親からの相続や住み替えなどで団地の売却を考えている方もいるでしょう。しかし団地は築年数が古い物件が多く売りに出しても買主が見つかるのか不安ですよね。
そこでこの記事では団地を売却する4つの方法と高く売却する方法について解説しました。
「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
【団地の売却方法1】不動産買取を利用する
団地を確実に売却したいのならば不動産買取を利用しましょう。
不動産買取とは、不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう不動産の取引の種類の1つです。不動産売却でよく聞く仲介という取引では不動産会社が仲介者となり売主の代わりに買主を探すという流れですが、不動産買取ではその買主が不動産会社となるのです。
団地売却で買取を利用するメリット・デメリット
団地を売却する際に買取を利用する1番のメリットは、団地の売却を短期間で確実に完了することができるところです。
仲介で売却する場合、買主が見つかるまで売却活動は続きますが、買取では不動産会社が買主となるため買主を探すことなく売却することができるのです。
立地や設備、築年数によっては売主が見つかるまでに長期間かかる場合もあります。しかし買取を利用すると約1か月ほどで売却を完了することができます。
しかし買取を利用することにより、売却価格が相場より低くなるというデメリットがあります。一般的に不動産買取の相場は仲介の約7割と終われており、仲介で1000万円で売却可能な団地でも買取では約700万円での売却となってしまいます。
築年数が古い団地は買取がおすすめ
築年数が古い団地を売却する際は不動産買取を利用することをおすすめします。
古い団地を売却する際に注意しなければいけないのは契約不適合責任による売買契約の解除です。契約不適合責任とは、契約内容に適していない異なるものを売却したと判断されたときに売主が相手に対して責任を負わなければならないというものです。この契約不適合責任に当てはまる場合は、契約解除のほかに損害賠償や代金減額の請求をされることがあります。不動産においてはシロアリ被害や配管の不具合、漏水といった見えない欠陥についての責任が契約不適合責任になります。
不動産買取をする場合は不動産会社がその不動産の所有者になるため売主の契約不適合責任は免除されるのです。
仲介を利用する場合は売主に契約不適合責任がある場合が多く、売却後に欠陥が発生した場合は修理費や撤去費用を支払うことがありますが、不動産買取であれば古い団地でも契約不適合責任を気にすることなく売却できるのです。
まずは査定依頼をしてみよう
まずは自分の団地がいくらで売れるのか把握しましょう。
下記の査定シミュレーションを使うことで自分の家がいくらで売れそうか簡単に調べることができます。
まずマンションを選択します。その後マンション名、専有面積、間取り、階数、方角の項目を埋めてから「想定価格をみる」ボタンを押してみましょう。ボタンを押すと○○万円~○○万円と、幅のある売却想定価格が自動で算出されます。
しかし、査定価格は家の個別情報や最新の不動産市場によって決まるため、この査定シミュレーションで分かる売却想定価格はおおよそのものであり精度が低いといえます。
家がいくらで売れるのか正確に知るためにも不動産会社に査定を依頼してみましょう。
また売却を考えた早い段階で不動産会社に相談しておくと売却に適したタイミングやリフォーム・リノベーションが必要かどうかなど売却を有利に進めるためのアドバイスをもらうことができます。
査定を依頼する際は、ネットでいつでも簡単に査定依頼ができるイエウールの利用がおすすめ。一度の申し込みで複数社に査定を依頼でき、完全無料でサービスを利用できるのでまずは家の価格を知ってから売却を検討したいという方も安心して利用できます。
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売ったら
【団地の売却方法2】リフォームする
団地を売却する前にリフォームを行ってから売却する方法もあります。リフォームとは老朽化した建物を新築の状態に改修することを言います。
団地売却時にリフォームするメリット・デメリット
団地を売却する前にリフォームすることで、買主へ「最新の設備がある」とアピールすることができます。最新の設備が備わった家を購入したい人は多いためそのまま売るより購入希望者を多く集めることができるでしょう。
