住宅を購入するときは、ほとんどの人が住宅ローンを組むことになります。住宅ローンは一度手続きをすればよいわけではなく、複数回にわたって審査を受けたり書類を提出したりしなくてはいけません。
本記事では、住宅ローンの手続きの流れや必要書類について解説します。スムーズに契約を進めるためにも、あらかじめ大まかな流れを掴んでおくようにしましょう。
住宅ローンの手続きの流れ
住宅ローンでは「本当に返済能力があるのかどうか」を2段階にわたって詳しく審査してもらわなくてはいけません。住宅ローンには「事前審査」と「本審査」の2段階あり、それぞれで審査に通る必要があります。以下の表は住宅ローン手続きの一般的な流れです。
①情報収集・物件探し
はじめに住宅ローンの情報収集と物件探しをします。住宅を購入するときは、物件の仲介をしてもらう不動産会社が提携している住宅ローンを利用する方法とご自身で申し込むローンを探して利用する2つの方法があります。提携ローンは借入金利が優遇されたり手続きや審査が早かったりとメリットが多いですが、あまり選択肢がない点がデメリットです。金利や条件などをしっかりと比較したいのであれば、インターネットや金融機関、セミナーなどを活用しながらご自身で申し込みたい商品を探してもよいでしょう。近年は週末や夜間に相談会を開催している金融機関も多く、仕事をしながら情報収集することも可能です。
「どこがよいかよくわからない」というときは、不動産会社に任せてしまっても問題ありません。ファイナンシャルプランナーの資格をもつスタッフが在籍している会社も増えてきており、資金計画を総合的に相談できるケースもあります。「提携ローンは損をする」ということは決してありませんので安心してご相談ください。
②事前審査(仮審査)の申し込み
購入を希望する物件と申し込む商品が決まったら、最初のステップとして事前審査(仮審査)を申し込みます。提携ローンを利用するときは不動産会社の店舗や金融機関で手続きを行い、ご自身で探したローンを利用するときはインターネットや郵送、金融機関の店舗で手続きを行う必要があります。近年は書類への記入だけではなく、オンラインや郵送で手続きができる商品も増えてきています。
事前審査は本審査の前にされる審査です。事前審査では年収や自己資金の割合、職場の勤続年数などが見られる傾向にあります。ここを通過しないと物件の売買契約手続きに進むことはできません。
住宅ローンの事前審査にかかる日数は金融機関によって異なりますが、1週間程度が目安です。事前審査の承認後に売買契約書類などを作成し、本審査に進みます。なお、結果は郵送で送られてくるケースが多いです。
③本審査の申し込み
事前審査に通ったら、本審査の申し込みに進みます。本審査では詳細な審査が行われるため、長い期間がかかる傾向にあります。およそ10日~2週間程度の期間を要すると考えておけば問題ないでしょう。住宅ローンの本審査では、購入希望物件の詳細情報や団体信用生命保険(団信)に加入するための健康状態、申込者の人柄などについて審査されます。
どうして審査を2回にわたって行うのかというと、住宅の売買契約を締結する前に住宅ローンが借りられるかある程度のメドを立てておきたいためです。売買契約を締結したのにもかかわらず審査に通らず契約に至らなかったとき、売り主にも仲介業者にも損害が生じます。そのため、あらかじめ事前審査を行なっておく必要があるのです。
なお、事前審査に通っても本審査に落ちる可能性はあるため注意しましょう。たとえば「仮審査通過後にクレジットカードの支払いを滞納した」「新しく借り入れをした」というときは、本審査に通らなくなってしまう恐れがあります。本審査が終わるまでは支払いを確実に行い、新しい借り入れはしないようにしましょう。
④住宅ローン契約
住宅ローンの本審査を通過したら、金融機関と契約を締結することになります。申し込む住宅ローンの金利タイプや返済期間などは契約を交わす時点で確定します。ただし、金利は住宅ローンが実行される時点のものが適用されるケースが一般的です。そのため、提示された数字から変わる可能性があることを理解しておきましょう。住宅ローンの契約は平日に行われることが一般的です。金融機関の窓口で手続きをすることもあれば、不動産会社の店舗に担当者が訪問して手続きをすることもあります。どちらにせよ、会社を休む必要があるため注意しましょう。
契約に際しては金融機関や保証会社、抵当権設定のための司法書士など複数の関係者が関わってくることになります。各関係者に支払う諸費用がかかってくるため、その費用をふまえてローンを組んだり自己資金を用意するようにしてください。
また、契約締結時は借入額に応じた印紙税もかかるので用意しておきましょう。1,000万円超5,000万円以下のときは2万円の収入印紙が必要になります。
⑤融資実行
住宅ローンの契約が無事に済んだら融資実行されます。申込者に借り入れた資金が振り込まれることを、「融資実行」と呼びます。書類に問題がなければ、契約時に設定した日時に融資が実行されるでしょう。申込者はこの資金を不動産会社や工事業者などへの支払いに充てて、それが完了すれば晴れてマイホームの引き渡しとなります。融資実行と引き渡しは同時に行われるケースがほとんどで、これを「同時決済」と呼びます。平日の午前中に借入金が振り込まれ、その後に鍵の引き渡しなどを行うため、この際も平日に休みを取らなくてはいけません。
万が一、書類に不備があるときは引渡し日が遅れてしまうため注意しましょう。スケジュールが狂わないように必要書類の作成や用意は念入りにしておいてください。
また、融資実行の当日には登記手続きも行われます。土地と建物に購入した人の所有権を登記し、金融機関の抵当権も登記します。手続きは法務局で行われますが、司法書士が手続きするため、購入者は書類に署名と捺印をするだけで構いません。
