年収1000万円の住宅ローン借入額や返済プランの立て方を解説

年収1000万円の住宅ローン借入額や返済プランの立て方を解説

国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、年収1000万円を超える人の割合はわずか4.6%だということがわかっています。[注1]日本の平均年収は433万円なので、年収1000万円の人はかなり高収入の部類に入るでしょう。

しかし、いくら年収1000万円の人であっても、好きなだけ住宅ローンを組むことはできません。住宅ローンの借入額には上限がありますし、毎月の支払額を自分に合った金額に抑えないと、住宅ローン破綻のリスクが高まってしまうためです。

この記事では、年収1000万円の人に最適な住宅ローンの借入額や返済プランの立て方について紹介します。無理のない返済額を知って、充実した返済計画を目指しましょう。

 

 

まずは住宅ローンの基本から押さえたい!という方はこちらの記事をご覧ください。
住宅ローンの借り方や返し方の基本と押さえるべきポイント

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年収1000万円で組める住宅ローンの目安は?

まずは、年収1000万円で組める住宅ローンの目安を見ていきましょう。

住宅ローンの審査をするときは、勤続年数や健康状態などさまざまな項目が見られます。特に、借入可能額は年収をもとに判断されるため、高収入である年収1000万円の人はかなり審査を有利に進められるでしょう。

それでは、年収1000万円で組める住宅ローンの限度額はいくらくらいなのでしょうか。まずは、借りられる上限額と平均的な借入額について解説します。

年収1000万円で組める住宅ローンの限度額

年収1000万円で借りられる住宅ローンの限度額は、返済負担率から計算できます。返済負担率とは、年収のうち返済に充てる金額の割合を指します。

たとえば年収1000万円の人が年間300万円の返済をする場合、返済負担率は30%ということになるのです。

金融機関ごとに設定されている返済負担率の上限は変わってきますが、フラット35が設けている基準では、年収400万円以上の人の返済負担率は35%が限度となります。[注2]つまり、年収1000万円の場合は年間350万円以下の返済額となる金額であれば、借り入れが可能ということです。

返済負担率35%では月々の返済額は約29万円となり、固定金利1.5%で35年ローンの場合、借入可能額の上限は9,504万円が目安です。ただし、フラット35は8,000万円が融資額の上限となるため、借入希望額を満額借りられない可能性があることは理解しておきましょう。

家族構成などによって異なってきますが、年収1000万円の手取り金額は720万円程度です。月収にすると60万円前後となるため、毎月29万円(8,000万円の場合は約25万円)もの住宅ローンを返済することは現実的ではありません。

上記の金額はあくまで融資上限額であり、余裕をもって返済できる額ではないことを押さえておいてください。

年収1000万円の平均的な住宅ローンの借入額

次に、住宅ローンを借り入れている人が融資を受けている平均的な金額について見ていきましょう。

先述したように、年収1000万円の住宅ローン借入上限額は、現実的に返済できる金額ではありません。そのため、実際に借り入れをしている人は返済負担率をさらに低く設定しています。

住宅金融支援機構の「2020年 フラット35利用者調査」によると、返済負担率の平均は22.2%だということがわかっています。[注3]

年収1000万円の場合、返済負担率22.2%で借り入れたときの年間返済額は222万円となり、月々の支払いは18万5,000円です。固定金利1.5%で35年ローンの場合、借入額は6,042万円となります。

年収1000万円の手取り月収は60万円程度なので、この借入額であれば、住宅ローンの返済をしても41万5,000円のお金が手元に残ることになります。もちろん、家族構成や出費の状況によっては生活が圧迫されてしまうケースもありますが、借入額を判断するひとつの目安にするといいでしょう。

年収と借入額の関係についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
年収からみる住宅ローンの借入可能限度額の目安はいくら?審査基準のポイントも解説!

 

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年収1000万円で無理なく住宅ローンを返済していく方法

一口に年収1000万円と言っても、ご家庭によって最適な住宅ローンの返済額は異なります。自分にとって無理のない返済額を見極めるためには、どのようなポイントに気をつければいいのでしょうか。

ここからは、年収1000万円で無理なく住宅ローンを返済していく方法について紹介します。

出費から逆算して返済額を決める

無理のない住宅ローンの返済を目指すなら、ご家庭に合った返済負担率に設定することが大切です。住宅ローンの審査では返済負担率35%以内、住宅ローンの利用者平均は22.2%が基準になると紹介しましたが、家計の状態によってはさらに低くしたほうがいいケースもあるでしょう。

いきなり「返済負担率◯%」という基準で考えると返済額をイメージしにくくなるため、出費から逆算して最適な返済負担率を導き出すことをおすすめします。まずは食費や光熱費、貯蓄や教育費、固定資産税やマンションで必要になる管理費などの出費を洗い出し、余ったお金を住宅ローンの返済に充てる金額として考えるというわけです。

