土地にかかる固定資産税が高く、軽減措置を受けたいけど必要書類がわからない方も多いのではないでしょうか。
しかし、土地にかかる固定資産税の軽減措置は手続きをしなければ適応されません。
そこで本記事では軽減措置を受けるための手続き方法や注意点を紹介します。軽減措置を受けるために手続きをしようと考えている方は必見です。
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土地における固定資産税軽減措置の必要書類
土地における固定資産税を軽減する措置を受けるための手続きに必要な書類は、住宅用地申告書です。
住宅用地申告書とは、住宅用の家屋を新築したり増築したりする際に提出する書類です。それだけでなく、用途変更や建て壊しなどで滅失があった場合にも提出します。
住宅用地申告書には不動産所有者の住所と氏名、家屋の所在地に加えて、家屋の種類や構造、床面積を記載しなければなりません。そのため、住宅用地申請書を作成しに役場へ行く時は、これらの情報がわかるよう必要なものをそろえましょう。
土地の固定資産税軽減措置を受けるための手続き
住宅用地であれば固定資産税の軽減措置を受けられます。しかし、申請しなければ軽減措置は受けられないのです。
土地の軽減措置を受けるためには、各市町村区の役所で住宅用地等申告書を作成し手続きをしましょう。
ただし、自治体によっては税務課の家屋担当が資料や家屋調査で確認するため、住宅用地申告書が必要ない地域もあります。自分が住んでいる市町村区では住宅用地申告書の作成が必要かどうか、役所に問い合わせて確認しておきましょう。
軽減措置を受けられる住宅用地とは
住宅用地の場合、固定資産税の軽減措置を受けられます。住宅用地の軽減措置は、建物ではなく土地に適用されるのです。
通常、土地の固定資産税は固定資産税評価額に負担調整率の70%をかけた固定資産税課税標準額に税率の1.4%をかけて算出されますが、軽減措置を受ければ固定資産税課税標準額が小さくなり、固定資産税も少なくなります。
受けられる内容は小規模住宅用地と一般住宅用地で異なります。小規模住宅用地と一般住宅用地ではそれぞれどのような軽減措置を受けられるのか、確認しておきましょう。
小規模住宅用地のパターン
小規模住宅用地とは、一戸の住宅に使われている土地のうち200㎡までの部分を指します。小規模住宅用地の固定資産税を決める課税標準額は、固定資産税評価額の6分の1です。
180㎡の小規模住宅用地があり固定資産税評価額が3,600万円の場合、固定資産税課税標準額は3,600万円の6分の1となるため、600万円と算出されます。これに固定資産税の税率である1.4%をかけて、8万4,000円が固定資産税となるのです。
軽減措置がなければほとんどの場合、固定資産税課税標準額は3,600万円に負担調整率の70%をかけた2,520万円となるため、固定資産税も高くなります。
一般住宅用地のパターン
一般住宅用地とは、一戸の住宅に使われている土地のうち200㎡を越える部分で家屋の床面積の10倍までを指します。一般住宅用地の固定資産税を決める課税標準額は、固定資産税評価額の3分の1です。
400㎡の土地で固定資産税評価額が4,200万円の住宅用地なら200㎡分は小規模住宅用地として計算し、残りの200㎡を一般住宅用地として計算します。
4,200万円は200㎡の固定資産税評価額であるため、小規模住宅用地分と一般住宅用地分の固定資産税評価額はそれぞれ2,100万円です。これに6分の1をかけた350万円が小規模住宅用地分の固定資産税課税標準額で、3分の1をかけた700万円が一般住宅用地分の固定資産税課税標準額となります。
これらを合計した1,050万円が固定資産税課税標準額となり、税率の1.4%をかけた14万7,000円が固定資産税です。
土地の固定資産税軽減措置を受けるときの注意点
土地の固定資産税軽減措置を受けるときに気をつける点は以下の3つがあります。
- 申告期限を過た
- 税額が間違っている
- 空き家になった
3つのポイントに気をつけなければ、固定資産税を払いすぎたり軽減措置が受けられなくなったりするかもしれません。土地の固定資産税軽減措置を受ける前に、しっかりと確認しておきましょう。
申告期限を過ぎた
申請期限を過ぎてしまうと土地の固定資産税軽減措置が適用されません。そのため、申告期限を過ぎてしまった年は軽減措置を受けられず、税金を多く払わなければならないのです。申告期限がいつなのか各自治体に確認し、期限を守るようにしましょう。
また、申請期限内に手続きを行ったとしても、手続きに不備があれば軽減措置を受けられません。もしも不備があっても訂正できるよう、期限に余裕を持って手続きすると安心です。
