相続放棄した家の解体費用は誰が支払う?相続人が支払うってほんと?

相続放棄した家の解体費用は誰が支払う?相続人が支払うってほんと?

「相続放棄した実家の解体費用は誰が払う?」

相続放棄した実家の解体費用を支払うのは相続人になります。相続放棄しても実家の管理義務が発生するためです。

また、相続人がいない実家の場合は相続財産法人(地域の弁護士)が遺産を清算し、誰が解体費用を支払うのかを決めます。

本記事では相続放棄した実家の解体費用を誰が支払うのか、について解説しています。

実家の解体を具体的にご検討中であれば、ご実家の解体費用がいくらかもしっかりと把握しておきましょう。解体費用は立地や建物の老朽化の度合いなど、建物個別の条件によっても異なります。以下のツールから自分でお見積りできますので、ぜひご活用ください。

私の家の解体費用はいくら?

▼解体費用の基礎知識について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

家の解体費用の相場はいくら?金額の決まり方まで解説

相続放棄した家の解体費用は誰が支払う?

冒頭で解説したように、相続放棄した実家の解体費用は相続人が支払うのが原則です。

ただし、相続状況によって、相続人のうち誰が支払うのかは次のようにわけることができます。

▼相続状況別の解体費用の支払い人

相続状況解体費用の支払い人
相続放棄した場合他の相続人
全員が相続放棄した場合相続財産法人(※)が指名した相続人
相続財産法人(※)が選任されない場合実家に居住または頻繁に訪問していた相続人(=財産を現に占有している方)
詳細は以降で解説していくよ!
実家の解体費用を自分で支払ったり、他の人に任せる場合は、解体にいくらかかるのか、予算として把握しておくことが大切です。以下のツールでは、複数の条件を選択することで、ご実家の解体費用がいくらになるか自分でシミュレーションできます。解体工事が必要な方は、ぜひご活用ください。

私の家の解体費用はいくら?

【相続放棄した場合】他の相続人が支払う

実家の相続を放棄した場合は、他の相続人が解体費用を支払います。他の相続人は、亡くなった人の配偶者・子・親・兄弟などが該当する可能性があります。

相続人は優先順位が決まっており、順番に応じて相続権が放棄されます。

▼相続人の優先順位

  • 第1順位:配偶者
  • 第2順位:子・孫・ひ孫
  • 第2順位:両親・祖父母
  • 第3順位:兄弟・おい・めい

被相続人が亡くなった場合は、第1順位である「配偶者」に相続権が移行します。

第1順位の方が相続放棄をした場合は、第2順位である「子・孫・ひ孫」に相続権が移ります。第2順位の方も相続放棄をした場合は第3順位である被相続人「両親・祖父母」に相続権が移ります。

相続人は相続放棄しない限り、建物の所有者として解体費用を支払うことになるよ!

【全員が相続放棄した場合】相続財産法人が指名した相続人

実家の相続を全員が放棄した場合は、相続財産法人が指名した相続人が解体費用を負担することになります。

相続財産法人とは、相続財産の運用や管理を専門的に行う法人です。一般的には地域の弁護士が家庭裁判所から選任されます。選任後は債権者に対して遺産分与を行い、解体費用を誰が支払うのかも決めることになります。

ただし、相続財産法人が設立され財産が引き渡されるまでは一定の準備期間が必要です。その間に解体する場合は、民法940条により、『家に居住または頻繁に訪問していた相続人(=財産を現に占有している方)』が支払うことになります。詳しくは後述。

【相続財産法人が選任されない場合】家に居住または頻繁に訪問する相続人

前述したとおり、相続財産法人が設立され財産が引き渡されるまでは、『家に居住または頻繁に訪問していた相続人(=財産を現に占有している方)』が支払います。

つまり、実家に居住または頻繁に出入りしていた相続人の場合、相続放棄しても別の方が管理を始めるまでは、自分の所有物と同じように管理し、解体費用の支払い責任を負う可能性があるということです。

上記は民法940条で次のように定められています。

▼民法940条の内容

相続放棄をした者は、放棄時に相続財産に属する財産を現に占有している場合、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

出典:財産管理制度の見直し(相続の放棄をした者の義務)|法務省

ただし、支払い義務が明記されているわけではないので、実際に支払うことになるかは、状況に応じて法的に判断されます。
▼家の解体費用を誰が払うかについてはこちらの記事でも解説しています。

実家の解体費用は誰が払う?相場と支払えない場合の対処法


相続放棄した実家の解体費用はいくら?

