人気のワイドスパン型やセンターイン型など、マンションにおいてはさまざまな間取りが存在する中で、最も一般的なマンションの間取りは「田の字型」と呼ばれるタイプです。
水のトラブルも少なく、採光性が高いため、非常に住みやすい間取りとなっています。本記事では、田の字型のマンションの特徴とメリット・デメリットを、他のタイプと比較しながら解説します。
「田の字型」とは?間取りの特徴とメリット
「田の字型」とは、漢字の「田」のように、十字に区切られている部屋のことです。例えば、玄関から入ると長い廊下が真っ直ぐに伸び、両側に独立した部屋があり、奥にリビング・ダイニングが配置され、玄関と反対側にバルコニーやベランダがあるような部屋のことを言います。
田の字型マンションのメリットについては以下の通りです。
- 低価格かつ物件数が多いため、選択肢が広い
- 水のトラブルが少ない
- 採光性が高く換気がしやすい
- 部屋の独立性を保ちやすい
それぞれ解説します。
低価格かつ物件数が多いため、選択肢が広い
田の字型マンションは、画一的な設計になっており、建築コストを抑えられるので、他の間取りに比べると価格が低い傾向にあります。
また、最も一般的な間取りのため、物件数が多く、選択の幅が広いというメリットがあります。
リノベーションされた物件も多く、リビング・ダイニングに隣接する部屋との間仕切りを取って開放感のある空間にした物件など、さまざまなバリエーションがあります。
水のトラブルが少ない
キッチンやバス・トイレ・洗面所など、水回りの設備が中央に集まっている場合が多いため、水回りのメンテナンスをしやすいことが特徴です。
そのため、水のトラブルも少なく維持管理コストが低いこともメリットと言えるでしょう。採光性が高く換気がしやすい
田の字型マンションは玄関側の部屋とベランダ側の部屋が外に面しているため、窓が多く、自然光を取り入れやすいメリットがあります。
窓を開放することで風通しも良くなり、換気もしやすくなっています。
部屋の独立性を保ちやすい
田の字型マンションは中央に通っている廊下によって各部屋が隔てられているため、独立した空間となっているのがメリットです。
たとえば、共働きのご夫婦が仕事部屋を各自で持ったり、子供部屋にしたりなど、家族個人のプライバシーを保てる使い方ができます。
田の字型マンションは住みにくい?4つのデメリットとは
上記のようなメリットがある田の字型プランですが、他の間取りの部屋に比べて住みにくい、といわれることもあります。実際に、グレードの高いマンションでは、田の字型の間取りはあまり採用されていません。
以下では田の字型マンションにおける、4つのデメリットを紹介します。
- 共用廊下に面する部屋のプライバシー性が低い
- 廊下の面積が広いため、部屋が狭くなる
- 家族内でのコミュニケーションが減る
- エレベーターや階段の数に限りがある
各項目を解説します。
共用廊下に面する部屋のプライバシー性が低い
共用廊下に面した玄関側の部屋に窓を設置している場合、通行人から室内が見えてしまうこともあり、プライバシー性が低くなるというデメリットがあります。
関連して、通行人による騒音が気になることも考えられます。このような理由から、窓が開けづらくなり、採光性の高さや換気の良さを活かせないこともあります。目隠しをしつつ窓を開けるには、ブラインドなどを用いると良いでしょう。
廊下の面積が広いため、部屋が狭くなる
室内の廊下が広い面積を占める田の字型マンションでは、各部屋の空間が圧迫され、専有面積が広くても手狭に感じやすくなります。
収納が少なくなるなど、部屋の快適さが損なわれるデメリットがあります。
家族内でのコミュニケーションが減る
上述した通り、田の字型マンションは各部屋が独立しているというメリットがあります。しかし逆に、各部屋の独立性の高さが、コミュニケーションを重視したい方にはデメリットとなります。
そのため、家族間でのコミュニケーションが減ってしまう可能性があることに留意しておきましょう。
エレベーターや階段の数に限りがある
田の字型マンションはコストパフォーマンスを重視した設計となっているため、エレベーターや階段の数が少ない傾向にあります。
多くの住戸が1つの共用廊下に面する設計となっており、タイミングによってはエレベーターが混雑し、通勤や外出に不便を感じることもあるでしょう。
なお、エレベーターや階段が少ないことは、メンテナンス費用を抑制できるメリットでもあります。1基の交換に1,000万円程度を要するエレベーターも、台数が少なければ交換費用を抑えられるため、管理費や修繕積立金などの抑制につながっています。
