「まずは家を売る基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
家を売るvs家を貸す【収支比較】
家を売るかどうか迷った際には、様々な観点からの比較をすることで、確な判断ができるようになります。
その中でもやはり、一番気になるのは「収支が合うのかどうか」に関するものではないでしょうか。この章では得られる利益や出費が必要なポイントについて、わかりやすく一覧にしてみました。
比較するポイント | 家を売る場合 | 家を貸す場合 |
得られる利益 | 家の売却益をまとめて手に入れることが出来る | 入居者がいれば安定的に収入を得ることが出来る |
負担する税金 | 印紙税、譲渡所得税 | 所得税、住民税、固定資産税、都市計画税 |
必要な費用 | 仲介手数料など | クリーニング代、リフォーム代、管理を依頼する場合の費用など |
必要な手間 | 家の売却活動、新居探し、引っ越し | 入退去の手続きや契約更新や解除、物件の維持・管理、入居者探しetc.. |
伴うリスク | 家を完全に手放すことになり戻れなくなる、希望額で売れるとは限らない | 空き家、家の劣化、入居者が見つからない |
収益シミュレーションで家を売る・貸すそれぞれを比較!
「家を売る場合と貸す場合で、利益を多く得られるのはどっち?」この点が特に気になっている方が非常に多いと思われます。
そこで、この章では具体例を用いて実際に家を売る場合と貸す場合の収益シミュレーションを行い、どちらがより多くの利益を得られるのかを検証していきます。
物件種別:マンション 所在地:東京都江東区 間取り:3LDK
専有面積:70㎡ 階数:10階 所有期間:10年 購入価格:¥80,000,000
家を売る場合の収益シミュレーション
まずは家を売る場合のシミュレーションをしていきます。
イエウールの簡易シミュレーションの結果、今回の事例となっているマンションの想定売却価格はおよそ¥25,000,000となりました。
ここでは、売却価格を¥25,000,000として収益シミュレーションを行います。
売却価格:¥25,000,000 仲介手数料:¥890,000 印紙税:¥20,000 譲渡税:¥0
売却価格-(仲介手数料+諸経費+印紙税+譲渡税)=手取り金額 25,000,000-(890,000+0+20,000)-0=¥24,090,000
家を売った場合、最終的に手元に残る金額はおよそ2,400万円となることが分かりました。
ここで用いている仲介手数料などの費用はあくまで目安の数値であることをご理解ください。
家を貸す場合の収益シミュレーション
次にこちらの物件を貸す場合の収益シミュレーションをしていきます。
家を貸す場合には様々な費用がかかってきますが、ここで紹介する費用項目などについてはあくまでもシミュレーション用の参考値として使用しているため、実際の正確な数値とは異なる可能性があります。
家賃相場:¥200,000/月 固定資産税・都市計画税:¥140,000/年 管理費等:¥150,000/年
修繕費等:¥170,000/年 火災保険料等:¥130,000/年
まずは年間の家賃収入に関してですが、東京都江東区の70㎡程度の3LDKの賃貸マンションの家賃相場は¥200,000/月程度であるため、年間の家賃収入は¥2,400,000と概算します。
ここから、様々な費用を引いていくと実際に手元に残る金額が算出できます。
年間家賃-(固定資産税・都市計画税+管理費等+修繕費等+火災保険料等)=手元に残る金額
ここに実際の数値を入れて計算してみると… 2,400,000-(140,000+150,000+170,000+130,000)=¥1,810,000/年
必要な費用や支出などを踏まえて概算した結果、年間で181万円程のお金が手元に残ることが分かりました。
さらにこの金額を踏まえて所得税の計算をします。所得税はこの家賃収入だけでなく、サラリーマンとして会社に勤めている方などはそちらの給与も合算して計算する必要があります。
計算式:課税される所得金額×税率-控除額=所得税額 Ⅰ)家賃収入がない場合 5,000,000×0.2-427,500=¥572,500/年 Ⅱ)家賃収入を得る場合 (5,000,000+1,810,000)×0.2-427,500=¥934,500/年 年間の所得 Ⅰ)
家賃収入がない場合 5,000,000-572,500=¥4,427,500/年 Ⅱ)家賃収入がある場合 6,810,000-934,500=¥5,875,500/年
差額|¥1,448,000/年
上記の計算に基づくと家を貸した場合には、家を貸さない場合と比較して年間約145万円多くの利益を得られることになります。
ただし、毎年145万円の利益を得られる訳ではなく、10年、20年と築年数が経過していくにつれて家賃を下げる必要性に迫られたり、必要な費用負担が増えてしまったりと先行きが不透明である可能性は高いと言えるでしょう。
家を貸す場合と売る場合で利益を多く得られるのはどちら?
