住宅ローンには控除制度がありますが、控除が適用される条件や金額が異なります。
また2022年度からは改正された新たな住宅ローン控除制度が適用されるため、これまでの住宅ローン控除制度を知っている方も、新たに把握しておく必要があります。
本記事では、2022年度以降の新しい住宅ローン控除条件も含めて、住宅ローンが控除される条件について詳しく解説します。
住宅ローン控除の全体像について理解したいという方はこちらの記事もご覧ください。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、ローンを利用してマイホームの購入や増築を行った際に適用される控除制度のことです。
正式名称は「住宅借入金等特別控除」(「特定増改築等住宅借入金等特別控除」)で、住宅購入者の金利負担を軽減するために制定されました。
住宅ローンの年末残高の合計額を基として計算した金額を、年末に所得税から一定の割合(新制度ではローン残高の0.7%)で差し引くことで、住宅にかかる金額の控除を受けられます。
住宅ローン控除と所得税控除について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
住宅ローン控除の新制度の内容
住宅ローン控除の新制度は2022年4月1日から施行されます。
2022年4月1日以降であっても、旧制度で契約した方は旧制度の控除を受けることになるという点に注意しましょう。例えば、分譲住宅の契約を2021年11月30日までに行い、入居を2022年12月31日までにした場合、改正以前の制度が適用されます。
なお、2022年度からの新制度による、重要な変更点は以下の6つです。
- 住宅ローン残高の変更(1%控除されるものが0.7%へ)
- 制度の適用期限は2025年まで
- 控除期間が新築13年に延長(中古住宅は旧制度から変わらず10年のまま)
- 所得制限の上限を引き下げ(旧制度の3,000万から2,000万へ)
- 床面積に関する要件の緩和
- 中古住宅の築年数制限の緩和
いずれも重要な変更ですが、特にこれまでは住宅ローン残高の1%が控除だったのに対し、2022年度からの新制度では0.7%に減っていることには注意が必要です。
新制度の変更点を踏まえ、自分の住んでいる、または買おうとしている住宅が控除に対応しているか、所有者・住宅両方の要件をそれぞれ確認することをおすすめします。
住宅ローン控除が受けられる条件
所得や住宅の種類によって、控除が受けられるかどうか、または控除の内容が変わります。
以下では控除を受けられる条件について、所有者にまつわる条件と建物に関する条件に分けて詳しく解説します。※ここでは、2022年4月1日に施行される、改定後の条件を記載しています。
所有者にまつわる条件
住宅ローン控除を受けるには、主に以下の条件を満たす必要があります。
- 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
- 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 合計所得金額が1,000万円以下の場合、床面積が40㎡以上であること
- 贈与で得た住宅ではない、また、借り入れを親族から受けていない
- 勤め先からの無利子、または0.2%未満の利率での借り入れ、使用人として時価の半額未満で購入していない
新制度の施行により、所得が1,000万円以下の場合は、床面積が40㎡以上という条件であれば控除が受けられるようになっています。
しかし、所得が1,000万を超える場合は、旧制度と同じく床面積が50㎡を超さないと控除が適用されないため、注意が必要です。
新築・買取再販(リノベーション・リフォーム物件)の場合
新築・買取再販(リノベーション・リフォーム物件)の場合、住宅によって控除額・借り入れの上限額が変わってきます。
住宅の種類 | 1年間の最大控除額 | 残高の上限 | 控除期間 |
認定住宅 | 35万円 | 5,000万円 | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 31.5万円 | 4,500万円 | |
省エネ基準適合住宅 | 28万円 | 4,000万円 | |
その他住宅 | 21万円 | 3,000万円 |
認定住宅とは、正式名称を認定長期優良住宅といい、耐震性やバリアフリー対策がなされ、床面積が50㎡以上であるなど、一定の条件を満たす住宅です。
またZEH水準省エネ住宅は断熱性が高い省エネの住宅を指しています。
なお、控除が適用される借り入れの上限は決まっており、年度によって変わります。以下に、年度別の借入の上限について記載いたしますので、こちらも確認ください。
住宅の種類 | ~2021年 | 2022~2023年 | 2024~2025年 |
認定住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 | |
ZEH水準省エネ 住宅 | 4,000万円 | 4,500万円 | 3,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | |
その他住宅 | 3,000万円 | 0円 |
中古住宅の場合
住宅ローン控除は、中古住宅購入時にも控除を受けることが可能です。中古住宅の中でも、環境に配慮があると認定された住宅は、控除額が一般の中古住宅より優遇されます。
なお、控除期間は旧制度と変わらず10年です。
住宅の種類 | 1年間の最大控除額 | 借り入れ残高の上限 | 控除期間 |
中古住宅(認定住宅) | 21万円 | 3,000万円 | 10年 |
中古一般住宅 | 14万円 | 2,000万円 |
