アパートの大家は、一般的に多くの不労所得を得ることができるというイメージを持つ方が多く、その収益性からアパート経営を検討している方も少なくありません。
同時に、実際にアパートの大家の仕事内容は何か、年収はどのくらいかなどの詳しい情報について気になっている方もいらっしゃるかと思います。
本記事では、アパート大家の仕事内容や、大家さんの年収について詳しく解説しています。
また、アパート大家に向いている人の特徴や高収入を得るコツもご紹介していますので、アパート経営を検討されている方の参考となれば幸いです。
- アパート大家の仕事内容は「建物の管理」と「入居者の管理」。
- アパート大家の平均年収は521万円。
アパート大家の仕事内容
実際にアパートの大家さんはどのような仕事をしているのでしょうか?
この章では、アパート大家の仕事内容について解説します。
アパート大家の仕事は、大きく分けて「建物の管理」といったアパート自体の管理と、集金や入居者への対応といった「入居者の管理」の2種類です。
それぞれ、どんなことを行っているか詳しく見ていきましょう。
建物の管理
「建物の管理」として行っていることは以下の通りです。
- 清掃
- 照明、エレベーター等設備の点検
- リフォーム
- 大規模修繕
清掃
アパート大家の仕事として、最も重要で基本的な内容が日々の清掃です。
エントランスの清潔感や、廊下、駐車場や駐輪場といった共用部分のきれいさは、入居率に直結するといっても過言ではありません。
アパートを複数持つ大家さんの中には、アパートの清掃をシルバー人材センターに依頼している方もいらっしゃいます。建物と入居者全てを管理する管理会社に比べて、費用を安く抑えることができます。
照明、エレベーター等設備の点検
共用部分の照明、エレベーター等設備の点検も大家さんの仕事の1つです。
電気の交換や
クリーニング・リフォーム
入居者が退去したあと行うのが、クリーニングやリフォームです。
クリーニングの内容は、台所、浴室、トイレなどの水回りの清掃、フローリングの床のワックスがけなどです。
リフォームの内容は、壁紙やフローリング、畳の張替え、蛇口やシャワーの交換、ペンキの塗り直しなどです。一般的には、入居者から預かった敷金を原状回復の費用として充てます。
大規模修繕
アパートは経年劣化によって資産価値が落ちてきます。資産価値を維持するためにも、細かな修繕だけではなく、大規模な修繕が必要です。
大規模修繕の内容は、外壁の塗替えや雨漏りの修繕といった建物全体にわたるものです。
この大規模修繕に備えて、修繕積立金として毎月資金をつみたてておくなど、資金計画を立てておくことが大切です。
入居者の管理
「入居者の管理」として行っていることは以下の通りです。
アパートの広告・宣伝による入居者の募集・契約
- 入居者の契約更新手続き
- 家賃の集金
- トラブル・クレーム対応
入居者の募集・契約
アパートに空室が出た場合、入居者の募集をかけるのもアパート大家の仕事です。
入居者の募集は、不動産仲介業者を通じてポータルサイト等で広告を出すことによって行われます。
大家さんの仕事は、仲介業者に依頼を出すこと、また依頼の契約をすることです。契約には、1社だけに依頼する専任媒介契約と、複数の仲介業者に依頼する一般媒介契約があります。より多くの人に物件を見てもらうには、一般媒介契約をおすすめします。
また、広告費として仲介業者に家賃1ヶ月分を出すことによって、より早く入居者が見つかることもあります。
どの仲介業者に依頼するのか、また広告費はどうするかなどを決めるのが、入居者募集における大家さんの仕事になります。
家賃の集金
入居者から毎月の家賃が振り込まれているか、確認する仕事です。振り込まれていなかった場合、家賃の督促を行います。
また、入居時の敷金礼金や、更新料の集金も行います。
家賃の集金のみを行う管理会社もありますので、金銭面のみ管理委託する選択肢もあります。
トラブル・クレームの対応
アパート大家さんの仕事には、入居者間のトラブルやエアコンの故障など設備トラブルのクレーム対応もあります。
ご近所トラブルを未然に防ぐためにも、入居者選びは慎重に行いましょう。入居者と直接面談することで入居審査をするのも1つの手です。
また、緊急のクレームに対して、24時間受付や対処をしてくれるサポートもありますので、サポート業者と契約をするのも良いでしょう。
アパート大家の管理委託先
この章では、アパート大家の仕事の委託先、すなわちアパートの管理委託先について解説します。
アパート大家の仕事は委託できる
このアパート大家の仕事は、管理会社に委託することもできます。
