「アスベストレベル3って?他のレベルとどう違うの?」
本記事では、アスベストを含む建物の解体工事を検討中の方に向けて、アスベストの各レベルの特徴や、除去費用の相場、解体時に注意点を解説しています。
私の家の解体費用はいくら?
▼家の解体費用の基礎知識はこちらの記事で解説しています。
アスベストレベルに関する違いとは
アスベストレベルの違いについて、次の3点を中心に解説します。
▼アスベストレベルに関する違いとは
- アスベストレベルは発じん性で異なる
- 発じん性でレベル分けされる理由
- アスベストが建材として使用された背景
アスベストレベルは発じん性で異なる
アスベストレベルは、発じん性によって異なります。
アスベスト(石綿)の発じん性とは、飛散のしやすさのことです。
そのため、アスベストレベルとは、発じん性(=飛散のしやすさ)に合わせた作業レベルのことです。
アスベストレベルは3段階に分けられ、レベル1が最も発じん性が高く危険で、レベル2、レベル3の順に危険度は下がります。
つまり、レベル3が最も発じん性が低いのです。
発じん性でレベル分けされる理由
アスベストが発じん性でレベル分けされるのは、安全に除去工事を行うためです。
アスベストの粉じんは健康被害のリスクが高いため、レベル分けすることで危険度に応じた除去工事が行えるようにするのです。
アスベストとは、石綿と呼ばれる繊維状に変形した天然鉱物で、空気中に飛散しやすいことで知られています。
さらに、吸引量が多ければ多いほど、肺がんなどの健康被害が生じるリスクが高くなります。
そのため、解体時は、石綿障害予防規則などの法令に基づき、厳重な対処をしなければなりません。
具体的には、含有有無の事前調査や労働者のばく露(アスベストに晒されること)防止措置、作業記録の保存などを実施する必要があります。
アスベストが建材として使用された背景
アスベストが建材として使用されたのは、耐熱性や対摩擦性が非常に優れていたため、1950年代より「奇跡の建材」として広く知られるようになったからです。
当時は、アスベストによる健康被害は報告されておらず、健康被害があることは知られていませんでした。
実際、アスベストの健康被害が問題視されるようになったのは、1970年代になってからでした。
アスベストの危険性が高いことが発覚したため、1975年から規制されるようになり、2006年に全面的に使用禁止となりました。
このような経緯から1950年代から2006年までに建てられた建築物にアスベストが含まれている可能性が高くなっています。
アスベストレベルの特徴と対策の一覧
アスベストレベルの特徴と対策を一覧にすると、次のようになります。
▼アスベストレベル別一覧
レベル | 発じん性 | 建材の種類 | 使用箇所 | 解体時の対策 |
---|---|---|---|---|
レベル3 | 比較的低い | レベル1・2以外の石綿含有建材(成形板など) | ・屋根材・外壁材 ・内装材:天井や壁、床など | ・建設リサイ・特定粉じん排出等作業届クル法に基づく届出 ・事前調査結果の報告 ・湿式作業を原則 |
レベル2 | 高い | 石綿含有保温材 耐火被覆材 断熱材 | ・ボイラ本体・空調ダクトの保温材 ・柱やはり、壁の耐火被覆材 | ・事前調査結果の報告 ・工事計画届 ・建物解体等作業届 ・建設リサイクル法に基づく届出・レベル1に準じて高いばく露 防止対策 |
レベル1 | 著しく高い | 石綿含有吹付け材 | ・鉄筋構造の建築物などのはりや柱、エレベーター周り ・ビルの機械室やボイラー室などの天井や壁 ・ビル以外の建築物(学校、体育館、講堂、工場、温泉の建物など)の天井や壁 | ・事前調査結果の報告 ・工事計画届 ・建物解体等作業届 ・建設リサイクル法に基づく届出・厳重なばく露防止対策 |
アスベストレベル3:発じん性(危険度)が比較的低い