なお、融資実行後は毎月一定金額を融資を受けた金融機関に返済していくことになります。翌月もしくは翌々月から返済が開始され、自動引き落として返済するのが一般的です。返済が滞った場合、任意売却や競売などで住宅を手放すことになるケースもあるため、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。
住宅ローン審査に必要な書類
住宅ローン契約の流れでは書類を求められるタイミングが3回あります。提出書類は申込状況によって大きく異なるため、以下の内容を参考にしつつ実際に指定された書類を用意しましょう。
住宅ローンの事前審査に必要な書類
住宅ローンの事前審査で必要書類は金融機関によって異なるので、住宅ローンを申込む予定の金融機関に必ず確認しましょう。以下の表は一般的に住宅ローンの仮審査で必要となる書類です。
種類 | 書類 | 入手先 |
本人確認資料 | 運転免許証 | 本人 |
健康保険証 | ||
パスポート | ||
収入確認資料 | 給与所得者:源泉徴収 | 本人 |
個人事業主:確定申告書 | ||
法人代表者:決算報告書 | ||
物件確認資料 | 間取り図 | 本人 |
事前審査申込書 | 金融機関によって異なる | 金融機関 |
自営業者は過去3年分の確定申告書が必要となるケースが多いです。提出できるよう、あらかじめ用意しておきましょう。
住宅ローンの本審査に必要な書類
本審査ではより詳細な審査をするため、書類も多くなります。本審査で必要な書類は以下のとおりです。
- 住民票
- 印鑑証明証
- 源泉徴収票
- 本人確認証明書
- 売買契約書
- 物件確認証明書
上記の書類はあくまで一般的に必要になっているので必ずご自身が申し込む金融機関に確認するようにしましょう。
住宅ローンの契約時に必要な書類
住宅ローン契約締結時に必要となる書類は、入金口座を確認できる書類と各種手続きの契約書です。契約書は金融機関が用意してくれるので、申込者が用意しておくべき書類はほとんどありません。住宅ローンの契約時に必要になってくる書類をまとめると以下のとおりです。
書類 | 入手先 |
金銭消費貸借契約書 | 金融機関 |
抵当権設定契約書 | |
本人確認書類 | 本人 |
入金口座確認書類 | 本人 |
住宅ローンの手続きにかかる諸費用
住宅ローンの手続きをするときは、諸費用と呼ばれるお金がかかります。諸費用の金額は物件によって異なりますが、中古物件で物件購入費の6~10%、新築物件で3~7%程度が相場だとされています。たとえば、5,000万円の新築戸建てを購入するときは、150~350万円程度の諸費用がかかるのです。
諸費用にはさまざまな費用が含まれていますが、以下のような項目があることを知っておきましょう。
融資手数料 | 3~5万円程度または融資額×2% |
印紙税 | 2万円 ※融資額1,000万円超5,000万円以下のとき |
ローン保証料 | 融資額1,000万円あたり20万円程度 |
斡旋手数料 | 仲介業者によって異なる |
登記手数料 | 司法書士手数料:5~10万円 登録免許税:融資額の0.1%もしくは0.4% |
火災・地震保険料 | 年間1万~3万5,000円程度 ※建物によって異なる |
団体信用生命保険料 | 約10~12万円 ※金利に上乗せされることが多い |
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住宅ローンの審査項目
住宅ローンの審査では申込者の返済能力を判断するため各金融機関で審査項目を設けています。事前審査と本審査で調べられることについて事前に確認しておくと住宅ローン審査の対策をすることでできます。
住宅ローンの事前審査項目
金融機関によって住宅ローンの審査基準は異なり、ある一定の基準があるわけではありません。事前審査の審査基準を知るためには、国土交通省が公表している「民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」を参考にするとよいでしょう。以下は国土交通省が報告した金融機関が住宅ローンの融資を行う際に考慮している審査項目です。
審査項目 | 民間金融機関が審査基準とする割合 |
完済時年齢 | 99.0% |
健康状態 | 98.5% |
担保評価 | 98.2% |
借入時年齢 | 96.8% |
年収 | 95.7% |
勤続年数 | 95.6% |
出典元:国土交通省
住宅ローンの本審査項目
本審査の審査基準は事前審査とそれほど変わりません。しかし、本審査ではさらに細かく事実確認がされます。その中でも、特に健康状態や担保評価そして連帯保証人についての審査基準が高いとされています。
住宅ローンの流れをスムーズに進めるための準備
住宅ローンの審査をスムーズに進めるためには、事前準備が重要です。審査では、主に住宅ローンの返済能力を問われることとなり、個人としての信用力が必要になります。
金融機関によってはクレジットカードのキャッシング枠が借入金額に加算されるケースもあるため、不必要なキャッシング枠はできるだけ外しておくと良いでしょう。また、個人信用情報センターへ個人信用情報の確認を問い合わせると、信用情報の履歴を確認できます。過去に支払い遅延などの履歴が残ってしまっていた場合は、経緯を説明できるようにしておくとスムーズです。住宅ローン手続きの流れでよくある質問
最後に、住宅ローンの手続きの流れでよくある質問にお答えしていきます。しっかりと知識を身につけ、スムーズな手続きを目指していきましょう。
住宅ローン手続きの流れは購入する物件によって変わる?
