相続した土地が不整形であったり、傾斜があったりすると、活用づらいので、簡単に売却できない可能性が高いです。そのため、そのままでは使用が難しい土地の場合、造成によって宅地にし、家を建てたり、別の方法で活用したりすることができます。
しかし、造成にかかる費用の相場がわからず不安な方も多いのではないでしょうか。
この記事では、造成費の相場や計算方法、造成費用を抑える方法について解説していきます。是非参考にしてください。
土地の造成費に関する基礎知識
土地の造成を行うなら、造成費についての基礎知識を身につけておくことが大切です。造成費とはそもそもどのような費用なのか、内訳がなにかなどを知っておきましょう。また、相場を把握しておくことで、土地の造成にあたってかかるコストを把握できます。
造成費とは
造成費とは、宅地以外の土地を宅地にするためにかかる費用です。土地を造成することによって住宅を建てられる状態に整えることができ、活用の選択肢が広がります。
そのままでは利用しづらい土地でも、造成によって手を加えることで、建物の建築が可能になるため、家を建てるための土地の整備費用が造成費であるといえます。
造成費の内訳
土地の造成にかかる費用の内訳は次の通りです。
- 整地
- 伐採・抜根
- 地盤改良
- 土盛り・土留め
どのような整備を行うかによって、かかる費用の内訳は異なります。整地は土地を平らにする工事であり、でこぼこな土地をならして、建物を建築できるようにします。整地は造成の基本となるため、ほとんどの場合で行う基礎工事と考えましょう。
伐採や抜根は土地に樹木がある場合に行う造成です。樹木がある状態では土地の整備ができないため、切り開いたり根っこごと抜いて、造成が可能な状態にします。
地盤自体に問題がある場合は、地盤改良工事を行います。緩んだ地盤の上には建物を建築できないため、安全性を高めるために、地盤を固める工事を行うことが地盤改良です。
道路よりも土地のほうが低い場合は、高さをそろえるために土盛りを行います。土盛りをして高さを上げたところで、崩壊しないように固める作業が土留めです。
造成にあたってはこれらすべての費用がかかるわけではありませんが、基本的には整地は必要であり、土地の状態に合わせてプラスアルファで工事を行うと考えましょう。
造成費の相場
造成費の相場は、都道府県ごとに異なります。各地域ごとに造成工事の内容の単価を決めており、同じ工事を行う場合でも、土地の所在地によって費用が異なるケースがあります。都道府県ごとの造成費の単価は、国税庁の財産評価基準書のサイトから確認可能です。
参考:財産評価基準書
造成費をかけるメリット
相続する土地に造成費をかけるメリットは、節税効果が期待できることです。相続時には土地は評価額を算出して、課税対象額を決定します。このとき土地を宅地とみなして評価する宅地比準方式を採用する場合は、造成にかかった費用を相続税から控除できます。
- 市街地農地
- 市街地周辺農地
- 市街地山林
- 市街地原野
相続する土地が上記のいずれかに該当する場合で、土地の造成を行うならかかった費用を控除できるため、相続税を節税できます。
相続した土地の造成費を計算する方法
控除のために相続する土地の造成費を計算する場合は、次の手順で行います。
- 整地工事費を算出する
- 伐採や抜根工事費を算出する
- 地盤改良費用を算出する
- 土盛費や土留め費を算出する
かかった費用を漏れなく計算して、控除額を正確に算出しましょう。
整地工事費を算出する
整地にかかった工事費は、整地の単価に土地の総面積をかけて計算します。例えば整地の単価が700円で土地の総面積が100平方メートルであるなら、7万円が整地にかかった造成費となります。
伐採や抜根工事費を算出する
伐採や抜根の工事費は、土地全体に樹木があるのか、部分的に樹木があるのかによって異なります。
樹木の範囲 | 計算方法 |
土地に全体的にある | 土地の総面積×単価 |
土地に部分的にある | 樹木のある土地の面積×単価 |
樹木が土地に離れて複数部分にある場合は、それぞれの面積に単価をかけて、伐採や抜根の費用を計算します。
地盤改良費用を算出する
地盤改良費用は、「地盤改良の単価×土地の面積」で計算できます。湿地などで地盤が緩んでいる場合には地盤改良が必要です。地盤は目に見えない部分であり、すべての土地で必要とは限らないため、工事が必要かは土地を購入した不動産会社に相談してから決めることがおすすめです。
土盛費や土留め費を算出する
土地のかさ上げをするために土盛りを行った場合は、「土盛りをした体積の立方メートル×単価」で費用を計算します。土留めの費用は、土盛りを行った部分に対して必要な「擁壁の平方メートル×単価」で算出できます。土盛りは立方メートル、土留めは平方メートルと基準となる数値が異なることは覚えておきましょう。
相続した土地の造成費を抑えるには
行う工事の数が多かったり、土地の面積が広かったりすると、造成費は高額になりやすいです。そのため、造成費を抑えるためのポイントを知り、費用負担を軽減しましょう。
