60代でのマンション購入は、老後の生活をより快適にするための重要な選択肢の一つです。マンションの利便性やセキュリティの高さは大きな魅力ですが、一方で資金計画や住宅ローンの組み方、物件選びの際の注意点など、検討すべき事項も多岐にわたります。本記事では、60代でマンションを購入する際のポイントや注意点を詳しく解説し、安心して老後の住まいを選ぶための情報を提供します。
60代でのマンション購入は遅い?
一般的に「マイホーム購入は早いうちにしたほうがいい」と言われていますが、60代でマンションを購入するのは遅すぎるものなのでしょうか。まずは、60代でマンション購入が可能かどうかについて見ていきましょう。
60代でマンション購入する人もいる
結論から言いますと、60代でもマンションを購入することは可能です。住宅金融支援機構が行った「2024年度 フラット35利用者調査」では、60歳以上で新築マンションを購入した人は全体の21.6%、中古マンションでは14.4%もいたことがわかっています。[注1]
このように、60代以降でマンションを購入する人は決して珍しくないのです。
「長期の転勤生活が終わった」「子どもが巣立ってコンパクトな家に引っ越したい」「資金が貯まったからキャッシュで購入したい」など、60代の人がマンション購入を検討する理由はさまざまです。
どのような理由があるにせよ、資金が潤沢で今後のライフスタイルの見通しが立てやすい60代は、しっかりとポイントを押さえることでマンション購入を成功させることが可能です。
年齢が理由でマンション購入を迷っている人も、諦めずにチャレンジしてみるといいかもしれません。
60代でも住宅ローンは組めるが審査は厳しくなる
60代でもマンションを購入することは可能ですが、住宅ローンを組むための審査は厳しくなることを押さえておきましょう。多くの金融機関では借入時の年齢上限を70歳に設定していますが、審査の際に返済能力や健康状態を見られるため注意が必要です。
年金生活になったときに返済が苦しくなりそうな場合、健康状態に不安がある場合は融資を受けられない可能性があります。
また、若い世代と比べると借入額や借入期間に大きく制限がかかります。
必ずしも希望額を借り入れられるわけではないため、ある程度の自己資金が必要になることは覚悟しておきましょう。
60代でマンション購入をする際の住宅ローンの組み方
60代のマンション購入を成功させるためには、無理なく返済できる住宅ローンの組み方を押さえておく必要があります。この章では、60代の住宅ローンで意識したいポイントを紹介します。
無理のない月々の返済額を見極める
60代の住宅ローンは、年金生活になっても返済ができる借入額を見極めることが大切です。「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均額は男性で16万2,000円、女性が14万6,000円、国民年金は男性が5万9,965円、女性が5万5,777円でした。[注2]
毎月どれくらい支出があるのか、住宅費にかけられる金額はどれくらいなのかを明確にし、月々の支払額から借入額を決めると失敗が少ないでしょう。
頭金を増やして借入額を減らす
定年退職後も安定した返済を目指すなら、頭金を増やして借入額を減らすことが何よりも肝心です。借入額が減れば返済時のリスクも抑えられるため、60代でも住宅ローンの審査に通りやすくなります。
また、十分な貯蓄があることのアピールにもなり、審査時の金融機関からの心象がよくなるでしょう。
繰り返しになりますが、60代のマンション購入は「定年退職後でも返済できる住宅ローンの借り入れ」がカギを握ります。
できるだけ頭金を増やし、月々の支払額を抑えることが肝心です。
複数の金融機関で審査を受ける
60代が住宅ローンを組むときは、複数の金融機関で審査を受けるとスムーズでしょう。金融機関ごとに審査基準が異なり、違った結果が出る可能性があるためです。
同じ年収・年齢で審査を受けても、審査に通るか通らないか、いくらまで融資が可能かは金融機関によって異なります。
より好条件な住宅ローンを組めるよう、いくつか審査を受けて選択肢を増やしておくことをおすすめします。
