不動産投資や土地活用として、老人ホーム経営を検討している方も多いのではないでしょうか。
「高齢化も進んでいて需要も高いから老人ホーム経営は儲かるのでは?」と思う方も少なくないと思います。
実際、老人ホーム経営は安定して高収入を期待できる土地活用といえます。
ただ、しっかりとニーズを理解して始めないと、赤字経営に陥り、倒産に追い込まれることもあります。そのため、介護事業を取り巻く環境をよく確認しておくことが必要になります。
そこでこの記事では、介護事業を取り巻く環境や老人ホーム経営の収支の内訳について解説します。また、老人ホーム経営の基礎知識や収支例、老人ホームの設立基準についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
老人ホーム経営ってどのくらい儲かる?
老人ホーム経営の主な収入源は、一時入居金と月額利用料です。
特に、一時入居金が収入の大きなウエイトを占めているため、この金額をいくらに設定するのかが大切になります。
ここでは、老人ホーム経営がどれくらい儲かるのか、収入源について解説します。
老人ホーム経営の収入
老人ホーム経営の収入は、「一時入居金」「家賃」「管理費」「食費」「介護報酬」「その他サービス費」の5つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
受け取るタイミング | 費用項目 | 目安 |
---|---|---|
入居時 | 一時入居金 | 0円~数千万円 |
毎月 | 家賃 | 5万円~30万円 |
管理費 | 3万円~20万円 | |
食費 | 4万円~10万円 | |
(介護報酬) | 各要介護度と人数により異なる | |
その他サービス費 | 施設によって異なる |
一時入居金
老人ホーム経営では、入居が決まったときに一時入居金といった収入があります。
入居一時金の金額設定は、0円~数千万円(なかには数億円)など施設によって大きな幅がありますが、入居してもらうだけでも、多くの収入を得ることができます。
家賃
月額利用料の一部には、家賃が含まれています。
家賃は施設の立地条件や居室のタイプによって大きく異なりますが、5万円~30万円が目安となっています。
管理費
月額利用料の一部には、管理費(運営費)が含まれています。
主に施設を管理・運営するための費用となっており、設備の充実度に応じて3万円~20万円が目安となっています。
食費
月額利用料の一部には、食費が含まれています。
入居者に提供される食事のために費用となっており、1食あたり400円~800円としている事業所が多いです。また、食費を定額で設定している場合、4万円~10万円が目安となっています。
介護報酬
介護サービスを委託せず、自分たちで行っている場合、介護報酬も収入の1つになります。
介護報酬は、介護サービスを提供した際に、その対価として受け取る報酬のことで、事業所は利用者から1割〜3割、残りをすべて自治体に請求することができます。また、介護士の給料はこの介護報酬から支払うことになります。
その他サービス費
その他サービス費の中には、レクリエーションを行うための費用や上乗せ介護費、サービス加算などさまざまな費用が収入になります。
どんなサービスを提供するかによって、入ってくる金額が異なるため、どんなサービスを提供するとよいかを検討しておきましょう。
老人ホーム経営の支出
老人ホーム経営では、経営を始めるまでにかかる初期費用と経営を続けていくとかかる管理費用があります。
最終的な利益は、収入から支出分を差し引いて計算するため、支出をどれだけ減らせるかが大切になります。
ここでは、老人ホーム経営に必要な費用や支出を確認していきましょう。
初期費用
老人ホーム経営を始めるには、初期費用がかかります。建物を建てるための土地を持っていなければ、土地を購入するところから始まるため、初期費用だけでかなり高額になってしまいます。
費用項目 | 相場 |
---|---|
土地購入費 | 約1億円 |
建築費 | 約2億1000万円 |
会社設立費用 | 約20~30万円 |
備品、設備費用 | 約1500万円 |
販促、営業費 | 約200万円 |
求人費 | 約20万~300万円 |
人件費 | 規模により異なる |
固定資産税 | 土地や家屋によって異なる |
実際、老人ホーム経営の初期費用は、土地の広さや建築する建物の規模によって大きく異なります。ただ、土地から取得する場合、最低でも3億円程度はかかることを覚えておきましょう。
管理費用
老人ホーム経営を続けていくにも費用がかかります。人の命を預かる場所であるため、施設の維持・管理には多くの費用がかかるうえ、介護士の職員を雇うのにも費用がかかります。
