更地に木を植えて節税対策をしている様子を見たことがある、という人も多いかもしれませんが、実際それだけで固定資産税が安くなるのかどうかは気になるところだと思います。
本記事では更地に木を植えると固定資産税が安くなるのか、何か条件があるのか、農地と更地の固定資産税の違いについて解説しています。
更地に木を植えると固定資産税が安くなる
更地に木を植えると固定資産税が安くなります。厳密にいうと、更地に木を植えて農地にすることにより、更地の時と比べて固定資産税を1/3程度に抑えることができます。
農地は文字通り農業をするための土地であるため、農業以外の用途で使いたい、売却をしたいとなった時は農業委員会の許可が必要になります。つまり農地では農業しかできず、土地の利用に制限があるため、何をやっても良い更地に比べて固定資産税が安くなるのです。
ただし、農業をしていない人が所有している更地を形だけ農地に変えることは出来ず、更地にいくつか木を植えた程度では農地として認められません。
農地と認められる条件
農地とは、土地に対して手間暇やお金をかけ、肥料をあげたり草刈りをしたりなどの耕作をしている土地のことを指します。また、現在耕作をしていなくとも、耕作しようとすればいつでもできる土地も含まれます。
ただし、家庭菜園や教育目的などに使われている土地は農地とは言えません。これは面積が狭く、他の土地の一部と考えられ、農地として独立したものとみなされないためです。農作物を出荷することを前提とした土地が農地である、という考えが分かりやすいでしょう。
また、木を植えることで農地にして固定資産税を安くしたい場合、更地の7割以上に実のなる植物を植える必要があります。
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農地によって固定資産税は異なる
更地を農地にすることで固定資産税が安くなるといったことを説明しましたが、農地には種類があり、固定資産税はその種類によって異なります。そして、固定資産税が更地と比べてあまり変わらない農地も存在します。
農地には一般農地と市街化区域農地の2種類があります。市街化区域農地に関してはさらに3つの区分に分けることができ、生産緑地・一般市街化区域農地・特定市街化区域農地の三つです。
これら4つの区分で分けられた農地は同じ農地にもかかわらず、評価方法や課税方法が異なります。それぞれの農地について説明します。
一般農地
一般農地は市街化区域内にある農地のことであり、長期的に農業を営むことを前提としているため、農地評価とされています。課税に関しては農地課税となり、更地よりもかなり低くなります。
一般農地の固定資産税を算出する際、農地評価が適用されるため負担の調整が行われます。農地の固定資産税は、本則税額と負担の調整税額のうち、額が低いほうが課税されるようになっています。
負担の調整税額=前年度の課税標準額×負担調整率×1.4%
- 農地の売買における実例価格を基にした評価
生産緑地
生産緑地とは、市街化区域内にある農地のうち都市計画法で生産緑地として定められた農地のことです。生産緑地は生産緑地法により転用規制がなされているため、一般農地と同じく農地評価・農地課税とされています。固定資産税の算出方法も一般農地と同様です。
以下の条件を満たす土地が生産緑地として認定されます。
第三条 市街化区域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の規定による市街化区域をいう。)内にある農地等で、次に掲げる条件に該当する一団のものの区域については、都市計画に生産緑地地区を定めることができる。
一 公害又は災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであること。
二 五百平方メートル以上の規模の区域であること。
三 用排水その他の状況を勘案して農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められるものであること。
出典:生産緑地法/e-GOV
一般市街化区域農地
一般市街化区域農地とは、特定市街化区域農地以外の市街化区域内の農地のことです。市街化区域とは現在すでに市街地が作られている土地や、おおむね10年以内に市街化していく土地のことです。
そのため、農地ではあるものの今後市街化が進められる可能性のある農地ということで、宅地並評価とされます。ただし、宅地並みの価値があるとしても宅地ほどの収益性がないため、実質の課税は農地に準じた課税となっています。
一般市街化区域農地は今後市街化・宅地化が進む農地であるため、評価額から宅地造成のために費やされた金額を差し引くことで課税額を求められます。
負担の調整税額=前年度の課税標準額×負担調整率×1.4%
- 近傍の宅地の売買実例価格を基準として評価した価格から造成費相当額を控除した価格
特定市街化区域農地
特定市街化区域農地とは、三大都市圏内の特定都市における市街化区域内の農地のことで、三大都市圏とは「首都圏」「近畿圏」「中部圏」を指します。
この農地は一般市街化区域農地と比べて宅地へと転用される可能性が高いため、宅地並評価・宅地並課税となります。つまり、もっとも宅地に近い課税評価をされる農地ということです。
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ただ更地に木を植えれば良いだけではない
更地に木を植えて農地に転用することで固定資産税を安くできる可能性がありますが、農地として認められるには条件を満たす必要があります。
農地にも種類がありますが、税額のイメージとして、低い順に「一般農地」「生産緑地」「一般市街化区域農地」「特定市街化区域農地」という認識で良いでしょう。