30代に入って収入や仕事が安定したタイミングで、マンションを購入しようと考える人は少なくありません。30代で物件を購入して長い期間住み続けることを考えると、マンションの築年数が気になってくるものです。
築年数が浅いと物件価格が高くて毎月の支払い負担が大きくなってしまいますし、あまりにも古い物件だと建物や設備の劣化が気になるでしょう。それでは、30代で中古マンションを購入するときは、どれくらいの築年数のマンションが適しているのでしょうか。
この記事では、30代におすすめの中古マンションの築年数について紹介します。
30代で中古マンションを購入する場合の築年数目安
購入するマンションの築年数を見極めるためには、中古マンションの寿命を押さえておくことが大切です。さっそく、30代で中古マンションを購入する場合の最適な築年数目安について見ていきましょう。中古マンションの寿命は何年?
中古マンションの耐用年数は物件によって異なりますが、40年前後を想定しておくといいでしょう。国税庁が指定するマンションの耐用年数も47年とされています。[注1]ただし、築40年以上経っても建て替えが必要ない物件も多く存在しているため、「マンションは40年前後で必ず寿命を迎える」というわけではない点に注意しましょう。
また、国土交通省の報告を見てみると、鉄骨鉄筋コンクリート造および鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は120年、外壁塗装などのメンテナンスを行えば150年と記載があります。[注2]日本にはまだ築100年を超えるマンションはありませんが、海外では築100年以上のマンションは珍しくありません。
このことから、中古マンションの物理的な寿命は100年以上ですが、40年前後で建て替えになる可能性があるということになります。
中古マンションは将来建て替えになる?
中古マンションを購入するときに気になるのが、「将来建て替えが必要になるかどうか」というポイントです。建て替えとは、中古マンションの老朽化などが原因で、今の建物を壊して新しい建物を建築することです。せっかく購入したマンションが建て替えになってしまい、追加で費用がかかったり立ち退きを求められたりしてしまえば、購入者の負担やショックは大きいものでしょう。そのため、マンション購入の際は建て替えの有無が大きな判断材料となります。
ただし、結論から言いますと、中古マンションの建て替えはほとんど起こりません。
国土交通省が平成25年に発表した資料によると、令和2年時点でのマンションの総数は675.3万戸で、そのうち令和3年時点で建て替え実施中のマンションが32件、準備中が8件、建て替え完了の物件が263件でした。[注3,4]
また、一般財団法人 マンション管理業協会によると、マンション1棟あたりの戸数は51.65であるため[注5]、日本には約13万745棟のマンションが建てられているということになります。
13万件のうち、実際に建て替えた件数や準備中、工事中のマンションはわずか303件です。割合にすると0.23%となり、建て替えが行われる可能性は非常に低いことがわかります。
もちろん、建て替えが100%ないと言い切ることはできません。しかし、建て替えの可能性を理由に気に入った物件を購入することを諦めるほど、過度に気にする必要はないことを理解しておきましょう。
30代で購入する中古マンションの築年数目安
以上のことを踏まえると、30代で中古マンションを購入するときにおすすめの築年数目安はどれくらいになるのでしょうか。建て替えが行われる可能性が非常に低いことを念頭に置くと、中古マンションは築20年以上の物件がおすすめです。なぜなら、建物の価値は築20~30年で半分以下まで低下し、その後はほとんど価値の変動がないためです。
築20年前後の物件を選ぶことで、底値まで落ちた価格でマンションを購入できます。この年数よりも前に購入すると価格が高く、あとに購入すると古くなりすぎて設備のメンテナンスが必要になる可能性があるため、大体20年を超えたあたりがお買い得の築年数となるのです。
30代は、ライフステージの変化にともなって収入や支出、最適な住環境の変化がまだまだ起きやすい年代です。なるべく新しい状態のマンションをもっともお買い得なタイミングで購入することで、万が一収入が減ったり引っ越しが必要になったりしたときのリスクを最小限にとどめられます。
30代で中古マンションを購入する際の選び方
30代で中古マンションを購入するときは、正しい物件の選び方を押さえておくことが大切です。ここからは、30代が後悔しない中古マンションの選び方のポイントをお伝えします。安心して住み続けられるか
中古マンションは、物件によって断熱性や設備の充実性が大きく異なります。同じ20年前のマンションでも、断熱性や防音性、セキュリティが対策などは物件によってさまざまです。また、管理体制もマンションによって違ってくるため、正しく物件を選ばないと入居してから不満が蓄積してしまう恐れがあります。まずは自分が求める機能性をしっかりとリストアップし、それを満たせるマンションを選ぶことが大切です。
とくに大切なのは、断熱性やセキュリティ、バリアフリーなどといった健康や生活に直結する部分です。20年後30年後に体力が落ちても安心して住み続けられる物件かどうか、しっかりと見極めてマンションを購入しましょう。
利便性が高いかどうか
30代というとまだまだ働き盛りで、子育てに奮闘している夫婦も多いかもしれません。仕事や子育てで活発に活動をする30代がマンションを購入するのであれば、周辺環境の利便性は必ずチェックしておきましょう。- 公共交通機関の便はいいか
- 付近に買い物ができるお店はあるのか
- 万が一のときに駆け込める病院はあるのか
- 子どもを通わせる教育機関はあるのか
マンション自体の設備や管理体制はもちろんのこと、上記のように日常生活において利便性の高い物件を選ぶことが大切です。物件を選ぶときは、実際の生活の流れをシミュレーションしながら利便性をチェックしてみることをおすすめします。
将来性がある物件かどうか
30代がマンションを購入するときは、将来性を見据えて物件選びをすることを意識しましょう。マンションの将来性とは、たとえば以下のようなことを指します。- 老後に体が不自由になっても安心して暮らせるか
- 万が一売却することになったとき高く売却できるかどうか
