マンション経営の節税シミュレーション!節税のポイントも解説

マンション経営の節税シミュレーション!節税のポイントも解説

節税目的でマンション経営を始めようと思っている人は多いのではないでしょうか。

しかし実際にはどのくらいの節税になるのか。本記事ではマンション経営を始めて1年目、2年目、10年目とマンション経営における節税シミュレーションを公開しています。

シミュレーションに加え、税金の基本的知識も解説。最後まで記事を読めばマンション経営の節税効果を高められることでしょう。

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マンションの経営の節税について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になります。

マンション経営はなぜ節税になる?節税の仕組みやリスクを解説

マンション経営で節税できる税金

マンション経営で節税が期待できるのは所得税・住民税・相続税の3つです。まずはこれらの税金について理解しましょう。

所得税

所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。収入から必要経費を差し引いたものが所得になります。必要経費は職種によって異なります。会社員の場合は年末調整で控除を受けることができるので実際に受け取っている金額が所得になります。

必要経費を差し引いた課税所得に税率を適用し、控除額を引いた額が所得税になります。税率は所得に応じて異なります。所得が多いほど税率が高くなっています。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

住民税

住民税とは、その年の1月1日に住民票のある場所で課税されます。住民税は前年の1月から12月までの所得に応じて決まります。

税率は、課税所得額の一律10%です。所得の金額等により税率が変わることはありません。

相続税

相続税とは、亡くなった親や親族からお金や土地などの財産を受け継いだ(相続した)場合に、その受け取った財産にかかる税金です。

相続税は、財産を相続した場合に必ずかかるわけではありません。相続した財産から、借金や葬式費用を引いた額が基礎控除額を上回った場合のみに課税されます。

 

基礎控除⁼3000万円+600万円×法定相続人数

 

国税庁が公表している「令和2年分 相続税の申告事績の概要」によると、2020年度における課税割合は8.8%です。実際に相続税を支払っている人は少ないといえます。

税金対策として、マンションの建築を検討中であれば、最初の情報収集が重要です。一括見積もり請求サービスイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけで建築費の見積もりを取り寄せることができます。

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マンション経営の節税シミュレーション【1年目】

税金に関する知識が整理できたら、マンション経営をおこなうことで実際にどのくらいの節税になるのか以下の条件をもとにシミュレーションで見ていきましょう。

 

Aさん(35歳・会社員)

年収800万円(給与所得:約447万円)
所得税:約47万円
住民税:約45万円

物件価格(築10年の鉄筋コンクリート造の中古マンション1部屋):6000万円
年間家賃収入:180万円(15万/月)
減価償却期間:35年
減価償却費:174万円
自己資金:1000万円
ローン返済年数:20年
借入金:5000万円
金利:2%
月のローン返済金額:約25万円

 

所得税を計算するにあたり、まずはマンション経営で得た不動産所得を計算します。マンションなどの不動産を所得した初年度は不動産所得税などその他諸経費を計上することができます。(物件購入価格の約5%)

 

年間家賃収入180万円₋(物件購入時の諸経費300万+運営経費27万+減価償却費174万円+ローン金利100万円)=₋421万円 (運営経費は家賃収入における15%)

 

マンション経営における不動産所得金額にマイナスが発生した場合は、給与所得金額と損益通算が可能になります(給与所得から赤字分の不動産所得を合算した額が総課税所得)。

 

課税所得:給与所得447万円+不動産所得(₋421万円)⁼26万円

 

この課税所得に対する税率を掛け、所得税と住民税を計算します。

所得税:課税所得26万円×5%=1万3000円

住民税:課税所得26万円×10%=2万6000円

マンション経営をしない場合と比較すると

所得税:47万円₋1万3000円=45万7000円

住民税:45万円₋1万3000円=43万7000円

所得税、住民税共に89万4000円の節税になります

マンション経営の節税シミュレーション【2年目】

マンション経営を始めて2年目からは物件購入時の諸経費を計上することができません。

よって不動産所得は、年間家賃収入180万円₋(運営経費27万+減価償却費174万円+ローン金利100万円)=₋121万円

給与所得は前年度と変わらず447万円と仮定すると総課税所得は447万円+(₋121万円)=326万円

課税所得326万円にかかる所得税率は10%(控除額9万7500円)なので所得税は約23万円
課税所得326万円にかかる住民税率は10%なので住民税は32万6000円

マンション経営の節税シミュレーション【10年目】

マンション経営を始めて10年ほど経つと家賃低下のリスクを考慮する必要があります。また、ローン金利が大幅に減り計上できる経費が少なくなります。修繕費などがかさばり運営経費は増えると仮定します。

年間家賃収入:144万円(12万/月)
運営経費:33万円(月5000円の値上がり)

