私の家の解体費用はいくら?
アスベスト解体の危険性
アスベストとは、天然に産出する繊維状の鉱物の総称です。
耐熱性や耐久性、絶縁性に優れた性質が注目され、「奇跡の鋼材」として1960年代~1970年代後半に建材や断熱材として世界中で使用されていました。
しかし、アスベスト繊維が空気中に飛散し、吸引することで肺がんなどの健康被害を引き起こすことが判明し、現在では製造・生産が完全禁止となっています。
日本で製造・生産が全面禁止となったのは2006年ですが、2006年以前に建てられた建物の場合は、いまだアスベストが含まれている場合があります。
専門業者に必ず依頼
アスベスト解体は専門業者の依頼が必須です。専門業者はアスベスト除去に関する資格や経験を持ち、法令に基づいて安全に作業します。
Q.アスベスト専門業者は、具体的にどのような作業を行うの?
【アスベスト専門業者の作業内容】
- まず防護シートや隔離設備で作業区域を完全に封じ込め、飛散防止のため湿潤化処理(水や薬剤を用いて粉塵の拡散を防ぐ)を実施。
- 作業員は防塵マスクや防護服を着用。粉塵を吸引する高性能フィルター付き機器によって安全対策を徹底。
- 除去作業後には空気中のアスベスト濃度を測定し、基準値以下(安全性確保)を確認するまで作業。
- 行政への届け出や廃棄物の処理も代行し、伴う法的な手続きもすべてサポート。
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アスベストの解体費用はいくら
危険性が高いアスベスト解体ですが、解体費用の相場はいくらなのでしょうか?
レベル別の解体費用相場
▼レベル別の解体費用(赤みが強いほど解体工事の危険度が高い)
レベル | 危険性 | 飛散性 | 相場(㎡あたり) |
レベル3 | 比較的低リスク | 固形化された建材で、低い | 2,000~5,000円 |
レベル2 | 中程度の危険性 | 削り取りや破砕を伴う作業が必要で、中程度 | 4,000~8,000円 |
レベル1 | 最も危険 | 吹付け材や劣化が進行しており、高い | 8,000~15,000円 |
アスベストレベル3、レベル2、レベル1の特徴は次のとおりです。
レベル3:比較的低リスク(固形化された建材)
アスベストレベル3の解体費用の相場は2,000~5,000円/㎡で、危険性や飛散性が比較的低い建材となります。
建材が固定化されているため飛散性が低く、対象建材は、スレート瓦、波板、サイディング材、セメント板などです。比較的低リスクだからといって適切に処理しないと、健康被害をひきおこす可能性があるため注意しましょう。
レベル2:中程度の危険性
レベル2の解体費用の相場は4,000~8,000円/㎡で、危険性や飛散性は中程度です。飛散性が中程度なのは、建材にアスベストが練り込まれており、通常の使用では飛散しにくいが、切断や削り取りで粉塵が発生する可能性があるためです。
レベル1:最も危険(飛散性が高い)
レベル1の解体費用の相場は8,000~15,000円/㎡で、危険性や飛散性が最も高いです。繊維がむき出しになっており、非常に飛散しやすい点が特徴です。特に劣化が進んでいる場合、空気中に大量の繊維が拡散するリスクがあります。
対象材は吹付け材や耐火被覆材などで、作業区域を完全に隔離し、湿潤化処理や封じ込め工法といった高い専門技術と設備が必要となります。
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部位別の解体費用相場
▼部位別の解体費用(赤みが強いほど解体工事の危険度が高い)
部位 | 対象建材 | 相場(㎡あたり) |
---|---|---|
屋根 | スレート瓦、波板 | 3,000~5,000円 |
外壁 | サイディング、波板 | 3,000~6,000円 |
内壁・断熱材 | ケイ酸カルシウム板、配管断熱材 | 4,000~7,000円 |
天井、柱、梁 | 吹付け材 | 8,000~12,000円 |
屋根(スレート瓦、波板)
屋根に使用されるスレート瓦や波板は、アスベストがセメントに混ぜられた建材です。
飛散リスクは比較的低い「レベル3」に該当し、解体費用の目安は1㎡あたり3,000~5,000円となっています。ただし、屋根面積が大きかったり、劣化が進んでいる場合にはコストが増加する可能性があります。
レベル3といえど、高所を伴う場合には作業が複雑になり、安全対策や足場設置の費用が加算されることがあります。作業では湿潤化処理を行い、飛散を防ぐことが求められます。屋根材の状態や作業条件によって見積もりが大きく変わるため、事前の調査と相談が重要です。
外壁(サイディング、波板)
外壁に使われるサイディング材や波板はアスベストを含む場合があります。一般的には飛散性が低い「レベル3」に該当しますが、劣化している場合や取り外しの際には粉塵が発生する可能性があります。
解体費用の相場は1㎡あたり3,000~6,000円で、建物全体の外壁面積によって大きく変わります。また、劣化が進んだサイディング材は慎重な取り扱いが必要で、追加の費用が発生する場合があります。
内壁・断熱材(ケイ酸カルシウム板、配管断熱材)
内壁や配管に使用される断熱材は、アスベストを含む場合が多く、特にケイ酸カルシウム板や配管周りの断熱材が典型的です。
飛散性は「レベル2」に分類され、解体費用の相場は1㎡あたり4,000~7,000円です。また、配管周りの作業は、断熱材を取り外すだけでなく、周辺設備の保護が求められるため、作業が複雑になりコストが増加することも。
天井、柱、梁(吹付け材)
天井や柱、梁に使用される吹付け材は、アスベスト含有建材の中で最も危険性が高い「レベル1」に該当します。
費用の目安は1㎡あたり8,000~12,000円と高額で、特に体育館や倉庫のような天井が高い建物では、足場設置費用が加算される場合があります。
繊維がむき出しの状態で飛散性が非常に高いため、解体時には慎重な処理が必要です。作業区域の完全隔離、湿潤化処理、封じ込め工法などが実施され、高度な技術と設備を要します。
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アスベストが含まれる建物を解体する流れ
本章では、アスベストが含まれる建物を解体する場合の流れを解説します。
▼アスベストが含まれる建物を解体する流れ
- アスベスト調査の実施
- アスベスト解体工事の見積もり依頼
- 専門業者との打ち合わせ
- 解体工事前の準備
- 解体工事の実施
- 解体後の処理
- アフターフォロー
順におって解説していきましょう。
アスベスト調査の実施
画像参照:DK note _【ブログ】現場体験取材3~アスベスト調査編~
- Q.アスベスト調査、アスベスト解体、建物解体の業者は異なりますか?
