中古マンション購入の決め手になる5つのポイントを解説

中古マンション購入の決め手になる5つのポイントを解説

かつて中古マンションは、予算の関係で新築マンションを諦めざるを得ない場合に選ぶ物件というイメージが定着していました。

しかし、近年は価格の手ごろさもさることながら、リフォームやリノベーションによる自由度が高い、エリアの選択肢が広がるといったメリットが注目され、あえて中古マンションを選ぶ人が増えてきました。

実際、2020年度に首都圏で発売された新築マンションの供給戸数は約2万9,000戸だったのに対し、中古マンションの成約件数は約3万7,000件にも上っています。[注1][注2]

ただ、初めて中古マンションを購入する方は、「本当に新築でなくて大丈夫か」「比較すべき要素がたくさんあって、何を決め手に物件を選べばよいかわからない」など、中古物件ならではの悩みを感じることも多いようです。

そこで今回は、中古マンションの購入を検討されている方のために、中古マンション購入の決め手になるポイントや、購入時によくある不安と、その解決策をまとめました。

中古マンション購入の注意点|失敗知らずのチェックリスト37項目

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中古マンション購入の決め手になるポイント

中古マンションを購入する際、決め手になる主なポイントを5つご紹介します。

中古マンションを購入するかどうか迷っている方は、以下のポイントを参考に、自分に適しているかどうか、お買い得な物件かどうかを確認してみましょう。

築年数

中古マンションを選ぶ際、真っ先に注目するのは「築年数」という方も多いでしょう。

マンションは、誰かが一日でも住めば「中古」になるため、中古マンションと一言にいっても、築年数が1年未満の物件もあれば、数十年経っている物件もあります。

築年数が浅い物件の方が劣化や傷みは少なく、場合によってはリフォームや修繕いらずで入居できるケースもあります。

ただ、中古マンションの価格は一般的に築年数が浅いほど割高になります。

立地条件によっては、同じ規模の新築マンションとほぼ変わらない価格になるため、中古マンションならではのメリットが薄れてしまう可能性があります。

では築年数がどのくらいの物件が人気なのかというと、首都圏における中古マンション成約物件の平均築年数は22.10年だったそうです。[注3]

実は平均築年数に限っては年々緩やかに上昇しており、2010年には20年を下回っていたのが、2015年以降は5年連続で平均20年を上回っています。

なぜ築20年の中古マンションが人気なのか、その理由は大きく分けて2つあります。

まず1つ目は、築20年前後がちょうど価格の下げ止まりを迎える時期であることです。

首都圏における中古マンション(新規登録物件)の築年帯別平均㎡単価をチェックすると、「築0~5年未満」から「築11~15年」までは平均㎡単価が大幅に落ち込んでいるのに対し、「築11年~15年」と「築16~20年」の物件では、ほとんど㎡単価に値下がりが見られません。

築21年を過ぎると再び㎡単価は下降しますが、当初よりは値下がり幅が緩やかなうえ、築31年以降の物件は、逆に「築26~30年」の物件よりも値上がりするという逆転現象が起こっています。

将来、ライフステージや家族構成の変化などで中古マンションを売却することを考えると、高いお金を出して築年数の浅い物件を購入するよりも、㎡あたりの単価が下げ止まる築年数20年前後の物件を購入して売却した方がコスパが良く、お買い得になると考えられます。

2つ目の理由は、ある程度年数が経過した物件の方が、建物そのものの質を見極めやすいためです。

マンションが資産価値を維持できるかどうかは、計画的に管理・修繕されていることが大前提となります。

しかし、計画修繕の内容は物件によってまちまちで、中にはろくに管理・修繕されず、老朽化が進んでいる物件もあります。

築5年未満の建物の場合、まだ一度も計画修繕が行われていないため、きっちり管理・修繕が行われる物件なのかどうか判断する材料がありません。

一方、築20年の物件なら、すでに一度計画修繕が行われているため、建物の状態を見れば、しっかり管理されている物件かどうかある程度見極めることができます。

もちろん、何がなんでも築20年前後の物件を!というわけではありませんが、築年数の浅い物件に的を絞って探すより選択肢も増えますので、ひとつの目安として心に留めておくとよいでしょう。