よって不動産所得は、年間家賃収入144万円₋(運営経費33万+減価償却費174万円+ローン金利50万円)=₋113万円

給与所得は前年度と変わらず447万円と仮定すると総課税所得は447万円+(₋113万円)=334万円

課税所得334万円にかかる所得税率は10%(控除額9万7500円)なので所得税は約23万7000円
課税所得334万円にかかる住民税率は10%なので住民税は33万4000円

マンション経営の節税シミュレーション【21年目】

マンション経営を始めて21年目になるとローンが完済しています。よってローン金利を経費として計上することはできません。

年間家賃収入:120万円(10万/月)
運営経費:33万円

不動産所得は、年間家賃収入120万円₋(運営経費33万+減価償却費174万円)=₋87万円

給与所得は前年度と変わらず447万円と仮定すると総課税所得は447万円+(₋87万円)=360万円

課税所得360万円にかかる所得税率は20%(控除額42万7,500円)なので所得税は約24万円
課税所得360万円にかかる住民税率は10%なので住民税は36万円

マンション経営の節税シミュレーション【36年目】

マンション経営を始めて36年目になるとマンションの耐年数である35年が経過し減価償却費用が計上できなくなります。また、家賃低下のリスクに加えて空室のリスクも考慮する必要があります。

年間家賃収入:60万円(10万/月)※半年入居なし
運営経費:33万円

よって不動産所得は、年間家賃収入60万円₋運営経費33万=27万円となりシミュレーション上では始めての黒字になります。

Aさんはすでに退職して、年金180万円(15万円/月)以外の収入はないと仮定し、総課税所得は180万円+27万円⁼207万円

課税所得207万円にかかる所得税率は10%(控除額9万7500円)なので所得税は約11万円
課税所得207万円にかかる住民税率は10%なので住民税は20万7000円

相続税

マンション経営は相続税対策にもなります。不動産を保有していると「相続評価額」が安価となり、結果として節税効果を得られるからです。

例えばAさんが子供に6000万円のマンションを相続する場合、30%~60%程度にまで課税価格が下がります。つまり、現金だと財産額はそのままの6000万円になるところを、不動産だと1800万円~3600万円程度にまで下がり、この価格で相続税が計算されるため相続税が安くなります。

マンション経営の節税ポイント

マンション経営で節税効果を得るためのコツを紹介します。

減価償却を活用する

減価償却とは、不動産や車、パソコンなど耐用年数が長いものを購入した際、一括して計上するのではなく、利用可能な年数に分けて毎年経費として計上することです。

マンション経営において減価償却は必須になります。以下では減価償却費の計算方法と耐用年数について解説します。

定額法

確定申告で減価償却を行う場合、まずは減価償却費を計算します。

建物の購入価格 × 償却率 = マンションの減価償却費

償却率は、国税庁が定めている定額法の償却率を使用して計算します。一般的には定額法を用いて耐用年数に応じ、毎年同じ金額の減価償却費を計上します。

マンションの場合、鉄筋コンクリート造のものであれば新築時の耐用年数は47年のものが多いです。中古マンションを購入した場合は「耐用年数 = 法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数 × 20%」で計算します。

必要経費を理解する

マンション経営は家賃収入から経費を差し引いた額、または給与所得と損益通算した所得に応じて所得税と住民税を計算します。そのため、どれだけ経費を増やし、収入から所得を減らせるかがマンション経営の節税ポイントになります。

マンション経営を始めた初年度はマンションの取得にかかった経費(登録費用や不動産所得税)や減価償却費、ローン利子を経費として計上できるため、課税所得が低くなり、税金が安くなります。

2年目以降も減価償却費やローン利子は経費として計上できますがマンションの取得にかかった経費は初年度のみ、2年目以降は計上できません。例に出した経費以外にも、マンション経営で計上できる経費はいくつかあります。必要経費を理解することがマンション経営の節税において重要になります。

経費について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

マンション経営で経費になる費用は?節税目的で始めるリスクについて解説

青色申告をする

不動産所得がある場合、青色申告がおすすめです。

青色申告は最大65万円の控除や専従者給与を経費に計上できます。また、不動産所得における損失合計所得金額がマイナスとなった場合はこれを3年間繰り越すことが可能になります。

タワーマンションは節税にならない

2017年の税制改正でタワーマンションの固定資産税の評価方法が見直されました。

以前まで、タワーマンションの固定資産税は、床面積が同じであれば高層階か低層階かに関わらず同額でありましたが「高層階の物件と低層階と固定資産税が同額なのはおかしい」といった問題がおき、階層が上がるにつれて固定資産税の負担が増加するという改正が行われました。

また、2024年以降、上記と同じ理由からタワーマンションの相続税の評価額が引き上げられる見通しです。

マンション経営したら、収益いくら?