実家の解体費用は建物の構造によって異なります。実家が木造であれば3万円~4万円/坪、鉄骨造なら5~7万円/坪、鉄筋コンクリート造なら6~8万円/坪といわれています。

▼構造別の相場

構造坪単価30坪50坪
木造3万円~4万円90万円~120万円150万円~200万円
鉄骨造5万円~7万円150万円~210万円250万円~350万円
鉄筋コンクリート造6万円~8万円180万円~240万円300万円~400万円

ご実家の解体費用をざっくり知りたい場合は、「構造別の坪単価×延べ床面積」で概算してみましょう。

延べ床面積とは建物の床面積の合計値です。解体費用は建物の広さによって決まるため費用の基準となります。例えば、各階が15坪の二階建ての場合は延べ床面積は30坪となります。

実家の構造はどうやって見分けたらいい?
家がどんな構造かわからない方は、次の特徴を参考にしてみましょう。
  • 木造:二階建てで三角の屋根がある
  • 鉄骨造:屋根がフラットで外壁にパネルが張り付けてある
  • 鉄筋コンクリート造:住戸の四隅に太い柱がある

外観での判断が難しい場合は、「建物登記簿謄本」「宅地建物取引業法に基づく重要事項説明書」「不動産取引の書類」などから建物の種類を確認できます。

表内の金額はあくまで目安で、実際の解体費用は建物の大きさや周辺状況によって異なります。以下のツールでは、お手持ちの建物固有の条件にあった解体費用自分でシミュレーションできます。実家の解体をご検討中の方は、ぜひご活用ください。

私の家の解体費用はいくら?

相続放棄した家の解体費用が支払えないなら?

相続放棄をした実家の解体費用が支払えない場合は、相続放棄せずに家や土地をできる限り有効活用する方法を考えましょう。

故人が多額の借金を抱えているなど大きな問題がなければ、相続して実家や土地を売却したり、活用したりすることで、より多くのお金が手に入るかもしれません。手に入れたお金で解体費用を捻出できる可能性があります。

相続した後の家の活用方法は、主に次の4つです。

▼相続した後の家の活用方法

  1. 相続した実家を他人に貸す
  2. 建物ごと売る
  3. 更地にして活用する
  4. 更地にして売却する

それぞれメリットとデメリットがあるので、自分に合う方法を見極めて決断しましょう。詳しくは後述していきます。

相続した家を他人に貸す

メリット
  • 家を長持ちさせられる
  • 家賃収入を得られる
  • 将来的に自分が利用する可能性を残せる
デメリット
  • 住宅のトラブルに対応しなければならない
  • 必ず利益が出るわけではない
  • 転用が難しいことも

解体費用が払えない場合、家の状態が良ければ、相続して他人に貸すのもよい方法です。

【メリット】としては、人が住み続けることで、家を長持ちさせることができる点です。また、貸し出すことで家賃収入も入るお得な方法です。特に戸建ての賃貸は需要があるのに物件数が少ないので、築年数などの影響を受けにくく、最低限のリフォームでも借り手が決まりやすい場合があります。さらに、将来的に自分が住みたくなった場合に利用できる可能性を残しておくことができます。

【デメリット】としては、住宅のトラブルがあれば貸主が対応しなければならず、借主がいない間は家賃収入がなく、物件の管理を続ける必要がある点です。設定した条件で借り手がつかない場合、家賃を下げたりリフォームしたりする必要が出てくるでしょう。経費の方がかかって、結果として赤字になるリスクもあります。

