内装や設備を取り払ったスケルトンマンションは、コンクリートや配線・配管が露出した状態で、すぐにリノベーションを施すには最適な物件です。
自分好みの部屋を一からデザインできることから、近年注目が集まっています。しかし供給数が少なく、希望の条件では見つからないことも多いです。
本記事では、スケルトンマンションの探し方とともに、スケルトンリノベーション向きの部屋の探し方についても紹介します。
スケルトンマンションとは?物件数が少ない理由
スケルトンマンションとは、マンションの骨組みだけを残した物件のことです。
前述のように、内装や設備をすべて取り払い、リフォーム工事を行う前の状態をイメージすると良いでしょう。店舗やオフィス用の物件として売り出されることもあります。
マンションの構造上、必要な骨格のみを残しているケースが多く、購入後には間取りの設計をはじめ、自由にDIY・リノベーション可能な点が魅力です。
スケルトンマンションの供給数が少ない2つの理由
スケルトンマンションの供給数が少ない背景には、2つの理由があります。
1つ目は、売主の心理として、可能な限り解体費用をかけずに売却したいと考える点です。スケルトンマンションは、既存の内装をすべて取り払ってから売りに出すため、工事の期間も費用もかかってしまいます。
そのため、売主にとってはスケルトンにする動機が低くなってしまいます。
2つ目の理由は、スケルトンマンションよりも、リフォーム済みにした方が付加価値を上乗せできる点です。リフォームをしてから販売する方が、買主が現れやすく、販売価格も高く(販売利益が大きく)なるため、スケルトンマンションとして販売するよりも売主には好都合となります。
スケルトンマンションの3つの探し方
供給数が少ないスケルトンマンションですが、探し方を工夫することで見つけられる可能性が高まります。ここでは以下の3つの探し方について解説します。
- 不動産ポータルサイトから探す
- 地元の不動産会社に相談する
- 未公開物件の提案を受ける
不動産ポータルサイトから探す
スケルトンマンションの探し方として、最初に不動産ポータルサイトをチェックしましょう。
「スケルトン」とフリーワード検索を行うことで、スケルトンマンションがヒットする可能性もあります。
ただし多くの物件は「スケルトンからリフォーム済み」「フルスケルトンリノベーション済み」など、リフォーム後の現況で販売されていることが多いため、見つけにくい状況となっています。
地元の不動産会社に相談する
地域の不動産会社に物件購入の相談を行い、スケルトンマンションを購入したい旨を伝えておく方法があります。
タイミングによっては不動産会社が別の売主からの相談を受けた際に、優先的に連絡してもらえる可能性もあります。
未公開物件の提案を受ける
未公開物件とは、不動産ポータルサイトに掲載される前の、不動産会社が売主から売却依頼を受けた段階の物件や、売主の意向で不動産ポータルサイトへの掲載が許可されていない物件を指します。
売主からの売却依頼を受けると、通常は5〜7日以内に「レインズ(REINS)」と呼ばれるデータベースに掲載され、ポータルサイトにも公開される流れとなります。
多くの人が閲覧する前の物件であり、リフォーム会社や競合のライバルがチェックする前の段階のため、スケルトンマンションが見つかる可能性が高まります。
なお、未公開物件を探す場合、会員制家探しサイトHousii(ハウシー)を利用するのもおすすめです。未公開のものを含む、多くの物件を探すことができるため、希望に沿った物件を探すことができます。
スケルトンリノベーションに適したマンションの探し方
スケルトンマンションは供給数が少なく市場に出回りにくいため、スケルトンリノベーションを考えている場合には、リノベーション向きの中古マンションを探す方法もおすすめです。
リノベーション向きのマンションの探し方として、以下の2つのポイントを解説します。
信頼できる不動産会社を選ぶ
複数の不動産会社を訪れて、信頼できる会社や営業マンを選ぶことも大切です。
マンションの購入は不動産会社と共に進める作業のため、信頼できるパートナーがいるかどうかで物件探しの難易度は大きく変わります。
また、不動産会社の中には、リノベーションを専門とするところもあり、物件紹介からスケルトンリノベーションまでをトータルサポートしてもらえる場合があります。
そのような不動産会社に問い合わせて、スケルトンリノベーションを行いたい旨を相談すると良いでしょう。なお、不動産会社の選び方についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
内見して安全性や管理状態を確認する
リノベーションに適したマンションを選ぶには、実際に現地に赴いて内見をしましょう。
マンションのドアや、窓のアルミサッシなどの「共用部分」は工事ができないため、せっかくスケルトンから大きなリノベーションを行っても、統一感のない見た目になってしまうこともあります。
また、マンションによっては壁や柱、水回りの移動に制限がある可能性もあります。日当たりや風通し、眺望などもリノベーションによって変えられない部分のため、内見で必ず確認しましょう。
内見の際には、管理状態や共用部分の状態をチェックするだけではなく、できれば建築図面を用意し、気になったポイントをメモしておくと良いでしょう。
スケルトンリノベーションに適したマンション探しの注意点
