30代は、結婚や出産、キャリアの転機など、ライフステージの変化が多い時期です。このタイミングでマンションを購入する際には、現在の生活だけでなく、将来的な家族構成や収入の変化を見据えた計画が重要です。適切な資金計画を立て、無理のないローン返済プランを組むこと、そして生活スタイルや将来のニーズに合った物件を選ぶことが成功の鍵となります。本記事では、30代でマンションを購入する際のポイントや注意点を詳しく解説します。
30代でマンション購入をするきっかけ
そもそも、30代の女性は何がきっかけでマンション購入を決意するのでしょうか。まずは、よくあるきっかけについて紹介していきます。
家賃がもったいないと感じたから
まず、家賃がもったいないと感じてマンション購入を検討する人は、30代女性に限らず多いです。毎月支払う家賃はもちろん、更新料や管理費、修繕積立金など、賃貸物件にかかる費用は非常にたくさん存在しています。
いくら費用を支払い続けても、賃貸の場合はマンションを自己資産にすることはできません。
そのため、今後かかる家賃や更新料を考えると、同じ金額でより快適な住宅に住めて自己資産にもなる分譲マンションのほうがいいと考え、物件購入を決意する人は多いのです。
金銭的に余裕が出てきたから
一般社団法人 女性のための快適住まいづくり研究会が行った「マンション購入に関するアンケート」によると、初めてマンション購入をした女性の年齢は、35~39歳がもっとも多くて27.5%だったということがわかっています。次いで40~44歳が21.0%、30~34歳が18.5%と、30~44歳がマンション購入のボリュームゾーンだということが判明しました。[注1]
30代以降は、社会的地位を確立して収入が安定する年齢です。
そのため、昇進や給料のアップなどによって金銭的余裕ができたことをきっかけに、マンション購入を検討しはじめる女性が増える傾向にあるようです。
今の物件に不満があるから
また、今住んでいる物件に不満があり、引っ越しを機にマンション購入を検討する女性もいます。同じ価格帯であれば、分譲マンションのほうが賃貸物件よりもセキュリティ設備や間取り、共用施設などが充実しているケースが多いです。
そのため、「どうせ引っ越すならいいところに引っ越そう」と考え、マンション購入を検討しはじめるのです。
完済時の年齢が気になるから
そして、住宅ローン完済時の年齢も、30代女性のマンション購入に影響しています。安定した返済計画を立てるのであれば、住宅ローンの返済は定年退職前に終わらせておきたいものです。
35年ローンを組む場合、65歳の定年退職前の完済を目指すなら30歳までに住宅ローンを借り入れておくことが理想的です。
繰り上げ返済を減らしたり借入期間を短くしたりすることを考えても、老後の負担を減らすなら30代のうちに住宅ローンを組んで返済をスタートしたほうが安心でしょう。
このように、住宅ローン完済時の年齢から逆算して、マンション購入を決意する女性は多いのです。
老後を意識しだしたから
一般的に、高齢になると、賃貸マンションが借りにくくなるといわれています。契約時に保証人を求められたり、賃貸契約の解除を言い渡される可能性があったりと、高齢者は住宅の確保が難しい傾向にあるのです。
そのため、老後も安心して暮らせる住宅を確保するためにマンションを購入する女性は少なくありません。
ほかにも、親との同居を見据えてバリアフリー物件を購入したり、資産形成のために価値が下がりにくいマンションを購入したりする女性もいます。
30代になって具体的に将来を意識しだしたタイミングでマンション購入を検討すると、より希望に沿った物件を選びやすくなるでしょう。
30代でマンション購入をする際の住宅ローンの組み方
30代でマンションを購入するときは、住宅ローンの組み方に注意しなくてはいけません。ここでは、自分に合った借入額の決め方について解説します。
年収に合った適正価格で借り入れをする
住宅ローンを組むときは、年収に合った適正価格で借り入れをすることが大切です。適正な借入額を判断するときは、住宅購入資金を年収で割った年収倍率が参考になるでしょう。
たとえば、住宅の購入費が3,000万円で年収が300万円の場合、年収倍率は10倍ということになります。
住宅金融支援機構の調査によれば、2020年度の平均年収倍率は新築マンションで7.0倍、中古マンションで5.8倍だということがわかっています。[注2]
