近年、中古住宅を購入してリフォームする方が増えています。リフォーム費用がどのくらい掛かるのかリフォームのメリットやデメリットについて気になる方もいるかもしれません。
本記事では、中古住宅の築年数ごとのリフォーム費用相場とメリットやデメリットについて詳しく解説します。また、リフォーム時に申請できる補助金制度についても説明しますので、中古住宅を購入してリフォームを検討して方はぜひ参考にしてみてください。
マンションリノベーションのメリットやデメリットを解説!リノベ物件の特徴も紹介!
中古住宅リフォームの費用相場
2017年に実施された大型リフォームを対象にした調査によれば、中古住宅購入時のリフォーム費用の平均は612.9万円となっています。また、同調査では半数以上の人が300~500万円の範囲でリフォームを実施しており、1000万円以上のリフォームを実施している割合が10%という結果が出ています。引用元:リクルート住まいカンパニー実施「大型リフォーム実施者調査」
この章では一般的に必要とされる中古住宅のリフォーム内容と費用相場を築年数ごとに説明しますのでリフォームを検討する際にお役立てください。
築5年未満の中古住宅のリフォーム費用相場
築5年未満の中古住宅をリフォームする場合、内装や住宅設備の劣化はほとんどありませんので、大きなリフォームは必要ないでしょう。リフォーム内容としてハウスクリーニング程度で十分なため、リフォーム費用としては3~10万円程となります。また、畳やクロスも張り替えるリフォームは、1部屋あたり3~15万円程度の費用が別途かかります。築5年未満の中古住宅のリフォーム費用相場をまとめると、内装のリフォームが中心となるため、総額7〜15万円程度が費用が掛かると考えておきましょう。
築10年以上の中古住宅のリフォーム費用相場
築10~15年未満の中古住宅は内装や住宅設備が多少老朽化し始める頃です。なかでも、クロスは室内全体を張り替えるケースが多いです。100㎡の中古住宅をリフォームする場合は、リフォーム費用として50万円程度かかります。また、外装塗料の耐久年数は10年程度のため外壁にひび割れや剥離が見られる場合もあるでしょう。外壁や屋根のリフォーム費用相場は100万円程です。
築10~15年未満の中古住宅では内装だけでなく外装のリフォームも視野に入れる必要があります。そのため、 築10~15年未満の中古住宅をリフォームする場合は、リフォーム費用として10〜150万程度を目安として考えておきましょう。
築15年以上の中古住宅のリフォーム費用相場
築15~20年未満の中古住宅のリフォームは内装や外装だけでなく、住宅設備のリフォームも必要となるケースが多いです。特に水回りは耐用年数が10~20年程度なため老朽化が激しい場合は設備の総取り換えも必要となってきます。築15年以上の中古物件のリフォームの費用相場は 総額約150万〜265万円程度と100万円を超えるケースも少なくありません。
築20年以上の中古住宅のリフォーム費用相場
築20~25年未満の中古住宅ではフローリングの傷みや浮きも目立ってくるため、部分的な張り替えが必要となる場合が多いです。また、レンジフードの汚れやシンク周りの錆やくすみなど、老朽化が激しいときはキッチンの交換も必要となります。キッチンリフォームの費用相場は、60~100万円程度です。築20年前後の中古住宅であれば新耐震基準を満たしている物件も多く、耐震補強工事が発生するリスクが低い点もメリットです。築20~25年未満の中古住宅のリフォーム費用相場は総額約270〜375万程度が目安となります。
築25年以上の中古住宅のリフォーム費用相場
築25~30年未満の中古住宅ではフローリングの損傷が激しく、総張り替えをするケースが多いです。また、築20年の中古住宅と比べると、内装や外装そして住宅設備と一通り点検・修理が必要なためリフォーム費用は割高となります。そのため、リフォーム後は定期的なメンテナンスや点検をすることで住宅の長寿命化を図りましょう。築25~30年未満の中古住宅のリフォーム費用相場は部分別リフォームの場合は200〜500万程度であり、建物全体をリフォームする場合は1,000万円以上必要となるケースも出てきます。
築30年以上の中古住宅のリフォーム費用相場
築30年以上の中古住宅の場合、ほとんどの住宅設備が耐用年数を迎えるため故障や不具合が頻発します。さらに、1981年6月以前の旧耐震基準で建てられた物件では耐震補強工事も必要です。また、古い建物では間取りが現代のライフスタイルに合っていない、断熱材が使われていない、地盤の傾きなど建物の構造そのものの補強・修理が必要となる場合も多くみられます。
築30年以上の中古住宅のリフォーム費用相場は部分別リフォームでは400〜600万程度であり、全面的にリフォームする場合は1,300~1,500万円程かかると考えておきましょう。
中古住宅の部分別リフォームの費用相場
