相続した空き家があるなら、不動産のビジネス利用がおすすめです。空き家ビジネスにはさまざまな種類があり、上手に活用することで資産を増やすことができます。
空き家ビジネスをしようと考えているなら、どのような方法があるのかを知っておくことが大切です。ビジネスモデルから活用時のポイントなどを知り、空き家ビジネスを成功させましょう。
空地活用について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
空き家を使った10のビジネスモデル
空き家を利用したビジネスモデルの代表例としては、次の10個があげられます。
- ファミリー向けの戸建て賃貸
- 修繕費を節約できるDIY可賃貸
- コンセプトを決めてシェアハウス
- コロナ禍で増加傾向のサテライトオフィス
- ネット環境を整えコワーキングスペース
- まとまった期間を貸し出すサブスク住宅
- 高齢者向けに介護施設
- 賃貸のチャンスを増やすセーフティネット住宅
- 立地が悪くてもビジネスが成り立つ収納スペース
- 古民家でのカフェ経営
どのようなモデルがあるのかを知り、空き家ビジネスの参考にしましょう。
ファミリー向けの戸建て賃貸
戸建ての空き家なら、ファミリー向けの戸建て賃貸として貸し出す方法が考えられます。戸建て賃貸ならファミリー層の需要を獲得しやすく、一度入居すると退去までの期間が長くなりやすいため、長期にわたって安定して収益が得られます。
都市部などのファミリー層が多いエリアだけではなく、地方の移住希望者もターゲットとなるため、需要は幅広いでしょう。ただし、空室状態が続くと維持費が高くなったり、収益が得られなくなったりして損失が出ることもあります。
入居者を獲得できるなら安定して収入を得やすい戸建て賃貸ですが、空室による損失発生のリスクがあることは理解しておきましょう。
修繕費を節約できるDIY可賃貸
空き家の維持費を節約したいなら、DIY可の賃貸物件として貸し出す方法もあります。DIYを可能にしておくことで、建物の維持を入居者に任せることができ、ランニングコストを節約できます。この際DIYが可能な部分を躯体以外に指定しておくことで、建物の大部分を改修される心配がなくなるためおすすめです。
DIYが可能なことで、入居者の需要を獲得しやすく、通常では入居者が入りづらい立地や建物でも、ニーズが生まれやすい点も魅力です。
コンセプトを決めてシェアハウス
特定のコンセプトを決めることで、空き家はシェアハウスとして活用することもできます。コンセプトを決めるポイントとしては、次のものがあげられます。
- 性別
- ニーズ
女性限定や学生向けなどのニーズを決めておくと、シェアハウス需要は獲得しやすいでしょう。シェアハウスとして活用するにはリフォームやリノベーションが必要な場合も多く、初期費用がかかりやすい点には注意が必要です。
コロナ禍で増加傾向のサテライトオフィス
コロナ禍によってリモートワークが浸透し、サテライトオフィスの需要は増加傾向にあります。企業としても経費の削減や社員の満足度の向上を考えていることが多く、サテライトオフィスは多くの企業に採用されています。
需要の増大を狙ってサテライトオフィスとして空き家を活用することで、ニーズを獲得して収益化が目指しやすいでしょう。
ネット環境を整えコワーキングスペース
企業ではなく個人向けの仕事場所として、コワーキングスペースも需要が高まっています。コワーキングスペースはネット環境を整えることで簡単に提供でき、個人事業主などの需要を獲得しやすいです。
コワーキングスペースは誰でも利用できるため、利用者は異業種の人ともつながりを持つことができます。作業場所としての需要はもちろん、異業種交流のコミュニティとしても、コワーキングスペースは人気があるでしょう。
ビジネス街や住宅街だけではなく、観光地にある空き家でもコワーキングスペースとしての利用は可能です。観光地ではワーケーション向けの需要を獲得できるため、場所を問わずに収益化が目指しやすいのは大きな魅力です。
まとまった期間を貸し出すサブスク住宅
空き家をホテルのように、一定期間貸し出すサブスク住宅も需要が高まっています。ターゲットは長期滞在をする人であり、民泊とは違って国内の需要を狙いやすい点がポイントです。
コロナ禍でインバウンドは大幅に減っているため、同じ長期貸し出しでも民泊の需要は下がっています。そのため、国内需要を狙えるサブスク住宅のほうが、コロナ禍においては適したビジネスモデルといえるでしょう。
空き家を民泊として貸し出す活用方法について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
