ただし、決済後に手元に残った金額が全額そのまま手元に残るわけではなく、売却の翌年に「譲渡所得にかかる税金」を支払う必要があります。
「譲渡所得にかかる税金」を差し引いた金額がマンション売却で最終的に手元に残る金額となりあmす。
この記事ではマンション売却で手元に残る金額について、「決済後に手元に残る金額」と「最終的に手元に残る金額」に分けて解説します。
マンション売却で手元に残る金額を調べよう
マンション売却には費用がかかるため、売却価格よりも手元に残る金額は4%ほど少なくなります。
マンション売却で決済などが一通り終わったタイミングで手元に残る金額は、「売却金額 - 費用」で計算できます。ただし、売却後に手元に残った金額に対して、さらに「譲渡所得税」という税金がかかるため、最終的に手元に残る金額は、決済後に手元に残った金額から譲渡所得税を差し引いた金額です。
マンションの査定を受ける際にも、いくらで売却できそうかという査定価格だけでなく、手元に残る金額もしっかり確認しておきましょう。
マンション売却にかかる費用は?
では、まずは決済後に手元に残る金額を調べるために、マンション売却にかかる費用を見ていきましょう。
マンションの売却を始めてから決済が終わるまでの間には、次のような費用がかかります。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 司法書士への報酬
- 住宅ローン一括返済手数料
それぞれ詳しく見ていきましょう。
仲介手数料
マンションの価格が400万円以上であれば、マンション売却で不動産会社に支払う仲介手数料の上限額は、次の式で計算できます。
たとえば、マンションを6,000万円で売却する場合、仲介手数料の上限額は204.6万円です。
印紙税
不動産の売買契約書には印紙を貼りつける必要があります。
印紙税の金額は、売却金額によって決まります。
【参考】不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
司法書士への報酬
マンション売却で、登記の変更を司法書士に依頼する場合は費用がかかります。
司法書士に登記の変更手続きを依頼する場合、報酬の相場は1万円~2万円です。
住宅ローン一括返済手数料
住宅ローンを借りている場合、マンションを売る前にローンを全額返済する必要があります。
ローンを繰り上げ返済する際には手数料がかかります。
この手数料の金額は金融機関によって異なりますが、相場は5千円~2万円ほどです。
マンション売却で最終的に手元に残る金額とは?
マンション売却で、取引が決済まで一通りが終わっても、取引が終わった時点で手元に残ったお金がすべて懐に入るわけではありません。
マンション売却で利益(譲渡所得)が出た場合、利益(譲渡所得)に対して、売却の翌年に税金を支払う必要があります。
そのため、マンション売却で最終的に手元に残る金額は、「決済の段階で手元に残った金額-譲渡所得にかかる税金」で計算できます。
マンション売却で譲渡所得が出た場合は、確定申告が義務付けられているため、売却の翌年の2月から3月にかけて確定申告し、税金は売却翌年の4月以降に支払うことになります。
譲渡所得にかかる税金
マンション売却で手元にお金が残った場合には、手元に残った金額に対して税金が課されます。マンション売却で手元に残ったお金(利益)にかかる税金は、「所得税」「住民税」の2つです。
※「所得税」には、「復興特別所得税」が上乗せで課税されます。復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源に充てるための財源となる税金で、2037年12月31日までの間、通常の所得税を納付する際に上乗せで課税されます。
マンション売却の利益への税率は、売却したマンションの所有期間によって、次のように決まります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
※「所有期間」は売却した年の1月1時点での所有期間です。
※「所得税」「合計税率」には復興特別所得税を含みます。
手元に残った金額への課税金額は次の式で計算できます。
譲渡所得は次の式で計算できます。
たとえば、保有期間10年のマンションを6,000万円で売却して1,000万円の利益が出た場合、203.15万円の譲渡所得税が課税されることになります。
譲渡所得にかかる税金には特例・控除がある
マンション売却で利益が出た場合でも、確定申告時に特例や控除を利用すれば大幅に節税することができます。
居住用財産の「3,000万円の特別控除」を利用すれば、マンション売却で利益が出た場合でも最大3,000万円を譲渡所得から差し引き、課税対象外とすることができます。
たとえば、マンションを3,000万円のマンションを売却して2,900万円の利益が出た場合、3,000万円の特別控除を利用すれば利益には全く課税されません。
控除・特例の利用にはそれぞれ条件がありますが、特例・控除を利用すれば譲渡所得税を大幅に節税することができます。
なお、特例・控除は自動で適用されるわけではなく、確定申告が必要な点には注意が必要です。