ライフステージにごとに最適な生活様式は大きく変わるため、それぞれに適した住まいも異なります。以前は一度購入した住宅に住み続けるという考え方が主流でしたが、近年はその時々に合った住まいに住み替える選択肢を選ぶ人も増えてきました。
戸建てとマンションはそれぞれメリット・デメリットが異なります。なかでもマンションは、老後の住まいとして非常に優秀なポイントが豊富に存在しています。
今回は、老後にマンション暮らしがおすすめの理由と選び方のポイント、資金計画のコツについて紹介します。
老後はマンション暮らしがおすすめな理由
「老後の暮らしはマンションがいい?戸建てがいい?」と悩む人は多いものです。まずはそんな人に向けて、老後の暮らしにマンションがおすすめの理由について紹介します。ワンフロアで生活ができるから
2階建てや3階建てが多い戸建てとは違い、ワンフロアで生活できる点がマンションに置ける最大のメリットです。若いうちは、階段の昇降に問題を感じることはないでしょう。しかし、年をとって足腰が弱くなったり車椅子生活になったりしたときは、圧倒的に階段の上り下りがないマンションのほうが生活しやすいです。
近年は、エントランスにスロープが設置されていたり室内の段差がなかったりと、バリアフリー化が進んだマンションが増えてきています。
戸建てでも、リフォームすることでバリアフリー化することはできます。しかし、多額のリフォーム費がかかることを考えると、マンションのほうが金銭的負担は少ないでしょう。
家事がしやすいから
日常生活で注意したいポイントとして、家事しやすさも挙げられます。マンションはワンフロアであるため、掃除や料理などの家事がしやすく、お手入れの手間も少なくて済む点がメリットです。戸建ての場合、掃除のために掃除機を持って階段を上下したり、洗濯物を干すために1階から2回まで濡れた衣服を持ち運んだりと、家事の負担が大きいです。家事は毎日行うものであるため、老後はなるべく負担の少ない間取りを選ぶことをおすすめします。
毎日の家事動線を考慮しても、老後の生活はマンションが適しているのです。
管理や修繕を自分で行う必要がないから
住宅の管理や修繕を自分で行う必要がない点も、マンションのメリットです。共用部や建物が劣化しても管理会社が修繕を手配してくれますし、マンションの植栽をお手入れする必要はありません。廊下などの掃除も、全て管理会社に任せられます。戸建ての場合は、定期的に外壁や屋根のお手入れをする必要がありますし、庭や劣化した設備をすべてご自身で管理・修繕することになります。費用面の負担が大きいのはもちろんのこと、自分で業者を手配して立ち会う手間は、高齢者にとって大きな負担になるでしょう。
セキュリティ対策がされているから
多くのマンションにはオートロックや防犯カメラが設置されているため、セキュリティ面を心配しなくてよい点も大きなメリットです。なかには警備会社と連携している物件や警備員が常駐している物件もあるので、より安心して過ごしたい人はこういった物件を選ぶとよいでしょう。また、外出時の戸締まりチェックもマンションなら簡単に行えます。戸建ての場合は各フロアの戸締まりを確認してから外出する必要があるので、面倒に感じてしまうことがあるかもしれません。
マンションのセキュリティ対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
セキュリティに強いマンションを見極める4つのポイントを紹介
利便性の高い立地に住みやすいから
物件によって異なりますが、マンションはそのスケールメリットを活かして、好立地な場所に建てられることが多いです。周囲に駅やバス停、スーパーや病院などあり、日常的に利用しやすいというメリットがあります。高齢になると、車や自転車を運転することが困難になってきます。公共交通機関や買い物ができる施設が周囲にあると、老後でも長く安心して暮らせるでしょう。
キャッシュフローが安定するから
キャッシュフローが安定する点も、マンションならではのメリットです。マンションに住む際は、毎月のローン返済額(家賃)と管理・共益費、修繕積立金を支払うことになります。この費用は毎月一定で、突然上がったり変動したりすることはありません。そのため、「思わぬ出費で生活費に困ってしまうかもしれない」といった心配をせずに済むでしょう。
対して戸建ては、管理費や修繕積立金が必要ないものの、住宅の修繕などをすべて自己負担する必要があります。そのため、設備の故障などがあったときは多額の修理費を一気に負担する必要が出てきてしまい、キャッシュフローが不安定になりやすいのです。
