親子2世帯が同居する方法といえば一般住宅のほかに2世帯住宅という選択肢も考えられます。多くの2世帯住宅は戸建てですが、近年ではマンションに2世帯が居住する例も増加しています。
2世帯マンションには戸建てとは違う多くの良さがあります。今回は2世帯マンションの種類や特徴について詳しくご説明いたします。
もくじ
2世帯マンションの主な種類
2世帯マンションと呼ばれる居住方法の多くは、2つの世帯が同じマンションに住むことを意味します。中には2世帯住宅と同じような居住形態を実現できる2世帯マンションもありますが、親世代と子世帯が同じマンションに住むことも便宜上、2世帯マンションと呼ばれます。
まずは、2世帯マンションの主な居住形態をチェックしてみましょう。
隣り合った2つの物件を内側でつなげる方法
近年、大手不動産会社各社が、2世帯同居を前提とした新しいタイプのマンションを作るようになってきました。このタイプの2世帯マンションは、隣接する住戸同士の内部にドアをつけてつなげてあり、2世帯が内部で行き来できるようになっています。2つの世帯をつなげる扉は、それぞれの世帯がカギをかけることも可能です。普段は鍵をかけて独立した住居として使い、必要なときだけ行き来すれば便利に活用できます。
また、内側でマンションや水回りを共有できるようなデザインの2世帯マンションもあります。
狭義での2世帯マンションとは、内部でつながっているタイプの住戸を指します。しかし、以下のような居住方法を2世帯マンションと呼ぶケースも多いものです。
隣接した住居を購入する方法
同じマンションの隣同士の部屋を購入する2世帯同居のスタイルもあります。内部で連結していないため、行き来をするときにはお互いの部屋の玄関を通る必要があります。とはいえ隣なので、必要なときにはすぐに訪れることができ便利です。
数秒で行き来できる利便性とプライバシーの両立を考えるのであれば、この方法を選ぶのがよいでしょう。
2世帯マンションは近年注目を集めていますが、内部でつながった特別なタイプの2世帯マンションはまだまだ少ないものです。隣接した部屋を購入する方法であれば、どのマンションであってもすぐに2世帯の住居として活用でき、物件の選択幅が広がります。
同じマンション内の離れた部屋を購入する方法
同じマンション内に2世帯が住む方法としては、別の階や別の棟の物件を選ぶという方法もあります。2世帯の適度な距離感を保ちたいのであれば、同階の少し離れた位置の物件を購入するのもよいでしょう。最初から別の階の2世帯を購入する方も多いものですが、子どもの結婚などのタイミングで同じマンションの空室となっている部屋を探し、購入するケースもあるものです。
こういったケースでは隣室や同階の物件が空室である可能性は低いため、2世帯が別々の階や別々の棟に部屋をもつことになります。とはいえ、同じマンションであればなにかあったときにすぐ駆けつけることができるので、それほど不便ではありません。
隣同士に住んだ場合にはお互いの気配を感じるため、仕事や子育てなどの面でいらぬ心配をかける可能性があります。居住スペースが近すぎるためにかえって気疲れしそうなときには、あえて少し離れた部屋を購入するのがおすすめです。
2世帯マンションを購入することにはメリットが多い
2世帯マンションには親世帯と子世帯それぞれにメリットがあります。特に、近距離でお互い協力しながらも一定のプライバシーを保てるのは大きなメリットといえるでしょう。また、2世帯マンションの購入には資金面の負担が軽くなりやすいという良さもあります。ここでは、2世帯マンションを購入するメリットを具体的にみていきましょう。
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お互いに生活をサポートできる
親世帯と子世帯にはそれぞれ、生活の中で人の手を借りたいときがあるものです。たとえば親世帯が今後の生活で気になるのはやはり介護のことです。また、突然の病気やケガで子どもを頼りたくなることもあるかもしれません。
子世帯側から考えれば、働きながらの子育てを親にサポートしてもらえるのはありがたいものです。仕事でお迎えが間に合わないときや子どもが急に病気になったときにも、サポートしてくれる親がいれば安心です。
また、外出や旅行のときに一時的に子どもを預けたり、子どもが休日に親世帯の部屋を訪ねたりといった過ごし方も可能です。
マンション購入資金の協力ができる
一般的に、都心で土地を購入して戸建てを建てるのには莫大な資金が必要です。親子の名義で2世帯住宅を建てる場合であっても、住宅ローンの審査に通らないケースは少なくありません。これに比べれば2世帯マンションは購入しやすく、2部屋分を購入しても住宅ローンの審査には比較的通りやすいという良さがあります。
2世帯マンションの資金は親がある程度援助をするケースもありますし、親が高齢なために親子名義で柔軟にローンを組むケースもあるものです。
2世帯での生活を考えているものの金銭面の悩みがあるという方には、2世帯マンションという選択がおすすめです。
プライバシーを保てる
戸建ての2世帯住宅では、それぞれの世帯の境界線があいまいになりやすいため、プライバシーが保てないことが大きな悩みになることがあります。たとえお互いの世帯を行き来せずに過ごしていても、玄関からの出入りがすぐにわかってしまうのでお互いに気を使ってしまうことが多いのです。近くに住みながらもプライバシーを保ちたいのであれば、同じマンションの隣接した住居や少し離れた住戸での2世帯マンション生活を選ぶとよいでしょう。適度な距離感を保つことができれば、お互いに快適に過ごせます。
2世帯マンションにはデメリットもある
同じマンションでの2世帯同居にはメリットが多い一方でデメリットもあります。2世帯でマンション同居を始めてから後悔することのないよう、2世帯マンションを選ぶときにはマイナス面について把握しておきましょう。ここからは、2世帯マンションのデメリットをご紹介いたします。