ここでは、よくある老人ホーム経営の管理費用について紹介しています。
費用項目 | 相場 |
---|---|
人件費 | 規模により異なる |
施設維持管理費 | 規模により異なる |
食事・その他サービス関係費 | 規模により異なる |
広告費・事務費用 | ー |
建設借入利息 | 借り入れ金によって異なる |
固定資産税等 | 土地や家屋によって異なる |
管理費用も、どのくらいの規模で何人の入居者を入れるかによって、負担する金額が大きく異なります。
そのため、経営を始める前にはしっかりと計画を練り、収支シミュレーションを繰り返すことをおすすめします。
老人ホーム経営の収支例
ここでは、老人ホーム経営の収支例をシミュレーションしていきます。今回の条件は以下のようになっています。
- 入居者:50人
- 月額利用料:23万円
- 一時入居金:530万円
- 管理費用:1ヵ月の収入の20%
また、一時入居金は退去が発生すると未償却分を返金しなければならないため、今回はシミュレーションから外しています。
- 1カ月あたりの収入:50人×23万円=1,150万円
そして今回、管理費用は1ヵ月の収入の20%としているため、
- 1ヵ月あたりの手取り額:1,150万円×80%=920万円
また、ここから建築費や土地購入に利用した借り入れ金を返済していくため、もう少し少ない金額が手元に残ります。
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活用事例:カフェスタイルを取り入れた 次世代型デイサービス
エリア | 茨城県 |
土地面積(㎡) | 1623.18 |
延べ床面積(㎡) | 403.8 |
茨城県水戸市にカフェのような斬新なデザインの「山水苑デイサービス千波」が完成しました。茨城県で高齢者向け施設を複数経営する社会福祉法人山水苑のご担当者さまにお話を伺いました。
「デイサービスは今回で3ケ所目です。他の場所でカフェ風デザインのデイサービスを始めたところ、大変好評でしたので、のんびりお茶を飲んで、お風呂に入ってリラックスできる、カフェや日帰り温泉のようなデイサービスを作ろうと考えました」。
デイサービスの利用を勧められる方の中には、「まだ自分には必要ない」と、通うのを嫌がる方もいらっしゃるそうです。“通いたくなる施設”が、運営のカギになります。
「従来の福祉施設とは異なる新しいデザインにすると共に、実用性も追及しました。特に、利用者が長く過ごすデイルームは、なるべく広く開放的な空間にしたいと考えました。ミサワホームの木質パネル工法により、デザイン性の高い設計ができ、柱や梁で遮られることのない大空間を確保することができたので、大変満足しています」。(ミサワホーム株式会社の土地活用事例)
老人ホーム経営の現状と今後
ここでは、老人ホーム経営を取り巻く現状と今後について解説します。
介護事業から撤退する企業が増えている
引用:有料老人ホームの概要 厚生労働省
図のように、介護事業は成長市場であることも相まって、有料老人ホームの数は年々増加している傾向にあります。
こうして老人ホームの数が増加すると、入居者の獲得競争が激化し、入居者が集まらない施設も増えていきます。介護事業は小・零細事業者が多いことから、入居者が減少し、収支が悪化するとそのまま倒産・撤退してしまうことも少なくありません。
実際、「東京商工リサーチ」のデータによると、2020年1月から12月2日まで「老人福祉・介護事業」の倒産が112件にも達しています。また、「老人福祉・介護事業」休廃業・解散は、2020年1月から10月までの期間で406件となっています。
このように、高齢化による介護業界の需要増加の一方で、倒産企業も多いということを理解しておきましょう。
参考:2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況 東京商工リサーチ
人材確保の難化と空床の増加
介護業界では、人材の確保が困難になり、人手不足に陥っているという現状も理解しておく必要があります。
実際、みずほ情報総研が2017年に発表した調査では、6割以上の事業所が「採用が困難である」と回答しています。また、同調査によれば、調査に参加した事業所の4分の1に当たる26%が空床を抱えていることがわかりました。
これには、有料老人ホームの最低人員基準が原因となっており、職員を確保できないと入居者を増やすことができなくなります。
このように、老人ホーム経営では入居者を増やしたくても増やせないという事業者が増加しているという現状を理解しておきましょう。
参考:平成28年度 特別養護老人ホームの開設状況に関する調査研究 みずほ情報総研株式会社
今後、在宅介護や訪問介護が拡大していく