部分別リフォーム費用の目安は以下のとおりです。リフォーム箇所 | 費用相場 | |
---|---|---|
水回り | キッチン | 50~100万円 |
風呂場 | 60~120万円 | |
トイレ | 15~30万円 | |
洗面台 | 10~25万円 | |
内装 | 壁紙・クロス | 5~10万円 |
床材 | ~10万円 | |
外装 | ~150万円 | |
リビング | 50~150万円 |
上記以外にも耐震補強法事を行うのであれば100~200万円程度と、一口に「リフォーム」といっても箇所や内容によって価格は変わります。この章では、水回りと内装のリフォーム費用について解説していきます。
水回りのリフォーム費用相場
水回りのリフォームは主にキッチンや風呂場、洗面台などが挙げられます。キッチンのリフォーはI型キッチン、L型キッチンそして対面型とさまざまな種類があります。それぞれ種類によって費用は若干変わってきますが、キッチンのリフォーム費用の相場は100~150万円程です。浴室をユニットバスに交換する場合のリフォーム費用は、70〜100万円程度です。ただし、築年数が経過したマンションで浴室が従来工法である場合は、浴室の解体作業が別途必要となり、15万円程度追加で支払う必要があります。
洗面所のリフォームは洗面台の交換だけする場合は20〜50万円程度です。また、防水性の高いクロスや床材を選ぶことも重要です。
内装のリフォーム費用相場
壁や床のクロスの張り替えは5万円台からとお手頃価格で行うことができます。しかし、使用する素材によって費用が大きく変わってくるため部屋のイメージや性能、予算とのかねあいをよく考えて選びましょう。中古住宅を購入してリフォームするメリット
中古住宅を購入してリフォームするメリットは以下のとおりです。- 新築を購入するより費用を抑えられる
- 理想の部屋にアレンジできる
- 比較的短期間で施工が完了する
新築を購入するより費用を抑えられる
リフォームは手間や費用を抑えやすいため新築より費用を抑えることができます。新築マンションと中古マンションの物件価格差の違いについては、東日本不動産流通機構の調査によると、中古マンションの物件平均価格は3,668万円とのことです。一方、新築マンションの物件平均価格は5,994万円となっています。参考元:東日本不動産流通機構
そのため、新築を購入するよりも中古住宅を購入してリフォームやリノベーションなどをした方が費用を安く抑えることができるのです。リフォームであれば工事自体のコストは抑えられますが、思ったより割高になってしまうこともあるので新たに導入する設備や素材などの料金も考慮しておくようにしましょう。
理想の部屋にアレンジできる
リフォームは建物の一部を変えるだけの工事なので、基本的な構造はそのままの状態で、より快適な空間を作れます。また、施工完了後における生活の動線や家具の配置などの想定もしやすいため、失敗が少ない部分も大きなメリットです。中古住宅を購入する際も明確なイメージをもとに新築のような環境を生み出せます。
比較的短期間で施工が完了する
リフォームは施工期間も短くなる傾向にあります。部分的な改修のみであればそのまま生活が続けられるので仮住まいを用意する必要もありません。工事の内容にもよりますが、リフォームに何ヵ月もかかることは考えづらいです。なかには数時間ほどで完了するケースもあります。多くが1週間ほどの施工なので期間をかけたくない場合には、必要な部分だけ少しずつ改修を進めていくのもひとつの方法です。
中古住宅を購入してリフォームするデメリット
中古住宅を購入してリフォームするデメリットは以下のとおりです。- デザイン性の重視がしづらい
- リフォームローンの金利が高くなる可能性がある
デザイン性の重視がしづらい
リフォームは建物の構造自体を大きく変える工事ではないので内装全体の雰囲気を変えたい場合には適していないです。また、一部だけ改修するリフォームの場合、他の部分と調和させることが難しく、デザイン性の高さはあまり望めないかもしれません。リフォームローンの金利が高くなる可能性がある
中古住宅を購入してリフォームする場合はリフォームローンを利用するのが一般的です。リフォームローンは住宅ローンよりも金利が高い傾向にあります。また、工事期間中の家賃などの二重払いも発生する可能性があるため、無駄に費用が掛からないように資金計画はしっかり立てるようにしましょう。中古住宅のリフォーム費用を抑える7つの対策
中古住宅のリフォーム費用は工夫次第で抑えられます。リフォーム費用を抑えるコツは主に以下の8点です。リフォームを検討する方はぜひ試してみてください。
- 築浅の物件を購入する
- 状態のよい物件を購入する
- 予算を決める
- リフォーム業者数社に見積り依頼する
- 分離発注も考慮する
- 低価格の設備や素材を使用する