管理会社に大家の業務を委託する場合は、以下の3種類の管理形態から自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。
- 建物と入居者の管理を含む一般的な管理
- 集金管理のみの管理
- サブリースによる管理
管理委託のメリット・デメリット
この章では、管理委託のメリットとデメリットを紹介します。
管理委託のメリット |
---|
・不動産管理に慣れた専門家がトラブル対応してくれる ・面倒な業務を任せられる ・自分の時間を確保できる |
管理委託のデメリット |
---|
・管理委託料が発生する ・管理会社によって管理の質が左右される ・自分の物件のみに注力してもらえない |
アパートを自主管理するのか、それとも委託するのか、最も大きな判断軸となるのが、「管理委託費の発生」と、「管理の手間」です。
建物と入居者の管理を含む一般的な管理の場合、管理会社への業務委託費は、家賃収入のおよそ5%が相場です。
毎月の家賃を回収する集金管理のみの場合、業務委託費はおよそ3%が相場です。
また、サブリースのように、管理会社がアパートを一括で借り上げてそれを又貸しする形で入居者に貸し出す場合、手数料相場は家賃収入の10%~15%です。
アパート大家の仕事にどれだけの手間をかけられるか、ご自身の忙しさや費用対効果を考えて選ぶことをおすすめします。
アパートの大家は高年収!?
アパートの大家になると、どのくらい儲かるのでしょうか。
アパート経営の収益性や必要な費用、実際のアパート事例から具体的な収益性を詳しくご紹介します。
アパートの大家って儲かるの?
アパートの大家は、世間一般の印象からすると不動産所得として多くの収入を得ているというイメージを持たれている方も多いかと思います。
アパート経営は、立地や建物性能によりますが、誰でも儲けることができます。
アパート経営における収入の内訳のほとんどを占めるのは家賃収入です。そのため、高収入を達成させるためには入居率、もしくは家賃収入を上げることが重要です。
家賃収入の他にも、礼金や更新料、自動販売機の設置による収益もあります。なかでも、駐車場付きアパートの場合はより収益性を高めることができます。
アパート大家の収入
アパート経営をしている人は、全国各地に数多くいます。そのため、確実な数値については残念ながらわかりませんが、国税庁が毎年の不動産所得を公表しておりその統計からおおよその平均を推測することは可能です。
国税庁が公表する令和元年申告所得税標本調査結果を参考にすると、国内の不動産所得の平均額は521万円となります。この統計はアパート以外にも、ワンルームマンションやオフィスビルなどの不動産投資も含む金額となっています。
収入と所得の違い
収入と所得には以下の違いがあります。
- 収入・・主に給与や事業で得た売上金額のこと。年収ともいう。
- 所得・・収入から保険料や経費などを差し引いた額。所得税と住民税は所得をもとに計算する。
アパート経営での所得の計算式は以下の通りです。
給与所得とアパート経営による所得がある場合、両方を合算した金額によって所得税額が決定されます。
所得税は累進課税制度をとっており、不動産所得以外で得た所得(給与所得や雑所得)を合算して税率を決定します。
累進課税制度の所得額ごとの税率変動は以下の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
給与所得などがある方でアパート経営を検討している方は、事前にどのくらいの所得税がかかるのか概算しておくことをおススメします。
アパート経営における収入の内訳
アパート経営の収入の内訳の具体例は、以下の通りになります。
収入元 | 相場 |
---|---|
賃料収入 | 7万円~/1R |
共益費・管理費 | 家賃の5~10% |
駐車場代 | 3万円~ |
礼金 | 家賃の1~2ヶ月分 |
契約更新料 | 家賃の1ヶ月分 |
それ以外の収入(自動販売機) | 自動販売機を設置する場合、最大1万円/月 |
アパート大家の収入源は、主にこの4つです。
家賃収入は、アパート経営おいて収入の多くの割合を占めます。そのほかにも、共益費や管理費、駐車場がある場合には駐車場代も家賃収入に含まれます。
賃料と駐車場代に関しては、東京都内の相場を参考にしています。賃料は1ルームの場合7万円前後、駐車場代は3万円からが相場ですが、立地や物件によって異なります。
礼金や契約更新料もアパート大家の収入となりますが、近年ではこれらの費用を無料としている大家も多いです。