- 周辺環境の開発状況や今後の見通しはどうか
30代というと、これからいろいろな変化が生じる年代です。今独身の人は結婚して家族が増えるかもしれませんし、転勤で家を手放すことになることもあるかもしれません。そういった将来のライフイベントに対応できる将来性がある物件を選んでおくと、中古マンションの購入で後悔するリスクを回避できます。
30代で中古マンションを購入する際の注意点
最後に、30代で中古マンションを購入するときの注意点について紹介します。物件選びで失敗しないために必ず押さえておきたいことばかりなので、しっかりと確認しておきましょう。耐震基準を満たしているか確認する
日本の建物の耐震基準は、1981年6月1日を境に「旧耐震基準」と「新耐震基準」に分けられます。1981年6月1日以前に確認申請を受けた建物は「旧耐震基準」と呼ばれ、「震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないこと」が基準とされていました。対して、1981年6月1日以降に確認申請を受けた建物は「新耐震基準」と呼ばれ、「震度6程度の大規模な地震で建物の倒壊や損傷を受けないこと」が基準に設定されています。つまり新耐震基準のほうが、より耐震性は高くなっているのです。
旧耐震基準のマンションは耐震性に不安が残るのはもちろんのこと、建て替えのリスクや修繕積立金が高額になりやすいというメリットがあります。そのため中古マンションを選ぶときは、可能であれば新耐震基準の物件を選んだほうがいいのです。
ただし、たとえ旧耐震基準のマンションであっても、耐震補強工事が行われていたり地震に強い工法で建てられていたりする場合もあります。「旧耐震基準のマンションは危険」と一概にいうことはできないので、不動産会社に頼んで安全かどうかしっかりと確認してから判断しましょう。
返済負担率が高くなりすぎないようにする
30代でマンションを購入する人の多くが、現金一括ではなく住宅ローンを組むことになるでしょう。住宅ローンを組むときは、返済額が年収に占める割合である「返済負担率」が高くなりすぎないように注意する必要があります。一般的に住宅ローンの審査では、返済額が額面年収に対して30%程度であれば問題ないとされています。たとえば年収400万円の場合、年間で120万円、月に10万円の返済額になる借入額であれば審査は通るのです。
ただし、年収400万円の手取り金額はおおよそ320万円で、月収にすると約26万円になります。26万円の手取り月収から10万円の返済をしてしまうと、生活費が16万円になってしまい、家族構成やライフステージによっては生活が圧迫されてしまう恐れがあります。
そのため返済負担率を低めに設定して、現実的に支払いを続けられる物件を選ぶことが大切なのです。理想的な返済負担率は人によって異なりますが、手取りの25%程度を目安にするといいでしょう。この場合、年収400万円の場合は毎月の返済が約7万円になり、万が一のことがあっても余裕を持って返済を続けられます。
住宅ローン控除や返済期間に注意
30代が中古マンションを購入するときは、住宅ローン控除や住宅ローンの返済期間にも注意が必要です。住宅ローン控除とは、住宅を購入した年から最長10年にわたって所得税と住民税が一部控除される制度です。住宅ローン控除を受けるときは、「築25年以内のマンションであること」「耐震基準適合証明書を取得している」といった条件を満たす必要があります。したがって、あまりにも古い物件や旧耐震基準の物件は控除の対象外となる点に注意しましょう。[注6]
また中古マンションの場合、住宅ローンの返済期間が25年や15年までと制限されてしまう恐れがあります。フラット35などの長期ローンを希望している場合、金融機関によっては借り入れを断られてしまうかもしれません。
住宅ローンの条件は金融機関によって異なりますが、住宅ローン控除と同様に築年数や耐震基準がひとつの指標となります。古いマンションを購入するときは気をつけてください。
大規模修繕や修繕積立金を確認しておく
中古マンションを購入するときは、大規模修繕の履歴や予定、修繕積立金にも注意が必要です。国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」によれば、マンションのメンテナンスとして12年に1度は外壁塗装や防水処理工事などを含む大規模修繕をおこなうことが推奨されています。[注7]大規模修繕は建物を保護するために非常に重要な工事ですが、義務ではないため中古マンションのなかには適切な修繕工事が行われていないところもあります。
物件を購入するときは過去の「修繕履歴」や今後の「修繕計画」を確認し、適切な維持管理がされているかどうかをチェックしておきましょう。
また、大規模修繕には修繕積立金が欠かせません。修繕費は1戸あたり平均75~100万円以上かかるので[注8]、最低でも「100万円×戸数」相当の修繕積立金が集まっているかどうかについても目を通しておいてください。
余裕を持った修繕積立金の貯蓄ができていない物件の場合、必要な修繕が行われなかったり修繕時に一時金が徴収されたりする可能性があるため注意が必要です。
30代がマンションを購入するときの築年数は20年がおすすめ
30代が購入する中古マンションの築年数は、20年程度がもっともおすすめです。築年数が20年のマンションは価格が安いというメリットがありますが、売却時に売れる物件、つまり資産価値の高い家を買うことも重要なポイントです。というのも、資産価値の低いマンションには十分な価格がつかないため、ライフステージの変化などいざというときに住み替えができないこともあるものです。
資産価値と言えば駅からの距離や築年数などが思い浮かびますが、実際には再開発の予定や法律で定められた用途区域など様々な要因で資産価値は決まります。そのため、資産価値の高い家を買うなら、自分で選ぶのではなく実績ある不動産会社からの提案やアドバイスが必須です。
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[注2]国土交通省|「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書取りまとめ後の取組紹介
[注5]一般財団法人 マンション管理業協会|平成28年マンション管理受託動向調査結果概要