「借地に建てた家を処分したいけれど、どうしたらいいの?」「解体する場合の費用はどのくらい?」このような悩みをお持ちではありませんか?
借地に建てた家を処分する場合は、自分の土地と異なり地主の承諾が必要と共に借地権を手放す必要が出てきます。また、解体費用も坪単価によって変動するため、大体の予算を見積もっておきましょう。
本記事では、借地に建てた家を処分する方法や解体費用などについて紹介しています。
▼家の解体費用についての基礎知識を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
借地に建てた家の処分方法5つ
- 借地権を地主に買い取ってもらう
- 借地権と底地権を第三者に同時売却する
- 借地権のみ第三者に売却する
- 賃貸物件として貸し出す
- 更地にして地主へ返還する
借地に建てた家を処分する場合、自分の土地と異なり、地主の承諾が必要と共に借地権を手放す必要が出てきます。
借地に建てた家は、5つの方法で処分可能です。どのような方法で処分するのが最適なのかは、その時の状況で変わってきます。ここでは借地に建てた家の処分方法について、それぞれ詳しく説明していきます。
私の家の解体費用はいくら?
借地権を地主に買い取ってもらう
借地に建てた家の処分方法として、地主に借地権を買い取ってもらう方法があります。この場合、借地権を売却する際に譲渡承諾料を支払う必要がありません。
借地権は、よほどのことがない限り、一度渡した借地権を借地人から取り戻すことができません。そのため、地主の中には自分の土地の借地権を取り戻し「自分の土地を有効活用したい」と考える人も少なくなく、借地権の買い取りに応じてくれることがあります。
売却前には必ず「建物ごと買い取って貰う」のか「解体して更地に戻してから買い取って貰う」かについて話し合っておく必要があります。
借地権と底地権を第三者に同時売却する
地主が底地権を売買したいと考えている場合、地主と協力し借地権と共に底地権を第三者に同時売却する方法があります。
底地権と地主権を同時売買することで、別々に売却するよりも高価になりやすいです。同時売却する場合、売却時に地主と借地人で取り分が違うなどのトラブルに繋がるケースもあるので注意が必要です。
借地権のみ第三者に売却する
地主への借地権の買い取りが不可、借地権と底地権の同時売却も不可能な場合、借地権だけを第三者に売却する方法があります。
借地権付きの建物として、不動産もしくは買取業者へ依頼します。借地権を第三者へ売却する際は、地主による借地権の譲渡承諾・抵当権設定の承諾が必要になります。
賃貸物件として貸し出す
以上の方法で処分できそうにない場合は、借地権をそのまま保有し、借地に建てた家を賃貸として貸し出す方法があります。
借地上の建物は借地人の所有物であり地主の承諾は不要ですが、賃貸用に家をリフォームしたり改築したりなどをする場合は、地主の承諾が必要です。
更地にして地主へ返還する
借地権の売却が難しく、借地をに建てた家を活用する方法がない場合、地代を払い続けるよりも、借地を更地にして地主に返還することをおすすめします。
地主に借地権を返還する際、原則として家を解体する必要があります。この際、解体費用は借地人が負担することが一般的です。ただし、交渉次第では地主が負担してくれるケースもあります。
土地の活用方法に迷ったときは土地活用プランの一括請求サービスを使うことをお勧めします。日本最大級の比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけでお持ちの土地に適した土地活用方法を探すことができます。
解体の流れと費用について
借地に建てた家の解体は、解体作業に取り掛かるまでに時間がかかります。解体希望日の数ヵ月前から、解体業者を探すなどして動き出すといいでしょう。解体までに時間がかかる理由、解体費用や支払いなどについて詳しく説明していきます。
解体までに数カ月かかる
借地に建てた家の解体を行うには、地主の承諾がいるため地主との話し合いが必要です。交渉によっては地主が費用を負担してくれるケースもありますが、交渉が決裂してしまうと承諾を得るまでに多くの時間がかかる可能性があります。
地主との話し合いは、早めに行うことが賢明です。
地主と借主のメリット・デメリットをまとめました。
メリット | デメリット | |
地主 | 更地となった土地を好きにできる | 解体費用の一部を負担する可能性がある |
借主 | 解体費用が安くなる | 地主の承諾を得る必要がある |
地主の承諾後は、信頼できる解体業者を選ぶ必要があるので、解体が始まるまでにさらなる時間がかかってしまいます。しかし、信頼できる解体業者へ依頼するためにも、複数の場所から見積もりを提出してもらうと同時に、スタッフの対応などを見て決めましょう。
また、契約書によっては解体業者の指定が記載されているケースもあります。書面に記載された内容が優先される可能性が高いため、指定された解体業者へ依頼をしなければならないでしょう。
費用は坪単価で計算
借地に建てた建物の解体費用は坪単価で計算するため、ある程度の見積もりを自分で算出できます。
坪単価は、国土交通省のホームページで確認してください。
(引用:地価・不動産鑑定:令和4年地価公示 – 国土交通省)
構造別に坪単価の相場をまとめました。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 |
40,000~50,000円 | 60,000~70,000円 | 70,000~80,000円 |
表は目安となるので、解体費用の相場だけで判断するのではなく、実際に解体業者に現地を見てもらってから正確な見積もりを算出してもらう必要があります。また、地主との話し合いで地主が解体業者を指定し、高額な請求をされるケースは少なくありません。
対策として、自分が選んだ業者から正確な見積もりをとって、金額の交渉を行いましょう。
解体の費用は原則借主が負担
借地に建てた家の解体費用は、一般的に見て原則借主が負担するものです。借主側が負担するケースは、下記があります。
借主が更新を行わない | 借主側の都合で契約途中で解約する | 契約期間中・更新後に家を建て直す |
狩り地に建てた家を解体し、更地にして地主へ返還する | 契約途中の解約は原則として違反になるが、やむを得ない事情の場合は地主と話し合いのあと、借主負担で借地の返還をする | 新たに家を建てたり増改築したりする場合、借主は処分費用と承諾料の支払いが必要 |
ただし、地主側が解体を希望した場合は、正当事由がなければ立退料を借主に支払い、解体費用も地主が負担をします。また、地主側の都合であり借地の更新をせずに契約満了を迎えた場合、借主は借地の上に建てた家を地主に買い取ってもらえるのです。
しかし、地代が未払いであったり借地権を無断で譲渡しているなどの場合は、契約違反と見なされれば、借主の負担になります。
支払いが難しい場合は?
