「家を壊す場合の流れと注意点を知りたい!」
家を壊すときの手続きは、多岐に渡ります。必要な書類も多く、事前準備は不可欠でしょう。
予め解体工事に関する知識をつけ、業者の良し悪しを見極められるようになっておくことも大切です。
本記事では、解体工事を始めて検討している方に向けて、解体工事の流れや必要書類、費用の相場について解説しています。
- 解体工事にむけて準備をしたい
- 解体工事の流れや必要な手続きを知りたい
- 解体工事にかかる費用や業者選びのポイントを知りたい
解体工事をご検討中の方は、ご自宅の解体費用がいくらかもしっかりと把握しておきましょう。以下のツールから自分でシミュレーションできますので、ぜひご活用ください。
私の家の解体費用はいくら?
▼解体費用の基礎知識はこちらの記事で詳しく解説しています。
家を壊す流れを知っておこう
まずは、家を壊す流れをみていきましょう。
解体工事は、「①解体業者の選定」・「②事前準備」・「③実際の解体」・「④解体後の手続き」と、4つの段階に分けることができます。
▼家を壊す流れの4段階
段階 | 詳細 |
---|---|
①解体業者の選定 | 見積もりの依頼 |
見積書の確認 | |
②事前準備 | 近隣住民への挨拶 |
ライフラインの停止 | |
届け出の申請 | |
③実際の解体 | 足場・養成の設置 |
建物の解体 | |
廃材の処分 | |
整地 | |
④解体後の手続き | 建物滅失登記 |
STEP①:解体業者の選定
まずは、解体業者を決めるために解体業者を選定します。
「見積もりの依頼➡現地調査➡見積書の確認」という流れですすんでいきます。
①-1:見積もりの依頼
まず、少なくとも2~3社の解体業者から見積もりをとりましょう。
解体費用の金額は業者によって異なります。業者によっては100万円以上も金額に差が出てしまうことは珍しくありません。
私の家の解体費用はいくら?
①-2:現地調査
見積もり取得時は必ず現地調査を依頼しましょう。
解体費用の金額は、土地や家屋の状態、家財道具の有無や周辺の状況によって左右されるためです。
正しい見積もり金額を知りたい場合は、家屋の状態や周辺状況を実際に確認してもらうことが大切です。
①-3:見積書の確認
複数の解体業者から見積書を取得したら、比較しながらどの業者に依頼するかを決めます。
比べる際は見積書の内訳や費用総額を確認しましょう。
例えば「廃棄物処理費用」や「養生費」など、どのような内訳で費用が発生しているのか、細かくチェックするとよいでしょう。
内訳を把握しておかないと、後で追加費用を請求された場合にいくらか気づきにくくなってしまうためです。
STEP②:事前準備
解体業者が決まった後は、工事に向けて事前準備を行いましょう。
事前準備として主に必要なのは、「近隣住民への挨拶」「ライフラインの停止」「届け出の申請」です。
②-1:近隣住民への挨拶
「近隣住民への挨拶」は、解体工事中に発生する騒音や粉塵に対するクレーム回避につながります。
解体工事中はどうしても騒音や粉塵がでてしまいますが、事前に挨拶しておけば、近隣の方も大目にみてくれるでしょう。
挨拶周りについては、解体業者が代行してくれるケースもあります。
ただし、施主自らが挨拶したほうが印象は良いので、業者が代行する場合も施主として同行するようにしましょう。
②-2:ライフラインの停止
「ライフラインの停止」については、電気とガスの各インフラ会社に施工期間中の供給停止を依頼しておきましょう。
停止することで、解体工事中の事故の発生を防ぐことができます。
ただし、水道は解体工事中に水を使用するため、停止手続きを行う必要はありません。
②-3:届け出の申請
「届け出の申請」では、法律によって義務付けられた解体工事前の手続きを行います。
一般的には解体業者が代行しますが、どんな手続きが必要かを事前に把握しておくことは施主として大切です。
具体的な手続きの内容については、以降の章で解説していますので、ご確認ください。
STEP③:実際の解体
事前準備が完了したら、いよいよ解体工事が実施されます。
「足場・養生の設置➡建物の解体➡廃材の処分➡整地」という流れですすんでいきます。
③-1:足場・養生の設置
施工当日は、解体業者が高所での作業のため足場を組んだり、防音・防塵のための養生シートを張るなどをします。
安全かつ近隣に迷惑をかけずに工事するために必要な工程になります。
③-2:建物の解体
足場と養生の設置が終わったら、いよいよ建物の解体にすすみます。
まずは手作業で建物内の付帯物や内装材を撤去していきます。
資材の再利用を目的に、資材の種類別に分別して解体すること(=分別解体)が法律で義務付けられているためです。
