将来的にマンションの売却を検討している場合、資産価値を確認したいと考える方も少なくありません。
それでは、資産価値はどのように調べたり算出したりすれば良いのでしょうか。
本記事では、マンションの資産価値を自分で調べる方法と併せて、相続税額や売却価格を調べる方法を解説します。
マンションの資産価値を表す4種類の評価額とは?
マンションの資産価値を調べるためには、以下の4つの評価額を確認する必要があります。
- 路線価
- 固定資産税評価額
- 公示価格
- 実勢価格(時価)
この4つはいずれもマンションの評価額を表し、不動産の売却や相続の際など、目的に合わせて使われます。それぞれの評価額が意味する金額と、使われるシーンを押さえておきましょう。
「路線価」は相続税の計算に使われる
「路線価」とは、国税庁が毎年1月1日に評価、7月に公表している、土地の価格のことです。
相続税や贈与税の計算に使われることから「相続税路線価」と呼ばれ、マンションの評価では土地部分の評価額を算出する際に用いられます。
路線価が示すのは、道路に接している宅地1平方メートルあたりの土地を、1000円単位で表した価格です。その土地の近隣環境を反映した価格となっていることが特徴で、具体的な路線価は国税庁のHPからチェックできます。
「固定資産税評価額」は固定資産税の計算に使われる
「固定資産税評価額」は、マンションや戸建て・土地などの不動産を持つ方が支払う、固定資産税を計算する際の評価額です。
都が算定する東京23区を除いて各市町村が評価額を算定し、3年に1回評価替えが行われます。
固定資産税評価額の具体的な金額は、不動産を持つ方に毎年送られてくる固定資産税の「納税通知書」や「課税明細書」に記載されているため、前年度分を確認することで容易に調べることができます。
「公示地価」は土地の売買に使われる
「公示地価」は、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1月1日に評価、3月に発表している土地の評価額です。
現在では、バブル期のような不動産価格の異常な高騰・急落を防ぎ、健全かつ合理的な不動産取引市場の形成に寄与するため、公示価格など、不動産取引に必要な価格情報を誰もが閲覧できるよう、国によってインターネット化が進められています。
その地域における標準的な土地を「標準地」に定め、上物を勘案せずに地価を決定することから、マンションなどの建物の価格は考慮されていません。公示地価は、国土交通省HPの「土地総合情報システム」からも、誰でも調べることが可能です。
「実勢価格(時価)」は過去の不動産売買をもとにした価格
「実勢価格」は、実際の不動産売買で取引が成立した価格を指します。不動産の「時価」と言っても良いでしょう。
売主と買主の合意によって決まる価格のため、明確な基準はなく、個別の取引によって金額は上下します。
過去の不動産売買の取引は、国土交通省の『土地総合情報システム』から調べられるため、条件が近いマンションの実勢価格を資産価値の目安とすることも可能です。
マンションの資産価値の調べ方は?具体例とともに紹介
マンションの資産価値は、マンションの土地部分と建物部分の評価額を計算し、合算することで算定することができます。
ここまで4つの評価額を紹介しましたが、資産価値の計算で主に使われるのは、路線価と固定資産評価額の2つです。
それぞれの評価額をもとに、マンションの土地・建物を含めた資産価値を計算してみましょう。
マンションの土地評価額の計算方法
土地評価額を計算するには、まず国税庁のHPからマンションがある住所の路線価を確認しましょう。
国税庁のHPから進み、「路線価図」をクリックして都道府県、市区町村を選び、番地を選択すると「215D」などの数字・アルファベットの組み合わせが表示されます。「215」の部分が1000円単位の地価を示しますので、この場合は21万5000円が1平方メートルあたりの路線価となります。
なお、「D」のアルファベットの部分は、借地権割合を表します。この路線価に、マンションの土地面積を掛けると土地の評価額を算出することができます。マンションの土地面積は、売買契約書に記載されています。
ただし、ここで算出できるのはマンション全体の土地評価額です。1部屋あたりの土地の評価額を算出するためには、マンション全体の土地評価額に「持分割合」を掛けて算出します。
持分割合はマンション全体のうちご自身が所有する割合を指し、管理費や修繕積立金の負担割合にも使われます。持分割合もマンションの売買契約書に記載されているため、ご自身の契約内容を確認して計算してください。