最近では、国の「在宅医療・介護の推進」政策により、在宅介護や訪問介護が拡大しています。
この政策に加え、老人ホームの閉鎖や介護職員の人手不足により、施設の需要の低下が進んでいます。
そのため、老人ホームを建てたとしても、思ったように入居者を集められず、厳しい経営を続けていかなければならない可能性があります。
この現状を打開するためにも、施設をつくる地域や求められるサービスを見極め、介護職員をしっかりと確保していくことが大切になります。
老人ホームの定義と種類
老人ホームは、高齢者がいつまでも安心して暮らせるように設備を整えた建物です。食事や家事、介護、医療管理などのサポートが充実していることが大切です。
形式も住居型や介護付きなどさまざまで、高齢者の健康や生活などの事情に合わせて決めることになります。この章では老人ホームの基本的な意味を述べつつ、主な高齢者向け施設の種類を3つまとめましたので、老人ホームのベーシックなイメージをつかんでください。
老人ホームの定義
老人ホームとは、高齢者が健康的で安心しながら暮らせるように設備を整えた住居施設です。高齢者の事情に合わせて食事や介護、医療、健康管理、家事などさまざまな面でのサポートも受けられます。
入居者の希望や生活状況などに合わせて種類が分かれているのも特徴です。活動に見合うだけの基準を満たし、都道府県への届けを出して認定を受ければ、老人ホームの活動がスタートします。
【その1】住居型有料老人ホーム
住居型有料老人ホームは食事、掃除、洗濯など普段の生活におけるサポートを受けられるのが特徴です。
介護は訪問介護施設やデイケアサービスなどを施設内に組み込むか、経営者が関連企業と提携するなどの準備が大切です。
部屋が一般の住宅と変わらない構造なので、普段の生活と同じように過ごせることを入居者にアピールできるでしょう。
【その2】介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、食事や生活面での介護など、幅広いサポートを受けられる老人ホームです。食事や洗濯などの基本的な生活支援に加え、お風呂やトイレ、機能訓練などの身体的な介護もサービスに入ります。
サークル活動やレクリエーションなどを行う施設も多数です。
介護付有料老人ホームは、都道府県から介護保険制度における「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていることが条件です。形式も要介護認定が入居条件の「介護専用」と自立生活可能な人も含む「混合型」に分かれます。
【その3】健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、身の回りにおける多くのことを一人で行える高齢者を対象とした老人ホームです。ただしこちらでも食事などの生活支援サービスを設ける必要があります。
一方で要介護認定などを受けると、退去の必要が出ます。経営者にとっては病気や障害に見舞われた高齢者の転居ルートを確保するために、他の介護付き老人ホームとの提携も考える必要があるでしょう。
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老人ホーム経営のリスクと対策
少子高齢化が進み、これからは需要が益々ふえると思われる老人ホーム経営ですが、失敗してしまう事業者も少なからずおられます。老人ホーム経営を行う上で、注意すべきポイントは以下の5点です。
- 介護報酬だけでは利益が出ない
- 入居者の要介護レベルが上がる
- 空床が埋まらない
- 人材流動性が高く運営が困難
- 投資金額は大きいが転用しにくい
老人ホーム経営によくあるリスクについて一点ずつ確認していきましょう。
利益が出ない
老人ホーム経営の収入源は以下の3つです。
- 入居者からの家賃・サービス利用料
- 国民健康保険連合会からの介護報酬
- 入居時にもらう入居者からもらう入居一時金
一般的な賃貸経営よりも収入源は多いと思えるのに、なぜ利益が出ないということがおきるのでしょうか。その答えの1つは「介護報酬だけでは、人件費をまかないきれないから」です。一般的な賃貸経営との大きな違いは、運営にかかる人件費の存在です。
基本的には、要介護レベルに応じて国から介護報酬が支払われます。加えて介護が必要になった場合には、入居者からサービス利用料の支払いが必要になります。しかし、実態としては無償で行われていることが多いようです。そのため、介護報酬以上に人件費がかかってしまい赤字となってしまう可能性があります。
これまでは、老人ホームでは入居一時金という入居時の収入が大きく、経営も安定させることができていました。しかし、サ高住が増え入居一時金が0円が一般化してきたため、あまりにも入居一時金が大きい老人ホームは、入居者を集めにくくなっています。