また、敷金は退去時に返却するものですので、大家の収入とはなりません。そのため、敷金分については退去に合わせいつでも返却できるよう常に準備しておく必要があります。
【事例】都内2階建て8戸アパートの収益例
実際に大家としてアパートを経営する場合の収益例をご紹介します。
都内にある8戸の2階建てアパートの収益はどのようになるのでしょうか。
以下にその他の条件をまとめました。
条件 | 物件情報 |
---|---|
物件価格 | 1億円 |
家賃 | 7万/月 |
共益費・管理費 | 5千円/月 |
駐車場代 | 3万円/月 |
このアパートの収益性は以下のようになります。
項目 | 収益性 |
---|---|
年間家賃収入 | 約749万円 |
年間支出 | 約112万 |
年間手取り | 約637万 |
年間支出は、固定資産税や維持管理、修繕費などにかかる費用です。通常は年間家賃収入に対して15%程かかります。
また、上記の例は、物件購入費にローンを組んでいない場合の収益性です。そのため、ローンを組んでアパートを購入し経営する場合は提示した手取り金額よりも少なくなります。
ローンを組む場合、物件購入費の1~2割を自己資金として用意しておくことをおすすめします。
新築物件と中古物件ではどちらがいいのか
アパート経営を始めるにあたり、新築のアパートか中古のアパートどちらがよいのかお悩みの方も多いです。
新築物件と中古物件にはそれぞれ以下のような特徴があります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
新築アパート | ①長期運用が可能 ②中古に比べ入居率が高い ③中古に比べローン審査に通りやすい | ①初期費用が高い ②収益を得るまでに時間がかかる ③イメージ通りのアパートを建てられない可能性がある |
中古アパート | ①初期費用が抑えられる ②実際の収益性を確認できる ③オーナーチェンジ物件がある | ①すぐに修繕が必要になる場合がある ②トラブルを抱えている物件である可能性がある ③新築と比べローン審査に不利 |
新築アパートのメリットとして、入居率が高いことがあげられます。不動産市場では中古物件よりも新築物件の方が需要が強いため、家賃も上げやく高収入を達成するためにはベストな選択といえます
また、収益が見込めることからローンの審査も通りやすく、資金面に不安のある方でもグレードアップさせた物件の購入や建築がしやすいといえます。
ただし、中古物件より初期費用が高いため結果的に利回りが低くなってしまう可能性もあります。そのため、自己資金やアパートの収益見込みからより現実的な見立ての下に初期費用にかかる額を検討すべきです。
一方の中古物件は、新築アパート比べ初期費用が安く高利回りを実現させやすいです。また、稼働中の物件の場合はどのくらいの収益性なのかを確かめることができます。
また、入居中の物件を売買することをオーナーチェンジといいます。オーナーチェンジ物件は、アパートの購入後すぐに収益化することができるため、「少しでも早く新たな収入源がほしい」とお考えの方におススメです。
ただし、中古物件のなかには入居率が思わしくないなど何かしらの問題を抱えた物件が売りに出されていることも多く、その経営実績や管理実態には注意する必要があります。
\建築費は?初期費用は?/
活用事例:プリエシェノン

(川木建設株式会社の土地活用事例)
アパート経営において大家が支払う費用
アパート経営には様々な必要経費がかかります。具体的にはどのような経費がどのくらいかかるのかを詳しくご紹介します。
アパート取得時にかかる費用
アパート取得時にかかる費用は以下の通りです。
費用名 | 説明 | 相場・計算方法 |
---|---|---|
保険料 | 火災・地震保険に加入する場合の保険料。長期での一括契約によって費用を節約できる。 | 10万円程度/年 |
印紙税 | 金銭消費貸借契約書類(請負工事契約やローン契約の書類)を交わす際に必要な税。 契約書にある契約金額により税額が異なる。 | 下記参照 |
不動産取得税 | 不動産を取得した際に一度だけ支払う費用。物件購入後1年半以内に請求される。 40平米~240平米である新築アパートに場合は1戸あたり1200万円の控除が可能。 | 固定資産税評価額×4% |
登録免許税 | 建物の保存登記やローン契約を結んだ際の抵当権設定登記費用にかかる税金。 アパートが新築である場合には表示登記費用もかかる。 | 固定資産税評価額×税率 |
司法書士手数料 | 保存登記の手続きを司法書士に依頼するにあたりかかる費用。 決められたの料金設定はなく、依頼する司法書士により金額が異なる。 | 5~15万円程度 |
