不動産投資の1つである賃貸経営を行っている場合は、家賃収入が得られます。家賃収入があるなら、確定申告が必要であり、これを行わないとペナルティを科せられることもあるため、注意しなければなりません。
しかしケースによっては、確定申告の必要がない場合もあります。どのような場合に確定申告が必要なのか、家賃収入についての基本的な理解や、確定申告の手続きの方法なども含めて知っていきましょう。
賃貸経営の方法の1つであるサブリースについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧下さい。
不動産所得とは
確定申告をする際には、不動産所得がどれくらいあるのかを計算しなければなりません。不動産所得と家賃収入は完全にイコールではないため、この違いを知っておくことも大切です。不動産所得とはどのようなものなのか、まずは基本的な部分から理解を深めていきましょう。
不動産所得とは家賃収入から経費を引いたもの
賃貸経営における不動産所得とは、簡単にいえば家賃収入から経費を引いたものです。仮に家賃収入が年間150万円あったとして、経費が50万円なら、その年の不動産所得は100万円となります。
確定申告は毎年行うものであり、所得は1月1日から12月31日分までで計算します。そのため、1月1日からの1年間の家賃収入の総額と、その年にかかった経費の総額を差し引いたものが、その年に計上する不動産所得になると考えましょう。
家賃とは
家賃収入における家賃とは、入居者が毎月支払う賃料を指します。家賃がいくらかは物件によって異なり、設定している金額が高かったり、入居者数が多かったりすると、高額になります。
例えば、10部屋のアパートが満室になっていて、毎月の家賃を8万円に設定しているなら、家賃分だけで月に80万円の収入があることになります。
家賃収入の内訳
賃貸経営における家賃収入の内訳は、毎月支払われる家賃だけではありません。家賃に加えて、入居時の礼金や契約更新の際の更新料なども、家賃収入として計上します。
礼金の設定は物件によって異なりますが、設けている場合は、これも家賃収入として忘れずに計算しておきましょう。
経費の内訳
不動産所得は家賃収入だけではなく、経費も計算して算出します。経費に該当するものとしては、不動産にかかる固定資産税や物件の保険料、修繕費などが挙げられます。
固定資産税は入居者ではなく、不動産の所有者が支払うものであり、入居者の有無に関係なく、オーナー負担となります。
賃貸経営で支払う必要のあるコストであるため、不動産所得を計算する際の経費として計上できます。賃貸経営を続けるには、保険の加入が必要になることもあり、この保険料も経費として計算できます。
入居者を獲得するためには部屋をきれいにしておく必要があり、このためにかかった物件の修繕費やその他コストも、経費に含めることが可能です。他にも、物件管理を管理会社に委託する場合の費用など、賃貸経営にかかわるさまざまなコストは経費計上できると考えてよいでしょう。
申告が必要な所得
不動産所得は分離課税と呼ばれるものであり、会社に勤めている場合でも、所得が発生している場合は確定申告をしなければなりません。会社でもらえる給料も所得に含まれますが、個人での確定申告は不要です。
一方で、不動産所得の場合は、会社に勤めているかどうかに関係なく申告が必要です。
申告をしなければ無申告加算税が、期限までに申告をしないと延滞税などがかかり、本来よりも高額な税金を納めなければならなくなります。
余分なコストを発生させないためにも、不動産所得は正しく計算して期限内に申告をし、各種ペナルティがかからないようにしましょう。
家賃収入の確定申告
賃貸経営をしていて家賃収入を得ている場合は、不動産所得が発生していると確定申告が必要です。
確定申告が必要なのは、あくまで不動産所得が発生している場合であり、もし家賃収入よりも経費のほうが多く、マイナスが出ている場合は必須ではありません。
ただし、マイナスが出ている場合でも、確定申告をすることで損益通算ができ、ほかの所得を引き下げて節税できることがあります。そのため、基本的には確定申告は必要なものであり、期限内に滞りなく行うことが大切であると考えておきましょう。
