国税庁が公表している「令和2年分民間給与実態統計調査結果」によると、日本人の平均給与は433万円です。
一般的なサラリーマンの方と比べると、年収600万円の方の給与は約4割多いといえます。そのため住宅ローンも平均より多く借り入れが可能となりますが、借りすぎは将来のリスクとなるため、年収に見合った返済プランが必要です。
本記事では、年収600万円の方が組める住宅ローンの上限額と、現実的な返済プラン、そしてお得な「住宅ローン控除」について解説します。
マンション購入をお考えの方は、こちらの記事も参考にしてください。
年収600万でマンション購入する場合の住宅金額や返済額の決め方
年収600万円ではいくら借りられる?適正な返済負担率とは?
住宅ローンにおいて、年収600万円の方が借りられる上限は6,199万円、理想的な返済負担率による借入額は3,471万円、物件価格は3,300万円〜4,440万円、頭金は300万円〜600万円(3,000万円の住宅の場合)が目安となります。
以下からは各項目や計算方法について、具体的に解説します。
年収600万円で借りられる住宅ローンの上限は6,199万円
住宅ローンの借入上限額を検討する際には、「返済負担率」の考慮が重要です。
返済負担率とは、年収に占める年間のローン返済額の割合です。たとえば年収600万円の方が年間で180万円(月々15万円)を返済する場合には、「180万円 ÷ 600万円」となり、返済負担率は30%となります。
返済負担率は金融機関によって異なりますが、おおむね年収別に目安が設定されています。例えば一般的な住宅ローンである住宅金融支援機構の「フラット35」では、年収600万円の方の返済負担率は、次の2つの基準の後者に該当します。
- 400万円未満の方は、返済負担率30%以下
- 400万円以上の方は、返済負担率35%以下
年収600万円の場合は35%以下、つまり年間210万円(月々17.5万円)以内の返済であれば住宅ローンを組むことが可能です。
仮に金利を1%として35年ローンを組むと、6,199万円まで融資を受けられることになります。
ただし、借入可能な上限額はあくまでも年収を目安としています。税込年収600万円であれば、手取り年収は約470万円となります。上記の金額であれば、手取りの半額近くを返済に充てることになるため、家計が圧迫されます。
そのため、手取り金額を踏まえた借入プランを組むようにしましょう。
年収からみる住宅ローンの借入可能限度額について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
年収からみる住宅ローンの借入可能限度額の目安はいくら?審査基準のポイントも解説!
借入可能上限額まで借りてしまうと発生するリスク
病気や怪我、事故などにより予想外の医療費がかかったり、冠婚葬祭や家電の故障、住まいの修繕の必要が出てくるなど、急ぎの大きな出費があった場合に、上限まで住宅ローンを借りてしまっていると対応しづらくなります。
そのため、現在は充分な収入があったとしても、将来のリスクを考えて返済額を抑えることが重要です。
また金融庁の試算によって話題となった「老後2000万円問題」のように、老後のための貯蓄は不可欠です。小さなお子さんのいる家庭では、将来の教育資金も必要となるでしょう。
老後資金や教育資金の確保など、ご家庭のライフプランのためにも限度額まで借りることは避け、余裕ある返済プランを立てましょう。
理想的な返済負担率による借入額は3,471万円
返済負担率は手取り年収の25%以下に抑えることが理想とされます。そこで、年収600万円の方が返済負担率25%で住宅ローンを組んだ場合のシミュレーションを行ってみましょう。
年収600万円(手取り年収が470万円)
470万円(手取り) × 25%(返済負担率) = 117.5万円(月々9.8万円程度)
上記の計算に基づき、月々9.8万円の返済で金利1%、35年ローンを組む場合の借入可能額は3,471万円となります。適正な借入額の参考にしてください。
年収倍率で考えると物件価格は3,300万円〜4,440万円が目安になる
年収倍率とは、物件価格が年収の何倍かを示す数字で、購入できる物件価格の目安となります。
住宅金融支援機構による「フラット35利用者調査」では、フラット35を利用して住宅ローンを組んだ人の「平均年収倍率」(年収倍率)が確認できます。
なお、2020年の調査で公表されている融資区分による平均年収倍率は次の通りです。
融資区分 | 平均年収倍率 | 年収600万円の場合の物件価格 |
土地付注文住宅 | 7.4倍 | 4,440万円 |
マンション | 7.0倍 | 4,200万円 |
建売住宅 | 6.8倍 | 4,080万円 |
注文住宅 | 6.7倍 | 4,020万円 |
中古マンション | 5.8倍 | 3,480万円 |
中古戸建 | 5.5倍 | 3,300万円 |
年収600万円の方であれば、土地付注文住宅の場合で7.4倍の4,440万円、中古戸建の場合は5.5倍の3,300万円が平均的な物件価格となります。
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用意すべき頭金の目安は?頭金なしでもローンを組める?