とくに、年金暮らしになってからの生活では、突然の大きな出費は家庭にとっての痛手になります。キャッシュフローが安定したマンションのほうが、資金計画を立てやすいといえるでしょう。
老後に戸建てが向いているケース
老後の生活にマンションが向いている理由について紹介しましたが、場合によっては戸建てのほうが向いているケースもあります。ここでは、戸建てが向いている人の特徴について見てみましょう。
住み慣れた家で生活したい
もともと戸建てに住んでいて、今の住み慣れた家で生活し続けたいときは戸建てに住み続けてもよいかもしれません。高齢になってから新しいコミュニティになじむのは大変です。住み替えることで疎外感や孤独感を抱いて精神的なダメージを負うリスクについても、考慮しておく必要があるでしょう。
住み慣れた家で暮らすことで家事・生活動線の負担が軽くなることもありますし、住み慣れた土地であれば住人同士が見守りあって過ごせるでしょう。変化することに不安がある人や今の家に愛着がある人は、無理にマンションへ住み替える必要はありません。
毎月の住宅費負担を減らしたい
平成30年に行われた国土交通省の調査によると、戸建て(注文住宅・分譲戸建て・中古戸建て)を購入したときの世帯主の年齢は、30歳代がもっとも多いことがわかりました。30歳で住宅を購入して35年ローンを組んだ場合、65歳にはローンを完済できることになります。その後は毎月の固定費がなくなるため、住宅費負担を減らして暮らせるようになるでしょう。
マンションの場合、賃貸の場合は家賃がかかるのはもちろんのこと、持ち家でローンを完済していても管理・共益費、修繕積立金がかかります。毎月の出費を最低限に抑えたいときは、マンションよりも戸建てのほうが向いているかもしれません。
なお、戸建ての場合は、ローンを完済しても万が一の修繕やリフォームのために、まとまった資金を用意しておく必要があります。また、マンション・戸建てにかかわらず、持ち家には固定資産税や都市計画税が課されるため、注意しましょう。
ガーデニングやペットとの時間を大切にしたい
庭がついていたりペットとの時間を大切にできたりするのは、戸建てならではのメリットです。定年退職したあとは趣味を楽しみ、ペットを迎え入れてにぎやかに過ごしたいときは、マンションよりも戸建てのほうが希望を叶えやすいでしょう。ほかにも、映画鑑賞や楽器などの趣味がある場合、マンションだと騒音が気になって思うように楽しめないことがあるかもしれません。建物が独立している戸建てだからこそ楽しめる趣味が豊富なので、老後の豊かな生活を楽しみにしている人は戸建てがおすすめです。
家の前に駐車場・駐輪場がほしい
日常生活で車や自転車を使う機会が多い場合は、玄関の目の前に駐車場や駐輪場がついている戸建てのほうが便利です。買い物でまとまった量の荷物を家に持ち帰ることになったとき、マンションだと駐車場から玄関までの距離が遠くなってしまいます。荷物を運ぶ距離が少ない戸建てであれば、重いものを持つ時間を最小限にとどめられるでしょう。
老後に住むマンションを選ぶときのポイント
ここからは、老後に住むマンションを選ぶときのポイントについて説明します。これから住み替えを検討している人も一生涯住めるマンションを探したいという人も、ぜひ参考にしてみてください。バリアフリーで生活動線を考えた間取りを選ぶ
老後に暮らすマンションを選ぶときは、必ず「バリアフリー」と「生活動線」を押さえた物件かどうかを確認しましょう。近年建てられたマンションはどちらも踏まえたうえで設計されているケースが多いですが、古いマンションは室内の段差が多かったり、洗濯機置場とバルコニーが遠かったりすることがあります。● エントランスや室内の段差がない
● 浴室内暖房がついている
● 玄関からリビングやトイレに移動しやすい
● リビング・寝室からトイレに行きやすい
● 引き戸を採用している
● 廊下やトイレ、浴室のスペースにゆとりがある
● 掃除や移動をするのに広すぎない
上記のような物件は、老後でも安心して過ごせるでしょう。実際に家事や生活の動線をシミュレートしてみて、懸念箇所がないか確認しながら物件を選ぶことをおすすめします。
中規模のマンションを選ぶ
老後に暮らすマンションは、中規模のものがおすすめです。マンションの規模については具体的な規定がありませんが、50~100戸前後のマンションを中規模マンションと呼ぶことが多いです。この規模のマンションは管理人や警備員が常駐していることが多く、何かあったときにすぐ助けを求められます。また、大規模なマンションのように敷地やエントランスが広すぎることがなく、外出が億劫になりにくい点も嬉しいポイントです。
