「今後不動産事業が衰退する可能性があると見聞きし、未来に向けてどのように事業を展開すべきなのか」「競合他社と差別化したいが、具体的な対策が打ち出せずに悩む」、このようなお悩みを抱えている不動産業界のマーケティング担当者も少なくありません。
今後の不動産業界において、「リノベーション需要の増加」「増加した空き家における活用方法の検討」「相続による不動産売却の増加」などの課題が予測されます。
事前に「未来で予測される不動産業界の課題」と「取り組める対策」について把握することで、競合他社との差別化を図りながら事業を展開できます。
今回は今後の不動産業界で予測される課題と対策、不動産業界で事業を継続するために意識すべきポイントについてご紹介します。
今後の不動産業界で予測される課題
今後の不動産業界において、以下8つの課題が予測されます。
- リノベーション需要の増加
- 増加した空き家における活用方法の検討
- 相続による不動産売却の増加
- 不動産の買い手が減少することによる購買意欲の減少
- 先端技術への対応の遅れ
- 世帯数の減少による不動産需要の冷え込み>
- 異常気象の対策として省エネを実現できる住環境への需要の高まり
- 自然災害に対応できる防災に強い家づくり
それぞれについて、詳しく解説します。
リノベーション需要の増加
不動産業界では、今後住宅のリノベーション需要が増加することが予測できます。
テレワークの導入やECサイト購入後の置き配利用など、在宅環境に目を向ける機会が増えているためです。
また、下記で記載している空き家も増加傾向にあるため、古い家屋をリノベーションする必要性も高まることが連想されます。
増加した空き家における活用方法の検討
以下の国土交通省が公表した調査結果によると、空き家の戸数は2025年から2030年の5年間で約50万戸増加することが予想されています。
参照元:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性
また、「腐朽・破損あり」の空き家は約101万戸となっているため、そのまま使用し続けるより、空き家の改築などの取り組みが必要不可欠な状況となっています。さらに、全住宅に占める空き家の割合は全国平均で5.6%となっていて、増加傾向にある空き家を活用する方法を不動産業が主体となり、打ち出す必要があります。
相続による不動産売却の増加
団塊世代が75歳に達する2025年頃から、本格的に相続による不動産売却が増えることが予想されます。
不動産を所有し続けることで相続税の支払いが発生するため、相続税の負担が子孫の方の生活を圧迫する事態も起こりえます。
そのような背景があるため、贈与した不動産を早期に売却し、市場に多くの売れ残った物件が存続している事態が予測できます。
不動産の買い手が減少することによる購買意欲の減少
「20代」「30代」など若年者の方の人口が減少し、不動産の買い手が減少する可能性があります。
以下の総務省における調査結果によると、15歳以上65歳未満の人口を意味する「生産年齢人口」は、2050年に約3,500万人減少し、65歳以上の高齢人口は約1,200万人増加すると記載されています。 参照元:総務省 我が国における総人口の長期的推移
不動産の買い手が減少することで、不動産の売却価格も同時に値下がりし、不動産業界が大きな損失を受けることも予測できます。
先端技術への対応の遅れ
不動産業界内ではITやデジタルなどの先端技術の導入が浸透していないため、ITやアプリ開発業界との格差が広がり、見込み顧客が不便さを感じる状況が予測されます。
例えば、物件情報を閲覧する際には、その場で内見予約ができず、担当者からの折り返しによる電話で確認した上で、内見を予約できるシステムになっています。
不動産会社がクラウドシステム上から内見予約の可否について随時チェックし、内見が可能な日程をオンライン上で公開することで、ユーザーが電話でやり取りする手間を省くことができます。
他には、ITやデジタル化を推進することで、不動産の空きスペースのシェアやマッチングを実現できる「スペースシェアリング」というサービスを導入する動きも強まっています。ITやデジタル化による時代の変化に合わせたサービスを導入することで、不動産業界全体を活性化できます。
世帯数の減少による不動産需要の冷え込み
今以上に世帯数が減少することで一戸建て住宅の注文数需要が縮小し、不動産業界の売り上げが停滞するケースも連想できます。
以下の総務省における調査結果によると、「夫婦と子」から構成される世帯は2050年には少数派となり、単独世帯が約4割を占めるといった内容が記載されています。参照元:総務省 我が国における総人口の長期的推移
単身世帯が増加し、現状の賃貸のみに居住することで、新たな不動産や住宅を提供する機会が減少する可能性が考えられます。
異常気象の対策として省エネを実現できる住環境への需要の高まり
「突発的な竜巻」「山火事」「ゲリラ豪雨」などの異常気象により、省エネを目指せる住環境の需要が高まることが予測されます。
例えば、異常気象の影響を受けてライフラインの1つとなる電力を確保できない状況なら、自由に冷暖房が使えないといった事態も起こりえることがイメージできます。
また、以下の調査結果によると、住まいを探す際の重視条件において、「耐震性能」「地域の将来的な発展性」「サステナブルに配慮した設計」に関する回答者が3~4ポイント増加したことが記載されています。参照元:SUUMO リサーチセンター『住宅購入・建築検討者』調査(2024年)
他には、以下のリフォームに関する調査結果においても、20代から40代の4割は、「省エネ性能を⾼める」ためにリフォームを検討しているといった結果が公表されています。参照元:⼀般社団法⼈住宅リフォーム推進協議会 2024年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査
今後において、省エネを意識した家づくりのニーズが高まる可能性が予測されます。