税額が間違っている
税額が間違っているケースがあるため、各市町村区から届く納税通知書は税額まで細かく確認しましょう。農地なのに住宅用地として税額が計算されていたり、住宅用地として申請したのに土地の固定資産税軽減措置が適用されていなかったりする可能性があります。
税額が間違っていたり、間違っているかどうかわからなくても何か気になる点があったりすれば問い合わせをし、解決してください。固定資産税を払いすぎていた場合には還付されます。
空き家になった
空き家になり、さらに自治体から「特定空き家」に指定されると土地の固定資産税軽減措置が受けられません。それだけでなく、特定空き家に指定されると罰金を科せられる可能性もあるのです。
空き家だからといって無条件に特定空き家になるわけではありません。倒壊の恐れがあったり、衛生上周囲に悪影響を及ぼしたりしている場合、自治体によって特定空き家に指定されるのです。
特定空き家になると、空き家を管理するよう自治体から指導や助言があります。その連絡を無視して空き家を放置しておくと勧告が行われ、罰則の対象となる可能性があるのです。
特定空き家とならないために所有している家屋はきちんと管理し、所有責任を果たしましょう。
建物の固定資産税軽減措置を受ける
土地だけではく、建物も固定資産税軽減措置を受けられます。建物の固定資産税軽減措置を受ける場合には、以下2パターンが挙げられます。
- 新築住宅のパターン
- 長期優良住宅のパターン
それぞれどのような軽減措置が受けられるか、確認しましょう。
新築住宅のパターン
新築住宅を建てる場合、建物にかかる固定資産税の軽減措置を受けられます。一戸建てであれば3年にわたり固定資産税の2分の1を、マンションであれば5年にわたり固定資産税の2分の1を軽減してくれるのです。
通常、築年数が経てば固定資産税評価額が下がるため、固定資産税も年々下がって行く傾向にあります。そのため、建物の固定資産税が一番高い時期に軽減措置を受けられるのです。
ただし、適用期限は令和6年3月31日までとなっており、延長されるかどうかはわからないため注意が必要です。
長期優良住宅のパターン
耐震改修工事や省エネ改修工事を行って長期優良住宅へリフォームした場合、工事が終わった次の年の固定資産税において軽減措置が受けられます。軽減措置を受けるためには、工事が終わってから3ヶ月以内に、以下の書類をそろえて各市町村区の役場へ提出しなければいけません。
- 固定資産税減額申告書
- 長期優良住宅の認定通知書のコピー
- 増改築等工事証明書
長期優良住宅に認定される条件や必要書類は各市町村区が発表しています。
固定資産税が非課税になる条件
固定資産税課税標準額が条件を満たせば、固定資産税が非課税になる可能性もあります。
土地であれば、固定資産税課税標準額が30万円未満の場合、固定資産税が非課税になるのです。住宅などの建物であれば、固定資産税課税標準額が20万円未満であれば非課税です。
ただし、1つの市町村区に複数の土地や建物を所有している場合、それらを合算した金額が条件を満たさなければ非課税になりません。複数の固定資産を所有していても、それぞれ別の市町村区であれば合算されず、各固定資産税課税標準額で非課税かどうか決まります。
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不動産所得税軽減措置の必要書類
不動産を取得した際には不動産取得税が課せられます。この不動産取得税の軽減措置を受けるためには、以下の書類が必要です。
- 不動産取得税申告書
- 不動産取得税課税基準の特例適用申告書
- 土地の場合不動産取得税減額適用申請書
- 建物の場合不動産取得税減税適用申請書
- 売買契約書のコピー
- 登記事項証明書
これ以外にも昭和56年以前に建てられた中古住宅の場合、耐震基準を証明する書類を用意しなければなりません。
不動産取得税軽減措置とは
不動産取得税軽減措置とは、一体どのような制度なのでしょうか。
そもそも不動産取得税は、不動産を取得した際に1度だけ課せられる税金です。不動産取得税は固定資産税評価額に税率をかけて算出されます。
税率は通常4%ですが、令和6年3月31日までは特例で3%となっているのです。軽減措置を受けると、固定資産税評価額が減額されます。そのため、不動産取得税も少なくなるのです。
土地の不動産取得税軽減措置は新築の建物が建っている場合に受けられ、固定資産税評価額が2分の1になります。建物の場合は受けられる不動産取得税軽減措置は、どのような建物を取得したのかによって変わるのです。
建物の不動取得税軽減措置