発じん性(危険度)が比較的低いアスベストレベル3について、次の3点を解説します。
▼アスベストレベル3:発じん性(危険度)が比較的低い
- 建材の種類
- 使用箇所
- 解体時の対策
建材の種類
アスベストレベル3に該当する建材の種類には、次のようなものがあります。
▼建材の種類
- 石綿含有成形板(アスベスト成形板)
- 石綿外壁塗装剤
- ビニール床タイル
- 石綿スレート
アスベストの含有量は少なく建材にしっかりと固定されているため、発じん性は比較的低いです。
そのため、普通に使用する分には、飛散する可能性は低いという特徴があります。
しかし、解体する際、破砕したり、切断したりするとアスベストが飛散するおそれがあるため、安全対策をする必要があります。
使用箇所
アスベストレベル3の建材は、建築物の屋根材や外壁材として使用されるほか、内装材として天井や壁、床などに使用されます。
解体時の対策
アスベストレベル3の解体時の対策として、安全対策や工法、必要な届出があります。
安全対策や工法
アスベストレベル3の安全対策として、次の2つの対策が挙げられます。
- 水を撒きながら、手バラシで除去する
- 破砕や切断などの作業時は、防じんマスクをして湿式作業が原則
アスベストレベル3の建材は、破砕や切断などの作業をする際に粉じんが飛散します。
そのため、やむを得ない場合を除き、破砕や切断などをせずに、水を撒きながら手バラシで除去するのが基本です。
しかし、破砕や切断などをするときは、粉じんが飛散するため、湿式作業を原則として、防じんマスクが必要になります。
湿式作業とは、粉じんの発生を抑える目的で水を撒く作業のことです。
アスベストを除去する工法として、次の5つの工法があります。
アスベスト除去工法 | 内容・特徴 |
封じ込め工法 | 薬剤を使って、アスベストが飛散しないように封じ込める工法 |
囲い込み工法 | アスベスト含有層を新たな建材で密閉する工法 |
除去工法(リムーバル工法) | アスベスト含有層を下地から完全に取り除く工法 |
剥離工法 | 薬品によってアスベストを取り除く工法 |
ウォータージェット工法 | 超高圧水によってアスベストを除去する工法 |
アスベストレベル1~3に対応している工法は、封じ込め工法、囲い込み工法、除去工法です。
剥離工法は、主にレベル3に対応しています。
ウォータージェット工法は、主にレベル2、3に対応している工法です。
必要な届出
アスベストレベル3の解体時に必要な届出として、次の2つが挙げられます。
・建設リサイクル法に基づく届出
・事前調査結果の報告
建設リサイクル法に基づく届出
建設廃棄物の適正な処理を図るため、元請業者などは工事着手日の7日前までに、都道府県に建設リサイクル法に基づく届出をする必要があります。
事前調査結果の報告
事前調査とは、建築物や工作物などの解体や改造・補修工事を実施する場合に、アスベストの有無を調査することです。
その事前調査の結果を、労働基準監督署と地方自治体に報告しなければなりません。
ただし、次の条件に該当する場合です。
・建築物の解体工事:工事対象の床面積の合計が80㎡以上
・建築物の改造・補修等工事:請負金額の合計額100万円以上
アスベストの事前調査は、アスベストの飛散や労働者のばく露を防止することを目的としており、労働安全衛生法と大気汚染防止法に規定されています。
アスベストレベル3の解体時の対策をまとめると、次のようになります。
▼安全対策
・水を撒きながら、手バラシで除去する
・破砕や切断などの作業時は、防じんマスクをして湿式作業が原則
必要な届出 | 目的 |
建設リサイクル法に基づく届出 | 建設廃棄物の適正な処理を図る |
事前調査結果の報告 | アスベストの飛散や労働者のばく露を防止する |
アスベストレベル2:高い
発じん性(危険度)が高いアスベストレベル2について、次の3点を解説します。
・建材の種類
