「まずは家を売る基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
家売却前のリフォームは必ずしも良いとされない!?
家の売却を検討している場合、「売却する前にリフォームを行うべきかどうか」を迷っている人は多いのではないでしょうか?
「少しでも見栄えを良くしてから売った方が高値で取引が成立しそう」
「見栄えの良い物件にした方が早く売れそう」
などと考える人も多くいますが、実際は原則リフォームは必要ありません。リフォームを行うことが、必ずしも良いとされるとも限らないからです。
また、リフォームとよく似たシーンで使われる言葉で、「修繕」があります。この2つの違いを理解し、自分の状況に合った選択をしましょう。
まずは補修と修繕の定義や、補修することで免れる可能性がある契約不適合責任について、そして補修が必要なケースをご紹介していきます。
リフォーム(補修)と修繕は別物
まずは補修と修繕の違いを確認していきましょう。リフォームは、古くなった家を新築のように治すことを指し、補修ともいいます。一方、「修繕」は壊れたものを直す際に用いられる言葉です。
もう少し詳しく説明すると、補修は機能的に問題がなくても古い部分を新しいものに取り替えるのに対し、修繕は不具合が発生している部分に手を加えて実用に耐えうるレベルに戻すことを指します。
戸建て住宅を売却するのであれば、不具合を直して実用レベルにする修繕は絶対に必要です。不具合のある戸建住宅を買おうとする人は少ないですし、もしいたとしても値下げを要求されるかもしれません。
一方、補修については必要かどうかの判断がわかれますので、詳しくは後述します。
なお、「リフォーム」というのはまた異なる意味合いを持ちます。リフォームとは、特に不具合がなくても壁紙を張り替えて内装を変えたり、使いづらかった水回りを使いやすいものに変えたりすることです。見栄えを良くする、デザイン性を高める、暮らしやすくするために行うのがリフォームだと考えてください。
契約不適合責任を懸念して補修は検討してもよい
契約不適合責任とは、契約に適合していないキズや欠陥が見つかった場合に売主が負う責任のことです。
契約内容に不適合だと判断された箇所については売主に責任があるとされ、買主は追完請求や代金減額請求、損害賠償請求が可能です。
買主の追完請求に応じなかったり、契約の目的を達成できない重要な不適合であったりすれば、契約解除を求められることもあります。
契約不適合責任の期間は?
契約不適合責任が適用される期間は、民法上「買主が契約内容に適合しない部分があることを知った日から1年間」ですが、個人が住宅の売却を行う場合は契約不適合責任の期間を売却から2~3ヶ月に短縮することが多いです。場合によっては売主と買主が「売主の契約不適合責任を問わない」という内容で合意することもあります。
契約不適合責任をカバーする保険もある
場合によっては売主に過大な負担を強いる契約不適合責任ですが、その負担をカバーしてくれる保険があります。「既存住宅売買瑕疵保険・個人売買タイプ」などの保険商品がそれで、売主または買主が検査機関に検査を依頼することで、後で発生した補修費用や転居費、補修中の仮住まいの家賃など、契約不適合責任に関する負担に対して保険金をもらえるものです。
ただし、保険の範囲は「構造上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」なので、柱・壁・屋根・窓などの部分に限られ、保険期間は1年ないし5年です。また、支払限度額は1,000万円までとなっています。
リフォームの要否を見極めるポイント
どのように住宅を使用してきたかにもよりますが、売却する家を補修するかどうか見極めるポイントは「建築年数」と「設備の耐久年数」です。この2つの観点で、家の売却前にリフォームをした方が良い場合と、袖ない場合を見極めるポイントを紹介します。
建築年数
まず建築年数ですが、戸建住宅は築5~10年目から外壁の剥がれが始まり、10~15年で給排水設備の更新頻度の目安とされています。さらに、15年目以降は目で見て劣化がわかるところを交換していくと住宅が長持ちするといわれています。劣化を確認し、建築年数に合わせた補修が必要です。
設備の耐久年
戸建住宅の各設備は、それぞれ耐用年数の目安が設定されています。これを元に補修を考えるのも一案です。以下に耐用年数の例をピックアップしますので、参考にしていただければと思います。
- 屋根(陶器瓦葺き)…25年~50年
- 屋根(化粧スレート葺き)…20年~40年
- 屋根(鋼板葺き)…20年~40年
- 外壁…大抵の建材で20年~40年
- 床(塩ビタイル(半硬質))…30年
- 壁(巾木/塩ビ巾木)…30年
- 壁(ビニールクロス 準不燃)…30年
- 天井(岩綿吸音板)…30年
- アルミ建具…50年
- ステンレス建具…65年
- 鋼製建具…40年
- 木製建具…40年
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家売却前にリフォームするメリット
先ほど、「家の売却前にリフォームする必要は、原則ない」とお伝えしましたが、リフォームをすることでのメリット・デメリットをしっかり把握した上で、ご自身に合った方法を選びたいものです。ここからは戸建住宅売却に伴う補修のメリットやデメリットを考えていきます。まずは、家売却前にリフォームするメリットを紹介します。