老人ホーム経営は、様々な収入源が考えられますが、その分支出も多いビジネスです。事業計画については、様々な支出や収入を考慮して収支シミュレーションを作成しておきましょう。また、赤字化した場合についてもそれぞれの原因別に対策を事前に考えておくことで、ダメージを減らすことができます。
入居者の要介護レベルが上がる
入居者がかならずしも、同じ介護レベルであるとは限りません。運動の頻度やコミュニケーション量によっては、入居者の要介護レベルが上がってしまう可能性もあります。しかし、介護保険制度で定められた人員配置基準は、要介護度による違いはありません。
入居者の要介護レベルが上がると、どうしても一人にかかる介護負担は大きくなります。その分だけ、介護負担が増え、人員を増やした場合でも、適正な利益を確保できるように対策を練っておくことも重要です。
空床が埋まらない
需要が大きいと考えられる高齢者向け住宅ですが、空床が埋まらないというリスクも考えられます。空床が埋まりにくい原因は以下の2つです。
- サ高住が増えており、一時入居金を支払いたがらない方が多い
- できるだけ自宅で頑張りたい方が増えている
サ高住や民間有料老人ホームが増えていることによって、高齢者向け住宅も競争が進んでいます。また、入居者にとっても価格は重要な要素ですから、価格競争になる可能性が高いと思われます。
高齢者の方々もできるだけ自宅を離れたくない方が多く、国としても、「施設から在宅へ」という介護方針を提示しています。
以前ほど簡単に集客できるわけではなく、竣工前から説明会を開催し、新築で高評価を得やすいうちに広告などの集客コストを拠出できるようにしましょう。また、計画段階から集客が鈍っても成立する事業計画を作成するなどの対策が必要です。
人材流動性が高く運営が困難
老人ホームの運営で、入居者の集客同様に難しいのが人材の採用です。介護業界は、人材の流動性が高く、安定していません。一人退職してしまうと、採用コスト・教育コストなどがかかります。また、採用が追いつかない場合には、ケアするための人員基準を満たせず、新規の入居者の受け入れを行うことができません。
採用を間に合わせるために、経験の乏しいスタッフを採用すればその分の満足度が下がってしまう可能性もあります。また、いうまでもなく、介護時に事故が起きてしまえば、集客にも影響が出てしまいます。
スタッフの管理や働きやすい運営体制を作ることは、収益の観点からは、二の次になってしまいがちですが、入居率や収益に直接作用するため、戦略的に行う必要があります。
スタッフの介護技術やサービスの種類だけではなく、適切な人数の人員配置ができるか、スタッフの教育体制、コンプライアンスなど、介護事業を行う上で必要な内容を総合的に計画しましょう。
投資金額は大きいが転用しにくい
老人ホームは広い土地を要するうえ、建築規模も大きくなりがちなので、初期費用が高くなるというデメリットがあります。
マンションやアパートと違い、高齢者が暮らす施設では居住スペースだけでなく、食堂、洗濯室、医務室、職員室など、特殊なスペースを多数要します。厚生労働省が決めた老人ホームの基準は厳しいので、必要部分を受け入れる面積が大きくなるのは仕方ありません。
そのため、施設や設備など、必要なものをそろえるための金額が多くなり、結果として投資する金額が高くなってしまうのです。
また、高齢者が安心して暮らせるように、特殊な設備や間取りを多数設けることになるため、他の事業への転用は簡単ではありません。仮に廃業するとなった時には、物件の処分も必要になります。物件が売却や賃貸できない場合には、大きなダメージとなります。
新築で建てる場合には、買い手がつきやすいように立地や使いやすい土地の広さを選択しましょう。
老人ホームを設立する際に必要な基準
老人ホームはあらゆる高齢者が安心して暮らせるように、設置者や職員などにさまざまな基準を設けています。住宅型や介護付きなどタイプ別でも設立のルールが異なるので、自身が作りたいものに合わせた規則チェックが大切です。
高齢者施設の運営基準は厚生労働省によって8つに分けて設けられるなど厳格です。開設後のトラブルを避けるためにもあらかじめこれらのルールを整理しておきましょう。
設置者の基準
老人ホームを設ける経営者は、社会的信用に限らず、運営に値するだけの経営基盤が充分であることが条件です。個人経営者などでは経営を認めてもらえないことがあります。
高齢者施設は、民間事業者や地方公共団体、社会福祉法人、財団法人など法人格を有するグループの経営が多数です。個人では、多くの場合経営できないようです。
職員の基準
経営母体だけでなく、職員の配置にもルールがあり、住宅型や介護付きなどの形式でも内容が違います。