しかしリフォームには費用がかかります。リフォームをすることでそのまま売却するより高く売却することができますが、必ずしもリフォームにかかった費用以上の価格で売却できるとは限りません。
例えば、リフォーム前の団地の査定価格が500万円だとします。100万円かけてリフォームしたにもかかわらず550万円でしか団地が売れなかった場合は50万円損をしてしまうことになるのです。
このようにリフォームを行うことで余計に売却にかかる費用を増やしてしまうこともあるため、リフォームが必要かどうかは慎重に判断しましょう。
リフォームすべき場所
リフォームは適当に行えばよいというわけではありません。おすすめのリフォーム箇所は以下の3つです。
- キッチン
- トイレ
- 浴室
キッチン
最新の機能があるシステムキッチンが買主には人気があります。キッチン全体のリフォームは最も多いリフォームとなっています。キッチン全体のリフォーム以外にもコンロやレンジフードの交換なと一部のみのリフォームも可能です。
トイレ
和式トイレから洋式トイレ、洋式トイレを最新のものにするというリフォームができます。
タンクレス・ウォシュレット・節水機能が付いた最新式のトイレにリフォームすることで買主へのアピールポイントを作ることができます。
浴室
浴室のリフォームはタイルやコンクリートで作られた昔ながらの浴室をユニットバスに変更するというリフォームが最も多いようです。
昔ながらの浴室は在来工法という作りで一般的な部屋に防水加工を施したものになります。そのため築年数を重ねるとタイルのひび割れなどの問題があるようです。浴槽の交換や床・壁の内装の変更だけにせずユニットバスに変更するというリフォームを行うことがおすすめです。
リフォームにかかる費用
リフォームは依頼する家やリフォームしたい場所の状態によって、同じリフォーム内容でも価格が変わります。おおよその価格となりますが、それぞれいくら程度になるのでしょうか。
国土交通省が中古住宅・リフォーム市場倍増のために開催した「中古住宅・リフォームトータルプラン検討会」で使用した資料を基にご紹介します。
リフォーム場所 | 価格 |
---|---|
トイレ | 30~50万円 |
キッチン | 40~80万円 |
風呂 | 60~150万円 |
外壁 | 50~200万円 |
耐震補強 | 100~200万円 |
【団地の売却方法3】リノベーションする
団地を売却する方法の3つ目はリノベーションを行うことです。
リノベーションとは機能性やデザイン性の向上など建物全体の付加価値を高める目的で行われるものです。リフォームは劣化した設備を新築の状態にするマイナスからゼロにするイメージに対して、リノベーションは間取り変更など大幅に改修して新築時よりも性能を高めて、マイナスからプラスにするイメージです。
団地売却時にリノベーションするメリット・デメリット
団地売却でリノベーションするメリットは、最新の設備や間取りになるため若い世代の人にも興味を持ってもらうことができます。最新の設備がある家に住むとなると、新築物件であることが多いため購入費用が高く断念してしまう方も多くいます。しかしリノベーション物件であれば新築ほど高くないため購入を検討する方が増えるのです。
しかしリノベーションには高額な費用がかかります。リフォームと同様にリノベーションにかかった費用以上の効果があるとは限りません。リノベーションをすることによって売却活動を有利に進めることができるのかよく考えて行いましょう。
間取りの変更がおすすめ
リノベーションを行うなら間取りの変更をすることをおすすめします。団地は昔ながらの間取りになっていることが多く、売れにくいことがあります。
現在人気の間取りはLDKというリビング・ダイニング・キッチンが一体となっている間取りです。リノベーションする際はLDKの間取りになるように行うとよいでしょう。
リノベーションにかかる費用
リノベーションの費用は面積やプランによって大きく異なります。一概にいうことはできませんが、フルリノベーションを行う場合は600万円~1800万円が相場です。
住居全体の間取りを変更する場合は100~300万円かかります。このようにリノベーションには費用がかかるため、本当にリノベーションするのか、リフォームに変更しなくてよいのか事前によく考えて行いましょう。
【団地の売却方法4】手を加えずそのまま仲介で売却する
リフォームもリノベーションも行わずにそのまま売却するという方法もあります。
そのまま売却するメリット・デメリット