建物の不動取得税軽減措置を受けるには、以下3つのパターンがあります。
- 新築住宅のパターン
- 中古住宅のパターン
- 長期優良住宅のパターン
それぞれ受けられる軽減措置や条件がが異なります。そのため、自身の状況に当てはまるものをしっかりと確認しておきましょう。
新築住宅のパターン
一定の条件を満たした固定資産税評価額から1,200万円の軽減措置が受けられます。固定資産税評価額が小さくなれば、固定資産税も小さくなるのです。
一定の条件とは以下の通りです。
- 床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅
- 新築もしくは建てられてから使用されていない住宅
ただし、各自治体によって詳細が異なる可能性があるため、軽減措置を受ける際にはあらかじめ確認しましょう。
中古住宅のパターン
中古住宅の場合はいつ建てられたかによって固定資産税評価額の控除額が異なります。
建てられた日 | 控除額 |
昭和29年7月1日〜昭和38年12月31日 | 100万円 |
昭和39年1月1日〜昭和47年12月31日 | 150万円 |
昭和48年1月1日〜昭和50年12月31日 | 230万円 |
昭和51年1月1日〜昭和56年6月30日 | 350万円 |
昭和56年7月1日〜昭和60年6月30日 | 420万円 |
昭和60年7月1日〜昭和64年3月31日 | 450万円 |
昭和64年4月1日〜平成9年3月31日 | 1000万円 |
平成9年4月1日〜 | 1200万円 |
中古住宅として認められるための条件は、各自治体の情報を確認してください。
長期優良住宅のパターン
取得した新築住宅が長期優良住宅の場合、1,200万円の控除に100万円が上乗せされます。
そのため、固定資産税評価額は1,300万円の軽減措置を受けられるのです。つまり、長期優良住宅を新築で建てた場合、固定資産税評価額が1,300万円までなら不動産取得税がかかりません。
長期優良住宅と見なされる条件はいくつかありますが、耐震性やバリアフリー対策など複数の基準を満たす必要があります。
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固定資産税とは
では、固定資産税とはそもそもどういったものに課せられる税金なのでしょうか。
固定資産税とは固定資産を所有している際にかかる税金で、原則、固定資産税課税標準額の1.4%が固定資産税となります。固定資産とは、土地や住宅、マンションなどを指し、毎年1月1日時点の所有者に固定資産税の支払い義務が発生するのです。
固定資産税は地方税であるため自治体に納める税金で、一般的には4回に分けて納付します。
固定資産税課税標準額とは
課税標準額とは、税額を算出する際に課税標準額は固定資産税にかかわらず課税対象となる額を指します。課税標準額に税率をかけると税額を計算できるのです。
そのなかでも固定資産税課税標準額は固定資産税を決めるために欠かせない金額です。固定資産税課税標準額に税率をかけると固定資産税が算出できます。
課税標準額と評価額の違い
固定資産税について計算する際に用いる金額は、固定資産税課税標準額のほかに固定資産税評価額があります。固定資産税評価額は、固定資産の価値を表す額です。
固定資産税課税標準額と固定資産税評価額は通常同じになるケースが多いです。しかし、土地の固定資産税課税標準額と固定資産税評価額は土地の用途によって、一致するものもしないものがあります。
例えば、山林や農地として利用されている土地のほとんどは、固定資産税課税標準額と固定資産税評価額が同じです。一方、住宅用地などでは軽減措置を受けられるため、固定資産税課税標準額が固定資産税評価額より小さくなります。
固定資産税評価額の決め方
固定資産税評価額は時価をもとにして決められます。土地の固定資産税評価額は3年ごとに評価替えが行われており、時価の70%が固定資産税評価額となるケースが多いです。
土地の固定資産税評価額は自治体が決めており、地価が高いと固定資産税評価額も高くなります。
固定資産税評価額が知りたい場合は、固定資産税の納税通知書と一緒に送付される課税明細書で確認できます。価格もしくは評価額の欄に記載されているのでチェックしてください。
土地における固定資産税軽減措置の必要書類を確認しよう
土地の固定資産税において軽減措置を受けるのに必要な書類は、住宅用地申告書です。これを各市町村区へ提出し、手続きをしましょう。
また、固定資産税のみならず不動産取得税も軽減措置を受けられる可能性があります。自分のケースはどの条件に当てはまるかチェックしてください。
記事のおさらい