マンション経営における地震のリスクと対策!地震保険についても解説

マンション経営における地震のリスクと対策!地震保険についても解説

マンション経営をするうえで避けて通れないのが「地震によるリスク」です。ですがリスクを把握し対策を練ることである程度回避することができます。

本記事ではマンション経営における地震のリスクと対策について詳しく説明します。

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マンション経営のデメリットやリスクについては以下の記事をご覧ください。

マンション経営のデメリットとは?始める前の落とし穴

マンション経営における地震のリスク

マンション経営をするうえで避けては通れないのが地震のリスクです。ここでは過去の大地震を例にあげて、そのリスクを説明します。

熊本大地震では8割の建物が被害を受けている

熊本大地震での建物被害を見ていきましょう。

【木造】
木造住宅1,955棟
倒壊は297棟(15.2%)、大破230棟(11.8%)、中破・小破1014棟(51.9%)、無害414棟(21.2%)
(参照:国土交通省 住宅局

熊本大地震での木造住宅の被害は全体の8割近くに及びます。

マンションは木造に比べて頑丈な造りになっているので、木造ほどの被害は考えにくいですが、過去の大震災での被害状況を見るにマンションも相当の被害を受けることは予想されます。

地震から資産を守るのはもちろんのこと、マンションのオーナーになれば入居者の安全責任も問われます

いつ来るか分からない大地震に備えて、今から準備しておく必要があります。

旧耐震基準の倒壊率は新耐震基準の4倍

熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」の報告によると、旧耐震基準で建てられた木造住宅759棟のうち倒壊したものは約28%の214棟と新耐震基準で建てられた木造住宅とでは、倒壊率にして4倍の差があります。

【木造の建築時期別の被害状況】

【旧耐震基準(~昭和56年5月)、新耐震基準(昭和56年6月~平成12年5月)、新耐震基準(現行規約)平成12年6月~】

熊本地震において、必要壁量が強化された新耐震基準は、旧耐震基準と比較して、倒壊・崩壊が少なく、その防止に有効であったと認められ、新耐震基準の有効性が確認されました。

また、接合部の仕様等が明確化(現行規約)された平成12(2000)年以降の建築物の倒壊率はさらに低くなっていることが分かります。

全壊からの住宅再建費は平均で2500万円

東日本大震災で全壊被害に遭った住宅の新築費用は、平均して約2,500万円でした。

今後発生が危惧されている南海トラフ巨大地震では、推定全壊住宅は 約238.6万棟 となり、 東日本大震災の約20倍になるとされています。

上記は全壊被害にあった住宅の新築費用の相場になります。構造や築年数にもよりますが、マンションなどでも地震の被害を受け大規模修繕が必要な場合は当然修繕費用が発生します。

地震の被害を受けての修繕費等の負担は原則オーナー持ちです。マンションの被害状況によっては解体し、立て直す必要も出てきます。その際、高額の修繕費がオーナーの負担になることを忘れてはいけません。

(参考:内閣府 防災情報ページ

マンション経営を始めるなら最初の情報収集が重要です。日本最大級の土地活用プラン比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけでマンション経営のプランを取り寄せることができます。

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マンション経営における地震リスクへの備え

この章ではマンション経営における地震リスクへの対策を紹介します。

保険に加入する

もしもの大地震に備えて保険の加入を検討しましょう。ぞれぞれの保険について詳しく説明します。

  • 地震保険
  • 火災保険
  • 施設賠償責任保険

地震保険

地震保険では、地震を原因とする火災や津波による被害をカバーできます。

地震保険は、火災保険とセットで加入します。そのため、火災保険に加入せずに地震保険に加入することはできません。

補償対象は建物と家財であり、その被害度合いによって以下のように保険金が異なります。

【被害の度合いによる保証額】

被害の度合い保証額
全壊保険金額の100%
半壊保険金額の50%
一部損壊保険金額の5%

保険料については木造とそれ以外で差異があり、それぞれの地震保険の価格は以下の通りです。(保険金額が1000万円の場合)

【構造別保険料】

構造価格
木造1万円~3万5,000円
木造以外7,000円~2万3,000円

また、地震保険では建物の耐震等級によって最大30%の割引を受けることができます。

火災保険

火災保険では、火災のほか風害や水害、事故による損壊など幅広い範囲での補償が受けられますが、火災保険は地震による損害を補償対象としていません

よって、地震に対するリスクを火災保険だけではカバーすることはできません。火災保険に加入するのであれば同時に地震保険の加入をおすすめします。

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険とは、第三者への補償をカバーしてくれる保険です。

地震などの自然災害であっても、入居者が建物の欠陥やオーナーの過失による事故で死傷した場合、オーナーは賠償の責任を負います。その際の賠償金を補償してくれる保険が施設賠償責任保険です。