たとえば、手取り月収から毎月の支出を差し引いて残った金額が12万円の場合「12万円×12か月=144万円」が最適な住宅ローンの返済額で、返済負担率は14.4%ということになります。

平均値や一般論にとらわれず、ご家庭の現状から返済額を決めると、無理なく支払える借入額が見えてくるでしょう。

定年までに完済できる借入額にする

現在は年収1000万円であっても、定年退職をしてしまえば多くの人が年金暮らしになります。無理のない返済を目指すなら、住宅ローンは定年までに完済できる借入金額に抑えることをおすすめします。

年金の加入年数や配偶者の年収によっても変わってきますが、年収1000万円の人が受け取れる年金の金額は20万円前後です。[注4]たとえ返済負担率を抑えて月々の返済額を10万円と設定しても、定年退職後は住宅ローンの返済が大きな負担となってしまうことは間違いありません。

十分な貯蓄があれば問題ありませんが、そうでない場合は定年退職前までに完済できる金額の住宅ローンを組むことが理想的です。

利息の上昇リスクに備える

変動金利を選ぶときは、月々の支払額が変動するため注意が必要です。借入金額が増えるほど金利が上昇したときのリスクは大きくなり、利息の支払い割合が大幅に増える可能性があることを押さえておきましょう。

変動金利の場合、一般的に利息の変動による支払額の見直しは5年に1度行われ、増加する返済額は125%が限度となります。そのため、いきなり支払額が激増することはありませんが、返済額からオーバーした金利が免除されるわけではない点に注意が必要です。

未払い分の金利、利息の返済割合が増えたことによって返済しきれなかった物件残高は、住宅ローンの返済期間が終了する際に一括返済を求められることになります。つまり変動金利で金利が上昇すると、借入期間中しっかりと支払いをしたのに、さらに支払いを求められてしまうリスクがあるのです。

変動金利には、「返済額の増加」だけではなく「借入期間中に返済が終わらない」という2つのリスクがあります。住宅ローンを借り入れる際は、利息の上昇リスクを念頭に置いたうえで、余裕のある融資を受けることが大切なのです。

金利タイプについてもっと理解を深めたい方はこちらの記事をご覧ください。
住宅ローンは変動金利と固定金利のどちらが得?選び方のポイント

収入が減るリスクに備える

現在は年収が1000万円あるご家庭でも、この年収が継続するとは限りません。病気や怪我で働けなくなってしまう可能性はありますし、出産や育児などで収入が減るリスクは誰にでもついて回るものです。

住宅ローンを借り入れる際は、こういった収入の減少リスクを考慮することが肝心です。

  • 共働きの場合、妻が産休に入っても返済できる借入額にする
  • 病気で働けなくなっても、貯蓄で半年は返済ができる借入額にする

上記のように、万が一に備えて借入額を決められると、無理のない返済を目指せます。今を基準にするのではなく、将来やライフスタイルの変化による収入の減少リスクを踏まえて住宅ローンを利用しましょう。

収支がぎりぎりになることがないよう、ライフプランを立てるのもおすすめです。
マンション購入におけるライフプランの基本的な考え方

 

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年収1000万円の住宅ローンシミュレーション

ここでは、年収1000万円の住宅ローンの返済額を具体的にシミュレーションしてみましょう。

住宅ローンの月々の返済額や借入可能額は、返済負担率と借入期間によって大きく異なります。希望する支払額や物件価格に合わせて、最適な返済負担率や借入期間をチェックしてみましょう。

◎返済負担率20%

 

借入期間年間返済額月々の返済額借入可能額
15年200万円16万6,000円2,674万円
20年3,440万円
25年4,150万円
30年4,809万円
35年5,421万円

※元利均等返済・固定金利1.5%・ボーナス払いなしの場合

◎返済負担率25%

借入期間年間返済額月々の返済額借入可能額
15年250万円20万8,000円3,350万円
20年4,310万円
25年5,200万円
30年6,026万円
35年6,793万円

※元利均等返済・固定金利1.5%・ボーナス払いなしの場合

◎返済負担率30%

借入期間年間返済額月々の返済額借入可能額
15年300万円25万円4,027万円
20年5,180万円
25年6,250万円
30年7,243万円
35年8,165万円

※元利均等返済・固定金利1.5%・ボーナス払いなしの場合

年収1000万円もあれば、返済負担率や借入期間を抑えても十分な額の融資を受けることが可能です。返済負担率を25%程度に設定して借入期間を短くすると、ある程度の融資を受けつつ利息の金額を少なく抑えられるでしょう。