確定申告とは
そもそも確定申告とはどのようなものなのか、基本的な理解から深めていきましょう。
確定申告は所得を正しく計上し、支払う税額を確定させるための手続きです。会社に勤めている場合は基本的には確定申告は不要ですが、会社以外で収入がある場合は申告が必要となります。
そのため、会社以外の収入である賃貸経営による不動産所得は、確定申告をしなければなりません。確定申告の対象となるのは、申告する前年の1月1日から12月31日までの所得です。
もし2021年に確定申告をするなら、2020年の1月1日から12月31日までの所得が、申告の対象になります。
個人でする申告の種類
個人で行う確定申告には、次の2つの種類があります。
- 白色申告
青色申告
それぞれで特徴が異なるため、自分の場合はどちらの方法で申告するのかを、考えておくことが大切です。
事前申請が不要な白色申告
簡易的な帳簿の作成で申告できる点が、白色申告の特徴です。白色申告では事前申請が不要であるため、特に申請なく確定申告を行った場合は、白色申告となります。
事前の申請なしで簡単に申告できる点が白色申告のメリットですが、反面経費に計上できる項目が少なくなったり、税控除が少なくなったりするといったデメリットもあります。
少しでも節税効果を高めたいなら、白色申告は不向きであり、できるだけ簡単に確定申告を終えたい人に向いている方法と考えましょう。
事前申請が必要な青色申告
白色申告とは異なり、青色申告では事前の申請が必要です。青色申告は、事前に申請していないとできない申告方法であり、未申請の場合は自動的に白色申告となります。
青色申告では、より詳細な帳簿の作成が求められ、資金の出入りだけではなく、貸借対照表の作成なども必要です。そのため、帳簿作成に手間はかかるものの、その分経費として計上できる項目を細かく決められるため、節税効果は高いです。
加えて、青色申告の場合は最大65万円の特別控除があるため、白色申告よりも控除される金額が大きい点も魅力といえます。
以上のことから、確定申告をするときは事前申請が必要な青色申告がおすすめです。
申告に必要な主な書類
確定申告をする際には、さまざまな書類が必要です。そのため、スムーズに申告するためには、事前に書類を集めておきましょう。賃貸経営をしている場合の確定申告には、次の書類を用意する必要があります。
収入や経費がわかる通帳 契約書 領収書 保険に関する書類 給与所得がわかる源泉徴収票(会社に勤めている場合)
源泉徴収票は毎年会社からもらえるため、紛失しないように保管しておきましょう。もし無くしてしまった場合は、会社に依頼すると再発行してもらえます。
収入がわかる書類も重要ですが、経費がわかる書類も重要であるため、これらは無くさないようにしなければなりません。もし領収書などを無くしてしまうと、実際に費用がかかっていても、その分を経費として計上できなくなってしまいます。各種領収書は、経費がかかっていることを証明する書類であるため、正しくコストを計上するためにも、大切に保管しておきましょう。
確定申告の流れ
実際に確定申告をする際に備えて、どのような流れで行うのかを説明します。大まかな流れは次の通りです。
- 書類を集める
- 申告書の作成
- 申請手続き
これら3つのステップによって、確定申告は完了します。
書類を集める
まずは確定申告に必要な、各種書類を集めます。必要な書類は、収入がわかる書類や資料、経費がわかる領収書などのほかに、確定申告書もあげられます。
確定申告書は、税務署の窓口で受け取ったり、国税庁のホームページからダウンロードして取得したりすることが可能です。
申告書にはさまざまな種類がありますが、賃貸経営の不動産所得を申告する際には、確定申告書Bというものを使用します。申告書の種類は間違えないようにし、必要書類を正しく揃えておきましょう。
申告書の作成
必要書類を揃えたら、申告書を作成していきます。申告書には、家賃収入と経費のそれぞれの記載が必要であるため、金額を合計して、スムーズに記載できるようにしておきましょう。
また、手書きで申告書を作成する際には、不動産所得や税額なども自分で計算しなければなりません。書き方がわからない場合は、税務署の窓口で相談したり、確定申告会場にて税理士からのアドバイスを受けたりすることができます。