収益シミュレーションの結果、家を売る場合では約2,400万円の収益が一気に手元に入るのに対して、家を貸す場合では毎年約145万円の収益が手元に入るという結果になりました。
単純計算で、家を貸した場合16.7年程度で家を売る場合の収益を超えることになります。しかし、今回の事例では東京都の家賃相場が高いエリアを用いてシミュレーションを行ったことや、将来的なリスクの存在などに鑑みると、安易に家を貸す場合の方が多くの利益を得られると言う結論には至らないのではないでしょうか。
築年数が経過していくことなどを考えると、家を貸す場合よりも、家を売った方が確実な収益を得られるという側面もあるでしょう。どちらにせよ、ここから紹介する様々な観点で十分に比較検討して判断するべきだと言えるでしょう。
利益を得るタイミングでの家を売る・貸すそれぞれの比較
家を売る場合と貸す場合で利益という観点ではそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。
この章では家を売る場合と貸す場合の利益にフォーカスして解説していきます。
家を売る場合には売却代金を一気に得られる
まず家を売る場合には、売却代金をまとまった現金で一気に得られるという点が特徴です。
家を手放すと、次の住まいや引っ越しなど様々なところで出費が必要となり、そのためのまとまった資金が必要となります。家を売ると売却代金が不動産会社の仲介手数料や必要な出費を除き、まとめて入ってくるのでそれらを資金に充てることが出来ます。
家を手放した後の資金計画を練りやすいというのは大きな魅力であると考えられるため、この点が家を売る大きなメリットだとも言えます。
家を貸す場合には安定的な収入が得られる可能性がある
家を貸す場合には、家賃収入という定期的な収入を得ることが出来るという点が特徴です。
家賃設定や実際の家の状態などにもよりますが、アパートなどよりも比較的設備が整ってることが多く、高めの家賃を設定しても借主が見つかることがあります。特に、家が都市の中心部などの賃貸物件の需要が高いエリアなどに位置している場合は、借主も見つかりやすく家賃設定も比較的自由に行えるため、希望通りの運用を行うことが出来る可能性があります。
短くとも賃貸契約の場合は2年程度が一般的であるため、先を見た利益の確保が出来る点も家を貸す魅力だと言えるでしょう。
税金の面での家を売る・貸すそれぞれの比較
利益を得るタイミングという観点で、家を売る・貸すそれぞれの場合でどのような特徴があるのかが理解できました。
次に、税金という観点で家を売る・貸す場合を比較してみましょう。
家を売る場合には譲渡所得税がかからないケースも存在する
家を売る場合には、印紙税・譲渡所得税といった税金がかかりますが、ケースによっては譲渡所得税がかからないこともあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
印紙税
印紙税とは、家の売却の際の不動産売買契約書に対して、記載された売買価格(契約金額)に応じた印紙を貼ることで納める税金のことです。実際にかかる税額は以下のようになっています。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、家を売却した際に得た利益に対して課される税金のことで、所得税と住民税が含まれます。この譲渡所得税は名前の通り、家を売って得た利益(譲渡所得)に対して課される税金であるため、譲渡所得が0あるいはマイナスであればこの譲渡所得税は課税されません。
また、譲渡所得の計算式は、
譲渡所得税は、譲渡所得に税率をかけたものとなります。
また、先ほどのシミュレーションの場合、8,000万円で購入した家の売却価格が2,600万円であったため、譲渡所得はマイナスとなり、譲渡所得税が課税されなかったという訳です。
家を貸す場合には様々な税金を負担しなければならない
家を貸す場合には、所得税・住民税・固定資産税・都市計画税などの課税対象となり、これらを負担しなくてはなりません。
これらの税金は家を所有している際に当然課税される税金ですが、家を手放さずに貸している場合にもこれらの税金が課税されます。先ほどの収益シミュレーションでも触れましたが、所得税に関しては家賃収入を得ることで増額されることになります。
