実家の分譲マンションを相続した方の中には、以下のようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃると思います。
- 実家の分譲マンションは相続するべき?
- 実家のマンションを相続放棄することはできる?
- 実家のマンションを相続したけど住むつもりはないんだよな…
この記事では、実家のマンションを相続するべきか判断するために検討するべきことを解説しています。
「住む」「貸す」「売る」といった実家のマンションを相続した後の選択肢のほか、相続放棄の注意点、今後を決めるための視点、老朽化したマンションのリスクを解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
不動産の相続について基礎的な知識を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
実家のマンションは相続するべき?
両親が住んでいた実家の分譲マンションは相続するべきなのでしょうか。
ここでは、実家相続時に検討するべき選択肢と相続放棄について解説します。
相続するなら「住む」「貸す」「売る」を検討する
実家のマンションを相続したいと考えているなら、今後の活用方法として以下の3つの選択肢を検討することをおすすめします。
- 相続した実家のマンションに「住む」
- 相続した実家のマンションを「貸す」
- 相続した実家のマンションを「売る」
実家のマンションに「住む」
両親と同居していたり、自分たちの家族で引っ越すことが可能であれば、相続した実家のマンションに自分たちが住むという選択肢があります。
また、実家のマンションが通勤や通学に便利な立地にあれば、特におすすめな選択肢だといえます。
相続したマンションに住む場合、相続登記(名義変更)を行うだけで、手間をかけずに相続不動産を活用することができます。
ただ、相続人が複数人いて、相続財産として分けられるものが他にない場合には、誰が実家を継ぐのかで言い争いになることも少なくありません。
このような場合、「代償分割」という方法で他の相続人に対して代償金を支払い、できるだけ公平に遺産を分割することで争うことなく相続手続きを進めることができます。
実家のマンションに住むメリット
相続した実家のマンションに住むメリットは以下の通りです。
- 事前に近隣情報や管理体制がわかっている
- 家族との思い出のマンションを手放さずにすむ
また、自分たちで住むことで、家族との思い出のマンションを残しておくことも可能になります。
実家のマンションに住むデメリット
相続した実家のマンションに住むデメリットは以下の通りです。
- 税金や維持・管理のための費用がかかる
- 持ち家から住み替える場合、手間がかかる
また、自分の持ち家があるときには、その家を売却するなどの手間がかかってしまいます。
実家のマンションを「貸す」
「実家のマンションにいずれ住みたい」、「実家のマンションを手放したくない」と考えている方は、相続したマンションを貸すという選択肢があります。
特に、遠方に住んでいる方やマンションの立地が良く、賃貸需要の高い地域に実家があれば、賃貸に出すことをおすすめします。
相続したマンションを賃貸に出すことで、空き家の状態より管理がしやすく、また家賃収入を得ることもできます。
ただ、賃貸借契約の内容に気をつけなければ、半永久的にマンションを貸すことになるため注意が必要です。
実家のマンションを貸すメリット
相続した実家のマンションを貸すメリットは以下の通りです。
- 家賃収入を得ることができる
- 家賃収入で税金や維持・管理費の支払いができる
また、家賃収入を得られている間は、そこから管理費・修繕積立金をまかなうことが可能です。
実家のマンションを貸すデメリット
相続した実家のマンションを貸すデメリットは以下の通りです。
- 空室のリスクが高い
- 借主の使い方によって室内が汚れたり、傷つく可能性がある
借主が見つからないと家賃収入を得ることができず、管理費や修繕積立金、固定資産税などの維持費を自前で用意しなければなりません。
また、借主の部屋の使い方が悪いと、室内に汚れができたり、キズがついてしまうことがあり、別途修繕費がかかる可能性もあります。
実家のマンションを「売る」
持ち家があり、実家に戻るつもりがない方は、相続したマンションを売るという選択肢もあります。
相続人が複数人いる場合、遺産分割で揉めることがあるため、一度マンションを売却し、その売却益を分割する換価分割で相続しても良いでしょう。
また、実家のマンションを相続すると、今住んでいる自宅の維持費に加えて、管理費や修繕積立金、固定資産税といったマンションの維持費を負担することになります。
これらの費用が負担に感じたり、円満に遺産分割をしたいと考える方は売却をおすすめします。
実家のマンションを売るメリット
相続した実家のマンションを売るメリットは以下の通りです。
- まとまったお金が手に入る
- 固定資産税などの税金や維持費がかからない
こうして取得したお金を持ち家の住宅ローンの返済や、子供の教育費として使うこともできます。
また、いらないマンションを売却してしまうことで、管理費や修繕積立金、固定資産税などの維持費がかからないため、家計を圧迫することもなくなります。
「今持っている不動産を現金化したい」という方は、売却という形で手放すという選択肢もあります。一括査定サイト「イエウール」を使えば、無料で最大6社から査定を受けられるので高く売ってくれそうな会社が分かります。
実家のマンションを売るデメリット
相続した実家のマンションを売るデメリットは以下の通りです。
- 予想以上に高く売れた場合に他の相続人から不満が出る場合がある
- 家族との思い出のマンションを手放すことになる
こうなると、今後の関係が難しいものになる可能性もあるため注意が必要です。
また、家族との思い出の実家を手放すことになるのもデメリットでしょう。
相続放棄するなら知っておくべきこと
実家のマンションを相続するつもりがない場合、以下の3点に注意が必要です。
- マンションだけを放棄することはできない
- 3カ月以内に申請が必要
- 相続放棄しても管理義務は残る
マンションだけを放棄することはできない
そもそも相続放棄とは、被相続人の財産を相続する権利を一切放棄することです。
つまり、相続放棄を行うと、実家のマンションや株式といったプラスの財産から、借金などのマイナスの財産のすべてを継承する権利を放棄することになります。