スケルトンリノベーションに適したマンションを探す際には、以下の5つのポイントをチェックしましょう。
- マンションの建物構造
- 築年数の目安は20年
- 耐震性とハザードマップ
- マンションの管理規約
- アスベストの有無
それぞれの注意点について詳しく解説します。
マンションの建物構造
リノベーション予定のマンション選びでは、「壁式構造」と「ラーメン構造」のどちらを採用しているかが重要なポイントです。
壁式構造は、壁で建物の重さを支えるため、間仕切りの壁が撤去できない特徴があります。主に5階以下のマンションでよく使われています。
一方、ラーメン構造は、柱と梁で建物の重さを支えることから、壁を取り払って自由に間取り変更ができます。また、マンションには配管が通るパイプスペース(PS)によって水回りの移動範囲も制限されるため、建物構造がご自身のリノベーションプランに適しているかを確認しましょう。
築年数の目安は20年
スケルトンリノベーションに予算を割くために、物件価格を抑えたい場合には築年数20年前後の物件が適しています。
中古マンションは築年数が経つと資産価値が低下しますが、築20年前後から値下がり率が緩やかになります。また、マンションの居住性と資産価値を保つ大規模修繕工事が過去に行われている可能性も高くなるため、修繕履歴や修繕計画もチェックしましょう。
併せて修繕積立金の金額もチェックして、相場より高すぎないか(安すぎないか)を確認しておくこともおすすめします。
国土交通省が発表した「平成30年度 マンション総合調査結果」によれば、マンションの修繕積立金は平均月額11,243円、管理費は平均月額10,862円です(駐車場使用料等からの充当額を除く)。合計で月額22,105円を目安として、物件ごとの修繕積立金・管理費を調べておきましょう。
耐震性とハザードマップ
スケルトンリノベーションを行って長期的に住み続ける物件を選ぶためには、物件の耐震性とハザードマップのチェックもしましょう。
マンションの耐震基準は1981年6月に改正され、改正後の新耐震基準をクリアした物件は、耐震性面でも安全です。
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、洪水などの自然災害リスクを地域ごとに色分けしたハザードマップを公開しているため、ご自身が検討する物件のエリアを検索してみましょう。
マンションの管理規約
マンションの管理規約によっては、大規模なリノベーション工事が禁止されていることがあります。
一例として、先述のように玄関ドアや窓サッシ、バルコニーなどは共用部分とされ、リノベーションを行うことが不可能なケースもあります。
また階下への騒音や振動を防ぐため、フローリングへの変更が禁止されているマンションや、水回りを移動できないマンションもありますので、事前に不動産会社を通じて管理規約をチェックしておきましょう。
アスベストの有無
物件にアスベストが使用されていた場合、除去のために高額な費用がかかる可能性があるため、購入前に必ず確認しましょう。アスベスト使用調査の有無は、重要事項説明書にその旨を記載する義務があります。調査が行われていない場合には、アスベスト検査が含まれるホームインスペクション(住宅診断)を利用するなどの方法で調査・相談してみると良いでしょう。
スケルトンリノベーションの費用相場と費用を抑えるコツ
最後に、スケルトンリノベーションに必要な費用相場と、費用を抑える方法について紹介します。スケルトンリノベーションは、一から内装と設備の取り付けを行うため、コストがかかります。
できるだけ無駄な出費のないよう、以下を参考にしてください。
費用相場は500万円~1,200万円程度
マンションのスケルトンリノベーションを実施する場合、500万円~1,200万円程度が費用相場となります。ただし、設備のグレードや広さ、地域によっても大きく変わるため、目安と考えると良いでしょう。
また、住宅ローンを利用して中古マンションを購入する場合には、ローンのほかにも税金や手数料、保険料などの諸費用が発生する点にも注意しましょう。
リフォーム会社からは必ず相見積もりを取る
スケルトンリノベーションの費用を抑えるためには、必ず複数の会社から相見積もりを取ることをおすすめします。その際、金額だけでリフォーム会社を決めるのではなく、それぞれの見積もりをもとに工事内容や条件を照合しながら、全体的に比較検討しましょう。
リノベーション工事の作業範囲も十分に確認して、追加料金などが発生しないように注意しましょう。
スケルトンマンション探しではリノベーション向き物件も検討を!
スケルトンマンションの探し方には、不動産ポータルサイトをチェックする以外にも、不動産会社への相談、未公開物件の調査といった方法が挙げられます。
しかし、スケルトンマンションは供給数が少ないため、リノベーション向きの中古マンションを検討するのも選択肢です。
その場合には、建物構造や管理規約に十分注意しながら、理想のリノベーションプランを実現できる物件を選びましょう。
なお、失敗しない物件選びには、会員制の家探しサイト「Housii(ハウシー)」を利用することもおすすめです。Housii(ハウシー)では、ポータルサイトに掲載されていない未公開物件を含む、多くの物件から住まいを探すことが可能です。不動産会社とのやり取りはオンラインで完結するため、空いた時間で利用することができます。是非一度、使ってみてはいかがでしょうか?