第一印象がアップする
補修をした部分はそうでない部分と比べて新しいので、パッと見たときの印象が良くなります。
物件の築年数が経っていても古さを感じさせないイメージを与えることができれば、買い手が早く見つかったり値下げせず売れたりする可能性が高まります。
買い手がすぐに住める
補修が済んでいる物件はすぐに入居できるため、買い手から好まれる傾向があります。既に述べたように、補修することで買い手が早く見つかったり高値で売れたりする可能性が高まります。
広告にリフォーム済みと書くことが可能
もちろん、中古物件の購入希望者の中には、リフォーム済み物件を探している方もいます。なぜなら、フルリフォームされた家は、新築相当の内装に補修されている場合が多いためです。売却前に補修を済ましてあるのであれば、買い手を募集する広告に「リフォーム済み」という一文を入れることができます。
リフォーム済みの物件を探している買い手に強いアピールができ、早く買い手が見つかる可能性が高まり、内見時に好印象を与えられる可能性も高まります。
売却前に家をリフォームするデメリット
続いて、売却時にリフォームをすることでのデメリットを紹介します。補修費がかさむため売却価格が高くなる
補修済みということで売値を高く設定した結果「リフォーム済み物件」「見た目がいい」というメリットを享受できる反面、やはり費用がかかるという点はデメリットとなるでしょう。補修費用を売却価格に上乗せすれば、それ以下の価格の物件を探している買い手にはアピールができなくなります。
買い手の分母が減ってしまうため、逆に売れにくくなってしまう可能性も否めません。そうなると、買い手の分母を増やすために売却価格を下げなければならないかもしれません。
しかし売却価格を下げると、補修費用の部分をペイできない可能性があります。
リフォーム後のデザインが買い手に合わない
戸建住宅を探している人の中には、自ら住宅をリノベーションしたい人もいます。そういった人にとっては、高いお金を出してまで補修が済んだ住宅を購入するのではなく、「補修前」の格安物件を好みます。
補修を済ませると「自分の好きなように補修したい」という層からの需要がなくなるので、やはり買い手の分母が減ってしまいます。
補修箇所の例
補修のメリットとデメリットがおわかりいただけたところで、ここからは具体的に、補修をする場所はどこなのかを考えていきます。
室内【フローリング】
フローリングの傷など部分的な補修なら、プロに頼んでも数万円程度で済みます。しかし実はフローリングの傷は、よほど大きなものでない限り、あまり査定額に影響しません。
雑巾などで磨いてワックスがけをすれば問題にならないことがほとんどです。
どうしても気になる傷がある場合は、傷の上に濡らした雑巾をあてて、そこにアイロンをすると、蒸気で木材が膨張するので傷が目立たなくなります。
トイレ、バス、キッチンをはじめとする水回りは、買い手が内覧の際に必ずチェックするポイントです。水圧などを調べるため、内見時には実際に水を流す人もいます。
水回りの補修箇所と言えば、水漏れやコケ・カビです。
コケやカビは掃除で除去できますが、水漏れに関しては何らかの補修が必要になります。水漏れがひどい場合は、水道業者に相談してみるといいでしょう。
ただ、先述通り安い物件を購入して自ら水回りのリフォームをしたいと考えている人もいます。そういった層にアピールするには大規模な補修を行わないで、入念に掃除するなどすれば十分です。
室外【外壁】
外壁を塗装する場合は30坪程度の住宅でもかなりお金がかかるので、費用対効果を考えた場合は疑問が残ります。外壁のヒビなどは外壁の材質によってはDIYで直せますが、それよりもむしろ外壁周りの掃除をしっかりとした方が印象は良いです。
外壁の黒ずみ、コケ、カビ、クモの巣などは、買い手に「しっかり管理しないとこうなってしまう」という印象を与えてしまいます。
高圧で水を噴射して外壁を洗浄する高圧洗浄機で外壁を清掃するだけでもかなりの程度、見た目が改善することもあります。
室外【屋根】
もし雨漏りする住宅を売ってしまうと、売却後に、契約不適合責任を追求される可能性が高いです。住宅購入後に買い手が雨漏り箇所の下に電化製品を置いており、雨漏りによってそれが故障した場合は、雨漏りの修理費に加えて壊れた電化製品の損害賠償請求を受ける可能性もゼロではありません。
雨漏りは不具合なので、補修というよりも通常は修繕の範囲になります。雨漏りを完全に直すには規模にもよりますが、かなり高額なお金がかかってしまいます。
契約不適合責任の追求を免れるために雨漏りを直すか、いっそ「雨漏りがある物件」として安値で売るかは判断が難しいところです。
もし修理した場合は、修理してもらった業者からその証明書をもらっておくといいでしょう。
3その他【シロアリ対策】
売った物件のシロアリ被害が判明すると大きな問題になります。なかなか気づきにくい部分ではありますが、売却後のトラブル回避のためには床下等を調査し、できれば駆除しておきたいところでしょう。しかし、問題は費用です。
費用対効果が悪そうな場合は、やはり現状を伝えたうえで売りに出すという方法もあります。
もしシロアリ駆除をした場合は、雨漏り修理と同じようにシロアリ業者から証明書をもらっておいてください。
リフォームにかかる費用や期間は?