田の字型以外にもあるマンションの間取りプラン
田の字型以外にも、「ワイドスパン型」「センターイン型」など、マンションには人気の間取りがあります。以下からはそれぞれの特徴とメリット・デメリットについて紹介します。
「ワイドスパン型」のメリット・デメリット
ワイドスパン型とは、バルコニーの間口が横に広い間取りのことです。
メリットは、7〜8mほどの広いバルコニーに部屋が面しているため、採光性が高く、開放的な空間になっていることです。廊下が占める面積も少ないため、各部屋の面積が広くなり、居住性も高くなっています。
一方、各部屋の独立性が低くなるため、プライバシーを保ちにくいデメリットがあります。また窓の面積が大きいことから、断熱性が低下するため、二重窓にするなどの対策も必要となるでしょう。
加えて、ワイドスパン型のマンションは数が少ないため、希望の物件を見つけづらく、田の字型に比べて価格も割高となる傾向にあります。
「センターイン型」のメリット・デメリット
センターイン型とは、玄関が中央に配置され、その両脇に各部屋が並ぶ間取りです。
部屋の両側にバルコニーが設けられていることも多く、採光性の高さや風通しの良さがメリットです。
主に高級マンションで多く採用されており、廊下や生活動線が短くなるため、居住性に優れています。
一方、家賃や物件価格の高さがデメリットとして挙げられます。また物件数も少ないため、希望に合った条件で見つけることが難しい物件ともいえます。
田の字型マンションの中から良い物件を選ぶ2つのポイント
一般的な間取りであるものの、他の間取りに比べると、住みにくいといわれる田の字型マンションですが、選択肢が豊富にあるため、ポイントを押さえれば住みやすい物件を探すことができます。
次の2つの観点で探してみましょう。
- 採光の良さで高層階や角部屋を選ぶ
- 柱・梁・間仕切りの有無で選ぶ
それぞれの項目について以下で解説します。
採光の良さで高層階や角部屋を選ぶ
日当たりの良さは、快適な生活を送る上で重要視しておきたいポイントです。特に高層階にある部屋を選ぶことで、採光性が高まり、眺望も良くなります。
仮に前面に建物が建設されたとしても、高層階であれば日差しを遮られるリスクが減ります。また、高層階になるほど物件価格は上がりますが、ワイドスパン型やセンターイン型の間取りよりも安く抑えることができます。
周りに高層ビルの多い駅近のマンションでない限り、3階程度の高さでも充分に居住性が高まります。また、角部屋もおすすめです。
接する部屋が少ないため、騒音トラブルも少なく、玄関前の人の往来も少ないことから、共用廊下側の窓を開放しやすくなります。窓の数が増えるため、日当たりや通気性も良くなります。
なお、小さなお子さんがいる方や、庭付きの部屋をお考えであれば、低層階が向いているといえます。
柱・梁・間仕切りの有無で選ぶ
内見の際には、室内に柱や梁の凹凸がないかを調べましょう。柱や梁が多いと開放感が下がり、デッドスペースが生まれやすいため、収納スペースも減ることになります。
なお、リビング・ダイニングと接する部屋の間仕切りがないタイプは、より開放的な居住空間が得られます。
そのため、可動式の間仕切りで2つの部屋を一体化できる間取りなどは、廊下が広く部屋が狭いというデメリットの解消にもつながるでしょう。
購入を検討されている方はリノベーション・リフォームも視野に入れておく
上述した通り、田の字型マンションは各部屋の独立性が高く、1つ1つの部屋が狭いという特徴があります。関連して、子供が独立した後は使用しない部屋が出てくる可能性もあります。
また各部屋が設けられているという特徴柄、ダイニングなども壁に囲まれやすくなっているため、部屋全体が閉鎖的な雰囲気になりがちです。
そこで購入を検討されている方の中で、田の字型マンションにするかどうか、間取りで迷われている方はリノベーションすることを視野に入れておきましょう。
リノベーションによって、各部屋の壁を取り払い、間取りを変更することで、開放的な部屋にすることができます。また生活動線も変えられるため、より快適な住環境を手に入れることができます。
田の字型マンションでは物件選びが重要
一般的な間取りであるのにも関わらず、田の字型の間取りは、他の間取りと比べると住みにくいといわれることがあります。
ただしコストが安く物件数が多いなど、さまざまなメリットもあります。高層階や角部屋など、日当たりや風通しの良さなどに配慮して選ぶことで、安価で快適な住環境が手に入るでしょう。
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