ローン手数料 | 保証料や事務手数料として支払う費用。 事務手数料には借入額によって変わる定率制がある。 | 保証料 : 借入額の2% 事務手数料 : 3万円前後(定額制の場合) |
アパートを取得する際には、主にこれら7つの費用がかかります。
保険料に関しては、10年の一括契約を行うのが一般的であり、この場合の保険料の相場は50万円程です。
また、保存登記を行う際にかかる司法書士手数料に関しては、各司法書士ごとに金額にバラつきがあります。そのため、何人かの司法書士に相談し金額を比較検討しましょう。
印紙税
印紙税額は、契約金額により以下のように異なります。
課税される所得金額 | 税率 | |
---|---|---|
500万円超1000万円以下 | 1万円 | 5千円 |
1000万円超5000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
登録免許税
登記費用に対して、登録免許税と司法書士手数料がかかります。
目安としては、5000万円のアパートであれば30~50万円前後です。
登録免許税の計算方法は以下の通りです。
- 固定資産税評価額×0.4%
ただし、中古アパートの所有権移転登記を行う場合の税率は2%となります。
アパートの維持管理にかかる費用
アパートを経営していくにあたっては、いくつかの税金がかかります。
費用名 | 説明 | 計算式 |
---|---|---|
管理委託費 | アパートの維持管理を管理会社に委託する際の費用。 トラブル対応など、管理範囲によってはオプション料金となっている場合もある。 | 家賃の5~8%前後 |
水道光熱費 | アパートのエントランスや廊下、敷地内の水栓など共用部の水道や電気にかかる費用。 アパートの規模によって異なる。 | 1万円前後 |
仲介手数料 | 入居者の紹介などを仲介会社に委託している場合にかかる費用。 | 最大で家賃の0.54倍 |
広告宣伝費(AD) | 入居者募集を仲介会社などに委託した場合にかかる費用。 大家と入居者両方から受け取る場合と、どちらか片方だけから受け取る場合がある。 | 家賃の1か月分 |
修繕・リフォーム費 | 設備の修理や間取り変更、入退去の際に行うハウスクリーニングにかかる費用。 | 数万円~数十万円 |
固定資産税 | 不動産に対してかかる税金。土地・建物どちらも課税対象。小規模住宅用地(1戸当たり200㎡未満)と一般住宅用地の減税特例がある。 | 評価額×1.4%(小規模住宅用地であれば1/6、一般住宅用地であれば1/3) |
都市計画税 | 都市計画区域内にある土地・建物にかかる税金。固定資産税と同じく特例がある。 | 評価額×0.3%(小規模住宅用地であれば1/3、一般住宅用地であれば2/3) |
アパート経営には、主にこれら7つの費用がかかります。
実際に経営を行うなかで具体的な金額が分かりますので、あくまでも目安としてご活用ください。
また、アパートの取得費用や維持管理費用は経費として計上することが可能です。そのため、それぞれどのくらい費用がかかったのか、またその証拠は大切に保存しておきましょう。
アパートの大家に向いている人
アパート経営をおこなうにあたり、どのような特徴を持った人が成功しやすいのでしょうか。
本章では、アパート経営を成功させやすい人の特徴を3つほどご紹介します。
副業としてアパート経営をする人
副業として大家を行うメリットには、下記の3つがあります。
- リスクヘッジが可能
- アパートローンの審査に通りやすい
- 給与所得との損益通算で節税ができる
副業としてアパートの大家になる通称サラリーマン大家の場合、給与所得と不動産所得という2つの収入源を確保することができます。そのため、例えば給与所得が減ったとしても、不動産所得があれば経済的に安心できます。
加えて、給与所得があるとアパートローンの審査に通りやすくなるというメリットもあります。ローンの滞納の心配がないため、専業大家よりもローン審査が有利にはたらきます
ただし、アパートローンの審査には借主の属性だけでなくアパートの収益見込みも審査対象となりますので、情報収集を欠かさずニーズにあった物件を建てることがポイントです。
また、税金の面で損益通算が可能なことは魅力的です。
例えば、アパート経営で赤字だった場合には、赤字分の金額を給与所得額から控除することで所得税の節税ができます。
土地を持っている人
アパート経営の収益性を高めるためには、新たに土地を購入するよりも、自分の土地を持っているところから始める方が有利です。