家族構成や居住エリアによっても異なりますが、年収1000万円が余裕をもって住宅ローンを返済していくのであれば、借入額は5,000~6,000万円程度を目安にすると安心です。

 

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年収1000万円で購入できる戸建て

次に、年収1000万円で購入できる物件について見てみましょう。物件のエリアや種類、中古・新築によって価格帯は異なってくるため、ここではそれぞれを分けて説明します。

まずは、年収1000万円の人が5,000~6,000万円の予算で購入できる戸建ての一例について紹介します。

東京都の場合

都内で新築戸建てを希望する場合、予算6,000万円以内となると足立区や板橋区の物件がメインとなります。しかし、場合によっては世田谷区などの人気エリアの物件も視野に入れられます。

最寄り駅から徒歩15分程度と少し離れますが、土地面積100㎡以上の4LDK物件も購入可能です。都下エリアであれば、かなり広い選択肢から物件を選べるでしょう。どちらのエリアでも、床暖房や食器洗い乾燥機などといった設備が標準装備された物件を検討できます。

中古戸建てを検討する場合は、豊島区や新宿区などの都心部エリアの物件にも手が届きます。

築5年以内の物件や駅から5分以内の物件も夢ではありません。都下であれば、5LDK以上や土地面積が150㎡を超える広々とした物件も購入可能です。

選択肢はより増え、間取りや設備の希望を叶えやすくなります。

地方都市の場合

地方都市の戸建てを検討している場合、予算が6,000万円もあると、よほどの人気エリアでない限りほとんどの物件が視野に入れられます。駅チカ物件はもちろん、土地面積が150㎡を超える広めの物件、オール電化やデザイナーズハウスなど、あらゆる物件に手が届きます。

戸建ての相場について把握しておきたい方はこちらの記事を参考にしてください。
一戸建ての相場は?値段から購入にかかる諸費用まで解説

 

年収1000万円で購入できるマンション

最後に、年収1000万円の人が5,000~6,000万円の予算で購入できるマンションの一例について紹介します。

東京都の場合

東京都で新築マンションを購入する場合、これだけの予算があれば都心部の駅チカ物件も問題なく購入可能です。専有面積50㎡・2LDK以上の物件が、おおよその目安となります。

都下まで視野を広げると、かなりの高級マンションが検討可能です。3LDK以上で最新の設備が搭載された物件にも手が届くでしょう。

中古マンションの場合は、都心でも徒歩5分以内のマンションが購入できます。3LDK以上の築浅物件も少なくなく、駅から徒歩2分といった好立地なマンションも検討できます。

都下であれば、ブランドマンションや駅チカのタワーマンションも選択肢に入ってくるでしょう。

地方都市の場合

地方都市でマンションを検討する場合も、戸建てと同様によほどの人気エリアでない限りは、ほとんどの物件を視野に入れられます。ターミナル駅から徒歩5分圏内など、とくに好条件な物件は6,000万円を超えることがありますが、数としてはかなり少ないでしょう。

敷地内に病院やスポーツクラブが併設された利便性の高いマンションも豊富に存在しています。ライフスタイルや家族構成に合わせて、希望に沿った物件を検討可能です。

マンションの相場について把握しておきたい方はこちらの記事を参考にしてください。
最新のマンション売却相場を地域別・築年数別で解説!相場の調べ方も紹介

 

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年収1000万円でも住宅ローンは計画的に

年収が1000万円もあると、住宅ローンの借入上限額は8,000万円以上とかなり高額になります。しかし、身の丈に合わない住宅ローンを組んでしまうと、たとえ年収1000万円でも住宅ローン破綻に陥ってしまうリスクは高まります。

大切なのは、さまざまなリスクに備えて計画的に返済し続けられる金額を借り入れることです。今回紹介した借入の上限額や平均額はあくまでひとつの目安として考え、自分に合った金額の住宅ローンを組むようにしましょう。

とはいえ、実際には住宅購入のためには登記費用や司法書士費用、また手付金などの購入にかかる諸費用が別途現金でかかってくるほか、住宅ローン控除などの専門的な知識をベースに資金計画を立てる必要があります。

そのため、住宅ローンを組む際は住宅購入のプロに相談しながら資金計画を立てることが必要不可欠です。住宅ローン控除やすまい給付金など、知らなきゃ損をする控除制度についての情報収集としても使えるでしょう。

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[注1]国税庁|令和2年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-

[注2]フラット35|10月よりフラット35のご利用条件を簡素化します

[注3]住宅金融支援機構|2020年度 フラット35利用者調査

[注4]三井住友銀行|年金試算シミュレーション

※参考:住宅保証機構株式会社:住宅ローンシミュレーション

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