高齢者向けに介護施設
少子高齢化が進行している日本では、デイサービスやグループホームなどの介護施設需要が高まっています。介護施設を建築するには初期費用がかかりますが、建築費用や改修などは自治体からの補助金が下りるケースが多いです。
初期費用はかかりやすいものの、長期的な収益化が目指せるため、安定したビジネスモデルで空き家を活用したい人におすすめです。
賃貸のチャンスを増やすセーフティネット住宅
高齢者や障がい者、子育て世帯など、生活に困窮している人のためのセーフティネット住宅を空き家で提供することも可能です。セーフティネット住宅として利用することで、賃貸利用のターゲットを広げることができ、さまざまな層からの需要を獲得できます。
セーフティネット住宅は生活困窮者を支援するための住宅であり、基本的には賃料を高く設定できません。しかし、需要が低い空き家でも賃貸住宅として利用できる可能性は高くなり、不動産を持て余している場合は、セーフティネット住宅としての活用も検討してみるとよいでしょう。
立地が悪くてもビジネスが成り立つ収納スペース
空き家の立地が悪く、賃貸需要などを獲得しづらい場合は、収納スペースとして貸し出すこともおすすめです。収納スペースは利用頻度が高くないため、立地が悪くても需要を確保しやすいです。
また、スペースを作るだけのため初期費用も安く、空き家にほとんど手を加えずに経営を開始できるケースが多いことも魅力といえます。
古民家でのカフェ経営
古い空き家でも、古民家カフェなど、コンセプトカフェとして利用する方法もあります。周囲に飲食店が多い場合は競争が激しくなりますが、テナントを利用するよりは地代が安くなるため、コストの節約が可能です。
また、自身で経営する場合は、営業時間や店休日などの設定を自分の判断で行えるため、自由度が高いことも魅力でしょう。
空き家でビジネスを始めず放置するデメリット
所有している空き家をビジネス利用せず、放置し続けることにはさまざまなデメリットがあります。
- 空き家の維持費で出費が続く
- 経年劣化で資産価値が低下していく
- 特定空き家に認定されると罰則の恐れ
デメリットを把握し、空き家をいかに活用したほうがよいのか、その理由について詳しく知っていきましょう。
空き家の維持費で出費が続く
不動産は所有しているだけで費用がかかり、これは空き家であっても同じです。空き家を所有していると、固定資産税や都市計画税が毎年かかります。また、契約を解除し忘れていると、光熱費の基本料金もかかってしまうため、注意しなければなりません。
所有しているだけでコストが発生し、維持費分損をしてしまうため、空き家は早めに活用して損失を減らすことが大切です。
経年劣化で資産価値が低下していく
空き家のまま放置していると、家の経年劣化は加速度的に進みます。老朽化が激しくなると資産価値は大幅に減少し、いざ活用しようと思っても収益化が見込みづらくなることも多いです。
そもそも建物はどれだけこまめに管理をしていても、経年劣化は避けられません。丁寧に管理している建物でも経年劣化は進むため、放置している空き家だとその進行が大幅に早く、資産価値の減少幅が大きいことは理解しておきましょう。
特定空き家に認定されると罰則の恐れ
空き家のまま放置していると、自治体によって特定空き家に認定され、罰則を受ける恐れがあります。特定空き家とは、景観を著しく損ねる不衛生な空き家や倒壊などのリスクによって、周辺の建物や住民に危害を及ぼす可能性があるものを指します。
空き家状態が長く続くと、自治体から空き家の処分や対処の勧告を受け、それに従わないと特定空き家に認定されるため注意が必要です。特定空き家に認定されると、固定資産税や都市計画税などの優遇措置がなくなって税負担が大きくなったり、50万円以下の過料を科せられたりする場合があります。
また、行政執行によって空き家を強制解体されることもあるため、資産を失ったり、罰則などによる損失を防いだりするためにも、特定空き家に認定されないうちに対処することが大切です。
空き家ビジネスを成功させるコツ
空き家ビジネスを成功させるには、いくつか覚えておきたいコツがあります。
- 空き家ビジネスの専門家に相談
- ニーズに合ったビジネスを選択
- 空き家ビジネス向けの補助金を活用
コツを正しく把握して、失敗のない空き家の活用を目指しましょう。
空き家ビジネスの専門家に相談
空き家ビジネスを始めるにあたっては、専門家に相談しておくことがおすすめです。NPO法人による無料相談によって、空き家をどのように活用すればよいのか、専門家からアドバイスを受けられます。