補修を行う際に気になるのが、費用や期間ではないでしょうか?
各設備を補修するにはど程度の費用がかかるのでしょうか?
補修にかかる費用
補修にかかる費用の一例を以下に列挙します。補修費用については減価償却をすれば節税できる可能性があるので、不動産会社や税理士に相談してみるといいでしょう。リフォーム箇所 | 費用 |
フローリング | 小さな傷なら3000円程度から、張り替える場合は1㎡あたり1万円程度が相場 |
トイレ | 簡単な水漏れ補修なら5,000円程度。 フラッシュバルブの交換でも8,000円程度が相場 |
バス | 壁や床の部分補修なら2~5万円。 浴槽の部分補修は5万円程度が相場。 |
キッチン | 詰まりや水漏れなら5,000円程度。 パッキン交換は1,000円程度。 蛇口交換は1万2,000円程度。 |
外壁 | ヒビ割れの直しなら1,700~2,500円/㎡。 外壁の洗浄なら200~250円/㎡+水道代が相場。 |
屋根 | 規模によりますが、屋根全体の雨漏り補修なら20万円程度。 |
シロアリ駆除 | 安いところなら1,200/㎡から駆除してもらう。 |
リフォームにかける期間
リフォームしたい箇所によって、必要な時間が異なります。それぞれ平均の期間をまとめてみました。
リフォーム箇所 | 期間 |
フローリング | 小さなキズの補修なら1時間程度。 1日など期間を区切って、それでできる範囲の補修をする方法もある |
トイレ | 大抵は半日~1日。 配管をいじる工事をする場合は3日程度 |
バス | ヒビ割れや壁の色褪せの補修なら1日~3日 |
キッチン | 簡単な補修なら半日から1日。 配管をいじるなら3日程度 |
外壁 | ヒビ割れの補修なら1日。 塗装の場合は規模によりますが1週間程度。 |
屋根 | 足場の仮設と解体に1日ずつ。 瓦を剥がした野地板の劣化を直すなら1~2日。 |
シロアリ駆除 | 床下診断に1日、駆除に1日かかるケースが多い |
リフォームで悩んだら不動産屋に相談してみよう
補修するかどうか迷ったときは、不動産会社の専門の方に相談するのが一番です。専門的知見からアドバイスをくれるので、以下のようなメリットがあります。買い手のニーズを知ることが出来る
不動産屋は日々多くの買主・売主と接しているので、どのような物件のニーズがあるのかをデータや肌で知っています。補修が完璧な家に住みたい買い手が多いのか、多少補修が甘くても安い物件を欲している買い手が多いのかなどを熟知しているので、物件種別や状況、エリアに合わせたアドバイスをしてくれるでしょう。
補修すべきかどうかを相談できる
足りていない部分を補う修繕なのか、もっとより良く見せることを目的としたリフォームなのか、目的によって、決定基準は変わります。さまざまな要因が絡んでくるため、選択も難しくなる可能性があります。
しかし、不動産屋に聞けば、「この程度なら補修しなくても査定に影響ありません。」または、「これは補修が必要です」などの判断をしてくれます。
補修や修繕以外の選択肢を提供してくれるケースもあるので、個人で判断せずに、専門の方に相談することをオススメします。
また、無駄な補修を省ける可能性が高いため、補修コストを節約できるメリットがあります。
高く売ってくれる不動産屋の探し方
せっかく不動産屋に相談するのであれば、できるだけ高く売ってくれる不動産屋を探したいのが人情です。
不動産業者をひとつずつ回って査定してもらうのはかなりの手間なので、一括査定などを利用するのが効率的です。
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