家を貸す場合には、長期的な収入を得られる可能性がある点が魅力と言えますが、負担する税金が家を売る場合よりも多くなってしまう側面もあるため、慎重に判断する必要がありそうです。
費用の面での家を売る・貸すそれぞれの比較
家を売る場合と貸す場合で、利益や税金の面でどのような特徴があるかが分かりました。
では、家を売る場合と貸す場合で費用という観点ではそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。
この章では家を売る場合と貸す場合の費用にフォーカスして解説していきます。
家を売る場合は出費を抑えやすい
家を売る場合は、費用面でも大きな特徴があります。
家を貸す場合、経年劣化や破損などの修繕などの費用を貸主が負担する必要がありますが、家を売ってしまえばこれらの費用はかかりません。家を手放した後の生活や資金計画の見通しを立てやすく、出費を抑えて得られた資金を最大限活用することが出来るというのが家を売るメリットだと言えるでしょう。
家を売る場合は住宅ローンの完済できているかがポイント
一方で家を売る際に注意が必要なのが住宅ローンの返済状況についてです。すでに住宅ローンを完済している場合は問題ありませんが、現在返済中の場合、売却益と手元の資金で住宅ローン残債を返済できなければ家を売却することはできません。
理由を解説すると、通常金融機関から住宅の購入資金として住宅ローンを借り入れた場合、その住宅には抵当権が付きます。抵当権とは、住宅ローンの返済が滞り返済が不可能となった場合、その住宅を担保にするというものです。住宅ローンを払えなければ最終的にご自宅が差し押さえられてしまうというようなお話を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、この抵当権によって住宅が差し押さえられるのです。
多少話が脱線してしまいましたが、この抵当権を抹消しないと家を売ることはできません。抵当権を抹消するには住宅ローンを完済して手続きを行う必要があり、そのため売却益と手元の資金で住宅ローン残債を返済できなければ家を売却することが出来ないのです。
家の売却代金が住宅ローン残債を上回るのであれば売ること自体は出来ますが、家がいくらで売れるかは実際に家が売れるまで正確には分かりませんし、住宅ローン残債が高額である場合などは手元に資金を用意しておかなくてはなりません。この点が家を売る場合に考えられるデメリットと言えるでしょう。
家を貸す場合は設備投資などの費用がかさんでしまう
家を貸す場合、家の管理や維持に費用がかかってしまいます。このように出費がかさんでしまうのは家を貸す場合のデメリットとも言えます。
さらに入居者を見つけるためには、魅力的な物件であることが必要条件ですが、そのためのクリーニング代やリフォーム代なども必要となるケースが多いです。これらの初期投資を怠ると借主を見つけることが困難となり、その場合には家賃収入を得られないことはもちろんですが、これだけの準備をしても借主が見つかる保証はどこにもありません。
家を貸すことには様々なリスクが伴うことを理解しておく必要があると言えるでしょう。
手間の面での家を売る・貸すそれぞれの比較
家を売る場合と貸す場合で、お金の面でそれぞれどんな特徴があるのかやメリット・デメリットを理解できました。
しかし、家を売るか貸すか判断すためには、お金の面だけでなくどんな手間がかかるのかもよく理解しておく必要があります。家を売る場合と貸す場合で手間という観点ではそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。
この章では家を売る場合と貸す場合の手間にフォーカスして解説していきます。
家を売る場合は手間が少なく済む
家を売る場合、不動産会社と契約を結び売却活動を行うことになります。売却活動は場合によっては半年近く長引いてしまう可能性もありますが、信頼できる不動産会社を見つけ、納得のいく売却活動を行うことが出来れば後悔することはあまりないと考えられます。
こうして家を売却すると、その後の家の管理や維持などは不要となり、売却して得られた資金を基にスムーズに新しい住まいでの生活をスタートさせることが出来ます。家を貸す場合との大きな違いがこの家を手放した後に手間がかからないという点であり、家を売る場合のメリットとも言えるのではないでしょうか。