・使用箇所
・解体時の対策
建材の種類
アスベストレベル2に該当する建材の種類には、次のようなものがあります。
・石綿含有保温材
・耐火被覆材
・断熱材
アスベストレベル2はシート上の形態をしており、配管や空調ダクトなどに巻きつけて保温材や断熱材として利用されます。
レベル3よりも発じん性が高く、飛散しやすいため、より高いレベルでアスベストの飛散対策が必要になります。
使用箇所
アスベストレベル2の建材の使用箇所として、次のようなものが挙げられます。
▼アスベストレベル2の建材の使用箇所・用途
建材の種類 | 使用箇所・用途 |
・石綿含有保温材 ・石綿含有けい酸カルシウム保温材 | ・ボイラ本体及びその配管の保温材 |
・石綿耐火被覆板 ・石綿含有けい酸カルシウム板第2種 | 建築物の柱やはり、壁の耐火被覆材 |
・屋根用折板裏断熱材 ・煙突用断熱材 | 断熱材 |
解体時の対策
アスベストレベル2の解体時の対策として、安全対策や工法、必要な届出があります。
安全対策や工法
アスベストレベル2は密度が小さく、発じん性の高い建材の除去作業であり、レベル1に準じたばく露防止対策が必要になります。
具体的には、アスベストの量に応じて防じんマスクや保護衣を使用するレベルです。
アスベストの飛散を防止するため、壁・床面をプラスチックシートなどで囲い、飛散防止剤を散布するなどして湿潤させます。
アスベストレベル2は、廃棄物処理法において、「特別管理産業廃棄物」とされています。
レベル1も「特別管理産業廃棄物」、レベル3は「産業廃棄物」と定義されています。
そのため、アスベストレベル2は、特別管理産業廃棄物として処分しなければなりません。
<引用>
「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるもの
<引用>
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | e-Gov 法令検索
アスベストレベル2の解体工法として、次の4つの工法が使用できます。
アスベスト除去工法 | 内容・特徴 |
封じ込め工法 | 薬剤を使って、アスベストが飛散しないように封じ込める工法 |
囲い込み工法 | アスベスト含有層を新たな建材で密閉する工法 |
除去工法(リムーバル工法) | アスベスト含有層を下地から完全に取り除く工法 |
ウォータージェット工法 | 超高圧水によってアスベストを除去する工法 |
必要な届出
アスベストレベル2の解体工事をする際、必要な届出は次の5点です。
必要な届出 | 目的 | 提出先 |
事前調査結果の報告 | アスベストの飛散や労働者のばく露の防止 | 労働基準監督署 地方自治体 |
工事計画届 | アスベストの飛散防止 | 労働基準監督署 |
建物解体等作業届 | アスベストの飛散により健康被害や環境汚染の原因になるおそれがあるため | 労働基準監督署 |
特定粉じん排出等作業届 | 解体作業によるアスベストなどの飛散防止 | 都道府県 |
建設リサイクル法に基づく届出 | 建設廃棄物の適正な処理 | 都道府県 |
アスベストレベル3の解体工事をする際に必要な届出よりも、3点ほど多くなっています。
アスベストレベル1:著しく高い
発じん性(危険度)が著しく高いアスベストレベル1について、次の3点を解説します。
・建材の種類
・使用箇所
・解体時の対策
建材の種類
アスベストレベル1に該当する建材の種類は、次のとおりです。
・石綿含有吹付け材
アスベストレベル1は、発じん性が著しく高く、アスベストの中では最も危険なレベルです。
そのため、アスベストが含有された建材を使っている建築物を解体する際は、厳重な安全対策をする必要があります。
使用箇所
アスベストレベル1の建材の使用箇所・用途として、次のようなものが挙げられます。
▼アスベストレベル1の建材の使用箇所・用途