- 簡単なものはDIYリフォーム
築浅の物件を購入する
築5年未満などの築浅の中古住宅は住宅設備の劣化がほとんどなく、ハウスクリーニングなど最低限のリフォームで済みますので、リフォーム費用の節約に繋がります。しかし、築年数が浅い物件は新築物件と販売価格がほとんど変わりません。そのため、中古住宅のメリットである「購入価格を抑える」という点では少し弱い物件ですが、リフォームに費用をあまりかけたくないのであれば検討してみるのも一つの方法です。
状態の良い物件を購入する
築年数が経過していても物件の状態がよい中古住宅はリフォーム費用を抑えられます。特に、築20年前後の新耐震基準で建てられた物件や、間取りがライフスタイルと合っている物件なら大がかりなリフォームは不要です。そのため、物件購入価格やリフォーム費用どちらの節約にも繋がります。予算を決める
中古住宅を購入してリフォームする場合、事前に予算を決めることで費用のかけ過ぎを防止することができます。水回りやキッチンなど、費用が高額になる住宅設備からリフォーム計画を立てるとよい予算を決めやすいです。リフォーム業者数社に見積り依頼する
リフォーム内容が決まったらリフォーム業者数社に見積りを依頼しましょう。リフォーム費用は担当する業者により大きく金額が異なるため、1社で決めるのではなく必ず数社に見積りを取るようにしてください。
一般的に地元の工務店で依頼すれば比較的費用が抑えられ、業者の規模が大きくなるにつれて費用は高くなっていきます。
地元の工務店、中堅・大手リフォーム会社など事業規模の違う数社に見積りを出してもらい比較検討のうえ依頼しましょう。
分離発注も考慮する
リフォーム箇所が少ない場合は分離発注も考慮に入れるとよいでしょう。分離発注とは、リフォーム会社に依頼せずに必要な箇所のリフォームを直接専門業者に依頼する方法です。例えばクロスの取り替えのみなら「壁紙張り替え専門店」に直接リフォームを依頼します。直接依頼をすることで、仲介手数料がかからない分、リフォーム費用を安く抑えることが可能です。
分離発注する際は、それぞれの業者が別々で作業を進めてしまうため現場がまとまらず、トラブルが発生したりコストや工期が増えたりしてしまうリスクがある点には注意しましょう。
低価格の設備や素材を使用する
キッチンやトイレなど住宅設備を取り替える際は、少しグレードを落とすことも費用の節約に繋がります。また、住宅リフォームで使う素材もステンレスから人工大理石、セラミックとさまざまな種類とグレードがあります。特にこだわりがない部分なら低価格の素材を選ぶこともリフォーム費用を抑える方法のひとつです。
簡単なものはDIYリフォーム
クロスや畳の張り替えなど簡単な内装は自分でリフォームしてしまう方法もあります。自分でDIYすれば材料費しかかかりませんのでリフォーム代を大幅に削減できます。例えば、「造り付けの棚などを避け、あとから自分で取り付ける」「タイルカーペットを購入して、あとから自分で設置する」などは手間がかかりますが自分でもできる作業です。ただし、住宅設備の交換や屋根のメンテナンスなど、個人での対応が難しい箇所は専門業者に依頼するほうが安全です。
中古住宅のリフォームは不動産会社選びが重要
全国的に知名度が高い大手不動産会社なら安心・安全で、取扱物件も多いというイメージを持っている方も多いでしょう。しかし、レインズの活用により取り扱っている物件の数は大手と中小でほぼ差がなくなりつつあります。レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営している不動産流通標準情報システムのことで、売却されている物件の情報が多数登録されているのが特徴です。
レインズに登録された物件は、会員になっている不動産会社のみ閲覧することが可能で、不動産会社はレインズの検索システムを活用して、顧客の希望に合った物件をリサーチします。
もちろん、大手ならではのサービスや情報網は特筆すべきものですが、一方で地域に密着した中小は、地元に関する知識が豊富で、その地域に合った物件選びをサポートしてくれるという利点があります。
ネットワークが広く普及している現代では、不動産会社の規模だけで良い・悪いを決めることはできませんので、「大手だから安心」「中小だから不安」といった偏見を持たず、会社自体の対応やサービスの良さを重視して選ぶことが大切です。
株式会社Speeeが運営するHousiiでは、オンラインで複数の不動産会社と同時並行でやり取りをすることができ、条件や希望に合った物件を提案してくれます。複数の不動産会社とやり取りをすることができるので、比較検討しながら不動産会社を選ぶことができます。
中古住宅リフォームで利用できる補助金制度