過去には建物の欠陥が原因でオーナーが1億円以上もの損害賠償を支払うことになった例があるので、もしもの時に備えての加入をおすすめします。

地震に強いマンションを選ぶ

地震リスクの対策として、マンション購入時に地震に強いマンションを選ぶ必要があります。

地震に強いマンションというのは新耐震基準を満たした物件のことです。1章でも説明したように、旧耐震基準で建てられた木造住宅と新耐震基準で建てられた木造住宅とでは、倒壊率にして4倍の差があります。

物件の耐震基準を見分けるには、建物の「建築確認日」を確認します。建築確認とは、指定確認検査機関に建築計画が建築基準法等の基準に適合していることの確認を受けることです。建築確認日とは承認された日にちを指します。

新耐震基準が制定されたのは1981年ですが、建物が竣工した年が1981年でも建築確認日が旧耐震基準の1980年である可能性があります。旧耐震基準の物件を購入してしまわないよう、確認はしっかり行いましょう。

とはいえ、「平成30年住宅・土地統計調査」によると、日本国内にある旧耐震基準の建物の割合は約25%です。

建物の取り壊しや建て替えなどによって徐々に旧耐震基準の物件は減少していますが、マンションを購入するときは新耐震基準の物件かどうかを見極めたうえで購入を判断しましょう。

投資エリアを分散する

マンション経営を行う際、投資エリアの分散も地震へのリスクの対策の一つです。

いくら収益が見込める地域であっても、一極集中で物件を購入すると、その地域で地震が起きた際、投資しているマンションが全滅してしまう可能性があります。

よって、複数のマンションに投資を検討している場合は投資エリアを分散することで地震へのリスクを抑えることができます。

地震発生時マンションオーナーが責任を問われる場合

地震発生時、入居者に被害が及んだ際、オーナーが責任を問われる場合があります。

建物の設置・保存の欠陥によって損害が発生した場合

民法上、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは、その工作物の占有者が、被害者に対してその損害を賠償する責任を負います。(民法717条1項)

瑕疵(かし)とは造成不良や設備の故障など、取引の目的である土地・建物に何らかの欠陥があることをいいます。

例えば、定期的な耐震診断を怠る、適切な修繕工事がされていないなどの場合、入居者に何らかの被害が出た場合は地震などの自然災害であれ、マンションオーナーがその責任を問われます。

マンション設置瑕疵による損害賠償の事例

昭和39年に建築された神戸市内の賃貸用アパートが、阪神大震災によって1階部分が完全に倒壊。入居者のうち4名が死亡し、複数名が傷害を負ったという事案において、遺族らが総額3億円余の損害賠償を求めて提訴しました。

裁判所は「設計上壁厚や壁量が不十分」であり「建築当時を基準に考えても、建物が通常有すべき安全性を有していなかった」旨を認定しています。

結局、裁判所は、建物の所有者に対して、自然力による寄与度の5割を控除した金額の約1億3000万円の支払いを命じました。

地震に強い土地の見極め方

マンション経営を考えるのであれば地震に強い土地での経営を検討すべきです。ここでは地震に強い土地の見分け方を紹介します。

地形から地盤の特性を知る

地震に強い土地かどうかは、地盤の強弱で判断します。

山地や台地は一般的に地盤がしっかりしているとされていますが、傾斜がきつい土地では斜面の崩壊や土石流などの災害リスクが考えられるので注意が必要です。

また、低地では洪水や津波の災害リスクが考えられます。土地に含まれる水分量が多いため軟らかい粘土やゆるい砂が多く、地震が起こったときには液状化が発生しやすい土地でもあります。

また、坂の下に位置するエリアは土地が低いため、水が集まりやすい特性があります。池や湖沼、水田などを埋め立てた土地も軟弱地盤の可能性があります。

現地を視察する

現地に足を運ぶことも重要です。

実際に足を運び、周囲の建物の基礎のコンクリート部分もチェックしましょう。

築年数が浅いにもかかわらず、基礎がひび割れを起こしているような場合は建物が傾いて沈下する「不同沈下」が発生しているかもしれません。

また、建物のブロック塀の傾きや道路の亀裂などからも、地盤の性質をチェックすることができます。

ハザードマップを確認する

国土交通省や地方自治体が提供しているハザードマップを活用すれば、オンライン上からでも地盤・地震・災害の危険度を確認することができます。

地震の危険度を調べるために、まずは地震が起きやすい地域をチェックしてみましょう。

J-SHIS 地震ハザードステーション』では、日本に存在する震源断層を調べることができます。

地震リスクに備えた対策を!

日本に住んでいる以上、地震から目を背けることはできません。

マンションのオーナーになるのであれば、入居者の安全を確保する義務が生じます。人の命にもかかわってくることなので、マンション経営を考えるのであれば、もしもの地震に備えた対策はしっかりと行うようにしましょう。

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