建材の種類 | 使用箇所 | 用途 |
石綿含有吹付け材 | ・鉄筋構造の建築物などのはりや柱、エレベーター周り | 耐火被覆用 |
・ビルの機械室やボイラー室などの天井や壁 | 断熱用(吸音、結露防止) | |
・ビル以外の建築物(学校、体育館、講堂、工場、温泉の建物など)の天井や壁 |
鉄筋構造の建築物とは、建築基準法の耐火建築物のことを言います。
具体的には、次の建築物です。
・3階以上の鉄筋構造の建築物
・床面積の合計が200㎡以上の鉄筋構造の建築物 など
これらの建築物でアスベストが使われたのは、昭和38年(1963年)頃から昭和50年(1975年)頃に建てられた建築物に多いようです。
柱やエレベーター周りには、昭和63年(1988年)頃まで石綿含有吹付け材が使われていました。
解体時の対策
アスベストレベル1の解体時の対策として、安全対策や工法、必要な届出があります。
安全対策や工法
著しく発じん量が多い作業で、作業場所の隔離や高濃度の粉じん量に対応した防じんマスク、保護衣を適切に使用するなど、厳重なばく露防止対策が必要なレベル
アスベストレベル1は、著しく発じん量が多い作業のため、厳重なばく露防止対策が必要です。
具体的には、次のような安全対策を講じます。
・作業場所を隔離する
・高濃度の粉じん量に対応した防じんマスクを使う
・高濃度粉じん作業に対応した保護衣を使う
このような対応をするのは、アスベストレベル1は、発じん性が著しく高く、アスベストの中では最も危険なレベルだからです。
厳重な対策をすることによって、周辺住民の健康被害を防ぐとともに、作業員へのばく露防止になります。
アスベストレベル1の解体工法として、次の3つの工法が使用できます。
アスベスト除去工法 | 内容・特徴 |
封じ込め工法 | 薬剤を使って、アスベストが飛散しないように封じ込める工法 |
囲い込み工法 | アスベスト含有層を新たな建材で密閉する工法 |
除去工法 | アスベスト含有層を下地から完全に取り除く工法 |
また、アスベストレベル1は、レベル2と同じ特別管理産業廃棄物のため、処分基準に従い、処分しなければなりません。
必要な届出
アスベストレベル1の解体工事をする際、必要な届出はレベル2と同じく、次の5点です。
必要な届出 | 目的 | 提出先 |
事前調査結果の報告 | アスベストの飛散や労働者のばく露の防止 | 労働基準監督署 地方自治体 |
工事計画届 | アスベストの飛散防止 | 労働基準監督署 |
建物解体等作業届 | アスベストの飛散により健康被害や環境汚染の原因になるおそれがあるため | 労働基準監督署 |
特定粉じん排出等作業届 | 解体作業によるアスベストなどの飛散防止 | 都道府県 |
建設リサイクル法に基づく届出 | 建設廃棄物の適正な処理 | 都道府県 |
アスベストレベルごとの除去費用の違い
アスベストが建材に含有されている場合の除去費用は、アスベストの処理面積とレベルに応じて違ってきます。
国土交通省が公表しているアスベストの処理面積ごとの除去費用は、次のとおりです。
アスベスト処理面積 | 除去費用 |
300㎡以下 | 2.0万円/㎡ ~ 8.5万円/㎡ |
300㎡~1,000㎡ | 1.5万円/㎡ ~ 4.5万円/㎡ |
1,000㎡以上 | 1.0万円㎡ ~ 3.0万円/㎡ |
出典:「石綿(アスベスト)除去に関する費用について」
ただし、アスベストの除去費用は、処理面積だけで決まるわけではなく、部屋の形状などの施工条件によっても大きく違ってきます。
また、処理面積が小さい場合、除去費用の幅が大きくなる傾向があります。
例えば、300㎡以下の除去費用の差は、6.5万円/㎡です。
アスベストのレベルごとの除去費用は、次のとおりです。
▼アスベストのレベルごとの除去費用
アスベストレベル | 除去費用 |
レベル3 | 0.3万円/㎡~1.0万円/㎡ |