一概に言えませんが、規模が小さすぎるマンションは、防犯が手薄だったり設備がバリアフリー化されていなかったりと不便なポイントが多い傾向にあります。高齢者の住まいとしては、避けておいたほうが無難でしょう。
周辺環境を確認しておく
マンションを選ぶときは、利便性を高めるためにも建物の設備や室内環境だけではなく、周辺環境にも目を向けましょう。● 駅から徒歩10分以内
● 近くにスーパーやドラッグストアがある
● 病院に行きやすい
● バス停がすぐ側にある
上記のような環境のマンションであれば、高齢になって体力が減少しても、日常生活に困ることはなくなります。
老後の資金計画を建てるときのポイントや注意点
最後に、老後の資金計画を建てるときのポイント注意点を紹介します。老後に備えてマンションに住み替える予定がある人は、必ず目を通しておきましょう。ライフイベントから逆算して予算を導き出す
住宅の購入や住み替えは、多額の費用がかかる大きな選択です。購入や契約をしてから後悔しないためにも、ライフイベントから逆算して、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。もっとも大切なのは、老後の生活費です。あらかじめ退職金や年金の額を把握しておき、毎月の生活費にどれほどのお金がかかるのかを概算してみましょう。
公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人の老後の最低日常生活費の平均は毎月22.1万円だということがわかっているので、この数値を参考にするとよいでしょう。
そこから子供の結婚資金や住宅購入支援金、孫に渡す教育資金などを確保すると、手元に残るお金は意外に少ないかもしれません。年齢によってはローンを組める期間が限られてしまうケースもあるため、住み替えのためにどれくらい予算を充てられるのかについては慎重に検討しましょう。
持っている予算を最大限住み替えに使ってしまうと、万が一のときに備えられません。必ずライフイベントごとの必要資金から予算を逆算するようにしてください。
住み替えは早い段階で行う
老後に備えてマンションに住み替えたいと考えている場合は、できるだけ早く行動に移すことをおすすめします。高齢になってから物件を探すことは、体力面や気力面で大きな負担になってしまうためです。また、年齢によっては、賃貸物件の契約を断られたりローンが組めなかったりすることもあるでしょう。しっかりと資金計画を立てても、年齢が原因で希望通りの物件に住み替えられない危険性もあります。老後の計画は、早め早めの行動をおすすめします。
マンションの住み替えについてはこちらの記事をご覧ください。
マンションの住み替えを成功させるコツ【手順・費用・ローンまで徹底解説!】
今の住宅をどうするのか考えておく
現在持ち家がある場合は、既存の住宅をどうするのかについてもしっかと計画しておきましょう。まだローンが残っている場合は、物件の売却代金で借入金を一括返済することができます。
しかし、物件に思うような値段がつかず、返済金額が足りなくなってしまうケースも少なくはありません。この場合は、新しく購入するマンションを担保に「住み替えローン」を組むことも検討してみてください。
住宅ローンが残っていない場合は、新居を決めてからゆっくりと売却先を探してもよいでしょう。もちろん、子どもや孫に残す資産として保有しておいても問題ありません。
老後の資金計画を建てる際は、持ち家のローン残債や贈与税などについてもしっかりと考慮しましょう。
老後のライフスタイルに合わせてマンションを選びましょう
バリアフリー化が進んでいる、生活・家事の導線がコンパクト、お手入れが楽など、マンションには老後の生活にぴったりな特長が数多く存在しています。高齢になったときに備えてマンションに住み替えを検討している人は、ぜひこの記事で紹介した物件選びのポイントや資金計画の建て方を参考にしてみてください。ただし、住み慣れた土地や家で暮らしたい、趣味やペットとの時間を楽しみたいというときは、戸建てのほうが適している場合もあります。ご自身や家族の希望を踏まえ、ライフスタイルに合った後悔のない選択をしてください。
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