親子リレーやリバースモーゲージなどを検討する
住宅ローンの審査に不安がある場合は、親子リレーローンやリバースモーゲージ型住宅ローンを活用することもひとつの選択肢です。親子リレーローンは、親世代だけではなく子ども世代にも返済を引き継ぐ形式の住宅ローンです。
二世帯住宅や将来子どもが住む家を建てるときは、この制度を利用すれば最長期間で返済計画を立てられます。
リバースモーゲージ型住宅ローンは、自宅を担保に金融機関から融資を受け、毎月利息のみを支払う形式の住宅ローンです。
債務者が亡くなったあとは、自宅を売却することで一括返済することが可能です。
一般的な住宅ローンを組むことが難しい場合も、こういった制度を活用することでマンションを購入できるケースがあります。
それぞれの制度には注意点やデメリットもありますが、審査に不安がある場合は、金融機関に活用できる制度がないか相談してみるとよいでしょう。
60代でマンション購入する際の物件選びのポイント
60代のマンション購入は、物件選びの際もさまざまなポイントをチェックしておかなければいけません。とくに、老後の生活を考えて過ごしやすさを第一にマンションを比較していくことが重要となります。
この章では、60代でマンション購入する際の物件選びのポイントを紹介します。
老後も住みやすい物件を選ぶ
60代の人がマンションを選ぶためには、老後の住みやすさを重視することがもっとも大切です。住みやすさを考慮すると、コンパクトなマンションを選ぶ、もしくはシニア向けのマンションを選ぶことがおすすめです。
今よりもコンパクトなマンションへ住み替えることを「ダウンサイジング」と言います。
子育てをしていた広めの住宅から必要最低限の間取りの住宅へ引っ越すことで、管理の手間を大幅に減らすことが可能です。
また、コンパクトなマンションのなかには立地条件がよいところも多いため、車がなくても生活しやすく、将来的に売却しやすいというメリットもあります。
近年は、シニア向けの分譲マンションも増えてきました。
バリアフリー性が高く見守りサービスがあるシニア向けのマンションであれば、快適かつ孤立を防いで快適な老後の生活を目指せるでしょう。
担保評価の高い家を選ぶ
住宅ローンを審査するときは、申込者の年収や健康状態などだけではなく、住宅の価値についても見られます。金融機関は住宅を担保にして、返済が滞ったときに住宅を売却することで残債を精算するためです。
ほとんど担保としての価値がない物件の場合、物件を売却しても残債を回収することはできないため、住宅ローンの審査に通りにくくなります。
そのため、立地がいい物件や高性能な物件など、資産価値が落ちにくい物件を選ぶことが肝心なのです。
無理して新築を買わない
新築物件を買うことに憧れを抱いている人も多いかもしれませんが、60代のマンション購入の場合、無理して新築を買うことは避けましょう。新築物件は値段が高いですが、最初の入居者が入った時点で「中古物件」になってしまい、資産価値が2~3割下がってしまうためです。
また、新築物件は購入時に完成していなかったり物件の選択肢が少なかったりと、注意したいデメリットがたくさんあります。
実際の物件を内覧できて物件数が豊富な中古マンションのほうが、希望に沿ったマイホーム購入を実現しやすい傾向にあるでしょう。
近年はあえて中古物件を安く購入し、リノベーションで住みやすい間取りにカスタマイズする人も増えています。
ライフスタイルに合わせてエリアを選ぶ
また、今後のライフスタイルに合わせてエリアを選ぶことも大切です。定年退職後は、以前より自宅周辺で過ごす時間が増えていきます。
周辺環境がライフスタイルに合わない物件だと何かと苦労することが多いため、建物だけではなく周辺環境やエリアについてもしっかりと検討しましょう。
多少手狭でも利便性の高い都心が合っているのか、都会の喧騒から離れてのんびり暮らせる郊外が合っているのかなど、人によって最適なライフスタイルやエリアは異なります。
ご自身のニーズを振り返ってみて、理想の暮らし方ができるエリアの物件を選びましょう。
なお、老後のことを考えて家族の近くに住めるエリアを選ぶことも大切です。