建物ごと売る

メリット
  • 解体費用を負担せずに済む
デメリット
  • 解体費用分の値下げを要求される

解体費用をまかなえない時の対処法として、建物ごと売却する方法もあります。

【メリット】としては、解体費用を負担せずに済む点があげられます。最近は中古住宅を購入してリノベーションする人も増えているので、人気エリアの土地であれば、建物込みでも購入したいという需要もあります。

まだ使える状態の建物なら、解体を決めてしまう前に売るといくらになるのか、いちど査定してもらうのがおススメです。

【デメリット】としては、価格交渉時に解体費用分の値下げを要求される可能性があることです。もし値引きを要求された場合は、自分でも解体費用の見積もりをとって、実際にどのくらいの費用がかかるのか確認してから値引き交渉をしましょう。

更地にして活用する

いちど更地にしてから土地を有効活用する方法があります。

駐車場、トランクルーム、ソーラーパネルの設置、定期借地など、様々な方法があるよ!
メリット
  • 定期収入を得られる
  • 将来的に自分が利用する可能性を残せる
デメリット
  • 解体費用を負担する必要がある
  • 赤字になるリスクがある
  • 更地にしたことで固定資産税が上昇する

【メリット】としては、家を貸す方法と同じで、定期収入が得られ将来的に自分で活用できる可能性が残せる点にあります。

【デメリット】としては、解体費用を負担する必要がある他、赤字リスクがある、固定資産税が上昇する点があげられます。固定資産税については、建物を解体すると、土地に適用されている特例措置(=軽減税率)が適用対象外となります。すると、解体した翌年より、最大6倍まで固定資産税が上昇してしまうので注意してください。

更地にして売却する

メリット
  • 売却益を解体費用に充てられる
デメリット
  • 売却益で解体費用をカバーできない場合は赤字リスクも

解体費用を準備する方法として、更地にして売る方法もあります。買い手が更地を希望している場合、解体する約束で売却します。

【メリット】としては、売却益を解体費用に充てられる点があげられます。売却してから解体することで、解体工事前に購入代金が振り込まれるので、解体費用を心配せずにすむでしょう。

【デメリット】としては、結局は解体費用を払わなくてはいけない点です。売却益で解体費用をカバーしきれない場合、赤字になるリスクもあります。

相続放棄した家を解体しないとどうなる?

相続した実家を解体しないまま放置する場合に予想される主なトラブルは、次の2つです。

▼相続放棄した家を解体しないとどうなる?

  • 近隣住民とのトラブル・訴訟がおこる
  • 特定空き家に指定され行政代執行される

近隣住民とのトラブル・訴訟がおこる

相続した実家を解体しない場合は、近隣住民とのトラブルや訴訟がおこるリスクがあります。

人が住んでいない住宅は老朽化しやすいため、朽ちやすく、倒壊の危険性が増すのです。

誰も住んでおらず、管理もされていない家は、次のような状態を引き起こします。

▼管理されていない空き家によくあるトラブル

  • 放火の標的になった
  • 野生動物が住み着いた
  • 不法投棄された

このような状態になると近隣住民から苦情が入り、トラブルに発展します。

空き家が崩れるなどした際に、隣の家が壊れたり、歩行者が怪我をしたりすると、損害賠償などの訴訟になることもあります…。

特定空き家に指定され行政代執行される

空き家の状態で放置していると、自治体から周辺環境を悪化させたり、倒壊の危険性があると判断されたりして、特定空き家に指定される可能性もあります。

特定空き家に指定されると、自治体から助言や指導が入ることもあるのです。それでも改善されなかったり、倒壊の危険性が高くなったりすると、行政代執行となって自治体主導で空き家が解体されます。

行政代執行では自治体主導で空き家の解体が行われますが、解体費用は空き家の管理者に請求されます。

相続人が解体費用を払えないからと放置していても、最終的には解体費用を請求されるケースがあることを覚えておきましょう。

解体費用の支払いにお悩みの方は、イエウールの解体専任のオペレーターにご相談ください。全国の解体事例に詳しい専属のオペレーターが、損しない見積もりの取得方法や、解体費用をできるだけ安くおさえるコツについてご案内いたします。以下のフォームからお問合せできますので、ぜひご活用ください。

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