土地を持っていることにより、アパート経営をはじめとした多くの土地活用を検討することができます。エリアなどによっては、アパートでなくマンションの方が収益を得られるケースもあります。
また、経営が思わしくない場合には他の土地活用を行い収益を得ることもできるため、アパート経営に縛られることなく高収入を達成することができます。
物件を購入してアパート経営を行う場合は、土地所有者の意向に左右される可能性もありますので、注意が必要です。
土地をお持ちの方で、確実に安定した収益を確保したいのであれば、定期借地権や等価交換による土地活用を行うこともおススメです。
情報収集に時間を割ける人
アパート経営は、景気や周辺環境の変化によって収益性が大きく左右されます。そのため、自分のアパートがどのような状態にあるのかをこまめにチェックする必要があるでしょう。
特にサラリーマン大家の方は、建物管理を外部に委託(管理委託・サブリース)する方が多いです。このような管理方法でも、空室率や設備の状況は常に把握しつつ、より収益を伸ばす方法などを考えるとよいです。
日々の情報収集を欠かさず、経営に少しでも影響がありそうなことがあれば積極的に施策を打つことも高収入達成のコツです。
アパート大家に必要な資格

前提として、アパート大家になるのに必要な資格はありません。
しかし、アパート経営のリスクを回避したり、収入をあげたりするためには、専門的な知識が必要となります。
この章では、アパート大家をするときに役に立つ3つの資格について紹介します。
- 宅地建物取引士(宅建士)
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 不動産実務検定
宅地建物取引士(宅建士)
不動産の売買や賃貸物件の仲介業についての国家資格で最も有名なのが宅地建物取引士、いわゆる「宅建士」です。宅建士の資格がなければ、不動産業従事者として一人前ではないと言っても過言ではありません。不動産業者は業務従事者の5人に1人は宅建士の設置が必要ですから、従業員が増えるにつれて宅建士も増やす必要があります。不動産取引では多額のお金がやり取りされますから、法律によって契約時に丁寧な説明や必要な情報を提供することが定められています。「重要事項説明」「重要事項説明書への記名・押印」「契約書への記名・押印」が主な業務ですが、これらは全て宅建士の独占業務です。独占業務とは「当該資格を持つものだけができる業務」です。
アパート経営するにあたり宅建士の資格を持っていると、物件を取得する際どのような点に注意するとより安全かを適切に判断できリスクの軽減につながります。また不動産会社の説明する契約条件や内容をより正確に理解でき、信頼できる業者かどうかの判断にも役立つ上、実務で役立つ資格ですから将来にわたって長く経営するのならぜひ学んでおきたい資格です。
ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナーは、人生設計や金融資産運用、相続・事業承継などの分野で得られる知識からお金に関するアドバイスができる資格です。不動産の分野では、不動産の取得や売却に関する法令上の規制や、税金、契約に関する知識が役立ちます。また経営するにあたり、人生設計や経済環境を踏まえて収入や支出のバランスを見極め、必要な自己資金の計算、ローンの必要性などお金に関するあらゆる情報を分析できるようになります。
特にアパート経営を始めようとするときは、しっかりと収支計画を立てることが重要です。お金に関する重要な部分を不動産業者は管理会社に任せっきりにせず、自身でよく理解して経営するために役立つ資格と言えます。
マンション管理士
マンション管理士は、マンションやアパートの住民からのトラブル相談に応じて、解決に導くコンサルタントのような資格です。集合住宅には不特定多数の人が入れ替わり居住するため比較的トラブルが起こりやすいと言われます。契約事項といった最低限のことだけでなく維持管理に関する極めて実務的なルールを学ぶため、トラブルを恐れることなく安心して経営するには役立つ資格です。アパート経営で高収入を得るために大家がすべきこと
アパート経営は収入を得られる一方、注意すべきことがいくつかあります。
どのようなことに気を付ければ、高収入を達成しやすいのかをご紹介します。
自己資金の割合を上げる
アパートの大家になるにあたり、物件の取得費やその後の維持管理費など多くのコストがかかります。そのためローンを借り入れを検討される方も多いですが、特に初期費用の総額に対しては自己資金を最低でも1割以上用意しておくことをおススメします。