すべての撤去が終わったら、重機を搬入し、基礎部分や屋根などの建物本体の取り壊していきます。
③-3:廃材の処分
建物の解体が終わると廃材の処分が始まります。
大きな建物の場合は廃材の量が多くなるため、処分に時間がかかります。
また、地中のなかにも廃材などが埋まっていないか確認していきます。
もしも埋設物が見つかった場合は、追加で撤去作業が発生します。
③-4:整地
廃材処分後は、地面を平らに整地します。
解体後に土地を売る場合は、見栄えが良くなる他、購入後すぐに活用できる状態になるため、売れやすくなります。
STEP④:解体後の手続き
建物を解体した後は、解体工事から1カ月以内に建物滅失登記の手続きを行います。
④-1:建物滅失登記
建物滅失登記とは、建物が無くなった事を登記簿に登記する手続きをいいます。
土地家屋調査士などの専門家に任せることが一般的ですが、自分で行えば費用を節約できます。
忘れると、固定資産税がかかってしまったり、建て替えができません。10万円以下の過料を請求されることも…。
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家を壊す際に必要な申請や届け出
家の解体工事には、法律で決められた以下の申請が必要です。
▼家を壊す際に必要な申請や届け出
届け出の種類 | 届け出の内容 | 提出先 | 提出の責任 |
---|---|---|---|
建設リサイクル法における各種届出 | 建設リサイクル法を遵守して工事を行う | 都道府県知事 | 解体業者 |
道路使用許可申請 | 道路を通行以外の目的で使用する | 警察署長 | 解体業者 |
特定建設作業届け | 著しい騒音や振動を発生させる工事を実施する | 自治体の生活環境保全課 | 解体業者 |
ライフラインの撤去申請 | 電気・ガス・ネットを停止させる | 各提供会社 | 施主 |
建物滅失登記 | 建物がなくなったことを登記簿に反映 | 法務局 | 建物の所有者 |
正しく申請されないと、法的な罰則が発生してしまう恐れがあるため、以降でしっかりと確認しておきましょう。
建設リサイクル法における各種届出
建設リサイクル法における各種届出は、解体工事の着工7日前までに都道府県知事へ提出することが法律によって義務付けられています。
届け出の提出は解体業者に委託することが一般的です。
しかし、責任は工事の発注者または自主施工者にあります。
施主として提出が完了されたかどうかは、工事前に必ず解体業者に確認しておきましょう。
道路使用許可申請
道路を通行以外の目的で使用する場合は、警察署長あてに道路使用許可を申請します。解体工事では、道路上に作業車などを置いて工事することが多いためです。
作業者(=解体業者)が申請すると定められており、申請をださないと解体業者が罰則を受け、工事の中断を余儀なくされることがあります。特定建設作業届け
特定建設作業とは著しい騒音や振動を発生させる作業を行う際に、自治体の生活環境保全課へ提出が定められています。
特定建設作業届は、作業者(解体業者)に提出義務があります。
ライフラインの撤去申請
ライフラインの撤去申請とは、電気・ガス・ネットの停止に関する申請のことです。
各提供会社に、解体工事の前日までに各提供会社へ施主が連絡をします。
ただし水道の停止に関しては、解体工事中に使用することがあるため、必要がありません。
建物滅失登記
建物滅失登記とは、建物の全部を解体したときや火災によって焼失したときに登記簿に反映させるために行う手続きです。
不動産登記法57条によって、建物を解体したら1カ月以内に法務局にて手続きを行わなければならないと定められています。
建物滅失登記を実施できるのは建物の所有者と土地家屋調査士になります。
建物の所有者は、自分で行うか、土地家屋調査士に依頼するかで豊富尾を決められます。
なお、かかる費用は前者だと3,000円程度、後者だと報酬が発生するので5万円程度になります。
- 建物滅失登記申請書(法務局Webサイトでダウンロードできます)
- 解体した建物の位置が記されている地図
- 解体業者の登記簿謄本
- 解体業者の印鑑登録証明書
- 解体業者の取毀(とりこわし)証明書
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家を壊す費用の相場と内訳
本章では、解体費用の相場を解説します。
家の解体費用は木造や鉄骨、RC造といった建物の構造によって次のように変わっていきます。
▼家を壊す費用の相場と内訳
建物の構造 | 木造 | 鉄骨 | RC造 | SRC造 |
坪単価 | 2万円~4万円 | 2.5万円~4.5万円 | 3万円~6万円 | 4万円~7万円 |