立地

中古マンションに限らず、物件の資産価値を決める重要な要素となるのが立地条件です。

生活利便性を重視するのなら、徒歩圏内に駅やスーパー、コンビニ、金融機関、病院などの公共施設がある物件を選ぶのがポイントです。

これから子どもを作る予定がある世帯、あるいはすでに子どもがいるファミリー世帯なら、子どもが通う学校が近場にあるかどうかもチェックしておきましょう。

ただ、生活利便性の高い物件は人気があるので、物件価額も割高になる傾向にあります。

予算オーバーになる場合は、面積や間取り、築年数などいずれかを妥協すれば、多少価格を抑えることができます。

逆にマイカーを所有している世帯なら、それほど駅チカ物件にこだわる必要はありません。

郊外は都心に比べて㎡単価が安いので、同じ価格でもより規模が大きく、設備の整った物件を選べるようになります。

一般的に郊外は都心に比べて緑豊かで閑静な場所が多いので、静かな環境で暮らしたいと考えている方は、郊外のマンションを選ぶのもありでしょう。

費用

中古マンションを選ぶ理由は人それぞれですが、やはり新築よりも手頃な価格で購入できるところに魅力を感じる方は多いでしょう。

中古マンションの相場は立地や築年数、建物の規模などによって異なりますが、首都圏における中古マンションの築年帯別の平均価格(成約)は以下の通りです。 [注4]

築年帯価格面積㎡単価
築0~5年5,883万円66.73㎡88.16万円
築6~10年5,071万円67.37㎡75.28万円
築11~15年4,484万円71.34㎡62.86万円
築16~20年4,174万円72.65㎡57.46万円
築21~25年3,202万円68.22㎡46.93万円
築26~30年1,884万円60.58㎡31.09万円
築31年~1,904万円57.14㎡33.33万円

2020年度の首都圏における新築マンションの平均価格は5,994万円、平均㎡単価は90.5万円ですので、築5年未満の中古マンションを購入する場合、新築マンションとほぼ変わらない価格になってしまいます。

価格重視で中古マンションの購入を検討するのなら、㎡単価が3~4割ほど下がる築年数11年~20年程度のマンションを選ぶと、予算をしっかり抑えられるでしょう。

または、㎡単価が新築マンションの1/3まで下がる築26年以上の中古マンションを購入し、改修するという方法もあります。

その場合、物件価格のほかにリフォーム・リノベーション費用がかかりますが、物件そのものの価格が低いため、多少大がかりな改修を行っても全体の費用を安く抑えることができます。

築26年以上が経過した中古マンションの平均価格は1,900万円ほどですので、リフォーム費用を加えてもトータル費用は2,500万円程度となり、築25年未満の物件を購入するよりコストが安くなります。

もちろん、実際のリフォーム・リノベーション費用はケースによって異なりますが、予算の関係でマンションの規模や立地、間取りを諦めなければならない場合は、リフォーム・リノベーション前提で築年数の古い物件を購入することを検討してみてもよいでしょう。

治安・防犯

特に女性の一人暮らしや、子どものいるファミリー世帯でマンションに住む場合は、周辺地域の治安の良さや、マンション自体の防犯性の高さも購入の大きな決め手になります。

日本は世界的に見て治安の良い国とされていますが、それでも犯罪がゼロになるわけではなく、2020年の刑法犯の認知件数は約61万件に上ります。[注5]

特に人口の多い地域ではどうしても犯罪の発生率が高くなりやすいため、都市部で中古マンションを購入する場合は、なるべく治安のよいエリアを選択するのもひとつの方法です。

また、通勤や通学に公共交通機関を使っていて、かつ夜遅い時間帯に帰宅することが多い方は、駅から自宅までの距離が近く、帰り道に街灯がたくさん設置されているかどうかも物件選びのポイントになります。

一方で、マンション内の防犯にも注意を払う必要があります。

警察庁のデータによると、2019年に発生した侵入窃盗の認知件数約5万7,000件のうち、マンションなどの共同住宅を対象としたものは約16%(約9,000件)に上っています。[注6]

しかも、そのうち約4%は4階建以上の共同住宅で占められており、中高層マンションでも決して安全とは言い切れません。

治安があまり良くない地域や、女性の一人暮らし、子どものいるファミリー世帯では、マンションに導入されているセキュリティシステムをチェックし、できるだけ防犯性の高い物件を選びましょう。