- 自分で業者を探す
- 自分でできるところは自分でやる
- 工事の時期をよく検討する
- 業者と工事内容を話し合う
ポイントを踏まえて造成を行うことで、費用は削減できます。
自分で業者を探す
造成を依頼する業者は自分で探すことがおすすめです。建物を建築する場合は、建築会社に依頼して業者を紹介してもらうこともできますが、この場合は仲介手数料が発生します。
自分で業者を見つけるなら、仲介手数料はかかりません。手数料分の費用を節約するためにも、建築業者への委託とは別で、造成工事を行う業者を探すことがおすすめです。
自分でできるところは自分でやる
土地を造成するにあたっては、土地をきれいな状態に戻しておく必要があります。そのため、雑草を抜いたり、ごみを撤去したりするのは自分で行うことが大切です。これらの作業まで業者に依頼すると、その分費用が高くなります。
整地やその他専門的な工事は自分では行うことができませんが、雑草やごみの除去は自身で行えるため、自分でできる範囲については事前に行っておきましょう。
工事の時期をよく検討する
工事の時期によっても費用負担が増減する場合があるため、いつ造成をするかはよく検討することが大切です。例えば土地の上に建物があり、それを取り壊してから造成し、新たに建物を建築する場合は、1月2日以降がおすすめです。
もし年末に建物を取り壊し、更地の状態で1月1日を迎えてしまうと、土地にかかる固定資産税が高くなります。1月1日時点で土地に建物があると、固定資産税の軽減措置が適用され、土地の固定資産税は最大6分の1になります。
年末年始の時期は特にタイミングに注意が必要であり、建物の解体が必要な場合は、年始以降に行いましょう。
業者と工事内容を話し合う
工事内容については業者とよく話し合い、削減できる費用がないか見つけておくことも大切です。業者に言われるまま工事をしてもらうと、本来不要なはずの造成まで行い、費用が高くなってしまうこともあります。
工事内容について業者と話し合い、不明点も質問して解消しておくことで、本当に必要な工事内容が判断できます。わからないことをそのままにして工事を依頼せず、少しでも疑問に思ったことは積極的に質問して、削減できる費用がないかを確認しておきましょう。
土地の造成費に関する注意点
土地の造成を行うにあたっては、覚えておきたい注意点がいくつかあります。
- 傾斜角度によって費用が変動する
- 安さだけで業者を決めない
- 見積もりは複数の業者に依頼する
- 近隣住民への説明を怠らない
造成の費用や工事そのもので失敗しないためにも、注意点は正しく把握しておきましょう。
傾斜角度によって費用が変動する
造成費は土地の傾斜によって費用が変動し、角度が大きくなるほどコストは高くなります。同じ土地面積でも、傾斜角度の違いによってかかる費用が変わることは覚えておきましょう。
- 3度超5度以下
- 5度超10度以下
- 10度超15度以下
- 15度超20度以下
傾斜角度は上記の4つに区分され、一番なだらかな土地と急角度なものでは、1平方メートルあたりの費用が3倍以上になることもあるため注意が必要です。
安さだけで業者を決めない
造成工事を依頼する業者は、安さだけで決めないことが大切です。料金が安いからといって必ずしもお得になるわけではなく、工事を雑に行われる可能性もあります。
安い業者に工事を依頼して、正しく造成ができていないと、再度やり直しとなって余計な費用がかかってしまうこともあります。造成工事を確実に終えるためにも、口コミでの評判や実績なども参考にして、信頼できる業者を見つけておきましょう。
見積もりは複数の業者に依頼する
造成工事を依頼する際には見積もりをもらいますが、これは複数の業者に依頼することが大切です。最初の1社だけで依頼してしまうと、費用が相場よりも高くなったり、工事の腕が悪く、造成内容に不満を感じてしまったりすることもあります。
複数社から見積もりを取っておくことで、それぞれが提示する工事プランや価格、担当者の対応などを比較でき、信頼できる業者を見つけやすいです。最低3社程度を目安に見積もりを比較しておくと、優良業者を見つけやすくなります。
近隣住民への説明を怠らない
造成工事を行う際には、事前に近隣住民に説明をしておくことが大切です。説明をせずに工事を始めてしまうと、騒音や工事車両の出入りなどで苦情が入り、トラブルに発展することもあります。
いつからいつまで造成工事を行うのか、どのような内容なのかを説明しておき、トラブルや苦情を未然に防ぎましょう。
相続した土地の造成費を把握しておこう
相続した土地に造成工事が必要な場合は、造成費がいくらかかるのかを把握しておくことが大切です。依頼する工事業者の選定や工事内容次第で、造成費は節約できます。
地盤の緩んだ土地や、宅地以外の土地を活用するには、造成が必要なケースが多いです。費用を抑えて造成し、土地活用をするためにも、相続前に造成費の相場を理解しておきましょう。
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