が高くなります。

土地の売却には多くの費用がかかるためなるべく節税したいもの。ここからは譲渡所得税を節税するための注意点を解説します。

取得費が分かる書類をなるべく探しておく

譲渡所得税を節税するためには、譲渡所得を少しでも低くする必要があります。

譲渡所得とは、土地の売却価格から土地の取得するときにかかった費用(取得費)と土地を売却する時にかかった費用(譲渡費用)を差し引いて計算します。

この譲渡所得を計算する際に、相続した土地の取得費が分からず多くの税金を支払うことになってしまう方が多くいます。取得費が不明な場合は売却額の5%を取得費として計算することになり、実際の取得費より低く計算することになる場合が多いのです。

以下で取得費が不明の場合の税金の計算例を紹介します。

(条件)
譲渡価額:3,500万円
取得費:不明な場合
譲渡費用:200万円
所有期間:5年超(長期譲渡所得)

(計算例)
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
= 3,500万円 - 3,000万円×5% - 200万円
= 3,500万円 - 175万円 - 200万円
= 3,125万円

所得税 = 譲渡所得 × 税率
= 3,125万円 × 15%
≒ 468万円

復興特別所得税 = 所得税 × 税率
= 468万円 × 2.1%
≒ 9.8万円

住民税 = 譲渡所得 × 税率
= 3,125万円 × 5%
= 156万円

税額 = 所得税 + 復興特別所得税 + 住民税
≒ 468万円 + 9.8万円 + 156万円
≒ 633.8万円

譲渡価額3,000万円に対し、税金が633.8万円です。
税金の額は譲渡価額に対し約18%(約2割弱)となります。

相続した土地のように「長期譲渡所得で、かつ、取得費が不明」の場合には、税金は売却代金の2割弱程度となることが多いため、得費が分かる書類を多く集めておくで節税できます。

取得費は土地の購入費用の他に、購入時にかかった仲介手数料や印紙税、登録免許税など諸費用も含まれます。売買契約書や領収書を探して取得費に加算できるものがないか確認しましょう。

取得費の詳細が知りたい方は、国税庁のタックスアンサーNo.3223 「取得費となるもの」にてご確認ください。

土地の所有期間を確認する

譲渡所得税は土地の所有期間によって税率が変化します。

土地を売却した年の1月1日時点において、売却する土地の所有期間が5年以下である場合には「短期譲渡所得」、5年超の場合は「長期譲渡所得」の税率が適用されます。

短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率は以下のようになっています。

短期譲渡所得(5年以下)長期譲渡所得(5年超)
所得税30.63%15.315%
住民税9%5%
合計39.63%20.315%

この所有期間ですが、相続を開始した日から数えるのではなく、被相続人(亡くなった人)が土地を取得した日から数えられます。つまり被相続人が土地を取得して5年以上経過しているのであれば長期譲渡所得の適応となるわけです。

被相続人が土地を取得してすぐに相続した場合は取得費をよく確認して売却するようにしましょう。所有期間5年間近で売却を迷われている場合は、5年を過ぎてから売却することを検討してみてもよいかもしれません。

控除の適用期間に土地を売却する

5章でご紹介したように控除を使うためには決まった期間内に土地を売却する必要があります。

特に相続した空き家を売ったときの特例は譲渡所得から3,000万円まで控除できるというとても節税に役立つ特例となっています。この特例を使用するためには相続を開始した日から3年を経過する日がある年の12月31日までに売却しなければなりません。

このように特例によっては「何年以内に売却していること」という適用条件が課されている場合があります。

土地の売却はすぐに完了するものではありません。使用する控除の期間内に売却が完了できるように計画的に売却活動を行いましょう。

相続した土地の売却までの手順

STEP
  • 遺言の有無を確認する
  • 相続人を決める
  • 相続財産の価格を調べる
  • 遺産分割協議をする
  • 名義変更のため相続登記を行う
  • 不動産への依頼
  • 買い主との売買契約
  • 決済
上記のリストでは、相続が発生してから売却が完了するまでの手順をあげましたが、今回は相続登記の申請から土地を売却するまでの手順を紹介していきます。
「不動産相続の手続きと流れ」について知りたい方はこちらで分かりやすく解説しております。ぜひご覧ください。

親名義の土地を相続するには?メリットやデメリットを徹底解説!