仮に路線価が「215D」の土地にあるマンションの土地面積が1000平方メートルとして、持分割合が10分の1の場合でシミュレーションすると、ご自身が所有するマンション1部屋の土地評価額は次の結果になります。
マンションの建物評価額の調べ方
21万5000円 × 1000 × (1/10) = 2150万円 |
マンションの建物部分の評価額を考える際には、固定資産税評価額をそのまま利用することが一般的です。
毎年4月頃に送られてくる固定資産税の「納税通知書」や「課税明細書」に記載されている、価格・評価額の金額が固定資産税評価額に該当します。
この金額がマンションの建物部分の評価額になるため、これに土地評価額の計算結果を合算すると、マンションの資産価値が分かります。
マンションの資産価値から相続税の金額を調べる方法
マンションの土地評価額・建物評価額が分かると、マンションの相続税額も調べることができます。具体的には、以下の計算式で求めることが可能です。
マンションの相続税額 = (マンションの評価額 – 基礎控除額) × 税率 |
基礎控除額を差し引いて計算
マンションの評価額から差し引かれる基礎控除額は、法定相続人の数によって変わります。
具体的には、「3,000万円 + (法定相続人の数 × 600万円)」の計算式で求めることが可能で、法定相続人が多いほど控除額は大きくなります。
たとえば法定相続人が1人の場合は3,600万円、2人の場合は4,200万円、4人の場合は5,400万円が基礎控除額です。
ここでは法定相続人が1人、土地評価額が2,150万円、建物評価額を2,000万円として、相続税額の計算結果をシミュレーションしてみましょう。
■マンションの評価額 土地2,150万円 + 建物2,000万円 = 4,150万円 ■マンションの相続税評価額 4,150万円 – 3,600万円 = 550万円 ■マンションの相続税額 550万円 × 相続税率10% = 55万円 |
※相続税率参考:国税庁HP「No.4155 相続税の税率」
マンションの売却価格を調べる方法は?資産価値とは異なる?
土地評価額・建物評価額をもとに、マンションの資産価値を計算しましたが、必ずしもこの資産価値で売却できるわけではありません。
実際の売却価格を決める要素として、売却のタイミングや買主の選定のほか、不動産会社による「査定」も影響します。
本記事の最後に、マンションの売却価格を調べる3つの査定方法「取引事例比較法」「収益還元法」「原価法」について解説します。
取引事例比較法で調べる
取引事例比較法は、よく似た条件のマンションの取引事例を収集して評価額を計算する方法で、居住用マンションの査定で最も一般的に使われます。
近隣に現在売り出されている物件があれば、まずその物件と比較され、その上で、部屋の間取りや方角、階数、角部屋か中部屋かなどの条件が加味されて計算されます。
過去の取引事例は、不動産会社だけが閲覧できる物件情報システム「レインズ(REINS)」にも掲載されており、どの会社が計算してもほぼ同様の金額が算出されます。
そのため取引事例比較法を使った査定額は、そのマンションを売却する際の「相場価格」と言い換えることもできます。
収益還元法で調べる
収益還元法は、その物件を賃貸に出すことで得られる収益を考慮して査定額を決める方法です。
居住用のマンションではなく、投資用のアパートや賃貸マンションの評価額を計算する際に使われることが多くなります。
ご自身のマンションを売却せず、賃貸に出した場合の収益性を確認する際に役立つでしょう。
原価法で調べる
原価法は主に戸建てや土地などの評価額で用いられる方法で、対象となる不動産を、再び調達する場合の原価を元に算出する方法です。マンションの査定で使われることは多くありません。
ある土地付きの建物の評価額を原価法で算出する場合、更地の土地代と建物代を計算し、現状と同じ築年数分(劣化して価値が減った分)を差し引き、評価額を算出します。
資産価値の調べ方を押さえてマンション購入を
これまで解説したように、マンションの資産価値は、路線価と持分割合をもとにマンションの土地評価額を計算し、固定資産評価額から建物評価額を調べて、合算することで計算ができます。
相続税の目安は、算出したマンションの評価額から基礎控除額を差し引いて税率をかけることで、計算することもできます。
ただしこの評価額で物件が売却できるとは限らず、マンションを売る際には取引事例比較法を使った不動産会社の査定額が目安となります。このようにマンションの資産価値の調べ方を押さえておくことで、価値が落ちにくい物件を選ぶ参考にもなるでしょう。
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