レベル2 | 1.0万円/㎡~6.0万円/㎡ |
レベル1 | 1.5万円/㎡~8.5万円/㎡ |
アスベストレベルごとの除去費用の違いについて、レベルごとに解説します。
・アスベストレベル3:0.3万円/㎡~1.0万円/㎡
・レベル2:1.0円/㎡~6.0円/㎡
・レベル1:1.5円/㎡~8.5円/㎡
アスベストレベル3:0.3万円/㎡~1.0万円/㎡
アスベストの除去費用は、レベルによって違いが生じます。
アスベストレベル3は、発じん性が比較的低いため、レベル1、2よりも除去費用が安くなっています。
レベル3の除去費用は、0.3万円/㎡~1.0万円/㎡です。
具体的なレベルによる違いは、上記の表(▼アスベストのレベルごとの除去費用)のとおりです。
ここでは、アスベストレベル3の30坪住宅の費用相場を計算します。
1.30坪を㎡に換算するには、次のように計算します。
30坪 × 3.306 = 99.17㎡
99.2㎡
2.上記の表からレベル3の除去費用を計算します。
0.3万円 × 99.2㎡ = 29.76万円
1.0万円 × 99.2㎡ = 99.2万円
レベル2:1.0円/㎡~6.0円/㎡
アスベストレベル2は、発じん性が高いため、除去費用はレベル3より高く、レベル1より低くなっています。
レベル2の除去費用は、1.0円/㎡~6.0円/㎡です。
レベル1:1.5円/㎡~8.5円/㎡
アスベストレベル1は、発じん性が著しく高いため、除去費用がアスベストの中では最も高くなっています。
レベル1の除去費用は、1.5円/㎡~8.5円/㎡です。
アスベストの除去費用を安くするコツ
アスベストの除去費用を安くするコツとして、次の2つが挙げられます。
・アスベスト除去の補助金を利用する
・複数の業者から相見積もりを取る
それぞれについて、解説します。
アスベスト除去の補助金を利用する
アスベストの除去費用を安くするコツとして、アスベスト除去の補助金を利用することが挙げられます。
国や地方自治体が交付している補助金を利用すれば、その分資金調達が可能となるためです。
そんなアスベスト除去の補助金には、調査と除去の2種類があります。
そこで、地方自治体が交付している調査と除去の補助金の事例を2つ紹介します。
燕市民間建築物アスベスト含有調査費補助事業(新潟県燕市)
新潟県燕市が実施する民間建築物のアスベスト含有調査費に対する補助金です。
民間建築物のアスベスト含有調査を希望する個人・団体に、調査費の一部を交付します。
この補助金の主な条件は、次のとおりです。
上限金額 | 25万円 |
調査対象 | アスベストを含んだ吹付け材が壁、柱、天井などに吹きつけられているおそれのある建築物 |
石綿含有吹付け材を対象にしているため、アスベストレベル1のみ該当します。
福岡市民間建築物吹付けアスベスト除去等対策事業(福岡県福岡市)
福岡市福岡市が実施する民間建築物の吹付け材のアスベスト除去などに対する補助金です。
補助対象が個人・団体であることは、新潟県燕市と同じですが、この補助金は除去費用だけでなく、調査費用も含んでいます。
この補助金の主な条件は、次のとおりです。
上限金額 | 300万円(調査費の限度額25万円を含む) |
調査対象 | 吹付けアスベストが施工されているおそれのある建築物 |
調査対象事業 | ・分析調査事業 ・除去等事業 |
石綿含有吹付け材を対象にしている点は、新潟県燕市と同じです。
複数の業者から相見積もりを取る
複数の業者から相見積もりを取ることも、アスベストの除去費用を安くするコツです。
複数の業者の見積もりを比較することで、除去費用の安い業者を選ぶことができるからです。
相見積もりとは、複数の業者から見積もりを取って比較することを言います。
ただし、複数の業者の見積もりのうち、最も安い業者を選べばいいというわけではありません。