たとえば、オートロックマンションやモニター付きインターホン、ホームセキュリティシステム、防犯カメラなどの設備が整っている物件なら、侵入窃盗に遭うリスクを軽減できます。

耐震性

地震大国といわれる日本で中古マンションを選ぶときは、必ず耐震性の高さをチェックする必要があります。

特に築年数が1981年以前に建てられた中古マンションは、震度6強以上の大規模地震が起こった際に倒壊・崩壊するおそれのある「旧耐震基準」をもとに建設されており、現在の基準を満たしていないおそれがあります。

建物が倒壊・崩壊した場合、人命や家財に甚大な被害が及ぶ可能性がありますので、中古マンションを選ぶときは新耐震基準をもとに建てられたものかどうかしっかり確認しましょう。

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中古マンション購入でよくある不安と解決策

いくら新築マンションよりお手頃価格とはいっても、中古マンションは決して安い買い物ではありません。

購入後に悩んだり、後悔したりすることがないよう、事前によくあるトラブルや不安に対する解決策をチェックしておきましょう。

修繕積立金が値上がりする可能性は?

修繕積立金とは、約10~12年に1回のペースで実施される計画修繕に必要となる費用のことです。

マンションの場合、建物の外壁やエントランス、廊下などの共用部分は住民全員の共有資産とみなされるため、修理・修繕するための費用も住民全員で負担しなければなりません。

中古マンションは新築に比べて建物の老朽化が進んでいるため、新築マンションよりも修繕積立金が割高に設定されているケースがほとんどです。

修繕積立金は将来行う計画修繕の見積もりに合わせて決定されるため、数年後に予定している修繕の規模によっては、途中で修繕積立金が値上がりすることも考えられます。

想定外の値上げに困ることがないようにしたいという場合は、あらかじめ中古マンションの仲介業者に相談し、その物件の計画修繕について確認してもらいましょう。

不動産業者を介してマンションの管理会社に問い合わせれば、長期修繕計画に基づく修繕積立金の値上がりに関する情報を入手できます。

リフォーム・リノベーションできない場合もある?

マンションは、土地・建物のすべてが自分の所有物となる戸建てとは異なり、建物の一区画を所有しているだけなので、大がかりなリフォームはできないのでは?と不安に感じる方も多いでしょう。

結論からいうと、中古マンションでも、間取り変更などをともなう大規模なリフォームを・リノベーションを行うことは可能です。

ただし、壁で建物を支える「壁式構造」の場合、柱となる耐力壁は構造上、壊したり移動したりできないため、間取り変更の自由度は低くなってしまいます。

現在の間取りを刷新して、自分好みにレイアウトしたいという場合は、柱と梁でできた構造体で建物を支える「ラーメン構造」の物件を選ぶ必要があります。

また、専有部分の中には、ベランダやバルコニー、窓、玄関扉など、共用部分に含まれるものもいくつかあります。

これらをリフォームするには、美観や防犯の関係上、一定の制限が課せられます。
インテリアやエクステリアを自分好みにアレンジしたいと考えているのなら、事前にマンションの管理規約を確認のうえ、管理組合に問い合わせることをおすすめします。

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中古マンションを購入するときは、決め手となるポイントをしっかりチェックしてから検討しよう

中古マンションは新築物件を購入する場合とは異なり、築年数やリフォームなども考えて物件を選ぶ必要があります。

「築年数が浅い方がきれいでいい」「設備は古いけど駅チカだからいいか」など、安易な考えで中古マンションを購入すると、返済負担が大きくなったり、セキュリティが不十分だったりと、さまざまな悩みを抱える原因になります。

中古マンションは新築マンションに比べて選択肢が豊富なので、今回ご紹介した購入の決め手となるポイントを参考にしつつ、自分のニーズや目的に合った物件を探してみましょう。

[注1]首都圏マンション市場動向2020年度|不動産経済研究所

[注2][注3]首都圏不動産流通市場の動向(2020年度)|公益財団法人東日本不動産流通機構

[注4]築年数から見た首都圏の不動産流通市場|公益財団法人 東日本不動産流通機構

[注5]犯罪統計資料 令和2年1~12月分|警察庁

[注6]データで見る侵入犯罪の脅威|警察庁 住まいる防犯110番

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