また、中古住宅の住宅ローン控除については、2022年度の新制度にて築年数の要件が緩和され、1982年以降の住宅であれば控除が適用されます。
~2021年 | 2022~2023年 | 2024~2025年 | |
中古住宅(認定住宅) | 3,000万円 | ||
中古一般住宅 | 2,000万円 |
住宅ローン控除で戻ってくる具体的な金額と注意点
ここまで、住宅ローン控除を受けられる条件について解説をしてきました。実際に住宅ローン控除を受けた場合、最終的な控除の合計額はどれくらいになるのでしょうか。
以下では具体的な控除額について解説します。
住宅ローンの控除上限額は455万円
2022年の改正後に住宅を購入した場合、住宅別による期間最大減税額は以下の通りになります。
住宅の種類 | ~2021年 | 2022~2023年 | 2024~2025年 |
認定住宅 | 600万円 | 455万円 | 410万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 480万円 | 410万円 | 319万円 |
省エネ基準適合住宅 | 364万円 | 273万円 | |
その他住宅 | 273万円 | 140万円 | |
中古住宅 | 300万円 | 210万円 | |
中古一般住宅 | 200万円 | 140万円 |
上記の表より、2022年~2023年に認定住宅を購入した場合、455万円が控除の期間最大減税額となります。
2021年までの旧制度では最大480万円の控除が受けられたその他住宅も、2024年~2025年には最大140万円の控除となり、控除額の上限に340万円の違いが出てきます。
新築住宅は、2022年から2023年の購入と2024年~2025年の控除額の上限に大きく差があるため、住宅ローン控除を利用して住宅を購入する場合、購入時期には注意が必要です。
なお、所得や借入額によっても金額が異なってくるため、より具体的な控除金額を把握したい場合には、不動産会社などに相談することをおすすめします。
契約・申請時期に注意
2022年から2023年までの期間最大減税額について、上限は455万円(認定住宅の場合)となりますが、契約が2024~2025年になると同じ認定住宅であっても控除額の上限は410万円です。契約時期によって控除額が異なりますので、購入・契約時期についてご注意ください。
また2024年以降に控除額の上限が引き下がることにより、2023年には住宅購入において駆け込み需要が見込まれます。そのため、2022年~2023年の控除額で住宅ローンの適用を見込んでいる方は、早めに購入を検討しておくのがおすすめです。
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住宅ローン控除の申請方法は?いつまでに申請するべき?
控除の申請の際には用意するべき書類なども多いです。
そこで以下では具体的な申告方法や用意するべき書類など、詳しく解説していきます。
住宅ローン控除は税務署で行える!2年目からは年末調整での手続きも可能
住宅ローン控除は、確定申告時に申請します。
会社員の場合は「住宅を購入した翌年1月~3月15日まで」に申告、自営業の場合は「住宅を購入した翌年2月16日~3月15日まで」に一般の確定申告とともに行う必要があります。
具体的な申告方法について、詳しい流れを以下に記載します。
- A様式の確定申告書を用意
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書を用意
- 会社員などは源泉徴収票を準備
- マイナンバーのコピーなどの本人確認書類を用意
- 住宅ローンの年末残高証明書を準備
- 新築の場合は建物・土地の不動産売買契約書・工事請負契約書のコピーを用意
- 建物・土地の登記事項証明書を法務局から入手
- コロナウイルスで入居が遅れた場合などは、それぞれ証明する書類を準備
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書を作成
- 確定申告書に記入
- 所管する税務署に提出
国税庁などから住宅ローン控除申請に必要な書類を取り寄せ、法務局で登記事項証明書を入手する必要があります。
書類に記入したのち、管轄する税務署に提出しましょう。会社員の場合、2年目以降は年末調整にて手続きが可能なため、初年度よりも手続きが楽になります。
自営業の場合、2年目以降は住宅借入金等特別控除額の計算明細書を用意し、住宅ローンの年末残高証明書を税務署に提出し、申請します。
住宅ローン控除の計算方法について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
初年度分の確定申告の時期までに申請
住宅ローン控除は初年度分の確定申告時までに申請する必要があります。
しかし、もしも初年度分の確定申告の時期までに住宅ローン控除の申請を忘れてしまっていても、5年以内であれば還付申告をすることで控除を受けられます。
住宅ローン控除の確定申告について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
改正後の住宅ローン控除条件には要注意!疑問点は専門家に相談しよう
2022年4月1日施行の新しい住宅ローン控除制度について、旧制度から条件・控除額など大きな変更点がありますので、あらかじめしっかりと確認をしておきましょう。
また、2024年には控除額の条件変更が控えています。そのため、住宅の購入のタイミングについては慎重な検討が必要です。
なお、住宅ローンを使用しての住宅購入を検討している場合には、まずは不動産会社に相談することをおすすめします。Housii(ハウシー)であれば、不動産のプロから適切な購入時期や価格についてのアドバイスを受けられますので、ぜひご相談ください。