除去費用が安いだけで、見積もりがいい加減な業者が存在するからです。
複数の見積もりをよく比較することで、適正な価格がわかってきますので、依頼したい業者を決定しましょう。
わからないところは、わかるまで質問することも重要です。
その対応の仕方で、どんな業者かがわかってくることもあるからです。
アスベストレベル3の除去作業の手順
アスベストレベル3の除去作業の手順は、次のとおりです。
・事前調査
・除去作業の準備
・除去作業
・事後作業
それぞれについて、解説します。
事前調査
2022年4月に改正された大気汚染防止法に基づき、アスベストの事前調査結果を労働基準監督署と地方自治体に報告することが義務化されました。
その報告のもとになる事前調査です。
事前調査とは、解体する建築物に使われている建材にアスベストが含有されているかどうかを調査することです。
書面調査と現地調査を行うことにより、アスベストの含有の有無を調査します。
現地調査とは、建築物の天井や壁、柱などの目視による調査です。
調査終了後、次のような結論を出します。
1.アスベスト含有なしを証明する
2.証明できない場合 → 分析調査 or アスベスト含有ありとみなす
除去作業の準備
除去作業の準備として、次の作業を行います。
・養生の実施
・仮設工事(足場など安全設備の設置)
・設備機器などの撤去
養生とは、アスベストの飛散や作業員へのばく露を防ぐため、床や壁、設備機器などをシートやパネルなどで覆うことを言います。
設備機器などの撤去とは、事前に作業場内を清掃し、照明器具などを撤去することです。
除去作業
除去作業をする場合、次の2つが基本となります。
・石綿含有成形板(アスベスト成形板)の湿潤化
・石綿含有成形板(アスベスト成形板)の除去
石綿含有成形板の湿潤化とは、水を撒くことにより、建材を湿潤な状態にすることです。
石綿含有成形板を除去するにあたっては、アスベストが飛散しないように常にアスベスト含有建材を湿潤な状態に保つ必要があるからです。
アスベストレベル3の除去作業では、手バラシが基本で、運搬も手渡しです。
ただし、破砕や切断などの作業をするときは、アスベストが飛散するため、湿潤な状態にしつつ、防じんマスクが必要になります。
事後作業
事後作業として、次の4つがあります。
・清掃
・養生や仮設物などの撤去
・除去した建材の搬出
・後片づけ・仕上清掃
毎日の作業終了時に清掃を行い、清掃中は保護具の着用が必要です。
除去作業の準備時に実施した養生や設置した足場を撤去します。
除去した建材は、搬出して安定型最終処分場で埋立処分をします。
除去した建材は、石綿含有産業廃棄物としてマニフェストに記載します。
マニフェストとは、産業廃棄物管理票のことで、産業廃棄物が適正に処理されたかを確認する書類です。
後片づけをしたら、HEPAフィルター付き真空掃除機で仕上清掃をして完了です。
HEPAフィルター付き真空掃除機は、アスベストを処理するための掃除機として設計されました。
まとめ
本記事では、アスベストレベル1、レベル2、レベル3の違いを解説するとともに、発じん性や危険レベル、除去費用の違いなどを解説しました。
アスベストレベルは、発じん性(飛散のしやすさ)によってレベル1~3に分けられています。
最も発じん性が高く危険なのは、レベル1で、続いてレベル2、3の順に危険度は低くなります。
発じん性でレベル分けされているのは、危険度に応じて除去作業が行えるようにするためです。
最も発じん性が高く危険なレベル1の除去作業では、厳重なばく露防止対策が必要なため、除去費用が最も高くなっています。
続いて、レベル2、3の順に除去費用は安くなります。
自宅などの建築物を解体する際は、事前にアスベストが含まれているかどうかを調査する必要があります。
詳しく知りたい場合は、解体業者に聞けば、教えてくれると思います。
この記事が、アスベスト除去作業を検討する際の参考になれば幸いです。