マンションや戸建てなど物件にはさまざまな種類がありますが、購入する物件によって手続きの流れが変わることはありません。
ただし、注文住宅は物件の引き渡しの前に土地代や着工金などの支払いが必要になることがあるため、つなぎ融資を活用するケースが多いです。つなぎ融資とは、住宅ローンが実施されるまでに必要となる資金を一時的に立て替えてもらえる融資のことです。
借り入れた資金は住宅ローンの融資実行時に精算します。また、土地の売り主と建物の施工業者の両方にお金を支払う必要があるため、その点にも注意しておきましょう。
手続きの流れは借り換えと新規借り入れで変わる?
借り換えを行うときは、新しい金融機関で借り入れを行い、その資金で元々借りていたローンを全額繰り上げ返済する必要があります。
返済が終わったあとに抵当権と抹消登記の手続きを行うので、新規借り入れの融資実行日と元々のローンの繰り上げ返済日を同日に設定することになります。そのため、それぞれの金融機関で日程の調整を行う必要がある点に注意しましょう。
住宅ローンの手続きで出てくる「団信」って何?
団信(団体信用生命保険)とは、債務者が返済期間中に死亡したり高度障害状態になったりしたときに、その保険料でローンを完済してくれる保険のことを指します。そのため団信に入っていれば、万が一のことがあったときは返済不要となるのです。
保険料は金利に上乗せされるケースが多く、団信への加入が住宅ローンの契約条件になっている金融機関も多いです。ローンの完済時に保障が終了するので、繰り上げ返済をして返済期間が短縮された場合は連動します。
健康状態によっては加入できないこともあるため、その場合は団信への加入が義務付けられていない商品の申し込みが必要になります。
住宅ローンの融資が実行されたあとにする手続きはある?
融資が実行されたあとは基本的に手続きをする必要はありませんが、住宅ローン控除を受けるための確定申告をする必要があることは覚えておきましょう。
住宅ローン控除は「毎年末のローン残高」または「住宅の取得対価」のうち、いずれか少ない方の金額の1%を10年にわたって所得税から控除する制度のことです。はじめの年だけ3月15日までに確定申告をする必要があり、還付金は申告から1ヵ月程度で指定口座に振り込まれます。2年目以降は年末調整で手続きが可能なため、1年目に手続きを行っておけば、あとはわざわざ確定申告をする必要はありません。[注1]必要書類については国税庁のホームページ確認できるため、チェックしておきましょう。
[注1]国税庁:住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
自営業者も住宅ローンは組める?
自営業者でも3年以上事業を続けていればローン審査を受けることは可能です。そもそも自営業者と会社員とでは審査基準が異なるだけで、自営業者だからといって必ずしも融資が受けれないというわけではありません。実際に自営業者は収入の安定性から会社員より審査基準は厳しいですが3年以上事業を続けており収入も安定してれば融資がおりる可能性はあります。
外国籍でも住宅ローンは組める?
外国籍の方が住宅ローンを組むためには永住権があることが必要です。金融機関の多くが実際に永住権を条件としていますが、配偶者が日本人であれば外国籍の方もローンを組めるとこが増えてきています。また、住宅ローンを組むためには銀行口座を開設する必要があり、口座開設の条件を満たすのが難しいのが現状です。
住宅ローン手続きの流れを知ってスムーズに申し込もう
住宅ローンの手続きを行うときは、2つの審査をクリアする必要があります。融資実行までにはいくつかのステップをふんで手続きを進めていかなくてはいけないため、あらかじめスケジュールを把握しておき、スムーズな手続きを目指しましょう。
また、住宅ローンを組む際は住宅購入のプロに相談しながら資金計画を立てることが必要不可欠です。というのも、実際には住宅購入のためには登記費用や司法書士費用、また手付金などの購入にかかる諸費用が別途現金でかかってくるほか、住宅ローン控除などの専門的な知識をベースに資金計画を立てる必要があるからです。
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