坪単価は解体の難しさに左右されるため、建材がやわらかい木造の坪単価は高く、次いで鉄骨造、RC造、SRC造となっています。
ただし、同じ構造でも立地から生じる解体の難しさや、家屋に使用されている建築材料の危険性(アスベストなど)によって変わってきます。
正しく費用を見積もりたい場合は、位置するエリアの信頼できる解体業者に現地調査をしてもらったうえで、確認することがおススメです。
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坪数別の解体費用
なお、坪数別の解体費用の目安は以下のようになります。
▼坪数別の建物構造別の解体費用の目安
坪数 | 木造 | 鉄骨造 | 鉄筋・コンクリート造 |
---|---|---|---|
30坪 | 90万円〜150万円 | 150万円〜210万円 | 180万円〜240万円 |
40坪 | 120万円〜200万円 | 200万円〜280万円 | 240万円〜320万円 |
50坪 | 150万円〜250万円 | 250万円〜350万円 | 300万円〜400万円 |
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解体費用の内訳
解体工事費用は大きく分けて4つあります。
▼解体工事費用
- 仮説工事費用
- 解体工事費用
- 付帯工事費用
- 廃材処分費用
- 整地費用
- 事務作業費用
仮設工事費用
仮設工事費用(かせつこうじひよう)とは、建設現場での工事を進めるために必要な一時的な設備や施設の設置・運営にかかる費用のことです。
工事現場を外部から隔離するためのフェンスやバリケード、建物の外壁工事や高所作業を行うために必要な足場の設置費用などが該当します。
安全に解体工事を進めるために必須の費用で、解体費用全体の約1割~2割を占めます。
家屋解体工事
実際の家屋解体、内部撤去にかかる費用です。
木造のように解体しやすく廃材も少ない住宅ほど費用は安くなり、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合は費用は割高となります。
前述した坪単価でおおよその金額を計算することが可能で、30坪の家の場合は約60万円〜180万円が目安です。
内訳として、人件費や重機のレンタル・リース料などが大きな割合を占めます。そのため工期が長引くほど高額になりやすい傾向もあります。
付帯工事費用
基礎撤去、ブロック塀撤去、庭石撤去や樹木伐採など、家屋解体に付帯する作業費用です。
撤去する構造物ごとに計算されるため、現地調査の際に見積もりを出してもらうことが可能です。
主な構造物と撤去費用の相場は、以下の通りです。
【付帯物の種類ごとの撤去費用】
種類 | 相場 |
カーポート撤去費用 | 6万円~/1台用 |
ブロック塀撤去費用 | 5,000円~1万円/1㎡ |
庭木の撤去費用 | 5,000円~3万円 |
門扉の撤去 | 2万円程度 |
駐車場の撤去 | 2万円~3万円/台 |
倉庫・物置の撤去 | 2万円~3万円 |
廃材処分費用
廃棄物処分費は、家の解体に伴って発生した木材やコンクリート、ガラスなどの廃材の処分費用のことを指します。
解体費用全体のうち約4割〜5割と、解体工事費用に並んで大きな割合を占める費用です。
整地費用
整地費用は、家を解体した後の土地の整備にかかる費用です。
費用の目安は1平米あたり1,000円程度です。
地面を平らにならす作業に加え、地中に埋まっているコンクリートや廃材を確認・撤去する作業も含まれます。
大きな段差をならす場合や、樹木の抜根、地盤改良などが必要なケースでは、整地費用が高額になることもあります。
家を解体した後の土地の売却・土地活用を考えている場合には、整地費用にも十分な予算を見積もっておきましょう。
解体工事全体のうち約1割を占めます。
事務作業費
各種届け出や書類の手続き代行費用などです。
建物の調査費用、官公庁への手続き・申請にかかる費用なども含みます。
職人が乗る車や工事車両を駐車するスペースが敷地内にない場合には、近隣のコインパーキングに停めるための実費が請求されます。
特に首都圏では駐車場代が高額になるケースが多いため、見積もりの際に十分に確認しておくと安心です。
解体費用全体に占める比率や約1割です。
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家を壊す際に失敗しないの業者選びのポイント
ここまでの内容に付随して、失敗しないための業者選びのポイントはいくつかあります。
▼家を壊す際に失敗しない業者選びのポイント