家を貸す場合には様々な手間がかかってしまう
家を貸す場合には、家を売る場合と比較してかなりの手間がかかる点がデメリットとも言えます。家を貸す場合、その家の管理や維持はご自身で行うか、どこかに依頼することになります。また、入退去の手続きや契約更新や解除など煩雑な手続きも多いと考えられます。これらを管理会社や不動産会社に任せてしまうことも可能ですが、外部に依頼すればするほど、毎月得られる家賃収入から差し引かれていくことになります。
そのため、ある程度の利益を求めて家を貸そうとすると貸主としての責任をご自身で果たす必要があり、かなりの手間やストレスがかかってしまうことになるでしょう。この点も家を貸すデメリットとして挙げられるのではないでしょうか。
リスクの面での家を売る・貸すそれぞれの比較
お金の面以外でも、家を売る場合と貸す場合ではどんな手間がかかるのかが理解できました。
最後にこの章では、家を売る場合と貸す場合に伴うリスクについて比較しながら解説していきます。
家を売る場合には完全に手放すことになるというリスクが伴う
家を売る場合のデメリットとして良く挙げられるのが、家を完全に手放すことになってしまうという点です。
前章でも解説しましたが、一度家を売却すると同じ家に再度住むことはほとんど不可能となります。家に愛着があり、何があっても家を完全に手放してしまいたくない方は家を売るか否かを慎重に検討する必要があると言えるでしょう。
家を貸す場合には家の劣化のリスクが伴う
家を貸す際の大きなデメリットともいえるのが、この空き家リスクです。家を貸して利益を得ようとした場合、いくら家が魅力的であっても入居者を見つけることが出来なければ家賃収入を得ることはできません。
さらに家賃収入がない状態であっても、家の所有者はご自身であるため維持費や税金などはご自身で支払う必要があります。家を貸して長期的な利益を得るつもりが、借主が見つからず結果的に損してしまうことも十分に考えあれる点が家を貸すデメリットだと言えるでしょう。
特に地方や人口の少ない町などの、賃貸物件の需要が低いエリアに家が位置している場合は特にこの点に注意が必要であり、慎重に判断する必要があるでしょう。
更に、運よく入居者が見つかり、実際に家を貸すことになったとしてもリスクがあります。
入居者の暮らしぶりによっては、家が損傷したり劣化したりといったことも十分に考えられます。家に限らず、時間がたてば古くなり修理が必要な個所や手入れが必要になってくることもあるでしょう。
しかし、著しい壁紙の汚れや部屋の損傷、部屋に染み付いた臭いなどは入居者次第なところでもあります。将来的に再度同じ家で暮らそうと考えていても、今の状態の家に住める訳ではありません。他人に家を貸すということはこのようなリスクがあることも十分に理解しておかないと後悔することになりかねないでしょう。
家を貸す場合は家を手放す必要がないことはメリット
一方で、家を売る場合との大きな違いであり、家を貸す場合のメリットとも言えるのがこの家を手放さなくて良いという点です。
家を貸す場合、借主が見つかればその家で生活するのはご自身ではなくなります。しかし、家の所有権自体はご自身が持ったままの状態ですので、賃貸契約の期間が満了したタイミングで家を明け渡してもらい、再度その家で生活することも可能です。
具体的にいつ家に戻るのかがはっきりと決まっている場合は、定期借家契約という方法で家を決まった期間だけ貸すことも可能です。一方で、いつ家に戻るかは決まっていない場合は普通借家契約という方法で期間を定めずに家を貸すこともできるため、ご自身のライフプランにあった借家契約を選択することが出来ます。
まとめ
家を売る貸す両方で長所と短所がある
今回は「家を売る」ケースと「家を貸す」ケースを利益・費用・手間・リスクの観点で比較してきました。
特に、家を売る場合に必ずしもご自身の希望額で売れる保証がある訳ではないのと同様に、不労所得を期待して家を貸そうと思っても、入居者が現れて収入を得られる保証はどこにもありません。そのため、家を売るか貸すかはご自身のライフプランやご家族の考えなどを最大限尊重して、自分に合った選択をすべきだと言えるでしょう。
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