- このエリアにアスベスト調査、アスベスト解体、建物解体の業者は、それぞれ異なる場合が一般的です。それぞれで異なる専門性を要するので、別々の業者が担当する場合が多いですが、一部の業者ではワンストップで対応することも可能です。
- Q.アスベスト調査の費用は別途かかりますか?
- アスベスト調査の費用は別途かかります。調査費用の目安は、建物の規模や調査箇所の数によって異なりますが、10万~30万円程度 / 棟が一般的です。また、アスベスト調査費用は、1棟あたり最大25万円まで補助金が国や自治体から受けられるケースがあります。対象や金額、申請手続きは各自治体によって異なるため、事前にお住まいの自治体の担当窓口や公式ウェブサイトで最新の情報を確認することをおススメします。
アスベスト解体工事の見積もり依頼
アスベスト調査によってアスベストが含まれていることが発覚した場合は、アスベスト解体工事の見積もりを依頼しましょう。
業者選びでまず確認すべきは、業者が必要な許可や資格を持っているかです。具体的には、【アスベスト取り扱いに関する専門資格】(例:特別管理産業廃棄物管理責任者など)や【解体工事業の許可】です。これらの資格があれば、安全管理のノウハウを持っており、法令を遵守した作業が期待できます。
また、アスベスト解体の実績が豊富な業者であることも重要なポイントです。経験豊かな業者は、効率的かつ安全に工事を進める技術と体制を整えています。
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専門業者との打ち合わせ
見積を比較して施工を依頼したい業者が決まったら、具体的な工事内容やスケジュールを打合せましょう。
まず、建物のどの部分を解体するのか、また作業がどのくらいの期間で行われるのかをしっかり話し合います。アスベストの飛散を防ぐための具体的な対策もご確認ください。例えば、作業区域を防護シートで囲む「隔離措置」や、アスベスト粉じんが飛散しないよう水や薬剤を使用する「湿潤化」などの方法が適切に取られるかを確認しましょう。
さらに、近隣住民への配慮も重要なポイントです。作業中に発生する粉塵や騒音について、住民への説明計画を業者と相談してください。
解体工事前の準備
工事開始前には、業者が行政への届出と安全対策の確認を代行します。
アスベスト解体工事は法令に基づき、事前に行政機関へ届け出を行うことが義務付けられています。基本的には業者に任せられますが、施主として必要書類やスケジュールを共有し、手続きが確実に行われるよう確認しましょう。
また、解体工事が安全に進められるよう、作業区域の隔離対策も確認します。防護シートや負圧装置を使った区域の隔離が適切に行われ、作業員が防護具(防塵マスクや防護服)を使用していることも確認しましょう。業者から「安全管理計画書」を受け取って内容を確認することで、工事の安全性について理解を深められます。
解体工事の実施
工事の実施段階では、業者からの進捗報告を定期的に受け取り、作業が計画通り安全に進んでいるかを確認しましょう。
解体後の処理
解体作業が終了した後は、作業区域の清掃と最終的な安全確認を行います。
【アスベスト清掃作業の様子】
画像参照:オキナワ解体工事ドットコム_アスベスト除去工事について
清掃には高性能フィルター付き掃除機(HEPAフィルター)を使用し、細かいアスベスト繊維もしっかり除去します。清掃後は、作業区域を慎重に点検し、残留物がないかも確認。アスベストが残っている場合は、再度適切に除去します。
最後に、作業区域の空気サンプルを採取し、空気中の繊維濃度を測定。結果が安全基準を満たしている場合、作業区域が完全に安全な状態であることが保証されます。
アフターフォロー
工事完了後は、業者から必要な報告書を受け取りましょう。
「工事完了報告書」には工事が計画通りに行われた詳細が記載され、「廃材処理報告書」にはアスベスト廃材が適切に処理された証拠が含まれています。
報告書は、将来的にトラブルを防ぐための重要な記録となりますので、必ず保管しておきましょう。
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