補助金はリフォーム着工前の申請が基本となります。そのため、リフォーム前にどのような補助金があるか確認し、申請漏れの無いよう注意しましょう。多くの場合、補助金制度は予算額が決まっていますので上限に到達する新規の受付を終了してしまいます。予算案が決定した新年度から募集が始まり、早いものだと夏頃には募集が締め切られますので、リフォームを検討しているなら、新年度は特に気を付けて公的な補助金の募集がないか確認しましょう。
また、平成18年9月に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」では、今ある住宅を活用する「ストック重視」の方針を打ち立てたため、今後ますますリフォームを優遇する動きが活発になるといわれています。
この章では中古住宅のリフォームで利用できる代表的な補助金・優遇制度・減税制度について解説します。
長期優良住宅化リフォーム補助金
長期優良住宅化リフォーム補助金とは住宅の性能向上や子育て世帯向けの改修に対して国がリフォーム代金の一部を補助する制度です。長期優良住宅化リフォーム補助金には以下3つの補助金制度があります。補助金の種類 | 特徴 |
---|---|
評価基準型 | 耐震・耐久・省エネ性を確保するリフォームに対して最大150万円の補助が受けられます。 |
認定長期優良住宅型 | 評価基準型の要件に加え、長期優良住宅認定基準に適合するリフォームに対して最大250万円の補助が受けられます。 |
高度省エネ型 | 認定長期優良住宅型の要件に加え、省エネルギー基準比20%削減するリフォームに対して最大300万円の補助が受けられます。 |
補助金の申請は通常リフォーム業者が行い、発注者に助成金が還元されます。制度を利用する際は、補助金制度に対して理解のある業者に依頼するように留意しましょう。
住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税・控除)では10年間、住宅ローン残高の1%を所得税から控除できます。新築の購入だけでなく一定の耐震基準を満たした中古物件の購入や適用条件を満たしたリフォームについても減税制度が適用されます。住宅借入金等特別控除の適用要件は以下のとおりです。- 建築後使用されたものである
- 家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年以下である
- 耐震基準に適合する建物である
- 贈与による取得でない
引用元:国税庁
住宅借入金等特別控除を利用するためには個人で申請を行い、確定申告も忘れずにするようにしましょう。
フラット35リノベ金利優遇制度
住宅借入金等特別控除を利用するためには個人で申請を行い、確定申告も忘れずにするようにしましょう。フラット35リノベとは中古住宅を購入し一定の条件を満たすリフォームを行うとき、借入金利を年0.5%一定期間引き下げる制度です。「金利Aプラン」「金利Bプラン」の2つから選ぶことができます。各プランの特徴や条件は以下のとおりです。
プラン | 条件 | 特徴 |
---|---|---|
金利Aプラン | リフォーム工事費300万円以上 | 当初10年間は金利0.5%引下げ |
金利Bプラン | リフォーム工事費200万円以上 | 当初5年間は金利0.5%引下げ |
なお、適用を受けるには「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性」のいずれかの要件を満たす必要があります。フラット35リノベの詳細について知りたい場合は取扱金融機関へ相談してみてください。
地震保険料の割引制度
地震保険に加入しており、リフォームによる耐震改修を行い新耐震基準を満たす場合には10%の耐震診断割引を受けられます。地震保険に加入する場合、昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建てられた物件では保険料の割引を受けることができませんので注意してください。中古住宅をリフォームして快適な暮らしを手に入れよう
中古住宅のリフォーム費用相場は築年数や住宅の状況によって大きく異なります。そのため、中古住宅では購入費用は抑えられても、リフォーム費用で想像以上に高くついてしまうという事態も発生しやすいです。
そこで重要になるのが、中古住宅の中でもなるべく状態の良い物件を選ぶということ。そもそもの状態がよければ、リフォーム箇所は最小限に抑えることができ、お得にきれいな住宅を手に入れることができます。
ただし、状態の良い住宅を見極めるためには、耐震性能や給排水管、リフォームについての専門知識がないと難しいものです。そこでHousii(ハウシー)を使えば、住宅購入のプロにオンラインで無料相談ができます。さらに、希望条件を登録しておけば複数の不動産会社があなたにぴったりの物件をご提案。やり取りはハウシー内のチャットで匿名で行うことができるため、いきなり電話がかかってくることもありません。
後悔しない中古住宅購入を実現するために、ぜひご活用ください。