借地に建てた家の解体費用が、予算を遥かに上回る場合もあります。用意していた資金が不足し、支払いが困難であると判断した際に、下記を検討しましょう。
- 自治体の補助金制度がある
- ローンを組んで支払い
一つずつ説明していきます。
自治体の補助金制度がある
自治体によっては、建物を解体するための補助金制度を設けています。街の景観や不審火対策などを目的として、使用していないあるいは老朽化して不要となった建物の解体するために支給されるのです。
また、補助金の支給先は、大きく分けて2種類あります。
- 空き家の解体…国・自治体
- 個人が行う解体…地方自治体
空き家の解体は、地域活性化を促進している国から支給されるのです。
(引用:)
しかし、補助金・助成金制度も自治体によっては支給する条件があるため、必ず対象に入るわけではありません。主な条件は下記です。
- 倒壊するレベルの建物
- 築年数で設けられた耐震基準
- 前年度の所得
市区町村によって条件は違ってくるため、事前に確認しておきましょう。
ローンを組んで支払い
解体費用の資金が足りない場合は、ローンを組んで支払う方法があります。金融機関によっては、空き家や解体工事に備えた解体専用のローンを用意しているため利用が可能です。
解体専用でなくとも、フリーローンなどで対処ができる場合もありますが、使用する目的が限定されていないローンは高金利傾向にあります。解体専用・フリーローンを組むことを決めても、銀行によってローンが組める条件や融資限度額などが違ってくるので、事前に銀行へ確認しておきましょう。
最適な土地活用方法は土地の立地や広さ、周辺の需要によって変わります。土地活用を検討しているなら日本最大級の比較サイトイエウール土地活用で複数企業から土地活用プランを取り寄せましょう。将来の収益性の高い土地活用方法を見つけることができます。
解体後は手続きが必要
借地に建てた家を解体したあとは、建物滅失登記の手続きが義務となっています。建物滅失登記や手続きに必要な物を説明していくので、忘れずに行いましょう。
解体後の手続きについて、下記を説明していきます。
- 建物滅失登記とは?
- 手続きに必要なもの
建物滅失登記とは?
建物滅失登記とは、建物がなくなった際に登記簿に反映させるために行う手続きです。つまり、「誰がどんな不動産を所有していたのか」の記録を取り除く手続きでもあります。
不動産登記法にも定められており、建物が消失した日から1カ月以内に建物滅失登記の手続きをする必要があるのです。また、法的義務でもある登記の申請を行わなかった場合、刑法を課せられます。
(建物の滅失の登記の申請) 第五十七条建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。 (引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123) |
建物滅失登記は土地家屋調査士に依頼が可能ですが、難しい手続きはあまりないため必要事項への記入・書類を揃えて提出するため、自分でも行えるのです。
建物滅失登記の申請手続きで、必要となる書類は下記です。
建物滅失登記の申請書 |
|
解体した家の登記謄本・公図・建物図面(各階平面図)・地籍測量図 |
|
建物滅失証明書 |
|
解体業者の代表者事項証明書・会社の印鑑証明書 |
|
滅した家があった場所の地図 |
|
委任状 | 申請者以外の方が受付に書類を提出する場合は、記入された委任状が必要 |
解体業者から発行された書類は、紛失に気をつけましょう。
>法務局で受付
建物滅失登記の申請に必要な書類を揃えたあとは、営業時間内に法務局へ提出します。窓口からの申請が難しい方は、マイナンバーカードを所有していればオンライン申請も可能です。(建物を取り壊した/建物を新築した:法務局)
マイナンバーカードを所有していない場合は、法務局へ書類を郵送して提出します。郵送の際には、書類をファイルにいれたり厚紙に挟んだりして、折れ曲がりを防ぎましょう。
各法務局・地方法務局のリンクはこちらです。(管轄のご案内:法務局)
また、建物を解体した日から1ヵ月以内の提出となるため、解体作業と並行して書類などの準備を進めておくとスムーズです。
まとめ
借地に建てた家の処分方法や解体費用、利用できる補助金制度についても紹介しました。借地権は「遺産」としての経済的価値があるため相続放棄が可能です。しかし、相続放棄はほかの遺産も放棄してしまうので、慎重に判断しましょう。地主との話し合いもお互いが納得をして進めるためにも、早めに行うと解体の仕事もスムーズに進みます。
また、補助金や助成金の利用は、解体費用を安く抑えられますが条件は自治体で異なるため市区町村への確認が必要です。解体後も法的義務である、建物滅失登記の手続きを忘れないようにしましょう。
記事のおさらい