では、墨田区の不動産売却の市況から解説します。
まず、墨田区では空き家率が上がっていますが、一因として災害に対する脆弱性が挙げられます。
まず水害ですが、「墨田区水害ハザードマップ」によると、荒川区が氾濫した場合、墨田区の北半分は低地のため、3m以上の深さで浸水し、2週間以上水が引かない可能性が指摘されています。
また、区内の半数以上の家ば木造で、木造家屋が集中する地域では、100棟以上が消失すると予想されている地域もあり、大規模震災時に倒壊する建物も多いと予想されています。
ただし、墨田区ではこういった脆弱性への対策を進めており、例えば防災水利到達困難度(大規模震災時に、車が外周道路から消火用の水源にたどり着ける確率)は平成13年に比べて改善されたことが分かっています。(墨田区「防災まちづくり支援システムの整備について」)
国交省の「都道府県地価調査」によれば、墨田区の住宅地の価格の前年比の変動率は、2018年は+3.4%、2019年は+4.8%でした。
つまり、住宅地の価格はこの3年では上がり続けています。
また、墨田区での不動産の価格を世帯数・空き家率からみていきましょう。
- 墨田区の世帯数は2016年に141,769世帯でしたが、2018年に147,988世帯となり、6,219世帯(4.4%)が増えているため、住宅需要も増えていると言えます。
- 墨田区の空き家率は、2013年に9.1%、2018年に11.1%と増えているので、空き家問題はやや弱まったと言えます。
(なお、空き家率の全国の約1,900の市区町村での順位は、2013年は1115で、2018年には894でした。)
つまり、今後の市況は、大まかな傾向としては世帯数(需要)は増えるものの、空き家も増えるので、売りやすい状況とは言えません。