また、不動産活用の一括見積もりポータルサイトを利用することでも、専門家によるアドバイスを受けることは可能です。知識なくビジネスを始めると失敗する可能性が高いため、空き家ビジネスは専門家に相談してから始めることがおすすめです。
ニーズに合ったビジネスを選択
ひとくちに空き家ビジネスといってもさまざまな種類があるため、ニーズに合ったものを選ぶことが大切です。どのビジネスが成功するかは、空き家の立地や建物の状態、間取りなどによって変わります。
そのため、空き家の状態を正しく把握し、空き家のある地域でどのような需要があるのかを理解しておくことが、ビジネス成功の秘訣です。初期費用が安いなど、取り組みやすいものでも需要がなければ失敗する可能性が高いため、その地域ならではの需要を確認して、どのビジネスモデルが適しているかを考えましょう。
空き家ビジネス向けの補助金を活用
現在日本では空き家が増加しており、空き家問題への対応として、空き家ビジネス向けの補助金がさまざま制定されています。空き家ビジネスの成功を目指すには、制度を理解して補助金を上手に活用することが大切です。
制度の名称 | 概要 |
家賃低廉化支援制度 | 低所得者または災害時に避難支援が必要な高齢者世帯の入居を受け入れると、月最大4万円が支給 |
建物改修工事に対する補助金 | 低所得世帯の入居を想定した改修を行うことで、1戸につき最大100万円支給 |
建物解体工事に対する補助金 | 空き家解体の費用の一部を自治体が負担 |
制度の利用条件や詳細な内容は、地域によって異なる場合があります。また、自治体ごとに独自の補助金制度を採用していることもあるため、空き家のある地域ではどのような制度があるのか、ビジネス開始前に確認しておきましょう。
Q&A空き家ビジネス
空き家ビジネスを失敗なく行うには、こまかな疑問点も解消しておくことが大切です。
- 空き家で始めるビジネスに資格は必要か
- ベンチャー企業はビジネスで成功しているのか
- 空き家はビジネスより売却が得か
よくある疑問とその回答から、空き家ビジネスに関する理解をさらに深めていきましょう。
空き家で始めるビジネスに資格は必要か
資格が必要かどうかは、どのようなビジネスを行うかによって異なります。例えば賃貸経営の場合は資格は必要ありませんが、カフェや飲食店経営をする場合は、食品衛生責任者の資格を取得しなければなりません。
ただし、無資格でできるビジネスモデルでも、専門知識を身に付けておくことは大切です。資格の必要性の有無に関係なく、開始しようとしているビジネスについては深く勉強し、専門知識を身に付けておきましょう。
ベンチャー起業はビジネスで成功しているのか
空き家ビジネスで、成功を収めているベンチャー企業は多数あります。例えば「空き家活用株式会社」は、空き家情報を不動産会社に提供するBtoBのプラットフォームを構築したり、不動産会社と空き家を利用したい個人をつなぐ、BtoBtoCのモデルで空き家活用の提案をしたりしています。
空き家の情報を企業や個人に伝えられるプラットフォームの構築によって、空き家活用者のニーズを掴み、ビジネスとして成功を収めています。
空き家はビジネスより売却が得か
短期的な目線で考えるなら、空き家はビジネス利用するよりも売却したほうが得なケースが多いです。空き家を売却すると、一度にまとまった現金が得られるだけではなく、維持費や建物管理の負担も解消できます。
ただし、長期的に考えると、継続して収益を得られる空き家ビジネスを展開したほうが、売却よりも得をするケースはあります。
手元にすぐ現金が欲しい場合やまとまった現金で資産運用をしたい人、空き家の長期的な管理が難しい人は、売却がおすすめです。
対して空き家の管理が可能であり、地域のニーズを獲得できる活用方法でビジネスを展開できる場合は、空き家ビジネスを検討するとよいでしょう。
空き家の査定について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
「今持っている不動産を現金化したい」という方は、売却という形で手放すという選択肢もあります。一括査定サイト「イエウール」を使えば、無料で最大6社から査定を受けられるので高く売ってくれそうな会社が分かります。
空き家ビジネスはニーズに合った方法で始めよう
所有している空き家で空き家ビジネスを始めるなら、ニーズに合った方法を見つけることが大切です。空き家ビジネスの種類はさまざまであり、立地や周辺需要によって、どのビジネスモデルが適しているかは異なります。
ニーズを得られないビジネスモデルだと、空き家ビジネスは失敗に終わる可能性が高いです。空き家ビジネスで成功するためにも、ニーズを正しく理解して、安定して収益が得られるビジネスモデルを見つけましょう。
記事のおさらい