マンションの売却を進める際には、まず不動産会社の査定を受けることが重要です。
マンション査定の際には、正確な査定額を算出するために必ず用意しておきたい書類や、査定額が上がる可能性のある書類が存在するため、事前に用意しておくことがポイントとなります。
本記事では、マンション査定の概要と7つの必要書類、売却までに準備すべき書類をご紹介します。
マンション査定とは?机上査定・訪問査定の違い
マンション査定では、実際に物件を売り出す際の価格の参考となる、売却予想価格を調べることが可能です。
広告などにマンションを掲載する際には、この査定額をもとに売り出し価格を決め、購入希望者を募ることとなります。
ただし、不動産の査定では「机上査定」と「訪問査定」の2種類があり、それぞれの特徴を把握しておくことが大切です。
ここでは2種類の査定方法のメリット・デメリットをご紹介します。
机上査定のメリット・デメリット
机上査定とは、実際のマンションを訪れて確認することなく、書類上のデータや過去の取引事例、類似物件などを参考に査定額を算出する方法です。
不動産の一括査定サービスで受けられるのも机上査定が一般的で、手間や時間をかけずに売却価格の目安を確認できるメリットがあります。ただし、机上査定はマンションの状態を担当者がチェックするわけではないため、査定額は参考程度の目安となります。
正確な査定額を把握するためには、後述する「訪問査定」を受ける必要があります。訪問査定のメリット・デメリット
訪問査定とは、不動産会社の担当者がマンションを訪れ、部屋の内部や周辺状況なども考慮しながら査定額を算出する方法です。
机上査定と比較して正確な査定額を出すことが可能で、不動産会社からは査定書が発行されるため、価格の根拠を確認できるメリットがあります。一方、訪問査定では、査定額の算出までに1週間程度の期間を要するほか、不動産会社の担当者の出入りがあるため近隣に売却予定が伝わってしまう可能性がある点がデメリットです。マンション査定の必要書類は7種類
訪問査定でマンションの査定額を調べる際には、より正確な査定額を算出するために用意すべき必要書類があります。
以下の7つの書類が代表的です。
- マンションの登記簿謄本
- 購入時の売買契約書・パンフレット
- マンション維持費の確認書類
- マンションの管理規約・長期修繕計画書
- リフォーム時の契約書
- 住宅ローンの返済予定表・残高証明書
- 本人確認書類
それぞれの内容や取得方法についてご紹介しましょう。
マンションの登記簿謄本
登記簿謄本は「登記事項証明書」とも呼ばれ、マンションの新築年月日・種類・構造などを確認できる書類です。
管轄の法務局で取得できるほか、法務局が運営する「登記・供託オンライン申請システム」を利用して、インターネット上で取り寄せることも可能です。
なお、登記簿謄本は査定の際に不動産会社が取得することも可能なため、紛失した場合に再発行する必要はありません。
購入時の売買契約書・パンフレット
ご自身が今のマンションを購入した際の売買契約書や重要事項説明書、パンフレットが残っていれば、査定の際に用意しておくと正確な査定額を算出できます。
部屋の間取り図が記載されたパンフレットは、広告を出す際の間取り図の作成にも役立つ書類です。契約書やパンフレットを紛失してしまった場合には、購入した不動産会社に問い合わせることで、コピーをもらえる可能性があります。
マンション維持費の確認書類
所有するマンションの管理費・修繕積立金の支払額がわかる書類は、必ず用意しておきましょう。
管理費・修繕積立金の金額や滞納履歴は査定額にも大きく影響するほか、売主と買主で支払いを分担する清算金の計算でも必要となります。手元に確認できる書類がない場合にも、通帳などを用意して正確な支払い金額を伝えられるように備えておくことが大切です。
マンションの管理規約・長期修繕計画書
喫煙やペット飼育、楽器演奏、石油ファンヒーターなどの可否を定めている管理規約のほか、マンションの長期修繕計画書を査定時に準備しておくことも大切です。
広告の打ち出し方の参考になるほか、購入希望者にとっても重要な判断材料となります。
管理規約・長期修繕計画書の再発行は、マンションの管理組合・管理会社が対応してくれるため、手元にない場合には問い合わせてみると良いでしょう。
リフォーム時の契約書
過去にリフォームを実施している場合には、リフォーム時の見積書や契約書などを用意しておくと、正確な査定額が算出しやすくなります。
リフォームの際に住宅性能評価・インスペクション・耐震診断などを受けている場合には、診断結果を確認できる書類があるとなお良いでしょう。
書類が見つからない場合にも、リフォーム箇所や時期などを査定時に伝えることをおすすめします。
住宅ローンの返済予定表・残高証明書
返済中の住宅ローンが残っている場合には、返済予定表・残高証明書を入手しておきましょう。