そのため、実家のマンションがいらないからといって、マンションだけを相続放棄することはできないことに注意しましょう。
3カ月以内に申請が必要
実家のマンションがいらない場合、相続が始まってから3カ月以内に家庭裁判所に申請を行う必要があります。
この申請を行わないと、被相続人の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐことになります。
そのため、早めに被相続人の遺産整理を行い、実家のマンションの今後についてを決定し、相続するのかどうかを決断しましょう。
相続放棄しても管理義務は残る
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
民法にもあるように、実家の分譲マンションを相続放棄したとしても、マンションの売却やその売却益などの国庫納付などを行う相続財産管理人が決まるまでは管理義務が残ります。
そのため、マンションの管理組合と連絡を取ったり、部屋の定期的な点検を続ける必要があります。
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相続した実家のマンションの今後を決めるための視点
ここでは、実家のマンションを相続するうえで今後の取り扱いを決めるための視点を解説します。
自分で維持・管理できるか
相続した実家のマンションの今後の扱いを考えるときには、自分でマンションを維持・管理できるのかを考える必要があります。
分譲マンションの場合、建物全体で老朽化が進んでいなければ特定空き家に認定されることはありません。
だからといって、空き家のまま放置しておくと、空き巣に入られるリスクや建物が劣化するリスクが高くなります。
そのため、相続したマンションを活用しない場合でも、定期的な管理業務が必要になります。
ポスト確認や清掃、換気、通水などの管理業務を月に一回行えるかどうかで今後の扱いを決める必要があります。
もし、遠方に住んでいるなどの理由で管理業務ができないのであれば、賃貸に出したり、売却してしまうと良いでしょう。
いずれ自分が住む可能性があるか
相続した実家のマンションの今後の扱いを考えるときには、いずれ自分が住む可能性があるのかも考えておきましょう。
将来的に自分で住みたいと考えている場合、相続したマンションを賃貸に出すことをおすすめします。
賃貸に出しておけば、自分が住むまでの間、家賃収入を生み出し、そのお金で管理費や税金を負担することができます。
ただ、分譲マンションを賃貸に出すときは、賃貸借契約には注意が必要です。
普通借家契約にしてしまうと、原則として、借主が更新を望む場合には正当な事由がない限り、貸し手側から拒絶することはできません。そのため、半永久的にマンションを取られてしまい、自分で住むことができなくなります。
毎月の管理費や修繕積立金を負担できるか
相続した実家のマンションの今後の扱いを考えるときには、毎月の管理費や修繕積立金を負担できるかも検討のポイントです。
分譲マンションを所有しているだけで、共益費や管理費、修繕積立金がかかり、人が住まない場合でも水道代や電気代がかかります。
また、万が一の備えとして入っておくべき火災保険・地震保険の保険料や不動産を所有しているだけで課される固定資産税・都市計画税が発生します。
これらの費用が自分の負担になるかどうかもよく考えて、相続したマンションの今後を考える必要があります。
老朽化した実家のマンションを相続するリスク
被相続人が新築でマンションを購入したとしても、相続するタイミングでは建物が老朽化し、多くのリスクが生じる可能性あります。
ここでは、老朽化した実家のマンションを相続するリスクを3つ解説します。
- 空室の増加により管理不能になる
- 建て替えや修繕が困難
- 売りたいときに買い手が見つからない
空室の増加により管理不能になる
分譲マンションの管理は、マンションの購入者たちで結成されたマンション管理組合が行います。
このマンション管理組合は、毎月納められる管理費でマンションのエントランスや廊下、エレベーターといった共用部分について、清掃など日常的なメンテナンスを行います。
しかし、マンションが老朽化し、空室が増えてしまうと、メンテナンスに使える管理費も減少し、思ったように管理業務ができなくなる可能性があります。
こうなると、新たな入居者が見つかることもなく、マンションの廃墟化が進んでいきます。
そのため、老朽化したマンションを相続する際には、どれくらい空室があるのかをチェックことが重要になります。
建て替えや修繕が困難
老朽化したマンションは、建て替えや大規模修繕を行うことで解決できると考える方も多いでしょう。
しかし、実態として建て替えができている分譲マンションは少なく、配管設備等が老朽化していても気軽に建て替えを実施できる訳ではありません。
分譲マンションを建て替えるためには「住民から高額な費用の徴収が必要」「住民の5分の4以上の賛成が必要」という高いハードルがあり、この2つのハードルを超えられないマンションがほとんどです。
そのため、老朽化したマンションは建て替えが困難であることを理解しておく必要があります。
売りたいときに買い手が見つからない
「老朽化したマンションでもとりあえず相続して、いざとなれば売ればいい」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、老朽化したマンションは「そう簡単には売れない」ことを理解しておく必要があります。
マンションが老朽化すると、治安の悪化や設備の劣化が進み、普通の物件に比べて魅力的に感じる人が少なくなります。
買主も、魅力のない物件をわざわざ買うことはありませんから、老朽化したマンションを長期間手放せないリスクが発生してしまいます。
分譲マンションは、所有しているだけでも管理費がかかるため、売れそうにない物件であれば相続しないという選択も有効でしょう。
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実家のマンションを相続するかは3カ月以内に決める
実家のマンションを相続した後の選択肢は、「住む」「貸す」「売る」の3つの選択肢があることを解説してきました。
また、実家のマンションがいらないので相続放棄をする場合、相続開始から3カ月以内に申請を行う必要があります。
そのため、その不動産をどうしていきたいのかを相続放棄も踏まえて、両親が生前のうちに検討しておきましょう。
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