- 解体工事に関する許可証の確認
- 過去に施工実績はあるか
- 見積書の内容に納得できるか
- 契約書を事前に書面で交わせるか
- 事故が起こったときの反応を説明できるか
- マニフェスト(産業廃棄物管理票)を確認できるか
解体工事に関する許可証の確認
工事を依頼する解体業者が、解体工事に関する許可証を有しているかは確認しましょう。
解体工事業を営むには、「解体工事業登録」か「建設業許可」のいずれかが必須です。
▼「建設業許可」と「解体工事業登録」が証明できること
許可の種類 | 証明できること | 確認方法 |
解体工事業登録 | 建設業許可請負金額が500万円未満の解体工事を行う資格を有する | 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム |
建設業許可 | 請負金額が500万円以上の解体工事を行う資格を有する | 各都道府県の解体工事業者登録一覧 |
「解体工事業登録」は請負金額が500万円未満の解体工事を行う資格を有することの証明になります。
家屋の解体費用の一般的な目安は100万円~400万円なので、多くの場合、「解体工事業登録」を有している業者であれば安心して任せられるといえるでしょう。
なお、業者が許可を取得しているかどうかは、国土交通省が管轄する「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で調べることができます。
一方、「建設業許可」は請負金額が500万円以上の解体工事を実施する際に必要な許可となります。
取得している業者は、各都道府県の解体業者登録一覧から確認することができます。
「都道府県 解体業者登録一覧」とインターネット検索すれば公式ページが表示されますので、該当する工事の場合はチェックしておきましょう。
過去に施工実績はあるか
過去の施工実績も、解体業者を選ぶ際は必ず確認しましょう。施工実績を確認する理由は、業者の信頼性と技術力を見極めるためです。
過去に多くの解体工事を手掛けてきた業者は、様々な状況に対する対応力や問題解決能力を持っています。
実績豊富な業者であるほど、解体工事が予定通りに進みやすくなり、予期しないトラブルが起こるリスクが低くなります。
見積書の内容に納得できるか
見積書に不透明な部分はないか、納得できる金額か、金額が安すぎることはないか、は必ず確認しましょう。
見積もり書は細かく確認し、「何の費用か分からない項目」は無くすべきでしょう。
また、あまりにも安い見積もりの場合も注意すべきといえます。
手抜き工事をするリスクも否定できません。高い・安いの判断はある程度の相場感がないと判断できない、少なくとも2~3社の複数業者に見積もりを依頼することは、適切な判断につながるといえます。
契約書を事前に書面で交わせるか
契約書を事前に書面で交わせるか、も大切な確認項目です。
「先に口約束で工事が始まり、あとで希望した内容と違う契約書となっていた」などのトラブルを回避することができます。
見積書の内容からトラブル時に対応の仕方まで書面に記載しておき、事前に法的な合意を得ておくことが大切と言えます。
事故が起こったときの対応を説明できるか
事故が起こったときの対応を説明できるかも、解体業者のチェックポイントのひとつです。
解体工事は重機を使用することもある、危険がともなう工事です。
万が一何か事故が起こったとき、どういった対応をしてくれるのかも確認しておくとよいでしょう。
近隣家屋を破損させてしまうなどして、工期自体が遅れてしまう際に、どのように対処するのか、事前に説明をうけておきましょう。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)を確認できるか
マニフェスト制度とは、産業廃棄物の不法投棄を防止するための制度です。
解体工事で発生した廃棄物は、このマニフェストに沿って処分されます。
マニフェストが確認できない業者、知らない業者は、廃棄物を違法に処分している可能性があります。
信頼性が低いといえるため、依頼することはおススメしません。
私の家の解体費用はいくら?
家を壊すことを相談したいならイエウール解体
解体工事は、まず流れを把握することと、費用の見積もりをしっかりととること、信頼できる業者を選ぶことがとても大切です。
ただし、解体工事は人生においてなかなか頻繁に行うものではありません。初めての工事に何から進めてよいかわからない方も多いでしょう。
解体工事の進め方について迷ったら、一括見積サイトのイエウールがおススメです。
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