収益性を高めるのであれば、総額の2割以上は用意しておきたいところです。
費用をすべてローンでまかなうフルローンでもアパート経営を始めることができますが、経営後の収支計画に悪影響を及ぼすため現実的な選択でありません。
アパートがあるエリアの調査を行う
アパート経営を成功させるためには、立地が非常に大切です。
人口や人の流れが多いエリアは、賃貸住宅経営を行う上でベストポジションであるといえます。特に、そのエリアの住宅需要がどのようになっているのかはアパート経営で高収益をあげられるか否かに直接関わることですので、必ず確認するようにしましょう。
また、周辺エリアの調査結果からよりニーズにマッチした設備に投資したりライバルとなる賃貸物件との差別化を図れるためアパートのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
管理方式を比較検討する
アパートにはいくつかの管理方式がありますが、収益性の高い方式から自主管理、管理委託、サブリースがあります。
自主管理は管理会社に支払う手数料がないため高収入が見込めますが、アパート経営に関わるほぼ全てのことを自力で行わなければなりません。
後から管理方式を変更することは可能ですので、無理のないアパート経営を行うためにも、ライフスタイルに合わせた管理方式を採用するようにしましょう。
必要経費、敷金はとっておく
修繕費や点検費、退去時に返還する必要のある敷金などはあらかじめ取っておくようにしましょう。
アパート経営には、予測できない費用が随時発生する可能性があり、その費用の捻出によって収支が悪化するケースもあります。
修繕積立金など、将来のアパート経営に備えた資金繰りを検討することをおすすめします。長期計画を考える
アパート経営において、長期的な経営計画は大切です。
例えば、収益性が低いからといってすぐにアパートを解体し駐車場にすることはおすすめできません。
近い将来、大規模な開発や商業施設の誘致などが行われた場合、賃貸住宅需要が加速する可能性が高いです。また、長期に渡って経営を行うことが前提のアパート経営では、何十年単位でのローンが残っているケースもあります。
アパート経営を中止すると、ローンの支払いなど資金繰りが難しくなる可能性もありますので注意しましょう。アパート大家にまつわるリスク
この章では、アパートの大家にまつわるリスクについて紹介します。
借入金が必要なリスク
アパート経営では、始める段階で高額な借り入れをしてしまい借金地獄となる例も多くみられます。
アパート経営前に作成されるシミュレーションは、あくまでも予想です。リスクを考慮しない高額な借入額で始めてしまうと、家賃収入が少なくなったときに毎月のローンを返済できない可能性があります。
そのため、空室や修繕費がかかることを前提として、無理のない返済を継続できるような金額を借り入れることが大切です。
家賃滞納や夜逃げによって収入が得られないリスク
家賃滞納や夜逃げをする入居者によって収入が得られないこともアパート経営に隠されたリスクだといえます。アパート経営では、こうした問題は身近で深刻な問題です。
家賃滞納や夜逃げが発生すると、数か月の間入ってくるはずの家賃収入が得られません。また、夜逃げとなれば入居者の捜索や家賃請求、残された家財の処分などに大きな費用がかかってしまいます。さらに、問題が片付くまでに各方面と連絡を取り合うなど労力もかかるでしょう。
このように、家賃滞納や夜逃げによって高額な費用が発生し借金地獄になることは珍しくないということも頭に入れておく必要があるでしょう。
サブリース会社に委託するリスク
サブリース契約は、管理会社にアパート経営を丸ごとまかせ、オーナーは毎月一定の家賃保証を得るというアパートの管理方法の一つです。アパート経営の手間が減ることに加え、空室率に関わらず一定の収入が入ることから人気な管理方法となっています。
しかし、注意すべき点は家賃保証は減額される可能性があるということです。
定期的に保証額の見直しがあるため、家賃保証があるからといって常に一定の収入が入ってくることはないと考えておいた方がよいでしょう。また、サブリース契約は手数料がかかるという点でも注意が必要です。
まとめ
アパートの相続などによって大家となる場合には、多くの収入が手に入る一方で様々なリスクも潜んでいます。
アパート経営を安定して行うためには、あらかじめどのような業務やリスクがあるのかを把握しておくとよいです。
初めてでのアパート経営でも安心して大家としてスタートできるよう、本記事を始め多くの参考情報に触れるようにしましょう。
みなさまが素敵なアパート経営ライフを送れるよう願っています。