購入費用が割高になることがある
2世帯マンションは戸建ての2世帯住宅よりも安く購入できるケースが多いものです。しかし、2つの住宅を購入するため、かえって割高になるケースもあります。特に、都心の2世帯マンションを購入する場合やマンション購入後にリフォームを行う場合には費用が跳ね上がる可能性が考えられるので、十分気をつけましょう。
一方の世帯がマンションに馴染めないことがある
これまで親世帯が地方に住んでいたという場合には、突然都会のマンションに呼び寄せても馴染んでもらえないことがあります。特に、地方の家は広々としていることが多いため、都心のマンションに圧迫感や味気なさを覚えるケースは多いものです。また、せっかくマンションに最新の設備が揃っていても使いこなせないということもあるかもしれません。
また、一方の世帯が遠方から引っ越すことで親しい友人と別れ、近隣に知り合いがいないことに悩まされるケースもあります。
2世帯マンションを購入する前には、それぞれの世帯が快適に暮らせるかをシミュレーションしておきましょう。
2世帯マンションでの居住に向いているケース
2世帯住宅の多くは戸建てですが、近年ではあえて2世帯の生活拠点としてマンションを選ぶ方が増えてきました。戸建ての2世帯住宅と2世帯マンションには大きな違いがあります。それぞれの特徴を把握し、よりよい住宅を選びましょう。ここからは、2世帯マンションでの居住がおすすめなケースについて解説いたします。
付かず離れずの距離を保ちたい場合
戸建ての2世帯住宅には距離が近くなりすぎてしまうという問題があります。特に、結婚して別世帯を構えた場合にはそれぞれにプライバシーを保ちながら独立した生活をしたいと考える方は多いものです。戸建ての2世帯住宅はひとつ屋根の下の生活となりますが、同じマンション内の別の部屋であればそれほど互いを負担に感じることはありません。とはいえ、あくまで同じマンションに居住しているため、会いたいときや困ったときにはすぐに足を運べます。
マンションならではの設備を使いたい場合
大規模なマンションには、戸建て住宅にはない多くの設備が用意されています。オートロックやエレベーターはもちろんのこと、近年ではエントランスに宅配ボックスが完備されたマンションも増えてきました。戸建ての場合にはそれほど広い庭は作れないのが一般的ですが、マンションには敷地内公園が整備されていることもあります。
さらに、キッズルームやラウンジ、ゲストルームや多目的室、フィットネスジムや温泉施設が用意されているマンションもあるものです。
また、管理人やコンシェルジュが常駐しているマンションであれば、まるでホテルに住んでいるかのようなサービスを受けることもできます。
戸建ての2世帯住宅では当然ながら、こういった豊富な設備を活用できることはありません。さまざまな設備をお得に活用したいのであれば、マンションを選んだほうがよいでしょう。
あとあと一方の部屋を売却したい場合
戸建ての2世帯住宅のデメリットとして、家族構成が変わったときに持て余してしまうという点が挙げられます。2世帯住宅は戸建てなので売価が高く、間取りが特殊なのでニーズに合致する買い手が見つかりにくいのです。しかし2世帯マンションであれば、一般的な中古マンションと同じような形での売却が可能です。また、一方の部屋を賃貸に転用するという選択肢もあります。
親世帯が亡くなったときや子世帯に転勤などの事情が発生したときの住み替えを考えれば、2世帯マンションは賢い選択といえるでしょう。
マンションを2世帯住宅にリフォームするという選択肢もある
マンションでの2世帯同居には、これまで1世帯が住んでいたマンションをリフォームして2世帯住宅にするという選択肢も考えられます。これまで住んでいた住宅の内部に壁を設けるなど2世帯が暮らしやすい間取りにリフォームすれば、快適に暮らせます。また、同じマンションの隣り合った2室を購入したあとに、壁面にドアを取りつけて行き来ができるようリフォームをする方もいるものです。
マンションを2世帯住宅にリフォームするときには、バリアフリーリフォームを同時に行うのもおすすめです。フラットな作りにしておけば、今後親世帯が高齢になったときにも安心して暮らせます。
マンションのリフォームは許可がなければ行えないので、管理者に必ず確認を行いましょう。なお、リフォームが認められていない物件もあるので、購入前にリフォームの可否や可能な範囲をチェックしておくことが大切です。
マンションの2世帯リフォームに必要な費用の目安
マンションリフォームの費用は工事の内容によって大きく異なります。たとえば間仕切りを撤去するのには約30万円、間仕切りで室内を分離するのには約10万円という費用がかかります。2つの部屋の間に穴を開けて扉を取りつけるリフォームは10~20万円程度で行なえます。ただし、構造上扉がつけられないこともありますし、許可が下りないケースもあるので気をつけたいものです。
2世帯で快適に暮らすためには共用部分を作るなどのリフォームが必要となることもあります。キッチンやバスルームの変更には50~100万円程度、全面的にリフォームをするのなら500万円程度の費用を用意しておきたいものです。
2世帯で話し合い、納得した上で2世帯マンションを購入しましょう
2世帯マンションには内部で部屋がつながったタイプや隣接したタイプ、同じマンションの離れた部屋に住むタイプなど複数のパターンがあります。住宅の購入費用を抑えつつ2世帯が協力しあって便利に暮らせるのが2世帯マンションのメリットですが、状況によってはプライバシーが保てなかったり一方がマンション暮らしに馴染めなかったりというデメリットも生じます。2世帯マンションを購入するときには費用面や購入後の生活についてじっくり考え、お互いの世帯で納得いくまで話し合うことが大切です。