実際の申請手続き
確定申告は、次の3つの方法で行えます。
- 税務署窓口
郵送
e-Tax
いずれも2月16日から3月15日までの間に申請が必要であるため、期限を超過しないように注意しましょう。また土日などの関係により、期限が若干前後することもあるため、その年の詳細なスケジュールを確認しておくことが大切です。
税務署の窓口の場合は、職員に作成方法を聞きながら申告書の作成が可能な点が魅力です。ただし、時期によっては混み合うことも多いため、早めに税務署に足を運び、申告書類の作成を始めておく必要があります。
窓口で提出するなら、自宅で事前に書類を作成することも可能です。書類が完成しているなら、窓口で確認してもらい、ハンコを押してもらって提出となるため、手続きをスムーズに終えられます。
郵送では税務署に行く必要はありませんが、自身で申告書の作成をしなければなりません。そのため、ある程度申告に慣れている人におすすめの方法といえます。
オンラインで行うe-Taxでの申請も同様、必要な項目を入力するだけで申請が完了するため、作業自体は比較的簡単です。不動産所得や経費などを入力すると、自動的に納付する税額も計算してもらえるため、申請を簡単に済ませたいなら、e-Taxによる申告もおすすめです。
また、自宅を貸している場合や住宅ローンの残った家を貸すことに興味のある方はこちらの記事をご覧ください。
家賃収入にかかわる管理業者の選び方
不動産経営をする際には、物件の管理を管理業者に委託することが多いです。管理業者に委託することで、手間を省いて賃貸経営を行えます。
ただし、どの管理会社に委託するかによって、得られる家賃収入が減ってしまうこともあるため、注意しなければなりません。どのような点に注目すべきかを知り、管理会社の賢い選び方を押さえておきましょう。
実績や管理体制を調べる
まずは業者の実績や管理体制を調べ、自分に合っているかどうかをチェックしておきましょう。業績が豊富かどうかだけではなく、自身が経営している賃貸物件のタイプに強みがあるかも確認しておくことが大切です。
例えば、アパート経営をしているなら、アパート管理の実績を、戸建住宅の経営をしているなら、戸建の管理実績をチェックしておきましょう。
また、業者によってどのような体制で管理しているかも異なるため、必要なサービスが受けられるかどうかも確認しておくことが大切です。
担当者の対応を見極める
管理会社を選ぶ際には、業者だけではなく担当者もチェックしておくことが大切です。担当者の対応によって業者の信頼度を見極めることができるため、この点は念入りに確認しておきましょう。
例えば、質問に対してスムーズに回答してもらえる、ストレスなくコミュニケーションが取れるなどは重要なポイントです。また、連絡がスムーズに取れるか、自身にとって有益な提案をしてくれるかどうかも確認しておく必要があります。
賃貸経営は長期間行うことも多いため、担当者とストレスなく付き合えるかは重要です。もし対応が悪いと感じるなら、別の人に担当替えをしてもらうか、利用する管理会社の変更を検討してもよいでしょう。
信頼できる業者をパートナーに選ぶ
賃貸経営を成功させるには、いかに信頼できる業者をパートナーにできるかが重要です。そのため、利用する不動産業者や管理業者は複数で比較し、どの業者が最も条件がよいのかを確認しておきましょう。
最初の1社の提案だけで利用先を決めてしまうと、賃貸経営に失敗したり、家賃収入が下がってしまったりする可能性もあります。目安としては、最低3社以上で比較検討することがおすすめです。
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期限までにしっかりと申告しよう
賃貸経営をしていて家賃収入があるなら、確定申告が必要となる可能性が高いです。必須となるのは家賃収入よりも経費が下回った場合であり、経費を差し引いて利益が出た場合は、確定申告をしなければなりません。
確定申告は期限内に行わないとペナルティがあるため、注意が必要です。追徴課税の対象とならないためにも、確定申告は期限内にスムーズに行いましょう。
記事のおさらい