自然災害に対応できる防災に強い家づくり
自然災害が原因で住環境を失うニュースも増加傾向にあり、防災面を意識した家づくりを意識する人が増加することが予測されます。
以下のように、過去に発生した阪神淡路大震災では、建物の倒壊で亡くなった方が8割以上を占めているといったデータが公表されています。
突発的な大地震や津波により家が倒壊するなどのリスクを想定し、自然災害に対応できる強固な防災型の家づくりの需要が高まることが予想できます。
今後の不動産業界で予測される課題への対策
今後の不動産業界で予測される課題への対策として、以下の7点が考えられます。
- デザイン性を重視した住まいの提供
- 人々が交流する場所の提供
- Web上から市場ニーズの変化の読み取り
- 新たなビジネスモデルの創造
- 高齢者でも暮らしやすい住環境の提案
- 省エネを実現できるZEH住宅の提案
- 自然災害に強い住宅の提案
デザイン性を重視した住まいの提供
空き家が発生することで住環境が過多な状況に陥るため、デザイン性を重視したニーズに重きを置く顧客が増加する可能性が予測できます。
以下の調査結果によると、注文住宅を建てる時に「デザイン・間取りを重視した」と回答している人が2番目に多くなっています。
上記の意識調査においては、今後の見込み顧客となる20代や30代の年齢層もアンケートに回答しているため、デザイン性を重視した住まいの需要が高まることがイメージできます。
ホームページ内にデザイナーズ住宅の施工事例を積極的に掲載することで、見込み顧客に興味を持ってもらえるきっかけを作ることにもつながります。
人々が交流する場所の提供
住環境が過多になることで、単身者や高齢者などの幅広い人が集う交流スペースの提供が求められます。例えば、空き家をリノベーションし、地域の交流の場として活用することで、地域活性化にも貢献できます。
不動産業事業の認知度が向上することにもつながり、競合との差別化を図ることもできます。
Web上から市場ニーズの変化の読み取り
スマホやパソコンなどを使用し、不動産業界に関する物件情報を収集するユーザーが増加しています。上記の傾向から、Web上でアンケート形式の市場調査を定期的に実施することで、市場ニーズの変化を察知しやすくなります。
インターネットやアプリ開発業界をはじめ、急速な市場ニーズの変化を読み取る意識を持つ姿勢が大切です。
新たなビジネスモデルの創造
「空き家を活用するために地祇密着型のリフォーム事業を展開する」など、今後予測される国内外における情勢の変化に応じて、新たなビジネスモデルを創出する姿勢を持ちましょう。
今後の事業展開について早い段階でイメージするためにも、定期的に市場調査を実施し、顧客が何を求めているのかといった、ニーズの変化に共感する姿勢を持つことが大切です。
高齢者でも暮らしやすい住環境の提案
「高齢者向けのバリアフリーの設備が充実した注文住宅」など、高齢者が暮らしやすい住環境を提案することが必要です。
また、バリアフリーの注文住宅を建てる場合に申請可能な補助金に関して日頃からリサーチを実施し、不動産の専門スタッフとして、費用面の負担を軽減できる方法についても提案する意識を持ちましょう。
省エネを実現できるZEH住宅の提案
「太陽光によるエネルギー発電」「断熱性が高く暖房効果が得られる」など、省エネの暮らしを実現できる住宅「ZEH」を提案することも対策の1つとなります。
環境に配慮した家づくりは省エネを実現できるため、「冷暖房の使用頻度が減り、電気代が安く抑えられる」など、将来的には顧客の経済的な負担を緩和することにもつながります。
自然災害に強い住宅の提案
自然災害に強い住宅を提案することも効果的です。
耐震設計に詳しい専門家となり、「建築前の徹底した地盤調査」「耐震性の高い住宅を建てるために必要なこと」など災害に対する知識を備えることで、顧客から信頼を獲得することにつながります。
これまでにも、耐震偽装問題による住宅の欠陥が浮き彫りとなるニュースが取り上げられていたため、不動産や住宅に関して不信感を抱いている人も少なくありません。参照元:全日本自治団体労働組合 構造計算書偽装問題について
不動産業者が防災に関する深い知識を持つことで、将来的にも問い合わせ数や成約数の増加が期待できます。
今後も不動産業界で事業を継続するために意識すべきポイント
今後も不動産業界で事業を継続するために、以下3つのポイントを意識しましょう。
- 「YouTube」「SNS」上で顧客とコンタクト
- 動画や写真でおしゃれな物件の魅力をわかりやすく発信
- 「重要事項説明のオンライン化」「電子契約の実施」による顧客満足度の向上
それぞれについて、詳しく解説します。
「YouTube」「SNS」上で顧客とコンタクト
「YouTube」「Facebook」「Instagram」などのSNSで顧客と接することで、自社の販売を促進しましょう。
チャンネルやアカウント開設当初は反響が得られないですが、継続して情報を発信する姿勢を持つことで、視聴者の注目や反響を獲得することにつながります。
また、お得なキャンペーン情報についても発信し、チャンネル登録者やフォロワーに有益な情報が通知される仕組みを構築できます。
動画や写真でおしゃれな物件の魅力をわかりやすく発信
動画や写真でおしゃれな物件の魅力を発信することで、見込み顧客が物件のデザイン性を視覚的に理解しやすくなります。
また、周辺情報をYouTube動画で投稿することで、周辺住民の雰囲気や街並みの景色を動画内で伝えられます。
「重要事項説明のオンライン化」「電子契約の実施」による顧客満足度の向上
物件の契約時に「重要事項説明のオンライン化」「電子契約の実施」を導入することで、多忙な人でも自宅で契約手続きを進められます。
企業の公式LINEを運用することで、オンラインでの説明が必要な際にも、LINE通話の機能を活用できます。非対面の対応で利用者の負担を軽減できるため、顧客満足度の向上が期待できます。