住宅ローンの残債があるマンションは、売却時にローンを一括返済する必要があります。マンションの査定額が住宅ローン残債を下回り、一括返済に充てる自己資金が不足する場合には、マンション売却が困難となる可能性もあるため注意が必要です。
返済予定表・残高証明書は、金融機関の窓口で再発行が可能です。本人確認書類
マンションの査定を受ける際には、運転免許証や保険証などの本人確認書類が必要です。
旧姓や古い住所が記載されている場合には、事前に身分証明書の更新を済ませておくと安心です。
マンションの査定額が上がる可能性がある書類
前述した7つの書類に加え、以下のような書類が手元にある場合には、査定時に提出すると査定額が上がる可能性が出てきます。
- 周辺地域の鳥瞰図・俯瞰図
- 住宅性能評価書
- 耐震診断報告書
- アスベスト使用調査報告書
- インスペクション報告書
- 瑕疵担保責任保険の保険付保証明書
マンションに関する診断を受けたことがある場合などは、その際に受け取った書類を準備しておくと査定額に影響することがあります。
手元に残っている書類があれば、訪問査定の際に担当者へ提示すると良いでしょう。
マンションの売却までに準備すべき書類
マンションを売却するためには、前述した書類だけではなく、売買契約に必要な書類を別途用意しなければなりません。
売却までに用意するべき必要書類は、主に以下の4つです。
- 登記済権利証(登記識別情報)
- 住民票・印鑑証明書
- 固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書
- 抵当権抹消書類
一つずつ解説していきます。
登記済権利証(登記識別情報)
登記済権利証は「登記識別情報」とも呼ばれ、不動産を所有する権利を証明する書類です。
登記済権利証を買主に渡し、移転登記を行って名義変更を済ませると、売主から買主へ所有権が移ることとなります。
登記済権利証はマンションの購入時に受け取る書類ですが、紛失してしまった場合には法務局で再発行の手続きを行う必要があります。住民票・印鑑証明書
マンションの登記上の住所とご自身の現住所が異なる場合、住民票を取得しておく必要があります。
また、売買契約の際には印鑑証明書を提出する必要があるため、住民票と併せて役所の窓口で取得しておくと良いでしょう。
夫婦二人の名義になっているなど、共有名義のマンションでは名義人全員の印鑑証明書が必要となる点にもご注意ください。
固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書
固定資産税の納税額を確認するため、毎年送付される固定資産税の納付書や通知書を用意しておく必要があります。
マンションを売却した際には、その年の固定資産税を引き渡し日に応じて買主・売主で分担することが一般的です。その際の清算金の計算でも必要となるため、現在手元にない場合は役所の窓口で「固定資産税評価証明書」を取得しましょう。
抵当権抹消書類
住宅ローンを返済中で、抵当権が設定されているマンションは売却ができないため、抵当権の抹消を証明できる書類を準備しておく必要があります。
一般的に、売却代金を受け取った際に、金融機関の窓口で「抵当権解除証書」受け取ることが多いです。
マンションの売却が完了するまで、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
必要な書類は不動産の種類や状況によって異なります。そこで、必要書類を簡単にチェックしましょう!
必要項目を選択して「必要書類を見る」を押すと、ご自身の場合に必要な書類が一覧で表示されます。
タイミング | 重要度 | 書類 | 内容 | 取得方法 |
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マンション査定で必要書類を提出する際の注意点
複数の不動産業者からマンション査定を受ける場合、必要書類は必ず毎回同じ内容のものを用意しておくことが重要です。
複数の会社に査定を依頼する際には、必要書類なしで査定を受けるケースと、必要書類ありで査定を受けるケースが混在すると、正確に査定額を比較できなくなります。マンション売却を進める際には、査定に必要な書類は事前にすべて用意してから、一括査定や訪問査定を申し込むと良いでしょう。
マンション査定の必要書類は早めの準備を
マンション査定を依頼する際の必要書類は、主に以下の7種類です。
- マンションの登記簿謄本
- 購入時の売買契約書・パンフレット
- マンション維持費の確認書類
- マンションの管理規約・長期修繕計画書
- リフォーム時の契約書
- 住宅ローンの返済予定表・残高証明書
- 本人確認書類
これらの書類を準備しておくことにより、訪問査定でより正確な査定額を算出しやすくなります。
また、査定を済ませたマンションの売買契約を結ぶ際には、登記済権利証や印鑑証明書、固定資産税評価証明書などの書類も必要となるため、早めに取り寄せておくと安心です。