用意すべき頭金の金額は、一般的な目安として、物件価格の1〜2割程度とされます。
3,000万円の住宅をローンで購入する場合、300万円〜600万円の頭金を用意できると良いでしょう。
頭金を支払うことにより、住宅ローンの返済総額と、月々の返済負担を軽減することができます。
なお、自身の細かい返済プランを立てるためには、下記のシミュレーションツールもぜひご利用ください。
数値を直接入力、またはバーをスライドすることによって、毎月の返済額や返済期間をもとに、借入可能額・購入可能額を算出できます。すでに購入予定の物件価格が判明している場合、「月々の支払額を調べる」タブから月々の支払額も計算可能となっています。
マンション購入時のライフプランの考え方については、こちらの記事を参考にしてください。
マンション購入におけるライフプランの基本的な考え方
年収600万円で住宅ローンを組む際に気をつけたい4つのポイント
続いて、年収600万円の方が住宅ローンで気をつけておきたい、4つのポイントについて解説します。
- 借入可能限度額で考えない
- 返済負担率を3割以下に抑える
- 頭金を多めに用意する
- 信用情報に問題がないかを確認する
審査に落ちてしまう事態を防ぐためにも、この4つを念頭に置いておきましょう。
借入可能限度額で考えない
住宅ローンを組む際には、借入可能限度額を前提にするのではなく、返済可能額を前提にして、余裕のある返済計画を立てましょう。
借入金額があまりにも大きいと、審査を通過できない場合もあります。
返済負担率を3割以下に抑える
前述の通り、返済負担率は、少なくともご自身の税込年収の30%以下、理想としては手取り年収の25%以下に抑えると良いでしょう。
経済的にゆとりのある生活を送るためにも、返済負担率はできるだけ抑えることが重要です。
頭金を多めに用意する
返済負担率に関連して、金融機関からの借入額を減らすためにも、可能な限り頭金を多めに入れましょう。
毎月の返済額を抑え、借入期間の短縮にもつながります。金融機関によっては頭金を多く入れることで、信用を獲得でき、結果的に審査に有利に働く場合もあります。
信用情報に問題がないかを確認しておく
住宅ローンの審査では、ご自身の信用情報も重要な基準となります。
クレジットカードの支払いをはじめ、各種の債務返済を延滞したことがある場合などは審査の目が厳しくなります。
信用情報は基本的に5年で消えるため、もしも審査に響くような遅延をした経験がある方は5年が経過するのを待ってからローン審査に申し込むことをおすすめします。
なお、ご自身の信用情報は、CIC・JICC(日本信用情報機構)・KSC(全国銀行協会)などに情報開示を依頼することで確認できます。
不安な方は事前に確認しましょう。
「住宅ローン控除」でお得な制度を活用
住宅ローン控除は、年末時点でのローン残高の1%(新制度では0.7%)が、所得税・住民税から控除される仕組みです。
控除される期間は最大で13年間となっており、住宅ローン控除を利用することで支払う税金が減り、家計の負担も軽減されます。
なお、住宅ローンの控除を受けるためには、様々な条件が設定されています。また新制度の施行により、住宅ローン控除を受けられる条件が、所得が1,000万円以下の場合は床面積が40㎡以上であること、住宅ローンの借入期間が10年以上であることなど、旧制度からの変更点が複数あります。
住宅ローン控除の申請方法や2022年4月の改正については、下記の記事で詳しく解説しているので、併せてご参照ください。
2022年最新版!住宅ローンが控除される条件をわかりやすく詳細解説
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年収600万円で住宅ローンを組む場合、借入可能な上限額は6000万円を超えます。
ただし上限まで融資を受けることは家計を圧迫する事態になるため、実際の手取りの年収を元に計算し、自己資金を多めに用意するなど、現実的な返済プランを検討する必要があります。
なお、年収や返済プランに加え、信用情報などは審査の際に着目されるポイントです。過去に大きな延滞履歴がないかも確認しておくことが重要です。
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