人員配置でも介護サービスの有無により異なり、通常の住宅型には明確な基準がないのに対し、介護付きなら栄養士や看護職員などの有資格者を雇う必要があります。
職員の配置
住宅型の老人ホームにははっきりとした人員配置のルールはありません。ただし、介護付きなら厚生労働省が定める「特定施設入居者生活介護」の設立規定により、以下の決まりを守る必要があります。
役職 | 最低必要人数 | 利用者:スタッフの最低割合 |
---|---|---|
生活相談員 | 常勤1人 | 100:1 |
看護・介護職員 | 【介護職員】 常時1人 【看護職員】 利用者50人以下で1人 50人超過ごとに1人追加 | 【介護職員】 要介護に対し3:1(外部サービス利用なら10:1) 要支援に対し10:1(外部サービス利用なら30:1) 【看護職員】50:1 |
計画作成担当者 | ケアマネージャー1人(兼務あり) | 100:1 |
機能訓練指導者 | 1人(兼務あり) | |
管理者 | 1人(支障なければ兼務あり) |
職員の保有資格
介護付きの老人ホームを作るなら、配置すべき有資格者をチェックしましょう。以下の表に必要な有資格者をまとめました。
役職 | 望ましい資格 | 無資格 |
---|---|---|
介護職員 | 介護福祉士または介護職員初任者研修修了者など | 〇 |
生活相談員 | 社会福祉士など | 〇 |
栄養士 | 栄養士または管理栄養士 | × |
ケアマネージャー | 介護支援専門員 | × |
機能訓練指導員 | 看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師など | × |
看護職員 | 看護師または准看護師 | × |
ホーム長 | 社会福祉士または介護支援専門員など | 〇 |
設置の基準
有料老人ホームを作るには、高齢者が毎日を安心して過ごせるための環境整備が大切です。介護保険指定基準では、廊下幅を1.8m、車椅子同士がすれ違えるスペースがあっても最低1.4mは必要です。
個室の床面積も1人あたり13平米以上を必要とし、地下には部屋を作れません。ただし一般居室で介護サービスを行う場合、介護居室は作らなくてもよいこともあります。ほかにも老人ホームで実質必要なスペースは以下のように多数です。
- 食堂・談話室
- 浴室・脱衣室
- 洗面設備
- 洗濯室
- 医務室または健康管理室
- 機能訓練室
- 介護・看護職員室
- トイレ
- 汚物処理室
- 事務室
スペース以外にも、火災対策としてのスプリンクラーや、容体急変などに対応するためのナースコールといった緊急通報装置も取りつけましょう。
運営の基準
厚生労働省では、老人ホームの設立について8つのカテゴリーに分けながら基準を設けています。以下のカテゴリーがあるので、それぞれの詳細を確かめながら施設を作っていきましょう。
運営上の義務 | 詳細内容 |
---|---|
管理規定の制定 | 入居者定員、施設やサービスなどの利用料、介護基準、医療対応 |
名簿の整備 | 入居者および身元引受人のフルネームや連絡先 |
帳簿の整備(住宅型の場合) | 以下の帳簿を最低2年間保存すること。これがないと指定拒否や取り消しの可能性あり
|
個人情報の取り扱い | 個人情報保護法に基づいて |
緊急時対応 | 火災や地震などの防災マニュアル、定期的な避難訓練 |
医療機関との連携 |
|
介護やその他のサービス |
|
運営懇親会の設置 | 管理者、職員、入居者による運営懇親会を定期開催し、入居者の意見なども必要に応じて反映すること。懇親会では以下の説明が必要
|
老人ホーム経営を始める基準が満たせていなくても、他の活用方法であれば、お持ちの土地を有効活用することができる可能性があります。
土地活用を始めるなら最初の情報収集が重要です。一括請求サービスイエウール土地活用なら、チャットの質問に答えるだけで土地活用プランを取り寄せることができます。
\建築費は?初期費用は?/
老人ホームの基本をしっかり理解し経営を検討しよう
老人ホームは高齢者が安心して暮らせるための専用施設です。マンションやアパートとは違い、家賃以外の収入項目も多く、経営が軌道に乗れば大きな利回りも期待できます。
しかし、高齢者に配慮した部屋やスペース作りが重要なので、広い土地が必要で建築面積も大きくなりがちです。初期費用が想定以上にかかることも多く、少しでも早く黒字経営を達成するためには綿密な計画が重要です。
高齢者施設の設立には、手続きから建物の構造まで厳格なルールがあるので、なにかひとつ見落としただけでも、前に進みません。このようなことにならないよう老人ホーム設立の方法と運営の基本を徹底的に理解し、経営プランを慎重に作り上げるよう心がけましょう。
記事のおさらい