エリアによって年収倍率にはばらつきがありますが、大体年収の5~7倍程度を目安にマンションの購入価格を見積もっておけばいいでしょう。
この年収倍率で計算してみると、年収ごとの物件購入費は以下のとおりです。
| 年収 | 年収倍率5倍 | 年収倍率7倍 |
|---|---|---|
| 300万円 | 1,500万円 | 2,100万円 |
| 400万円 | 2,000万円 | 2,800万円 |
| 500万円 | 2,500万円 | 3,500万円 |
| 600万円 | 3,000万円 | 4,800万円 |
なお、実際には頭金を支払う人が多いため、実際の借入金額の目安はここから10~20%程度差し引いた金額になると考えておきましょう。
自己資金比率や年収パターンなどによって最適な借入額は大きく異なるので、事前にしっかりと返済シミュレーションを行ってから住宅ローンを組んでください。
月々の支払いは現在の生活を変えない額がおすすめ
年収ごとの適正な借入額の目安を紹介しましたが、可能であれば月々の支払額を現在の住宅費と同じくらいの水準に抑えることをおすすめします。実際、一般社団法人女性のための快適住まいづくり研究会の「マンション購入に関するアンケート」でも、現状の生活を変えない資金計画を立てている女性が多く、4人に1人は頭金100万円未満、8割はボーナス払いなしを選択していることがわかりました。[注1]
たとえば、現在家賃6万円で管理費・修繕積立金が2万円の賃貸物件に住んでいるという場合、毎月の住居費が合計8万円前後に収まるマンションが理想的です。
現在の生活をもとに借入額を決められれば、身の丈に合わない無理な借り入れを防げます。
30代でマンション購入する際の物件選びのポイント
30代女性がマンションを購入するときは、物件の選び方にも注意する必要があります。物件選びで後悔しないように、必ず押さえておきたいポイントについて見ていきましょう。
住みやすい物件を選ぶ
マンション購入でもっとも大切なのは、自分にとって住みやすい物件を選ぶことです。住みやすさの基準は人によって異なりますが、とくに意識して見てほしいのは以下のポイントです。
- 狭すぎず広すぎない間取りかどうか
- 水回りなどの設備は使いやすいかどうか
- 共用部分の管理は行き届いているか
- 監視カメラやオートロックなどのセキュリティ設備が万全かどうか
マンションの場合、共用部分の設備を自分で変えられないのはもちろん、専有部分である室内のリフォームも制限されます。
そのため、最初からある程度住みやすいと思える物件を選ぶと後悔しにくいでしょう。
リフォームを希望する場合は、あらかじめ管理規約を確認しておくと安心です。
住宅ローン控除が使える物件を選ぶ
中古マンションを検討する場合は、住宅ローン控除が使える物件かどうかをしっかりと確認しておきましょう。住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高の1%を原則10年間にわたって所得税や住民税から控除できる制度です。
マンションの場合は、以下の2つのうちいずれかの耐震基準に適合した物件でないと住宅ローン控除を受けられません。[注3]
- 築25年以内の物件
- 以下のいずれかを取得している物件
- 耐震基準適合証明書
- 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入
また新築中古にかかわらず、床面積が50㎡以下(令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間に入居した場合は40㎡以下)の物件は、住宅ローン控除を受けられません。
住宅ローン控除を利用すれば、10年間で最大400万円もの控除を受けられます。
マンションを購入するときは、できる限り住宅ローン控除の要件を満たした物件を選ぶようにしましょう。
ライフスタイルの変化を想定して物件を選ぶ
30代の女性というと、まだまだこれからライフスタイルの変化が多い年代です。転職して職場が遠くなる可能性もありますし、家族構成が変化して同居人が増える可能性があるかもしれません。
そのため、ライフスタイルの変化を想定して物件を選ぶことが大切[/underline]です。
- 職場が変わってもいいように複数の路線が使えるエリアを選ぶ
- 親の介護ができるようにバリアフリーの物件を選ぶ
- 将来に向けて少し広いマンションを選ぶ など
上記のように、人によって想定すべきライフイベントと最適な物件は異なります。