名義変更のため相続登記を行う

相続登記とは、不動産(土地、家、マンション)の所有者が亡くなった場合に、相続人に名義を変更する手続きのことです。申請方法は、3つあり、「不動産所在地の管轄の法務局窓口」、「オンライン」または「郵送」から選ぶことができます。

法改正により、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。

期間内に相続登記をしなかった場合、10万円以下の罰金が課せられることになるため、時間のある時にゆとりを持って申請するようにしましょう。

相続登記を行う際に必要書類リストはこちらになります。

対象必要書類取得先取得費用
相続人
法定相続人
全員の現在の戸籍謄本相続人の本籍地の市町村役場450円/1通
相続人新しく名義人になる方の住民票相続人の本籍地の市町村役場300円/1通
相続人法定相続人全員の印鑑証明書役所・コンビニ300円/1通
被相続人出生から死亡まで連続した「戸籍謄本」被相続人の本籍地の市町村役場450円/1通
被相続人住民票の除票被相続人の本籍地の市町村役場300円/1通
その他登記申請書法務局のHPから自分で作成0円
その他相続関係説明図法務局のHPから自分で作成0円
その他固定資産評価証明書毎年4~6月に郵送される0円
その他遺産分割協議書法務局のHPから自分で作成0円

不動産会社への依頼

相続した土地を売却するために、不動産会社と媒介契約を結ぶことをおすすめします。契約を結ぶことで、買い主を探すのが早かったり、金額や条件の交渉がスムーズになったり、専門知識のある方のサポートが入るため、売買契約書などに不備が生じにくいなどの利点があります。

買い主との売買契約

購入を希望する買い主が見つかったら、売却価格を交渉します。そして、不動産の売却価格が決まり次第、売買契約を結びます。売買契約とは、取引対象になる不動産を売り主が買い主に移転することを約束し、買い主が代金を支払う約束をすることを指します。不動産契約を結んだ後は、解約が難しいため、どちらかに不利な契約書になっていないか、不備がないか自己責任で確認した後、売買契約に進むことが大切です。

決済

不動産を購入した買い主が、売り主へ代金を全額支払うことを決済といいます。決済方法には「銀行振込」と「現金手渡し」の2種類あり、売り主と買い主の間で、交渉しどちらにするか決めていきます。銀行振込の場合、手数料が発生します。
残代金全額の支払い完了が確認できると、不動産を引き渡しに進みます。

相続した土地を売却した後におこなう確定申告

相続で取得した資産に関しては、相続税の対象ですが、それを売却した場合は譲渡所得となるため、確定申告が必要です。サラリーマンでも、主婦や学生でも確定申告をしなければなりません。売却した翌年には必ず納めないといけないため忘れずに行いましょう。

譲渡所得税が発生するため確定申告が必要

会社員であっても、会社からの収入とは別に、不動産で得た収入については確定申告が必要になります。確定後の所得税や住民税も、給与からの天引きにはならないため、自分で確定申告をしなければなりません。

ただしこれは、あくまで収入になる場合です。例えば、被相続人が購入したときよりも土地の価格が下落しているなど、取得費が高い場合には、収入どころかマイナスになるため、確定申告が不要になります。

確定申告に必要な書類

確定申告に必要な書類には以下のようなものがあります。

  • 戸籍の附票(売却後2ヵ月経過後発行されたもの)
  • 取得時に取り交わした売買契約書・建築請負契約書(写し)
  • 取得時にかかった仲介手数料の領収証(写し)
  • 取得時にかかった登記費用など諸費用の領収証(写し)
  • 売却時に取り交わした売買契約書と領収証(写し)
  • 売却時にかかった仲介手数料の領収証(写し)
  • 売却時にかかった測量費・登記費用など諸費用の領収証(写し)
  • 売却した土地・建物の全部事項証明書
  • 源泉徴収票
  • 確定申告書の用紙(申告書B・申告書第三表/分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

自分で確定申告をすることもできますし、税務署で申告書の書き方を教えてもらうこともできます。しかし、まちがいなく手続きをするためには税理士に依頼する方法が無難でしょう。

確定申告書の用紙や譲渡所得の内訳書は税務署、もしくは国税庁の「【申告書用紙】」からダウンロードできる書類です。

相続した土地の売却は専門家の力を借りよう!

税に関して、素人にはハードルが高そうだと思った人も多いのではないでしょうか。必要書類などもたくさんあって、仕事をしながら準備するのは一人だと心細いという方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、信頼できるパートナーとして、専門家の力を借りるのが一番です。

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