リフォームやリノベーションを行わずに売却するメリットは何といっても費用をかけずに売却できるところでしょう。
リフォームやリノベーションをしたからといって必ず希望の価格で売却できるとは限りません。高額な費用を使う前にまずはそのまま売りに出して様子をみてもよいでしょう。
しかし人気のある物件は最新の設備がある新築や、フルリノベーション済みの物件です。そのまま売却することで売却完了までに時間がかかることがあるというデメリットが考えられます。
自分の好きなようにリフォームしたい買主もいる
買主の中には中古物件を購入して、自分の好きなようにリフォーム・リノベーションしたいという方もいます。
土地を購入して自由に設計できる注文住宅を建てるには高額な費用が必要です。しかしリノベーションであれば注文住宅ほど費用がかからず自分の好きな間取り・設備にすることができます。
古い団地を売却する際はリノベーションを検討している方に向けて販売活動を行うとよいでしょう。
古い団地を少しでも高く売却するコツ
せっかく団地を売るなら少しでも高く売却したいですよね。ここからは団地を高く売却するためのコツを解説します。
高く売却するなら仲介を利用する
高く売ることにこだわるのであれば買取ではなく仲介を利用して売却しましょう。
買取のデメリットでも解説したように、不動産買取では仲介の売却相場の約7割での売却となってしまいます。
高く売却することにこだわるのであれば仲介を選択して希望の売却価格で売れるまで売却活動を続けるとよいでしょう。
複数の不動産会社に査定を依頼する
団地を売却する前に行う査定は、必ず複数の不動産会社に依頼するようにしましょう。
不動産会社が行う査定には明確なルールがないため不動産会社によって査定価格が異なります。
1社のみの査定結果ではその査定価格が適切なのか分からず、相場より安く売却してしまったり、高すぎる価格で売り出して売れ残ってしまうことがあります。
適切な価格で売りに出すためにも最低3社以上の不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。
団地の売却実績のある不動産会社に依頼する
不動産会社を選ぶ際には、団地の売却実績のある不動産会社であるか確認して契約を結びましょう。団地売却に関するノウハウや団地の購入を考えている買主を抱えているかもしれません。
自分の住んでいる団地の売却実績がある不動産会社であるとなおよいでしょう。過去の売却の経験からどのように販売活動を行うと売れるのかアドバイスをもらうことができます。
不動産会社の売却実績はホームページ、もしくは担当者に直接聞くことで確認することができます。契約前に団地の売却実績を確認してみましょう。
相続した団地を売却する際の注意点
団地を売却するきっかけとしてよくあるのが、親から相続をしたパターンです。相続した不動産を売却する場合にはいくつか注意しなければいけない点があります。
相続税の支払い義務があるのか確認する
不動産を相続したら必ず相続税を支払わなければならないわけではありません。不動産を相続した際に、相続財産の合計額が基礎控除額を超えると相続税を支払う必要があります。
相続税の基礎控除額は以下の計算式で求めることができます。
国税庁が令和2年12月に発表した「令和元年 相続税の申告実績の概要」によると、相続税の課税対象となった人の割合は8.3%でした。相続税は被相続人が亡くなった日から10か月以内に所定の場所で納付します。相続したらすみやかに課税対象であるか確認しましょう。
名義変更をしないと売却できない
相続した不動産は名義変更(相続登記)をしなければ売却することができません。名義変更とは不動産の所有者名義を変更する手続きのことです。
名義変更をしない限り不動産の所有権を公的に主張・証明することができず、不動産の売却や不動産を担保にしてローンを組むことができません。名義変更を放置し続けると誰の不動産か分からず不動産の処分が事実上不可能となることもあります。
団地の売却を考えている方はまず名義変更を行いましょう。
名義変更は自分で行うこともできますが、名義変更の手続きは難しく手間がかかるため司法書士の方に依頼することをおすすめします。
ここまで団地の売却について解説しました。団地は築年数が古く売却が難しい物件が多いです。不動産買取をするのか、リフォーム・リノベーションを行ってから売却するのか、リノベーションをしたい買主に向けて売却活動を行うのか、事前によく検討して売却活動を進めていきましょう。