現在の暮らしやすさだけではなく、長期的に住みやすい物件を選ぶことを推奨します。
資産価値の高い物件を選ぶ
また、資産価値の高い物件を選ぶことも、マンション購入では重要となってきます。一度物件を購入しても、さまざまな理由でそこに住み続けられなくなるケースは多々あるでしょう。
このときに資産価値が高い物件を所有していれば、売却したり賃貸に出したりして住み替えやすくなります。
資産価値の高い物件の条件としては、以下のようなものが挙げられます。
- 駅からの距離が近い
- 人気のエリアである
- ターミナル駅など交通の便がいい
- 周辺に商業施設があって買い物の便がいい
- セキュリティや管理体制が万全
- 広さや間取りが好条件
- 共用設備が充実している
上記のような特徴を持ったマンションは流動性が高いため、万が一のときもスムーズに対処できます。
30代でマンション購入する際のリスクと対策
最後に、30代の女性がマンションを購入する際のリスクと対策を紹介します。マンション購入には、多くの費用と労力を費やします。
契約してから後悔しても遅いので、あらかじめリスクを回避するための方法を知っておきましょう。
ライフステージの変化による住み替えリスク
物件購入につきものなのが、ライフステージの変化による住み替えリスクです。今はそのつもりがなくても、将来的に結婚や出産をすることになって家族が増える可能性はあります。
また、介護のために実家に戻らなくてはいけなくなった、転勤で地方へいくことになったなど、住み替えが必要になる理由はさまざまです。
購入したマンションに住み続けられなくなるリスクは誰にでもつきものであるため、必ず念頭に入れておかなくてはいけません。
対策としては、万が一のときに売却したり貸し出したりしやすい資産価値の高い物件を購入しておくことが有効です。
資産価値が高い物件の条件は前項で紹介しているので、マンションを選ぶときに意識してみてください。
支払いが難しくなるリスク
今は問題なく返済できる金額の住宅ローンを組んだとしても、将来的に支払いが難しくなるリスクはあります。とくに独身女性の場合、病気や怪我、家族の介護などで働けなくなり収入が激減する可能性があります。
そのため、そういったリスクを踏まえて住宅ローンを組むことが大切なのです。
このリスクに対しては、頭金の支払額を抑えて、まとまった資金を手元に残し、借入額を減らして余裕のある返済をしつつ貯蓄する対策がおすすめです。
何かあったらすぐに返済が滞ってしまう状態は非常に危険なので、最低でも半年は収入がなくなっても問題ない程度の資金を準備しておきましょう。
物件や近隣住人のトラブルが発生するリスク
マンション購入後のトラブルとして多いのが、物件自体の欠陥や近隣住人との関係性です。とくに近隣トラブルは自分の力で変えられない要因であるため、大きなストレスになりやすい傾向にあります。
このリスクへの対策は、建物や近隣住人で気になることがないか、物件の購入前にしっかりと確認することが有効です。
中古マンションの場合、瑕疵保証が付いている物件を選んでおくと安心でしょう。
少なくとも昼と夜の2回マンションを内覧し、近隣住民の様子を見ておきます。
加えて、近くの飲食店などに地域の雰囲気を聞いてみると、ある程度の事前情報を仕入れられるでしょう。
入居後のご近所さんとの頻繁なコミュニケーションも、トラブルの抑止力となってくれます。
30代女性のマンション購入は環境変化とリスクへの備えが大切
30代はほかの年代と比べて結婚や出産など、最もライフステージの変化が多い年代の一つです。そのため、今後の生活や収入面を踏まえた上で最適な価格帯のマンションを選ぶことは重要なポイントです。
諸費用は現金での支払いが基本ですが、ローンの種類や金融機関によっては住宅ローンに含めることも可能です。ただし、諸費用をローンに含めるとその分金利負担が増えるリスクがあるため注意が必要です。専門家に相談しながら慎重に資金計画を立てましょう。
そのため、住宅ローンを組む際は住宅購入のプロに相談しながら資金計画を立てることが必要不可欠です。住宅ローン控除やすまい給付金など、知らなきゃ損をする控除制度についての情報収集としても使えるでしょう。
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[注1]一般社団法人 女性のための快適住まいづくり研究会|マンション購入に関するアンケート