プライバシーとコミュニケーションの取りやすさの両方を考慮し、家族にとって最適な距離感の物件を選びましょう。
60代でマンション購入する際のリスクと対策
60代であっても、住宅ローンの組み方や物件選びに気をつければマンションを購入することは可能です。しかし60代ならではのリスクもあるため、それを回避するための対策を押さえておかなければいけません。
最後に、60代でマンションを購入する際のリスクと対策について紹介します。
団体信用生命保険に加入できないリスク
通常、住宅ローンを組むときは団体信用生命保険(団信)に加入します。団信とは、住宅ローンの返済中に債務者が亡くなったり重度の障害を負ったりした場合、保険金で残債が弁済される仕組みの保険です。
団信は生命保険であるため、加入時は健康状態や年齢について審査されます。60代の場合、人によっては団信に加入できない可能性があり、万が一のときに家族が住宅ローンを負担しなくてはいけなくなるリスクがあるため注意が必要です。
団信に加入しなくても融資が受けられる、「フラット35」のような金融商品もあります。
しかし、家族に安心して暮らしてもらいたいのであれば、多少保険料がかかっても柔軟に審査してもらえる「ワイド団信」などを検討するとよいでしょう。
老後の生活資金が圧迫されてしまうリスク
60代のマンション購入でもっとも懸念されるのが、老後の生活資金が圧迫されてしまうリスクです。借入額を抑えて余裕のある住宅ローンの返済を目指すのはもちろんのこと、マンションを維持する費用も念頭に置いておかなくてはいけません。
管理費や修繕積立金、固定資産税などは返済と別にかかる費用なので、必ず月々の返済額とあわせて支払い計画を立てましょう。
また、退職金の扱いには十分注意してください。
退職金は住宅ローンを返済するための重要な資金となりますが、全額返済に当ててしまうと老後の貯蓄が減って生活が圧迫されます。
老後の生活資金をしっかりと残したうえで、退職金を住宅ローンの返済に活用しましょう。
住み替えや処分が難しくなるリスク
60代でマンション購入というと、おそらくほとんどの人が終の棲家となることを意識して物件を検討するでしょう。もちろん、物件を選ぶときは老後のことを考えて住みやすいかどうかを見ていくことになりますが、どれほど念入りに物件を選んでも住み替えが必要になるリスクはあります。
- 以前は駅から徒歩10分でも問題なかったが、足腰が弱って歩けなくなった
- 入院や施設への入所でマンションが不要になった
- 介護が必要になって子ども夫婦の家に行くことになった
あくまで一例ですが、上記のような理由で購入したマンションに住み続けられなくなる可能性は誰にでもあるものです。
万が一住み替えや処分が必要になったときに備える対策としては、資産価値の高い物件を購入することが有効です。
「駅からの距離が近い」「交通の便がいい」「人気のエリア」などといった物件は、多少古くても需要が高く、売却したり賃貸に出したりしやすい傾向にあります。
手放すときのことも考えて物件を選ぶと、せっかくのマイホームが負の遺産となるリスクを低減できるでしょう。
60代のマンション購入はリスク対策が重要
60代になってからのマンション選びには、30代や40代の方がマンションを選ぶときとは違ったコツがあります。特に、今後の生活や収入面を踏まえた上で最適な価格帯のマンションを選ぶことは重要なポイントです。
諸費用は現金での支払いが基本ですが、金融機関によってはローンに含められる場合もあります。ただし、ローンに含めるとその分金利負担が増える点には注意が必要です。諸費用の支払い方法も踏まえ、住宅ローン控除などの専門知識をベースに資金計画を立てないと損をする可能性があります。
そのため、住宅ローンを組む際は住宅購入のプロに相談しながら資金計画を立てることが必要不可欠です。住宅ローン控除やすまい給付金など、知らなきゃ損をする控除制度についての情報収集としても使えるでしょう。
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[注1]住宅金融支援機構|2024年度 フラット35利用者調査
